ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~   作:ドロイデン

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精霊使いとの邂逅⑥

「これ設定したやつ絶対頭おかしいだろ!!」

 

 ガンダム無双並みの雑魚破壊を繰り返しながら俺は思わずそう叫んだ。斬っては沸いて斬っては沸いてと、どんな状況だよコンチキショー!!

 

『同感だ!どこのドイツか知しらねぇーけど絶対に頭のネジが片っ端から外れまくったキ○ガイだ!キ○ガイ!オマケに性格も捻れまくった巻きグソみてぇーなクソ野郎に違いねぇー!』

 

 ザク使いの方もビームサーベル二本を振り回して何とかしてるもののやっぱり完全に多勢に無勢な現在だった。

 

「っと!!ミサイル撃ってくんな!!ドラグーン使うな!!フルバーストなんか論外じゃぁぁぁぁ!!」

 

 ミーティア装備の自由と正義の二つをトリモチバズーカで動けなくさせたのに全然関係ねぇなホント!!

 

 ザク使いもガントレットに付けてあるバルカンでドラグーンを撃ち抜いてはいるが、それでも弾幕が多すぎる。圧倒的に不利だ。

 

「おいザク使い!!そっちにはなんか奥の手みたいなのねぇのか!!」

 

『“この状況”で有効な手札があったらとっくの昔に切ってるってんだよ!』

 

「役に立たねぇチンピラだな!!って邪魔すんじゃねぇよ雑魚CPUが!!」

 

 正直言って火力もだが手が足りなさすぎる。斬っても斬っても増え続けて、増殖するゴキの如くのこいつらを倒しきるのはガチで手が足りな……

 

『クソ雑魚相手に手こずっていやがります親愛なるクソゴミ虫共にご報告です。本機後方より友軍機がこちらに向かって接近しております。数は1。ちなみに、コイツ、バカじゃね?的な凄まじいスピードで接近中です。先程も言いましたがマーカーは友軍機のモノなので、恐らくはこちらの援軍だと推察されます。』

 

「はい?」

 

『援軍?』

 

 いったい誰が、と思った次の瞬間紅い何かが目の前を一瞬で駆け抜けたかと思うと、また一瞬にして雑魚機体が次々と爆発していく。

 

『は?』

 

「あの馬鹿……」

 

 あのチンピラ擬きは困惑してるみたいだけど、俺は思わず頭を抱えた。こんな暴挙ができる逸般人は一人以外に思いつかない。というか確実にアイツだ。

 

『お待たせ~昴』

 

「やっぱりお前かい果南さん!!」

 

 通信から出てきたのはAqoursきっての脳筋中の脳筋、スピードジャンキーにしてバトルジャンキーな、姉貴分幼馴染みであった。

 

「おま、エネルギー全部使い尽くしたんじゃねぇのかよ!!」

 

『あのドムの人のエネルギーカートリッジ……だっけ?それ一つからエネルギーを優先接続で貰って、再生間際に乗り込んだんだよ』

 

 なるほど、あの希さんのサテライトランチャーに使われてるエネルギー物から貰ってきたなら納得できる。

 

『なにあれこわい』

 

 と、あまりの殲滅速度に思わず呟いたザク使い……ソラに俺はお約束的に説明してやることにした。

 

「……簡単に説明するとな、どうやら果南はゼブブ……機体名が1.5ガンダムゼブブって言うんだが……それの超短期決戦モードっていうか……トランザムとRGシステム、それに俺の強制アシムレイトの三重状態させてるみたい」

 

『マジで?』

 

 残念ながら本当である。一日三分しか使えないうえにあまりに体の負荷強すぎて、使用したら翌日は全身筋肉痛と貧血で立つことすら儘ならなくなって一日入院すること請け合いだが、あの状態になった果南の相手は、映像で見た三代目メイジンをして冷や汗をかきながら『全力で遠慮願いたい』とまで言わしめたほどだ。

 

『マジか……』

 

「マジだ……」

 

 ザク使いのそれに肯定してみれば、若干顔が青くなってるのが良く分かる。機体調整に手伝った俺でも果南のゼブブのあの状態で勝てたことは1度もないからな。

 

『捨て身で背水の超短期決戦モードですか。これは中々に面白そうな設定ですね。全身筋肉痛とか指でツンツンしたら実に楽しそうではありませんか?ではそんなワケなのでマスター。あちら様の機体にハッキングして詳細データを吸い出しておきますので、後程あの超短期決戦モードなる楽しそうなモノを再現いたしましょう。そしていつものバトルロイヤルでこちらの世界線での雑魚の代名詞となっているハイ・モック相手に意味もなく使用しましょう。私は筋肉痛で貧血に陥り死にそうになっているマスターを見て笑いたいので是非ご検討を。と、言いますかやれ。さらに言えばよくもまぁあの女性はこんな酔狂なモノを平然と使用していますね。今までの言動からかなりの脳筋と推察されますが、脳ミソが筋肉過ぎて危険性を考慮する余地もないのでしょうか?』

 

 かといってAI……アイリの方は興味津々というかなんかという前に聴き逃せない単語が聞こえた気がするんだが。けどまぁ、

 

「まぁ、果南だからな」

 

 μ'sで希さんがスピリチュアルだからなんでもまかり通るのなら、うちの果南は多分物理でなんでもまかり通るのだろう……嫌なことだけど。

 

『そんなことより昴とザクの人はさっさと奥に行きなよ、ここは私に任せてね』

 

『それ絶対に死亡フラグなんっすけど?』

 

「おい馬鹿やめろ」

 

 思わずザクの首を締め上げて通信回線を秘匿回線に切り替える。

 

「バカ野郎!!果南にフラグ関係を言うんじゃねえ!!ああ見えて信じやすいんだからな!!」

 

 前に面白半分で護身術のDVD渡したら俺とダイヤさんを相手に関節技と絞め技の練習してきて大変だったんだからな!!

 

『脳筋で頭の中身が筋肉でぎっしり詰まってるっぽいのになんか意外だな。』

 

『脳ミソか筋肉で形成されていながらも、まだその様な事を思考できる能力は残されているとは…。やはりヒトとは実に不思議な生物ですね。』

 

「未だにオバケが怖くて夜トイレに行けないとか、俺を抱き枕にして寝ないと落ちつかなったりとか……!!」

 

 ボソボソと呟いて教えてたその時、殺気タップリの斬撃が俺の機体の顔面スレスレに飛んできて、思わず大事な場所がキュッと締まった。

 

『二人トモ?サッサト逝ッテキナサイ?』

 

「『イ、イエス、マム!!』」

 

 触らぬ果南に祟りなし、そう思って俺らはさっさと奥の方へと駆け抜けていくことにした。

 

 世の中、命は大事になんだよ。うん。

 

 

 

 さて、果南が雑魚をフルボッコにしてる間に最奥までやってきたわけなんだが、

 

「見ただけでザ・サーバーって感じなんだよな」

 

『だな。』

 

 そこに置かれていたのはガンプラサイズの大型コンピューターで、縮尺を直せば少なくとも高層ビル並みの高さはある代物だった。

 

『それでは早速ハッキングを開始します。システムリンク……リンク完了しました。諸々のデータの吸出しが完了するまでしばしお待ち下さい。』

 

「おいおいハッキングって……」

 

 ザク使いの方はサポートAIが大変なことやらかしそうになってるし、大丈夫なのかこれ?

 

『ハッキング程度でなんでそこまで引くんだよ?こんなもん俺とアイリにとっちゃ毎度の事だぞ?』

 

「そんなこと何時もやってんなよ、実力あるくせに」

 

『ほっとけっての。いいんだよ俺はこれで。公式戦に出るつもりなんざさらさらねぇーしな。』

 

 公式戦に出たくないって、なんか事情があるのか?だけど

 

「けどガンプラバトルやってるってことはバトル自体は好きなんだろ?」

 

『そりゃまぁそうさ。こんな楽しい“遊び”は他にはねぇーからな。』

 

「ならそれを受け入れりゃいいじゃんか。別にファイターが無理ならビルダー、それなりに知識をつければニルスさんのところでテストファイターするなり、試合の実況役やったりで」

 

 俺自身、1度この力のせいでファイターを止めようと思ったから、その言葉を聞いた奴は何も言わなかった。

 

「多分、テメェはこう考えたろ、俺の事を無差別にアシムレイトにしちまうイカれた野郎だって……実際、俺は世界大会の予選で暴走してな……悲惨だったよ、俺を止めようとしたファイターは俺のせいで引退しちまった。退院してプロとして戻っても受けられた仕事は悪役としてだけさ……」

 

『暴走、ねぇ…。なぁ?せっかく話してくれてるトコわりぃんだけどよ、ついさっき逢ったばかりの、しかも割りとガチ目に敵対してた俺なんかにそんな話をしちまってもいいのか?ソイツはテメェにとっての大切なナニか…なんじゃねぇのか?』

 

「別に大したことじゃない。ただ試合直前に目の前で事故を見て、自分自身両親を事故で失ったからフラッシュバックが起こっただけさ」

 

 忘れたくても忘れられない、俺の原点。

 

「なぁ、お前には家族はいるか?いつでも側に居てくれる家族が」

 

『居ねぇよ、んなご大層なモンは。けど…まぁ家族って呼びたい人達は…ちゃんと居てくれる。俺みてぇーなクズの側にもな。全くもってクソありがてぇ事によ。』

 

「そっか……なら少なくともお前は恵まれてるよ。俺にはもう、家族と呼べる奴は誰もいない。居ないんだよ……」

 

 曜は従姉弟だから厳密には家族じゃないからな。そう考えると本当に俺は一人っきりなんだ。

 

「俺がジンを使うのだって、好きなのと同時にすがってるんだよ……俺が物心ついて初めての誕生日に両親からもらった『ジン』って機体に」

 

 ジンを使っていれば家族との絆を感じれる……そんな気がしてたんだ。

 

『はぁ…ったくよぉ…。俺が恵まれてる?家族が居ねぇ?おふざけになりやがるなってんだよ。不幸自慢なんざしたくもねぇーが、不幸なのはテメェだけだと思うなってんだよ。テメェもクソいらねぇモノ扱いされてあちこちたらい回しにされてみろっての。そりゃ今は幸せさ、今はな。けどなぁ、俺だって結構あれやこれやと苦労したんだぞ?ろくに飯も貰えねぇからたんぱく質の摂取の為に川でザリガニ捕まえて食ったりな。ザリガニ、食った事あるか?食う前に寄生虫対策で一回冷凍させたり煮沸消毒したりしねぇとダメなんだけど、これが意外とうまいんだぞ?なんならテメェにも今度ザリガニのフルコース奢ってやろうか?だからよぉ…その聞いててイライラする不幸自慢はいい加減にしろってんだよ。ほれ。とりあえずはさっき大暴れしていた姐さん…果南姐さん?だっけか?あの人とエロい事でもしとけ。男なんざ所詮は下半身で物事を考える生き物なんだ。いい女を抱いていればそれだけで幸せだろ?ほれ。チ○コ勃たせて2、3発抜いてこい!』

 

「酷い言いぐさだな」

 

 まぁ言い返すことすらできないけどな。

 

『で、終いにはアシムレイトばらまいて周りを傷付けちまうからって、ガンプラバトルを辞めようってか?アホだろ。』

 

「……そのせいでガンプラバトルを楽しんでる幼馴染み二人を再起不能にしちまう可能性だってあったんだ……そうなってたら」

 

『テメェの言うソレは所詮は可能性の話だろ?ならそうなっちまう前に御してみせろよ。テメェのその強制アシムレイトってヤツを。男なら…大切なモノを傷付けたくねぇーなら…歯ぁ喰い縛って、気合い入れて、とことん抗ってみせろよ。テメェの股の間にだって、立派なタマが2つ付いてんだろ?』

 

「……」

 

 それに俺は何も言えなかった。結局、未だに自分は前に進めてないってことの証明だったのだから。

 

『男同士のキモチワルイ不幸自慢からの傷の舐め合い中に失礼いたします。間もなくデータのコピーが完了いたします。』

 

 男二人の語らいにAIが水を指すように言ってきたが、まぁ元がそれを目的としてたから文句は言えないけど。

 

『また、習得したデータを解析した結果、どうやら後20分程で妙な具合に結合しておりました世界線の結合部分が完全に分離する模様です。』

 

「20分……」

 

『また随分と時間かかるんだな。』

 

 結構長いと思うが、サーバー同士がくっついてたんだから仕方ないと言えばその通りだけど。

 

「んじゃ、さっさとここから出ると」

 

 俺がそう言おうとしたその時だった。

 

『警告、警告、システムに甚大なエラーが発生しました。システムに甚大なエラーが発生しました。これより機密保護のために当艦は5分後にサイクロプスを起動します。繰り返します、当艦はサイクロプスを起動します』

 

 突然として意味不明な警告アラートが鳴り響いた。え、ちょっと待って

 

『サイクロプスってアレだろ?ポケ戦に出て来たジオンの特殊部隊。』

 

『そうそう。シュタイナー隊長率いるジオンの特殊部隊…ではありませんよ。この場合のサイクロプスはガンダムSEED等のコズミック・イラの世界線に登場した戦略兵器です。マイクロ波を発生、増幅させ、周囲をマイクロ波加熱させるモノです。ぶっちゃけますと電子レンジですね。レンジでチンして皆殺しの素晴らしくエコな兵器となっております。』

 

 アイリの説明の通り、サイクロプスは言ってしまえば半島一つ荒野にしてしまえるほどの電子レンジだ。出てきたのは確かSEEDのフリーダムがアークエンジェルを助けるあのシーンの直後で……

 

「……」

 

『…………』

 

 二人して数秒の沈黙がその場を覆い……

 

「『脱出だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼』」

 

 そう叫んで来た道を逆走、スラスターを壊れるかと言うレベルに最大に吹かせた。

 

『誰だよ!最深部でいきなりサイクロプスなんてモンを設定しやがったのは!!!』

 

「そりゃこっちの台詞だ‼お前らの所のCPUは頭おかしすぎるからな‼何をどうやったらこんなふざけたMAにサイクロプスなんて設定するんだよ‼頭のネジ緩みすぎて飛びすぎなんだよ‼」

 

『あのいつもドヤ顔で上から目線なクソババアがマザーシステム等と言いながらガンプラバトルシミュレーターのメインシステムを統括してますので、クソランカー様のお言葉を軽々しく否定出来ないのが実に悲しいですね』

 

『同じくトップのニルスさんはマトモでもその下の開発の連中が24時間戦えますよ!サラたん萌えー。とか言いながら日夜楽しそうにプレイヤーの嫌がるギミックを作ってるトコ見た事あるから否定出来ねぇーし!!!』

 

 なんかザク使いの方はAIとぐだぐだやってるがそんなことやってる暇なんて全く無さすぎる‼

 

「アイリっつったけ!?急いで外のメンバーに撤退伝えろ‼巻き込まれてアシムレイトで痛みで大失禁なんて俺は殺されるから嫌だからな‼」

 

『低能極まりないクソランカー様が考え付く程度の事をこの超有能な私が行っていないとでもお思いですか?と、言いますか、我々に頼ると弱くなるのではありませんでしたか?そんな頼ると弱くなる私なんかに頼ってしまってよろしいのですか?そこら辺のご解答をクソランカー様に置かれましては是非とも世界線の分離が完了する残り20分で5000文字以上10000文字以内でご説明をお願いいたします』

 

『お前はまだ頼ると弱くなるって言われた事を根に持ってんのかよ!どんだけ根深いんだよ!』

 

『どんだけ根深い、ですか?例えるなら恨みの根が日本からマントルをぶち抜いてブラジルに到達する程度には根深いと自負いたします。』

 

『深過ぎだろ!』

 

「ザク使いは突っ込みしてる暇あんならさっさとスラスター吹かせや‼遅れてんぞ‼」

 

 此方は脚のスラスターイカれ掛けてるのに、若干遅れ始めてるぞアイツ。

 

『さっきバックパックブースターを吹き飛ばしたからこれ以上は無理!ってか吹き飛ばしたのは主にテメェのせいだからな!』

 

「それ単なる自爆じゃねえか‼」

 

 いやまぁ俺も悪いから何とも言えないけど。

 

 しかし残り二分と半分、このままじゃ俺ら三人サイクロプスに焼かれて大変なことになるぞほんと‼

 

『クソランカー様のクソ忌々しい強制アシムレイトをOFFにすれば全て丸っと解決するのは気のせいでしょうか?』

 

「アシムレイト切ったら速度出ないから余計に死ぬんだよバカ野郎‼」

 

 どうすれば、そう思っていたらいつの間にか果南に任せたフィールドまでやって来ていた。

 

『あ、二人ともお帰り』

 

 既に雑魚は欠片一つ残っておらず、ミーティア付きのストフリを相手に遊んでる果南に俺はがっくりと項垂れる。

 

「果南さん!?さっさと逃げるぞ」

 

『そうしたいんだけど、このストフリ弾幕がウザすぎて下手したら通路にフルバーストされかねないって!?』

 

『そりゃ確かにウザいわ。』

 

 確かにそうだ。だったら倒すしか……そう思ったその時俺はあることを思い付いた。

 

「果南‼あのストフリの胴体をネジ切れ‼」

 

『ネジ切れって言って簡単にネジ切れるワケねぇーだろ!アホか!』

 

 ザク使いの方は何を言ってるか分からないみたいだが、果南は何時ものことながら深いことを考えてないためか、

 

『えい♪』

 

 一瞬でストフリの目の前に移動したかと思うと、お得意の関節技で胴体を捻じ切ってしまった。

 

『うわぁ…マジかよ…。』

 

「ナイス果南‼」

 

 俺はすぐさまがらんどうになったミーティアに近づくと、それに背中を預けてドッキングするモーションに入る。

 

「ザク使い、さっさとミーティアに掴まれ‼」

 

『なーんか、嫌な予感しかしねぇーんだけど…気のせいか?』

 

『はいはい、時間無いからさっさと掴まってよね』

 

 嫌がるザク使いを無理矢理果南がミーティアの一部に掴ませると、俺は大型ビームサーベルを両方展開スラスターを全開に吹かせて、

 

「酔うかもしれないから気を付けろよ‼」

 

 超高速、ビームのドリル回転で天板をガリガリと削り始めた。ザク使いの言うように一寸法師じゃないけど、中からなら破壊するのは容易い。

 

『うぇ…ゲ○りそう…。』

 

『昴‼そろそろ時間が‼』

 

「分かってる‼」

 

 ガリガリガリガリガリガリと、削りに削って次の瞬間、ついにそれは貫通して俺らは超高速で脱出することに成功し、そして

 

『サイクロプスの起動を確認しました。良かったですね。みんな仲良くレンジでチンされずに。』

 

 AIの言う通り、戦艦が所々から歪み、爆発してその衝撃が回りのデブリを吹き飛ばしていった。

 

 

 

「……なんか、酷い目にあった」

 

『そりゃこっちのセリフじゃ!このボケクソランカー!』

 

 あれから数分して近くのデブリで休んでたところ、奴は正しく恨み骨髄といった表情で言ってきた。

 

「出せるものは出し尽くしたみたいだな○ーロー」

 

『うっさいわボケ!テメェにゲ○ぶちまけっぞ!』

 

「情けないな~これぐらいうちの世界の小学生ファイターでも耐えられるぞ」

 

『どんな魔境だ‼』

 

 うん、まぁ確かに魔境と言われればその通りかもしれないな~。

 

「……で、あと十分で結合は完全解けるんだな?」

 

『はい。残り約10分程で、この妙な具合に結合しております世界線は分断され、“現状のまま”ならば恐らくはもう2度と交わる事は無いと断言いたします。』

 

 なんか変な事場繋ぎだが詰まるところ、コイツとヤれるのは今のところもうこれっきり……なら

 

『ヤる事はヤっとかねぇとな。』

 

 どうやらザク使いの方も同じ意見だったらしく、ビームサーベル二本を抜き、こちらもブレード二本を抜き取る。

 

『おう。悪かったな。テメェの“宝物”をバカにしちまってよ。今度メシでも奢るから勘弁してくれや。』

 

「……まぁ煽りだって事は分かってたさ」

 

 互いに言葉は多く語らない。

 

「ファイターはガンプラバトルで語るもの……」

 

『おうよ。んじゃまぁ…遠慮も容赦も手加減も一切無しで…久し振りに真面目にガンプラバトルと洒落込みますかね』

 

 お互いに二刀を構え正面に対す。

 

「世界ランク82位、天ノ川昴とジン・AHM」

 

『虹の女神の落とし子にして、新たなる電子の神の雛型。電子精霊アイリと…』

 

『その相棒、鳴神 青空とザク・リヴァイブ。』

 

 お互いにスラスターに火を入れ、そして

 

「いざ真剣に」

 

『勝負だ‼』

 

 一瞬のうちにぶつかり合った。

 

 だが、流星と精霊使いの一騎討ちの結末を語るのは……また別の機会にしておこう。


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