外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 死んでいたと確認を取った少女たちが起き上がった。
 赤大は簡潔に自分と仲間の紹介をし、アンデット達も自己紹介を済ませる。
 死体が起き上がったことよりも、彼女たちが生き返ったことに対し感極まる。




Episode1-6 『手駒は揃う』

 互いの意識が戻ったところで互いの状況について話し合う。

 赤大、修羅、クリスティーナ、星埜の4人は気が付いたら、そこに転がっている木製の扉の先にあった通路にいたこと。通路の奥にはもう一つ扉があり、そこは閂状の鍵が掛かっており、自分たちの力では開かなかったこと。通路に居ることへ気が付く前は何をしていたかについて4人に対して話した。

 一方、ドールとして目覚めたロジーナ、纏、飛鳥、ぬいぬいの4人は自分たちが朧げながらも知っている状況下と異なる事に対して、首を横に傾けながら それぞれが知っているネクロマンシーという死者を意のままに操れる技術がある事や、自分たちは既に死んでいる筈のこと、人類は最終戦争によって無事ではない・・・滅んだことについて話される。

 

対話判定

ロジーナ→クリスティーナ 2【失敗】

ぬいぬい→修羅 5【失敗】

飛鳥→星乃 8 【成功】

纏→赤大 10+1 【大成功】

 

「私達が知っている世界情勢と纏さん達が話して下さった世界情勢。大きく異なっていますね。もしその話が真実だとするのであれば、やはりアイツの仕業でしょうか? 手を組んだ?」

「何か知っていらっしゃるのですか? 修羅 縫さん?」

「・・・・いえ、この仮説は誤っていることでしょう。気にしないで下さい。それよりも貴方に修羅 縫さんとフルネームで呼ばれるとなかなか新鮮味がありますね。」

「そ、そうですか?」

「はい。いつもは修羅さんと呼ばれていたので。しかし、私の知っている貴方と貴方が知っている私は異なるでしょうから、別人の戯言とでも聞き流してください。」

「は、はぁ。」

 

 纏は心当たりがありそうな修羅に対し、尋ねるがその答えは真面に返されることは無く、話を逸らされ躱されてしまう。

 

「で、修羅。どうするよ? 今度は8人全員で閂状の扉をこじ開けに行くか?」

「そうですね、ここら一帯を調べて目ぼしいものが無ければ、もう一度開くかどうか確認してみましょう。」

「だったら一通り星乃と調べてみたが、目ぼしいものは無かったぜ?」

「そうですか。でしたら・・・・・・。」

 

 赤大の誘いに修羅は纏との話を切り上げ、ベッドから立ち上がると赤大に向けて歩み始める。

 ドールである4人は互いに顔を見合わせる。クリスティーナはそんな4人を見ると、飛鳥を再び抱き上げている星乃に飛鳥をベッド上に置くように示す。星乃は飛鳥を手放すことに対して、嫌悪を示していたものの、一度飛鳥の何処か強張ったような表情を見るや否やクリスティーナの提案をのみ、ベッドに降ろして2人で修羅と赤大の元まで歩み寄った。

 探索者4人は集まったところで今後の方針について話し始める。

 

「・・・・・皆はどう思う? あの人間達。」

 

 4人が自分達から適度な距離まで離れると、4人を一瞥した後 纏は離れて行くクリスティーナを名残惜しそうに眺めるロジーナ、星乃から降ろされホッと一息を付く飛鳥、痺れる感覚がまだ残っているのか羽をパタパタと動かしているぬいぬいに話しかけた。

 

「・・・・・・・どう・・・・と・・・・いうと?」

「果たして『信用しても良いかどうか』かな。」

「わたしは、信用しても良いと思います。わたしたちが話している内容について、全く知らなかった様な素振でしたし、私達を作ったネクロマンサーでもなさそうです。それに・・・わたし個人としては修羅 縫さんは一人で抱え込みそうなので守ってあげないといけないような気もしますし。」

「私も・・・。私をずっと抱き抱えていた星乃さんから、敵意のような物を全く感じませんでした。信用してもよろしいのではないかと思います。星乃さんは私の事を何かとても大切にされていた様な・・・あの方についての記憶は全くないのですが・・・。」

 

 ぬいぬいと飛鳥は纏の問いに対して、少し考えたのちに4人に聞こえないように配慮しながら、内緒話をするかのように自分を除く3人に対して意思を伝える。

 その返答を聞いている間も、ロジーナはクリスティーナが気がかりで仕方ないのか、逐一様子を確認し その様子に気が付いたクリスティーナが微笑み手を振ると、若干口角が上がり軽く会釈を返すのだった。

 一方、纏は2人の意見を聞きながらもクリスティーナに対して会釈しているロジーナを会話に織り交ぜ、修羅のことを鋭い眼差しで一瞥した。

 

「ボクは、信用すべきではないと考えているのだけど・・・。」

「それは どうしてですか? 星乃さんは、目覚めた時に私にあんなことをしていた人でしたが、恐らくあれは死体となっても、私を思ってくれていてやった事の様に思えますし・・・悪気はないと思いますよ?」

「・・・星乃さんは、ボクも信用しても良いかなって思っているところはあるけど、修羅 縫彼女ばかりは信用できないよ。ボク達の記憶は全てを思い出すことが出来ないって伝えているのにさっきだって茶を濁して、仮説だとしても考えられる情報を教えてくれなかったじゃないか。・・・ロジーナはどう思うかな?」

「私は・・・・・・・。・・・・クリスティーナは・・・・・・信用できる。・・・・あの子は・・・・・守って・・・あげないと・・・・・いけない子・・・・・。赤大も・・・裏表がないタイプ・・・・・・だと思うから・・・信じて良いと思う・・・・・・・・けど・・・・・・・。」

「けど?」

「・・・・・・・纏と同じく・・・・・修羅 縫は危険。信用するべき・・・じゃない・・・・それに・・・・・・星乃も。」

「星乃さんもですか?!」

「・・・・・・・・クリスティーナ・・・・引っ張って行った・・・・。」

「・・・あの様子だと、どちらかというとクリスティーナさんが纏さんの様子を察して、私達の4人だけの空間を作ってくれただけだと思いますけど・・・。」

「・・・・・。」

 

 4人は一通り自分の思いを伝えると、離れている4人の探索者を覗く。

 今はどうやら穴の開いた木製の扉を持ち上げ、壁に立て掛けながら扉を盾や武器として活用できないかどうか話しているようだ。扉に関してはかなり時間が経っているのか、星乃が扉を一撃殴ると更なる穴が開いてしまった様子が窺えた。

 ドールたちは探索者を見るのを止め、互いに向き直る。飛鳥とぬいぬいの2人は纏をじっと見据え、ロジーナは相変わらずクリスティーナが気がかりであるのか、扉、盾化議案について修羅に意見している様子を見守っていた。

 

「よし、それじゃ こうしない? お互いに思う事もあるし、今は半分信用して一緒に行動しよう。ボク達の記憶が誤っていなければ、人間達は滅んでいる筈だし ここで人間と出会えたのも貴重な体験かもしれないしね。」

 

 纏はドールたちの顔つきをそれぞれ確認すると、一回頷き双方の意見を汲み取った『今は信用する』という事で結論付けた。その結論が決まるとぬいぬいと飛鳥の表情は明るくなり、ロジーナの表情にも若干光が灯った。

 

 

 




【後書き】
 序章が終わりましたので、明日から本格的にシナリオに沿ったリプレイ風小説を投稿していきます。
 今回はネクロニカ要素増し増しで行きたいと思います。
 もちろんクトゥルフの探索者も使っているのでクトゥルフ要素も絡めているようになっている筈です。

 これが『外伝』であった理由です。



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