ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~   作:ドロイデン

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津島善子生誕祭番外編2017

「……お願いします先輩、手伝ってください!!」

 

 とある土曜、何時ものように果南とダイビングでもしようかと考えてたときにそれは訪れた。

 

 普段鳴らないインターホンの音に開けて確認してみると、この暑い中ゴスロリに黒い日傘というコスプレ染みた格好で現れた年下の少女……津島善子が来ていた。

 

「……とりあえず、中に入って聞こうか?」

 

 

 

 後輩を部屋に入れて麦茶でもてなすと、彼女はおかまいなくと言ってくる。

 

「んで、俺に何を手伝えと?」

 

「実は夏コミを一緒「断る!!」速答!?」

 

 話を聞いた俺は即座に断る。

 

「当たり前だこのお馬鹿!!8月中旬だぞ!!時期を考えろ時期を!!」

 

 その時期は世界大会決勝リーグの頃合いで、もし順当に勝ち抜けばそれともろに被る事になる。

 

 量産機ベースとはいえ、専用の予備パーツを作ったりしてたら時間が足りやしない

 

「しかも場所が幕張だろ?前日に試合があると考えたら、確実に手に入れるための前入りなんてほぼ不可能だろ」

 

「ぐぬぬ……」

 

 ヨハネも真っ当だと思ったのか唸り声をあげてるが反論はしてこない。

 

「まぁ普通の買い物くらいなら別に良いんだが」

 

「……なら行きたい場所があるんだけど」

 

「常識の範囲内でな」

 

「当たり前よ!!すぐに出掛ける準備しなさい!!」

 

 マジかと思いつつ、仕方なく俺は部屋へ着替えに行くのだった。

 

 

 

 ヨハネ様に連れてこられたのは、意外や意外、最近新しく出来たばかりのケーキバイキングの店だった。

 

「なんか、ホントに意外だな」

 

「ちょっと、それどういう意味よ」

 

「いやヨハネの事だから、てっきりオカルトショップとか心霊スポットとかかと思ってたからさ」

 

 確かにヨハネも女の子と言われればそうなのだが、どうしてもゴスロリのイメージからそっち系に寄ってしまう。

 

「まぁ私もあまり来ないんだけどね、クラスの何人かが結構話してたからどんなものかな~って」

 

「へぇ……なら花丸ちゃんとかルビィと行ったら良いじゃん」

 

「ルビィは兎も角、ずらまるはかなり食べるしあんまりマナーがね……喫茶店なら兎も角こういうところには向かないのよ」

 

 意外と仲間内を観察していらっしゃった模様だった。

 

「しかし……」

 

 俺の皿にはショートケーキやチーズケーキが数種類がちんまりと乗ってるに対して、ヨハネの皿には洋菓子和菓子関係なくぎっちりと、しかし綺麗に乗せられている。

 

「花丸ちゃんほどじゃないけど、ヨハネ様も結構食べるんだな」

 

「一つ一つが小さいからよ。流石にケーキショップみたいな大型のショートケーキだったらハーフも食べれないって」

 

 そりゃそうかと俺もフォークを動かしてチーズケーキをパクつく。くどくない甘さにチーズの濃厚さが堪らなく美味しかった。

 

 俺が一皿を食べ終わる頃にはヨハネは二皿目を持ってきており、これまたかなりの量のスイーツが乗せられていた。

 

「……女子に言うことじゃないけど、太るぞ?」

 

「どうせガンプラバトルでカロリー消費するから関係ないわよ」

 

「さいでっか……」

 

 ため息と共に珈琲を飲み干した。

 

「てか、今さらだけどこれってデートだよな?」

 

「ムグッ!?」

 

 さらっと呟いた言葉にヨハネはあわてふためき、食べていたケーキが喉に詰まってしまった。俺は急いでジュースを手渡してそれを嚥下させる。

 

「……プハ!!い、いったい何を言ってんのよアンタは!?」

 

「いや、客観的に見たらそうだろうな~って思って……深い意味は無いんだが」

 

「大有りよ!!全く……(別に個人的にはそれでも良いんだけど)

 

 何やらボソボソとヨハネは何か言ってるようだが、小さすぎて聞こえなかった。

 

「で、このあとはどうするんだ?」

 

「そ、そうね……とりあえず服を見に行こうと思ってるわ」

 

「そりゃ長くなりそうなことで」

 

「言っておくけど、見るのは男物よ?」

 

 え?

 

「なぜに?」

 

「アンタの私服よ私服、どうやったらそんなに単色になってるわけ?」

 

「そう言われてもだな」

 

 ちなみに今日の服装はグレーのTシャツにネックレス、グレーのチノパンと全身灰色づくしだった。

 

「それにいつもだけどモノトーンかダークトーンしか着てないじゃない。言いたくないけど年より臭いわよ?」

 

「別に良いだろ、グレーが好きなんだから」

 

「言い訳無用!!どうせだし私も今年の水着買わないとだったし調度良い機会だし、このヨハネ様がキッチリコーディネートしてあげるわよ!!」

 

 そう言うお前は黒ばっかだろと、心の奥隅でそう思った。

 

 

 

 

 

 結果から言うと、ヨハネ様の服選びはかなり優良だった。というのも持ってきた組み合わせのほぼ全てが派手過ぎず地味過ぎずという絶妙なものばかりで、流石はファッションデザイナーの娘というだけはあった。

 

 今もヨハネプレゼンツのその場で着れる薄い水色のアロハシャツを羽織るように着ており、だいぶ雰囲気が変わったとは思うのだが……

 

「ねぇ、こっちとこっちだったらどっちが良いかしら?」

 

 頼むから水着選びに連れ込まないでくれませんかね~!!周りからの視線が痛いんだけど!!

 

 今も持ってきたのが黒のレース付きのビキニと白いフリル付きの水着を持ってきており、本人はまるで関係なしと来たもんだ。

 

「う~ん、どっちでも良いと思うんだけど」

 

「何言ってるの!!女子にとって水着は勝負なのよ!!出来る限り妥協を許さない覚悟で選ぶくらいにね」

 

「そんなもんかな……」

 

 これが果南だったらあまり迷わずほぼ速決しちゃうからな~それで似合ってるんだからすごいし。

 

 曜は曜ですぐに決めて俺や千歌を振り回すために変な水着を見せたりするんだよな……勿論買わないらしいけど。

 

「で、どっちの方が似合うと思う?」

 

「…………言わなきゃダメか?」

 

「当たり前よ、でないと父さんにあること無いこと話しちゃうわよ?」

 

「……俺としてはフリル付きかな。レースも大人っぽくて良いけどさ」

 

 仕方なく言うとヨハネはジトリと睨んでくる。え?なんで?

 

「……目を見て言いなさいよ」

 

「いや、そんなの……」

 

「でないと……そうね~」

 

 まるで悪戯するように耳元に近づいたかと思うと

 

(正直に言わないと、)(一緒に試着室で生着替えの刑よ?)

 

 なんという爆弾を投下してきた。

 

「お、おま!?」

 

「私は別にそれでも良いんだけど?でもそんなことになったら世間的に不味いことになるわよね~昴せ・ん・ぱ・い?(バカバカバカ!!なんてこと言っちゃったのよ私!!)」

 

 ニヤニヤとして言ってのける後輩にこめかみがピクピクしながらも、仕方なくまたため息を吐く。

 

「分かったよ、言います、言いますから」

 

「(乗ってくれても良かったのに……)そ、でどっちなの?正直に言ってね」

 

「はいよ……正直に言うなら甲乙つけがたい、どっちも似合ってるしどっちを着ても似合ってると思う」

 

 実際ヨハネ様は結構大人びた性格してるし、見た目も小悪魔が似合うからか、大人っぽいのも可愛いのもどちらもいけると思ったからだ。

 

「ふーん?面白くないけど……本音っぽいししょうがないからその刑は無しにしてあげる」

 

「そりゃありが「でも……」はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その代わり、今日は私のリトルデーモンにしちゃうから、覚悟しなさいね?」

 

「勘弁してくれ……」




ヨハネ様、Happy birthday!!

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