ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~   作:ドロイデン

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転校生を捕まえろ その三

「……昴くん、来てないね」

 

 月曜日、登校した私と曜ちゃんは何時もなら来てるはずの友達が来てないことに違和感を感じる。

 

「そうだよね。家に誰もいなかったし、かといってテーブルには……」

 

『一週間ほど出掛けます。』

 

「これだもんね」

 

 まさかのこれでだよ。う~むずむずする。

 

「まぁ昴くんの事だからちゃんと一週間で帰ってくるとは思うけどね。ところで、千歌ちゃんは自分のガンプラは完成した?」

 

「うん!!とりあえず本体の素組は……どう!?」

 

 そして取り出した機体……『インパルス』はシルエットこそ取り付けられてないけど、ガンプラ初心者の私にしてはちゃんと作れた……と思う。

 

「それ、千歌ちゃんの機体?」

 

「あ、梨子ちゃん!!」

 

 と、漸く梨子ちゃんも到着して、私は自分の機体を見せる。

 

「どう!!初心者レベルだけど良くできてるでしょ!!」

 

「うーん……残念賞かな?」

 

「そんなぁ!!」

 

 まさかの辛口評価だった。

 

「千歌ちゃんのそれ、素組なのに必要以上に接着剤を付けすぎて、関節のところまでガチガチになってるよ」

 

「あ!!ホントだ!!……何とか修正できるかな?」

 

「うーん、使ったのはセメントみたいだし、後の削り出しでギリギリできると思うよ?」

 

 梨子ちゃんのその言葉に一応は安堵した。これで修復不能と言われたら、流石に懐問題的に立ち直れない気がしてた。

 

「それで、曜ちゃんのは?」

 

「ヨーソロー!!完成しております!!」

 

 と、曜ちゃんが出したのは、胸に髑髏が付いた青いガンダムだった。

 

「曜ちゃん、その機体って?」

 

「ふふん!!これこそ渡辺曜自信作!!『クロスボーンガンダムカノーニア』だよ!!」

 

 クロスボーン?ガンダムの知識はほぼ皆無だからどんな機体かさっぱり分からないんだけど……。

 

「へぇ、やっぱり曜ちゃんは海賊系ガンプラなんだ!!」

 

「海賊!?ガンダムに海賊も居るの!?」

 

「正確には宇宙海賊だけどね。もっとも、この機体のベースと違って、機体事態は中距離戦用に仕上げてるけど」

 

 その台詞に、私は曜ちゃんの機体を確認する。よく見てみると、全体的に青いカラーリングに、後ろには少し大きめの砲門と、両腕には小さなシールドが取り付けられていた。

 

「見た目は『X3』と『F91』のミキシングかな?腰にはムラマサが二本装備されてるし、中距離っていうより近・中距離型だよね?」

 

「うん。梨子ちゃんの機体は砲撃戦主体で、昴くんは高機動撹乱戦主体、千歌ちゃんも多分接近型に作ると思うから、だったら私は援護主体かなって」

 

「凄い!!凄いよ曜ちゃん!!私も頑張って作らないと!!」

 

 私が燃えていると、梨子ちゃんがため息をついた。え?なんで?

 

「もう、仕方ないから、手伝ってあげる」

 

「え!!じゃあ一緒に!!」

 

「言っておくけど、手伝うのは機体作りだけだから、ガンプラバトルはしないから」

 

「えぇ!!」

 

 流石は梨子ちゃん、幾らなんでも壁は厚かったみたいだった……。

 

 

 

 

 

 放課後、機体を一緒に作るために私達三人で私の家に来ていた。

 

「……どうしたの梨子ちゃん?」

 

「ふぁ!!いや、なんでもないの……」

 

 と、梨子ちゃんの睨んでいる先には我が家の看板犬であり愛犬、しいたけが……ってもしかして……

 

「梨子ちゃん……」

 

「ち!!違うから!!別に犬が嫌いだから睨み付けてた訳じゃないのよ!!」

 

 見事に自爆してる……こういうの昴くんは何て言ったっけ……テンプレ乙?

 

「はいはい、そういうことにしてあげるから」

 

「ちょっと!!ホント、ホントなのよぉ!!」

 

 そういって追いかけてくる梨子ちゃんを少し可愛いと思いつつ、三人揃って私の部屋のなかに入る。

 

「それで、千歌ちゃんは自分の機体をどう動かしたいの?」

 

「どう……っていうか、私は射的とかそんなに得意じゃないから、射つより斬る!!って感じかな?」

 

 実際、私ってそこまで器用じゃないから、射撃しながら移動してとかっていう事は多分無理だろうし。

 

「ならエクスカリバー系の武器……でもあれは取り回しがそこまでよくないし速力もないから……」

 

「ならいっそのこと『フォース』の下翼を大剣みたいにしちゃえば良いんじゃないかな?あれって可動粋あるから、剣で使うときだけ取り外しちゃったりとか」

 

「でも『フォース』ってあの大っきなブースターよ?あれってそもそもビームサーベルあるから、寧ろデッドウェイトになるし、何より下翼が無いと飛行バランス崩れるし」

 

 曜ちゃんの意見もどうやらアウトらしい。

 

「うーん、そもそもSEED系の機体って弄くりが大変なの。特に昴くんとかが使ってた『ジン』系と、『ガンダム系』は特に」

 

「そうなの梨子ちゃん?」

 

 初めて聞く話に少しだけ驚く。

 

「なんていうか、SEED系の機体って、個体として完成されてる機体か、宇宙世紀のオマージュ機体が多いの。特にdestinyシリーズはその傾向が強くて、昴くんの『ジン』は前者、私の『ザクファントム・リリィ』も後者の中で結構苦肉の策、って感じでバトル用に作った機体なの」

 

「そういえば、確かに……」

 

 思えば憧れるμ'sの高坂穂乃果さんの『ストライク・トゥモロー』のオリジナルも、確か『マルチプルアサルトストライカー』、『I.W.S.P』、『ノワール』の三種類を緻密なバランスで組み合わせたという話で、そこまでしないと自分だけのオリジナルにできなかったと雑誌に書いてあった気がする。

 

「いっそのこと別の作品のプラモパーツを組み合わせるのも手なんだけどね」

 

「うー……だったらシールド!!さっきの曜ちゃんの言ってたのと、肩にスラスターシールドを付ければ!!」

 

 なんか駄々を捏ねる子供みたいだが、こうでもしないとまともに作れそうにない気がするし

 

「シールド……まぁ、それなら何とかできそうだけど……」

 

「ホント!!」

 

「でもその場合、足周りとかにスラスター増設しなくちゃいけないから、千歌ちゃんのあの『インパルス』だと結構厳しいかも……」

 

「そんなぁ……」

 

 まさかの再び辛口評価だった。流石にこればっかりは自業自得も加味されてるかもしれない……。

 

「けど、引き受けちゃったから今回は、何とかカスタムして作ってみるわ」

 

「ホント!!ホントに梨子ちゃん!!」

 

「こんなことで嘘はつかないわよ。でも、作っても千歌ちゃんがまともに動かせるかは別問題だからね?」

 

 なんという頼もしさ……流石は音ノ木坂出身なだけはあるよ!!

 

「それは関係ないと思うよ千歌ちゃん」

 

「え!?曜ちゃんに心読まれた!?」

 

「声に出てたからね」

 

「ウソォォ!!アダッ!?」

 

 驚いた瞬間に頭に何かがぶつかる。何事かと思っていると、そこには襖を開け、雑誌を右手に丸めて怒り心頭のみと姉の姿があった。

 

「ちーかー?幾ら平日でもここは旅館なんだからね~?騒いだら他のお客さんに迷惑が掛かるって知ってるよな?」

 

「は、はい……スミマセン……」

 

「うん、よろしい。あ、曜ちゃんともう一人の……」

 

「桜内梨子です」

 

「梨子ちゃんね。このバカチカが迷惑かけると思うけど、まぁよろしく頼むわ」

 

 カッカッカ!!と、快活に笑いながら去っていくみと姉を睨み付けながら、私はむすー、と脹れていた。

 

「まぁまぁ、今回は千歌ちゃんが悪いんだしね?……あぁ、剥れてる千歌ちゃんも可愛い……」

 

「曜ちゃん、まさか貴女……いえ、それより二人は衣装の準備とかしてるの?」

 

「「衣装?」」

 

 そういえばという感じで言うが、その点に関しては大丈夫だった。

 

「勿論!!ガンプライブは基本的にガンプラアイドルと同じ扱いだから、基本的に制服でやるのはNGだからね!!デザインは勿論……」

 

「ヨーソロー!!私が一から手作りしております!!まだデザイン段階だけどね」

 

 曜ちゃんの裁縫技術はホントに凄いんだよ。基本的に制服ばかりだけど、水兵の制服は勿論、巫女服や簡単なダンスドレスぐらいは1日あればすぐに作ってきちゃうくらいだし。

 

 けど、前に学園祭用のメイド服作ってきたとき、何故か試作で私用に……それも全部サイズぴったりに作ってきたときはびっくりしたよ。どうやって調べたんだろ?

 

「なら良いんだけど」

 

 梨子ちゃんも納得してくれたみたいで助かるよ~って、あれ?

 

「曜ちゃんバスバス!!」

 

「え……嘘!?終バス終わっちゃった!?」

 

 いつの間にか結構な時間を過ごしていたのか、既に日は完全に落ちてしまっていた。

 

「ちょっとみと姉に聞いてみるから!!二人とも少しだけ待ってて!!」

 

「え!!千歌ちゃん!?」

 

 

 

 

 

 

曜視点

 

「行っちゃった……」

 

 千歌ちゃんが走って行っちゃったせいで、部屋には私と梨子ちゃんの二人だけとなった。

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………気まずい。

 

「……そう言えば、梨子ちゃんはどこら辺に住んでるの?」

 

 とにかくこの場を乗り切る!!うん、流石にここまで気まずいのは無理だから!!

 

「えっと、ここの隣……だけど」

 

「え?嘘?」

 

「ホント」

 

 ……まさかのであった。なんと羨ましい!!

 

「……今度泊まりに行っても良いかな?」

 

「……曜ちゃん下心見え見えよ?やっぱり曜ちゃんって百合趣味なの?」

 

「失礼な!!私はちゃんと異性にも興味あるし、女の子は千歌ちゃんだけだよ!!」

 

 ……なんだろ、自分で言って自爆した感じが凄い気がする。

 

「別に悪いとは言ってないから。それに……私も……」

 

 何とも歯切れの悪い言葉に、私は嫌な予感を禁じ得ない。

 

「……まさか梨子ちゃん?BでLな本を趣味にしてるんじゃ?」

 

「……大丈夫、GでLも何冊かあるし。そっちもおかずになるわ」

 

 予想通りの腐女子でした。うん、やっぱり昴くんの周りっていろんな意味で残念な人が固まるのか?え?私も?そんなこと言ってると果南ちゃんに頼んで深海に着の身着のままでヨーソローしてあげるよ?

 

「……この事は、互いに秘密ということで……」

 

「ヨーソロー♪でも千歌ちゃんはあげないよ?」

 

「大丈夫♪寧ろそう言うことするときは記念に撮ってあげるから♪」

 

「「フフフッ」」

 

「……二人とも~なんか雰囲気怖いよ?」

 

 だが翌日、まさか梨子ちゃんがガンプラバトルに参加すると表明したことに驚きを隠せなかったのは別の話である。




オマケ

???「フッフッフ……」

曜梨「こ、この笑い声は!?」

ヨハネ「この私を置いて、薄い本の話をするなんて極刑よ極刑!!今すぐ私のために鳴くリトルデーモンにしてあげるんだからぁ!!」

ルビィ「善子ちゃん!?」

丸「いつもの事だから安心するずら。ルビィちゃん」ナデナデ

ルビィ「はわぁ……///」

ダイヤ「……どうなってますの?これは?」

鞠莉「oh、舞台の後でリリィが咲き乱れてるわね……」

果南「二人とも~早くしないとバグ……しちゃうよ?」

作者「……どうしてこうなった?」

千歌「あはは……なんでだろうね?」

昴「知らん……」

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