ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~ 作:ドロイデン
「おい、ザク使い……俺は疲れてるのか? 明らかに突っ込みどころ満載なMAがメンデルをぶち破って出てきてるんだが」
『クソランカー様はその年齢で既に痴呆症を患っておられるのでしょうか。お可哀想に。と、まぁ冗談はさておきまして、今現在、現在進行形で目の前で展開されている光景は誠に残念ながら幻覚でも白昼夢でもありません。なんでしたら途方もなく嫌々ではございますが、そちらにあの“デカブツ”のデータを転送いたしましょうか?あぁ。そう言えばクソランカー様は我々電子精霊を含む全てのAIを使用すると弱くなると先程ドヤ顔で持論を展開されておりましたね。これは余計なお世話してしまい失礼いたしました。それでは詳細データの代わりに痴呆症を患っておられるクソランカー様の為にもう1度だけ同じ事を言っておきましょう。アレは幻覚でも白昼夢でもございません』
「いやだからっておかしすぎだろ!!」
サイズに関してはあえて突っ込むまい、1/100どころか多分1/50ぐらいのサイズだが、仮想世界みたいなもんだからなんとかなるのはまだ理解できる。
だが、だからといって、どうやったら戦艦三つを日曜朝の戦隊物よろしく合体させてMAなんて物にしやがった!?というか作れるのかあんなもん!?
「もしかしてザク使い、お前んところのフィールドにはこんなネタみたいなガンプラもしくはNPCが闊歩してるんじゃ」
『んなわけあるか!!』
速攻で否定されたが、まぁそうじゃなかったらちょっとドン引きしてた。
『アラート。“デカブツ”より多数の敵性反応が射出された模様。レーダーで確認する間でもなく、真っ直ぐにこちらへと向かって来てます』
と、AIの言葉に気づいてフィールドを確認してみれば、先程壊れたメンデルの中からあれまあれまと、大量発生した蚊のようにわらわらと出てきやがった。
「見たとこM1にムラサメ、それにドムトルか。見事に三隻同盟関連の量産機ばかりだな」
『フリーダムやジャスティス、おまけにオーブ国民の血税を私利私欲で使いまくって娘の為に用意されていたアカツキなんかが大量に沸いて来なくてよかったんじゃねぇーの?』
それは遺憾ながら同意だ。寧ろあんなの大量に出てこられたらこっちの戦力的に厳しい。
特にフリーダム、あれはダメだ。なんか知らないがCPU設定のフリーダムとかストフリはどういうわけか当たるはずの攻撃が寸前で避けられたり防がれたりとか余裕で起きるし、何より弾幕的にキツイ。
「おい、ザク使い」
『誰がザク使いじゃクソボケランカー。俺の名前はソラだ!ソラ!!』
「ソラねぇ……ならソラ、とりあえず一先ず休戦するぞ。あんなのに出てこられたらおちおち調査もできやしない」
まぁ恐らく原因は間違いなくあの三隻同盟MAなんだろうが、数が多すぎて戦力的にキツいのは目に見えてる。
それなら……非情に、ひっじょーに不愉快極まりないが、ここはザク使いと共闘してぶっ潰すのが一番の最善策だろう。ホント不愉快だけど。
『えっ?普通にイ…『ヤだ。なんて言いやがれる余裕があると思っているのですか?このクソマスターは?“soar”すら使えない未調整のリヴァイブであの数を相手にするのは骨が折れすぎて複雑骨折しますよ。どうせ上から目線がムカつくとか子供染みた事でクソランカー様の共同戦線のお誘いを断ろうとしているのでしょう?我が親愛なるクソマスターにおかれましてはプライドなんて真っ当なニンゲン様が持ち合わせている上等なモノは欠片も持ち合わせてはおられないのですから、さっさとクソランカー様の提案を受けなさい。と頼ると弱くなると言われてしまった事を未だに根に持っているAI風情は愚考いたしますが如何でしょうか?』…うぇ…でもよぉ…『でももけどもありません。頼ると弱いと断言された事を恐らくは生涯根に持つ事を確定事項にした私が嫌々ながらもあのクソランカー様の提案を受ける事を提言しているのです。そこら辺を考慮してご決断下さい。』…はいはい。わーかーりーまーしーたー!わかりましよ!共同戦線張ればいいんだろ!』
「コントやってる場合じゃ……来るぞ!!」
俺のその言葉通り、奴等はそれそれビームや機関銃、ミサイルというふざけんなレベルの雨霰をやって来やがった。つか死ぬわあんなの食らったら!!
「ちぃ!!」
『クソが!!』
後方へ回避しながら互いにビーム砲を牽制の為に射ちまくる。数が多すぎて狙いをつける方が面倒になるくらいだホント。
なのになんでいっこうに減る気配がしないのか、そう思ったら飛んできたソラのサポートAIの言葉に舌打ちしたくなった。
『少々あの“デカブツ”にハッキングを仕掛けて調べてみたのですが、どうやらエネミーリポップのシステムロジックが無限ループモードに設定されている様ですね。いわゆる無限沸きで稼ぎ時と言うヤツですね』
無限沸き……つまり倒したら倒した分だけ復活するということか……うん、どんな無双ゲーだよ‼
「このまま射ってても粒子の無駄になるだけだなオイ!!」
かといって接近戦に移ったとして、イーゲルシュテルンやらCIWSといった機関銃に撃ち落とされるのがオチだ。
「こうなりゃ奥の手を……」
『それはまだ早いわよ昴!!』
「!?」
通信で聞こえた声にまさかと思うと、メンデルコロニーの左脇に見覚えのある機体……鞠莉さんの『パラス・イリス』とがそこに居た。
「鞠莉さん!?いったい何を」
『うちらの砲撃であの雑魚とアークエンジェルの足を撃ち抜くんよ♪』
そして何時の間に来ていたのか、俺ら二人の側にやって来たドムのパイロットが通信を……って!?
「え!?東條希さん!?」
なんであのμ'sのメンバーがここにいるの!?というかどうしてこんなザクのパイロットと一緒にいるんだよ、そんな考えを読み取ったのか希さんは苦笑いだ。
『んっふふ♪そっち側のうちが君にナニしたかは…ってかこれこらナニをするのかは知らん(事もないん)けど、君はうちなんかよりにこっちの方が怖いんとちゃうん?』
「……BiBi恐いBiBi恐いBiBi恐い……」
『あらま。うちが自分でネタ振っといてアレやけど、君はちょいにこっちのこと怖がりすぎとちゃうん?あとそのBiBiってなんやねん(んふ♪ほんまはBiBiがなんなのか、うちは“視た”から知っとるんやけどね♪みんなにはまだナイショ♪やん♪)』
「こっちの世界のあの人らの絡み酒のせいでこっちは大変だったんですよ!!死ぬかと思いましたからねホント!!」
思い出すもないあの東京遠征、どういうわけか集まったμ'sポンコツBiBiトリオに無理矢理居酒屋に連れられて、あんなこと……あんなこと……!!
「分かりますか、逃げようとしたら荒縄で何時の間にか縛られて引きずられてホテルに連れ込まれそうになったんですよ!!
恐らくハイライトの消えた果南に介錯されて内浦の海の底にコンクリ詰めされて消されてたのは間違いない。ホント助けてくれた穂乃果さんは神だ、うん、間違いない!!
『ぶっちゃけそんなんど~でもええから、君は早う鞠莉ちゃんとこに行ってな?そらっちはにこっちの方へ、やね♪』
いやいやそんなことよりって何を言ってるんだと思ったが、ザクのパイロットがなるほどと頷いてる。
『オルゥラァ!クソランカー!ぼさっとしてねぇーでさっさとあっち行けや!ボケが!』
「いや待て!!だいたい足をぶち抜いてどうするつもりだ!!」
『んな事もわかんねぇーとかアホか!愛と勇気と友情的なナニかでワケのわかんねぇ合体してやがってもあのクソデケぇヤツは元は戦艦なんだよ!ここまで言っても理解できねぇならクソランカーからアホランカーに格下げすっぞ!ゴルゥラァ!』
元が戦艦?それが……いや待てよ
「……まさか、中から潰すなんてこと言わないよな」
『おーいえーす♪いぐざくとりぃ♪』
「ふざけんな!!」
理屈は分かる。確かに元が戦艦で、アークエンジェルのMSハッチはあの足の部分にあったと思う。だが、
「あの機関銃の雨のなかで、片方だけから入ったら間違いなく死ぬわ!!」
サテライトキャノン系の武器とはいえ戦艦の、それもラミネート装甲のアークエンジェルの足をぶち抜くのはそう簡単じゃない。
『間違いなく死ぬとかどーでもいいからさっさとあっち逝け!しっしっ!』
「行けるか!!だいたいサテライトランチャー言うて二丁ねぇだろうが!!どうやってぶち抜くんだよ!!」
『それなら問題ないよ昴』
「果南!?」
いつの間に近づいてきて何を言ってるのかと思ったが、良く見れば珍しくGNバスターライフルを持ってると思ったらどういうわけか銃身の先が妙に焦げ付いていた。
『あの黒いアストレイにバスターライフルの中身とアルヴァアロンキャノンのエネルギー全部吸収させたから、戦艦の装甲をぶち抜くぐらいならできるよ。おかげで機体のエネルギーは殆どスッカラカンだけど』
『ぬわぁぁぁにぃぃぃがぁ!すっからかん♪よ!こっちは食べ過ぎではち切れそうになっちゃったじゃない!水ゴリラはちょっとは加減ってモンを知りなさいよね!加減ってモンを!だからアンタは腕力と体力で事件を解決♪内浦の誇るストロングファイター♪松浦 水ゴリラとか言われんのよ!』
「ギャァァァァァァァ!!ホンモノォォォォ!!」
通信越しに現れた見覚えの有りすぎるツインテールと紅いリボンに背筋に嫌な汗が滝のように流れる。
「悪霊退散!!悪霊退散!!悪霊退散!!」
『[うぉい!テメェ!人様のツラぁ拝むなりいきなり悪霊とか一体全体どーゆーりょーけんよ!ってかこんな大銀河宇宙No.1の美少女が悪霊として出てきたらあまりの大当たりでガッツポーズしながらカズダンス踊るだろーが!普通は!』
『にこちゃん、カズダンスとか古いっての。平成もう終わるから。ってかなんかあっちの世界線のにこちゃんがそこでガタガタおもしろおかしく震えてやがるクソランカー様に口ではとても言えない様な酷い事をしたらしいぞ?そうなんのも当然なんじゃね?』
『ぬわぁぁぁぁぁぁんでぇぇぇぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
『ってあれ?昴は……っていつの間に鞠莉の方へ行ってるし!?』
果南が驚いてるが個人的にはにこさんに関わったら西木野製薬の怪しいお薬注射とかいろんな意味でイミワカンナイ的な事案に成るから関わりたくないんだよ!!
『ゴキブリ並のスピードで逃げましたね』
『逃げたな。ゴキブリ並のスピードで』
『惜しいんは機体のカラーリングが灰色やってとこやね。黒なら完璧やったんやけど』
五月蝿いほっといてくれと睨むが、そんなことは露知らずにソラは黒いアストレイ……にこさんの方へ向かい、果南は希さんの直掩に付く。
『さてさて♪ほんならいっちょ派手にぶちかましたろうか?ってなワケやからぁ…バレル展開♪高圧縮エネルギーカートリッジ♪ロード♪』
それぞれが場所に付くと、希さんのドムがサテライトランチャーらしきものを展開し、さらに鞠莉さんがハイ・メガ・キャノン怪を、黒いアストレイも何やら大型のビーム砲らしきものを展開……って、
「ちょっと待て何てエネルギー量してやがんだ!!」
明らかにMSサイズのガンプラが使える砲撃のエネルギー量超してるよな!!鞠莉さんのハイ・メガ・キャノン怪とサテライトランチャーに関しては砲撃機体だからわかるけど、あの黒いアストレイに関してはどんなフルチャージしたらあんなエネルギーを!?
『ったく…スペックデータ以上に溜め込むとかナニヤってんのさ?ぶっちゃけにこちゃん喰い過ぎ』
まさかのお前も知らんのかい!?いやちょっと待てこれを直接あのMAにぶつければそもそも住む話じゃ
『残念だけど昴、あのflag ship なMAはある程度のダメージは自動で再生しちゃうから無理よ』
『オマケにサイズ補正とレイドボス級の巨大MAに付いとる厄介な耐久値あーんど♪ラミネート装甲でビーム系の攻撃はダメージが散らさせれてまうんよ♪そんなワケやから残念無念渡辺曜やけど、単純な砲撃だけではアレはちょい倒せんようになっとるんやで♪』
鞠莉さんと希さんの言葉にマジかいって突っ込みたくなるのを堪えながら、とりあえずスラスターを何時でも吹かせられるように、やけくそ気味に準備する。
『ぶしゅ♪っと1発♪派手にいくでぇ~♪サテライトリボルバー♪フルブラスト……』
『ファイナルセーフティ!アンロック!“クサナギノツルギ”!ブラスターモード……』
『ハイパーシャイニー……』
あれ、このパターンどこかで視たことがあるような……というか向こうは向こうで足のローエングリン砲を両方展開してて
あ、思い出した。これってあれだ、桜内さんと千歌のお母さんの中の人が出てる魔法少女なA'sの最終血戦……って
『それでは皆さんご一緒に、だよ昴』
『イヤイヤイヤ!タグにリリなの入れてねぇーぞ!?入れてねぇーのにやんのか!?なぁ!オイ!?』
「え、ちょ、まさか……」
「『『ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』』」
「『やっぱりそれかぁぁぁぁぁ!!』」
直後、通常のバトルじゃあり得ないエネルギーと大轟音がぶつかり鳴り響き、雑魚がもろとも消しとんだのは言うまでもない。のだが、
「あ、アイツらバカなのか!!」
スラスター全力で、なんとかぶち抜かれた大天使のカタパルトを全力で駆け抜けながら俺はそんなことを呟いた。
というかローエングリンと相殺されたとはいえあのトリプルブレイカー食らって両足がぶち抜かれた意外の被害が全く無いこれもふざけてると言えばふざけてるんだが。
『思っていたよりも結構広いんだな』
「暢気かお前は……」
左側の足のカタパルトから入ったソラがまるでマンションの下見に来るような口ぶりなのに俺は呆れてしまった。
「普通に考えておかしいだろ、なんで座右別々の場所から入ったのにいつの間に隣で並走してるんだよ」
『気にするな、俺は気にしない』
「お前はレイ・ザ・バレルか。まぁ良いけど……ッ、止まれ!!」
何やら大きめのドアが出てきたのですぐに止まらせると、俺は翼に懸架してるバズーカ二つのうち一つを取り出し発射。
『これって…トリモチ?トリモチなんざ使ってどーすんだよ?』
まぁAqoursだとある意味お約束の兵器なんだが、平行世界だから知らないのは無理無いか。
「うちの技術班が作りに作り込んだ特性のトリモチ爆弾だ」
『トリモチ爆弾?』
「簡単に言えばトリモチにC4爆薬を組み合わせたやつなんだよ」
へぇ~、というソラはすぐさま火力の事を聞いてきた。
「えっと……確か普通のトリモチの10倍の粘着性に、アトミックバズーカの10倍の……」
『アトミックバズーカの10倍って…てアホだろ…』
「そりゃガンプラ心形流のコーチも改造に関わってるからな」
『まーたあの連中かよ…湊の兄貴か?それともマオの兄貴か?まさか…珍庵じーさんじゃねぇーだろなぁ…』
……どうやら心形流は向こうの世界でも色んな意味でやらかしてるらしい。
「さて後は目の前のザクもトリモチにくっつけて」
『んな事やったらテメェも道連れにすっからな』
「安心しろ、冗談だ……1割は」
『1割って…テメェ割りと本気だろ?』
まだ何か言いたそうだが、とりあえず歩いて下がるとバカザクも慌てて下がるのに通信で聞こえないように舌打ちしながら、
「それじゃ1、2、3で爆発するからな」
『おうよ』
返事が聞こえたので、
「いーち」ポチッ
ドッガァァァァァァァァァァァン!!というド派手な爆発音が聞こえ、まさかの威力に流石の俺もドン引きした。
『ゴルゥラァァァァァァァ!クソランカァァァァァ!テメェ真面目にカウントする気あんのか!?1しか言ってねぇーだろ!!』
チンピラ感丸出しなバカザクの言葉に
「バカ野郎、男は1だけ覚えてれば生きてけるんだよ」
俺は素面で言ってやりました。まる。
『銀魂ネタでもヤるならヤるで松平のとっつぁととか地味に出番の少ねぇキャラのネタじゃなくてどーせなら銀さんとか神楽とか新八とかもっとメジャーなヤツのネタをヤれよ!!』
そりゃごもっともな突っ込みだが、レーダーに映し出された反応を見て思わず頬がひきつった。
「そんなことより」
『そんなことよりだぁ!?う"ぉい!ボケランカー!テメェはヒトの突っ込みをなんだと思ってやがんだ!!』
「どうやらお客さんはまだまだ居るみたいだぞ」
『あ"ぁ"?』
煙が晴れて、壊れた扉の中には開けた空間が存在していたわけなんだが、
なんか三隻同盟系ガンダム(プラスでミーティア付き)が雑魚を引き連れて大集合してました。
うん、
ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!