外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 『希望』のプレゼントによって言葉を失うドール達。
 その様子を愉快そうに嘲り笑う『希望』。
 今、ドール達の敵討ちが始まるのであった。





Episode5-11 『ワンターンキル』 - 1回戦

===1ターン目===========

編成

【奈落】

『希望』

ゾンビ30

【地獄】

ゾンビ20

【煉獄】

ゾンビ30

モンスター1~9

ぬいぬい、飛鳥、纒

【花園】

グール1~4

ゾンビ20

【楽園】

ロジーナ

 

 

 

COUNT15

ラピッド

ロジーナ=集中:攻撃出目+1

飛鳥=円舞曲:ターン終了まで飛鳥への敵攻撃判定-1

 

 戦闘が始まるのと同時にロジーナは対戦車ライフルを構え、精神を研ぎ澄ましすべての元凶である『希望』に狙いを定め、飛鳥自身は攻撃が命中しない 不運な切断事故が発生しない事を祈りつつ、その場で足踏みを踏みリズムを取りながら回り始める。

 

ロジーナ

対戦車ライフル→10+1+7【大成功】

対象:『希望』

ジャッジ

ロジーナ=うで アームバイス ボルトヘッド スコープ 支援7

ダメージ

『希望』=屍人の盾:受けるダメージをレギオン(ゾンビ)に肩代わりさせる

纏=『希望』の屍人の盾を『看破』

『希望』=培養カプセル エネルギー相殺 精神バリア防御4

→以下のパーツを損傷

培養カプセル、精神バリア、エネルギー相殺、リミッター

めだま、しんぞう、アドレナリン、カプセル装甲*2

 

 狙う攻撃目標は青白い光の中心部に居る『希望』のみ。

 頭に付いたボルトヘッドのネジを緩め、スコープの先に居る『希望』へ標準を合わせる。新たに手に入れたアームバイスで銃身を支え、命中率をより正確なものとし、決意の籠った瞳でトリガーを引こうとする。

 

「ふふふふふ・・・今までの旅で誰が最も戦闘の要なのか、母様の子として既に熟知しているのですよ。ロジーナ母様、貴女の最後方からの遠距離狙撃は高火力で誰よりも強い。しかし、その攻撃は当たればの話であり――」

「ロジーナ!! ゾンビたちの挙動が変異、肉盾にする可能性があるよ!」

・・・・・Нет проблем.(・・・・・問題ない)

 

それを嘲るように笑いながら『希望』は血走った眼で周囲に居る「ゾンビ」を肉盾にしようと超能力を用いる。しかしその渾身の一撃を無駄弾として終えさせようとするものの、それよりも素早く『希望』との距離が最も近い纏が『希望』のテレパシーを遮り、手早く指示を送る。

 ロジーナは肉盾にして来るであろうゾンビの軌道を読んだうえで、戦闘のコングを鳴らすかのように銃声を放った。爆音が周囲に木霊する。対戦車ライフルから発砲された鉛玉はゾンビたちの死肉の盾をすり抜け、まっすぐに『希望』に直撃した。

 死人の盾で防ぎきれなかったという事実を瞬時に察知した『希望』も自らを硬化させ、ロジーナからの攻撃に耐えようとするが、その即席の防御よりも丹念に練られた火力が勝り『希望』を引き裂いた。

 『希望』を護っていたはずの装甲はひび割れ砕け散り、鉛玉こそカプセル装甲によって阻まれ、逸れ壁に弾痕を残したが直撃した衝撃波は中身の『希望』を激しく揺さぶり、胎児の心臓部や頭部に備わっていたであろう器官をネギトロめいた肉片へと変貌させる。透き通るようなクリアグリーン色の培養液は『希望』の体液によって赤緑色へと変化を遂げていた。

 鋭い一撃にぬいぬい、飛鳥、纏の3人は顔色を少しだけ明るくする。

 

「よ・・・・・よくも・・・・よくも、よくも、よくもっ! よくも やりやがったな!!同性に鼻を伸ばしていたアバズレがぁぁっ!!!俺に作られた分際で!! 俺を! 俺を!!! よくも!!! ふざけやがって!!」

 

しかし、その表情は脳内に直接 情緒不安定気味の怒りの怒号を発してくる『希望』のおかけで再び険しいものとなった。

 

 

 

飛鳥

単分子繊維→10+4【大成功】

対象:グール1[完全解体]

ジャッジ

飛鳥=うで 支援1

纏=あるびの よぶんな目支援3

 

連撃→1【大失敗】

切断判定→4【失敗】

飛鳥→脚全損

 

「ウソダドンドコドーンっ!?!!」

 

 踊る様に回り続ける飛鳥も自分達を取り囲むようにロジーナとの間に割って入る爪の鋭いゾンビ『グール』に向けて、ライトセイバーに変わる新たな武器『単分子繊維』で切り刻もうと指を素早くグールに巻き付け、切断する。初めての武器であるというのにも関わらず、その得物は初めて飛鳥にとって長い付き合いの相棒ともなりえる存在・・・・であった。クルクル回りながら、単分子繊維を振り回しながら、次の得物であるグール2に指を向けるまでは。

 完全に様式美となった飛鳥の大転倒が敵陣の中央で繰り出される。

 今回は足先が電気コードに躓いたわけでも、血糊に足を取られたのでも、ましてや蔓草に引掛けられたのでもなかった。調子に乗り回り続けている間に足元に捲きついた『単分子繊維』がグール2へ指先へと向けられたことで大転倒し、なおかつその足を分断したのだ。

 

『・・・・・・・。』

「ま、待ってください!! どうして皆さん、目を逸らすのですか!?」

 

 戦闘中にも関わらず、周囲に微妙な空気が漂い始める。飛鳥の恒例事故に、誰もが目を背けた。纏は視線を飛鳥から横に逸らし、ぬいぬいは左手で口元を押さえ左斜め下に視線を落す。ロジーナはスコープから前線を伺うのを止め、明後日の方角を見つめており、『希望』ですらあれほど4人に向けて怒号をテレパシーで発していたはずなのだが、飛鳥が自分の得物で転び両足を切断したところで一旦黙った。

 まともに飛鳥を見てくれる存在は超能力で動かされるアンデット達のみとなる。

 

【ポンコツ・・・・。】

 

 飛鳥を除いた3人の心の声が同調した。

 

 

 

COUNT12

ラピット

号令

 

ロジーナ

対戦車ライフル→9【成功】

対象:『希望』

ダメージ

『希望』=死肉の盾

ゾンビ(4)30→25

 

ぬいぬい

名刀→10+1+切断【大成功】

ダメージ

モンスター=肉の盾:付与効果を全て打ち消す。

対象:ゾンビ(2)20→17

 

飛鳥

単分子繊維→8【成功】

連撃→7【成功】

対象:グール2[完全解体]

 

ショットガン→5【失敗】

対象:グール3

 

 

「・・・今ですっ!!!」

「考えが甘ぇんだよっ! クソガキがっ!!!」

 

 完全に微妙な空気となった空間に、纏の『号令』が飛ばされる。明らかに防御の手が緩んだように見えた『希望』へロジーナは引き続き鉛玉を発砲する。だがそんな古典的なだまし討ちに引っ掛かる『希望』では無かった。迅速な速度でロジーナの射撃攻撃を「ゾンビ」で受け流す。「ゾンビ」達はロジーナの対戦車ライフルによって引き飛ばされると、そのまま下半身や上半身を残して崩れ去った。

 ぬいぬいも纏の号令に合わせて、日本刀を居合術の要領で抜刀し、目の前に居るゾンビを切り刻む。目の前の二体を切り裂き、切断しきった流れで残り2体も亡き者にしようと太刀筋を振るったが ゾンビの合間に割り込み、ぬいぬいの日本刀を掴んだ怪力を有するゾンビに剣先を握られ遮られる。

 飛鳥は、他の3人と比べ1歩出遅れたものの肩で這いつくばる様にしながらも、後方に居るグールを切り裂き、『単分子繊維』を首や四肢に捲きつけ力強く引っ張ることで輪切りに並べて行った。

 纏もショットガンを構え、後方に停滞するグールを仕留めようと『希望』に背を向け、鉛玉を放とうとするもののロジーナに対して向けた怒りに加え、更に殺意が上乗せされた様な様相に銃身が上方に向いてしまい掠りはするものの当たらなかった。

 

 

 

COUNT10

モンスター7~9

移動【煉獄】→【花園】

 

モンスター1~6

怪物の腕*6→6-3、5-4+2、5+2、4+2、8+2-1、8-1-5【失敗、成功、成功、成功、成功、失敗】

対象:纏、纏、ぬいぬい。ぬいぬい、纏、飛鳥

ジャッジ

纏=あし エンバーミング妨害3

飛鳥=あし妨害1 アームバイス エンバーミング妨害4

モンスター2~5=ボルトヘッド支援2

ダメージ

ぬいぬい=やぶれひまく、うろこ

→以下のパーツを損傷【ぬいぬい】

はらわた、ほね

→以下のパーツを損傷【纏】

脚全損、こぶし、かた、応急箱

 

 

 

「ぬいぬい母様、飛鳥母様。貴女方はアバズレとクソガキに命令されて仕方なく、貴方達の子供であり神である私に刃を向けているのですね? ああ、何も言わずもがな分かります。安心してください。私の手駒で母様たちを苦しめる2人を排除してみせますから。しかし、ぬいぬい母様、時に貴女はあのアバズレに匹敵するほど力強い技術を習得していらっしゃる。少し心苦しいですが邪魔をされないように分解させて頂きますね。」

「大丈夫です。壊れたのであれば、またすぐに直して差し上げますからね。うふふふふっ。」

 

 赤緑色の液体の中で『希望』は不快としか言いようのない声色で、ぬいぬいと飛鳥を嘗め回すような優しい言葉遣いで陶酔しきったような甘えたようなテレパシーを送り付けながらも、怪力ゾンビ『モンスター』を動かす。

 9体いる内のクリス人形を含めた3体の『モンスター』をロジーナ側へ移動させ、その場に残った6体で纏や強力な庇い技術を有する ぬいぬいに重々しい一撃の乗った拳を振り降ろさせた。

 『モンスターたち』は地面に足を付けず、明らかに体重が掛かっていないのにも関わらず、地面を抉り凹ませるほどの高威力の拳を叩きつける。移動している吊り下げられているマリオネット人形のような姿勢になりながら滑空をし通常ではありえないような光景が4人の目の前では広がっていた。

 立て続けに振り下ろされる拳に飛鳥、ぬいぬい、纏はその場から動くことが出来ず、限りある防具や妨害機器を駆使し、その場を乗り切る他なかった。

 

 

 

COUNT9

ラピット

纏=死に続け:こぶし回復

 

アクション

『希望』=屍人暴走

地獄:ゾンビ(3)20→19

地獄:グール5出現

 

 纏が身体を修復している最中も、耳障りな鼻歌をテレパシーで直接4人に流し込み、ゾンビの一体に更なる超能力の覇気を纏わせ、新たなグールを量産し始める。2足方向で浮遊していた死体は這いつくばるような姿勢になると、指先から鋭い爪を生やし 鋭い牙を供えた顎を発達させた。

 

 

 

COUNT8

アクション

グール3~4

移動【花園】→【楽園】

 

ゾンビ(3)~(4)

待機

 

ゾンビ(1)

移動【花園】→【楽園】

 

ゾンビ(2)

ひきさく→7【成功】

連撃→3【失敗】

対象:ぬいぬい

ダメージ

ぬいぬい=背徳の悦び『やぶれひまく』回復、捕食者

→以下のパーツを損傷【ぬいぬい】

あし

 

ぬいぬい

名刀→5+1【成功】

対象:ゾンビ(2)17→15

モンスター2=肉の盾

 

 動きが緩和なグールやゾンビたちもモンスター同様に動き始める。

 モンスターの猛攻に晒され、ぬいぬい等の身動きが取れない間に孤立しているロジーナへ向けて前進してくる。ロジーナは対戦車ライフルに起きた故障に手間取っている様子であり接近するゾンビやグールに対抗する術は持ち合わせていなかった。

 ゾンビはしぶとく防御を駆使して、最低限の損傷に留まらせるぬいぬいに引き裂きにかかる。ぬいぬいはその一撃を防御態勢を取ることもなく甘んじて受けた。だが、ここでやられてっぱなしの彼女でも無かった。修羅に稽古をつけて貰った事を想い返し、攻撃を受けるの同時にその眼光に殺意を乗らせ 付近に駐留している存在を一掃するかのように戦艦クラスの眼光で睨み付けた。今までとは、明らかに気配の異なる ぬいぬいに『希望』の操る操作も鈍ったような気がした。

 

 

 

COUNT7

『希望』=死人暴走

地獄:ゾンビ(3)20→19

地獄:グール6出現

 

モンスター7~9

移動【花園】→【楽園】

 

モンスター1、6

怪物の腕→8+2、6+2【両方成功】

対象:纏、ぬいぬい

ダメージ

ぬいぬい=やぶれひまく防御2

 

グール5

移動【地獄】→【煉獄】

 

→以下のパーツを損傷【ぬいぬい】

こぶし

→以下のパーツを損傷【纏】

めだま、あご、カンフー

 

「・・・やはり、ぬいぬい母様は侮れない存在ですね。母様、今からでも考え直してみませんか? 少女は少女のまま母になるべきなのです。」

「断らせて頂きます!!!」

「強情ですね・・・。少しやり方を変えてみましょうか。」

「ぶっ!!!」

「纏さん!」

「ボ、ボクは・・・・だいじょぶ・・・だ、だいじょうぶだから・・・。」

「さぁ、くだらないことにしがみつくのはやめて私に全てを委ねなさい。」

 

 モンスター3体もついに動きだし、ロジーナは四面楚歌。完全に囲まれてしまう。

 ぬいぬいは現状にある包囲網を突破し、ロジーナ、纏、飛鳥全員を守護できる立ち位置に走り寄ろうとするものの、ゾンビがその行く手を阻み駆けつけることはできない。

 それどころか敵の攻撃は一層激しさを増し、ぬいぬいが扱える防御技能は無力化されていくのであった。修羅から教えて貰った受け流しの技を使っている余裕もない。

 激しい猛攻の最中でも『希望』は余裕を持った様子で周囲の操り人形を留まらせ、絶望的状況下でも諦めることなく、もがき続けるぬいぬいに語りかける。しかし、それを確固たる意志で跳ねのけた。されど内心、その決意は少しずつ揺らいでいた。

 隣では纏がモンスターの攻撃を頭部でモロに受け止め、文字通り蹂躙される様に床を転げまわり、保護の手の届かない場所ではロジーナが敵に囲まれつつある。果たしてこの状態のまま戦う事は正しいことなのか。気の迷いが生じる。

 

 

 

COUNT6

モンスター2~5

怪物の腕→5、6-2、8、10-2【失敗、失敗、成功、成功、】

対象:飛鳥、纏、纏、飛鳥、纏、

ジャッジ

纏=エンバーミング妨害2*2

 

→以下のパーツを損傷【飛鳥】

こぶし、うで、かた

→以下のパーツを損傷【纏】

はらわた*2、せぼね

 

 『モンスター』は休まることを知らない。

 その上、もう身体を張って護ることが出来ない ぬいぬいの心を抉るように纏や飛鳥を集中砲火していく。2人も簡単には倒されまいと防御姿勢を取り、受け流そうと構えるが凄まじい力を持ち、全てを縦横無尽に薙ぎ払う打撃攻撃にその受け流しは効いていない様子であった。飛鳥は左半身を吹き飛ばされ、文字通り転げまわる。単分子繊維が絡まり自分自身を再び切り刻まなかったのは不幸中の幸いであろう。纏も立ち上がった所に、鋭いボディーブローを叩き込まれる。一撃は纏の腹部についている内臓を、まるで腸に仕込まれた小型爆弾が破裂するかのように弾けさせ、再び床を舐めさせる。

 

 

 

 

COUNT5

『希望』=死人暴走

地獄:ゾンビ(3)18→17

地獄:グール7出現

 

グール6

移動【地獄】→【煉獄】

 

グール3~4

かみつきあご→4+1、9+1【失敗、成功】

対象:ロジーナ

 

ゾンビ

ひきさく→7【成功】

連撃→3【失敗】

対象ロジーナ

→以下のパーツを損傷【ロジーナ】

あご、カンフー、ほね

 

飛鳥

単分子繊維→7【成功】

連撃→10【成功】

対象:ゾンビ(3)17→13

ダメージ

モンスター3~4=肉の盾

 

 『希望』はゾンビから更なるグールを量産し始める。動きはまるで、人形師のように念力を更に纏わせ強固かつ凶暴な物へと。

 一方ロジーナへの攻撃も開始された。対戦車ライフルに新たな弾薬を装填しているロジーナへ2匹のグールが飛びかかる。一匹は身体を逸らすことで回避するが、もう一匹は回避しきった所に、押し倒すかのように馬乗りになったかと思うと頑強な顎で、顎を引き裂き、齧った。グールが馬乗り状態にあるロジーナへ、ゾンビの群れがすがりつく。縋りついた部位は必死にグールを蹴り飛ばそうとバタつかせていた足の骨。手が触れるのと同時に1本の足を引き抜いた。

 飛鳥はぬいぬいがロジーナの元まで走り寄ることが出来るように、目障りなゾンビをサイコロステーキ状に切り刻む。鋭い一閃で背後の敵も刻もうとするが、立ち塞がる様にして現れた自分似のモンスターに受け止められてしまう。

 

 

 

COUNT4

ゾンビ(2)

ひきさく→10【成功】

連撃→5【失敗】

対象:ぬいぬい

 

グール5

かみつきあご→1+1【失敗】

 

ロジーナ

対戦車ライフル→9+1【成功】

対象『希望』

ダメージ

『希望』=死人の盾

ゾンビ(4)25→20

 

ぬいぬい

名刀→10+2【大成功】

対象:ゾンビ(2)

ジャッジ

ぬいぬい=うで支援1

モンスター5=肉の盾

ゾンビ(2)15→11

 

→以下のパーツを破損【ぬいぬい】

あご

 

 

 ゾンビは目前でチョロチョロ動き回る ぬいぬいをロジーナから引き離すかのように大きく腕を下から上に振り上げ、遠方に弾き飛ばそうとする。しかし、その一撃は指先に顎を引掛け、本体はバックステップで避けきり完全に引き離す事は叶わなかった。

 ロジーナは伸し掛かられ下半身や上半身が動かせなくとも、銃身だけを『希望』へ向け放つ。倒れて身動きが取れない上に不自然な格好であるのにも関わらず、その狙撃技術は瞠る(みはる)べきものがあった。もし相手がサヴァント相手であれば、ロジーナは絶望的状況下から仲間たちを救い出す事の出来る一撃となった事だろう。

 しかし、今回の相手はネクロマンサー。それもドール達を作った本人である。どんな背伸びをしても、追いつけることは無かった。無慈悲にもまたもや死人の盾で防がれ、元凶にその一撃が届くことは無い。ぬいぬいも『たからもの』であり『得物』でもある名刀「不知火」を振り抜き死体を切り捨てる。されど、その一撃は決定的な一打とはならない。

 4人の顔に明らかな焦燥の色と絶望に染まったかのような表情が包み込む。

 それを『希望』は嘲るのだ。

 

 

 

COUNT3

モンスター1~6

怪物の腕→9、7-2、5、10-2、6、7-2【成功、失敗、失敗、成功、成功、失敗】

対象:飛鳥、纏、纏、ぬいぬい、纏、纏

ジャッジ

纏、飛鳥=エンバーミング妨害2*3

ダメージ

ぬいぬい=スチールボーン防御1『切断』無効化

 

グール7

移動【地獄】→【煉獄】

 

「あ・・・・あかだ・・い・・・・さ――」

 

 動けること自体、通常では考えられない姿となった纏は、露出している皮膚が折りたたまれたような皺だらけの赤大にそっくりな人形にすがり寄る。めだまも弾け飛び、四肢もなくなった纏は芋虫のようにモゾモゾと地面を這いつくばり、赤大だったものにすがりよるその姿はまるで助けを求めるかのような様子にも見えた。

 しかし差し伸べられた手を握る人物は居ない。ここに居るのは『希望』に操られる哀れな人間の成れの果てだ。

 容赦のない殴打が纏を襲い、地面に這いつくばったまま動かなくなる。

 

グール3~4

かみつきあご→4、3【両方失敗】

ゾンビ

ひきさく→3【失敗】

モンスター7~9

怪物の腕→9、9、9【全成功】

 

→以下のパーツを損傷【ロジーナ】

腕全損 攻撃手段ロスト

→以下のパーツを損傷【ぬいぬい】

はらわた、スチールボーン

→以下のパーツを損傷【纏】

こぶし、うで、写真+狂気点1

あるびの、しんぞう、リフレックス

 

 またロジーナも纏と同様状況下であった。

 体中を貪られながら、カプセル内で不気味に痙攣する『希望』を濁った両目で眺める。もう彼女一人の力では起き上がる事すら出来なかった。そんな彼女に接近してくる3つの影。気怠そうにロジーナは視線を向ける。そこにクリスティーナは居た。

 ロジーナから見る分には隣には、赤大と修羅が立ち中央にクリスティーナが佇んでいるように見えた。助けを求めるかのように彼女もまた探索者の面影に手を差し伸べる。3人はロジーナを取り囲んだが、ロジーナはクリスティーナだけを見つめていた。ふと彼女は、自分へ向けて地下研究所から脱出し、別離するまでに見せてくれた無邪気で悪意のない笑顔を向けてくれたような気がした。ロジーナ自身も笑顔が零れ落ちる。

そして、差し伸べられた手は握られることは無くはたき落されるかのように地面に叩きつけられ腕のパーツが粉砕しきるまで殴打され、武器も両腕も無くした少女が転がっているだけとなった。

 

 

 

COUNT2

『希望』=亡者の目覚め:レギオンを1D10増やす

ゾンビ(4)+8→20→28

 

ゾンビ(2)

ひきさく→5【失敗】

 

グール5~6

かみつきあご→4、9【片方成功】

対象:纏

 

ぬいぬい

名刀→8+1

対象:ゾンビ(2)

ダメージ

モンスター6=肉の盾

 

ゾンビ(2) 11→9

→以下のパーツを損傷【纏】

腕全損 攻撃手段ロスト

 

「最後に良い夢は見れたか?クソガキ共。お前等がどんなに足掻こうが、背伸びしようが、俺様に勝つことだなんて不可能なんだよ! 身の程を弁えろこのグズがっ!!」

 

 動けなくなった纏にもグールは馬乗りになり、武器であったショットガンをかみ砕いた。

 これで真面に戦うことが出来るのは飛鳥とぬいぬいのみになった。二人は顔を見合わせる。攻撃の要となっていたロジーナが武装解体され、攻撃の指揮を行っていた纏も完全解体まで一押しと言った状態だ。敵は戦闘が始まった頃よりも増えている。『希望』が扱う死人の盾は『希望』が望むままに駆使し、補充もできる・・・・。

 

「必死にテメェが霧散させてきた屑肉も俺様が手を加えれば・・・・このとおり。全ての努力は水の泡って奴だ。ヒャハ! ヒャーッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 ゾンビをとことん破壊つくし、最期は慰めるために作られた愛玩人形にトドメを刺されたロジーナと纏を嘲りながら肉片となった死体に青白い光を灯す。生きたアンデットであれば、偉大なネクロマンサーとはいえ修復に時間を要するはずだ。しかし、『希望』はそんな無駄な努力などしない。

 上半身しかないはずの死体が、半ば宙に浮き『希望』を守護する盾と変貌する。それだけではない。完全にバラバラにし、飛鳥がサイコロステーキ状でバラバラに切り刻んだ死体も半ば人の形を保ちながら起き上って来ていた。

 

 

 

COUNT1

ゾンビ

ひきさく→2【失敗】

グール3~4

かみつきあご→4+1、6+1【失敗、成功】

モンスター7~9

対象:全ロジーナ

 

移動【楽園】→【花園】

 

→以下のパーツを損傷【ロジーナ】

脚全損 逃走手段ロスト

 

 狂気の笑い声を脳内に響かせる『希望』にぬいぬいと飛鳥は呆然とするしかなかった。

 逃走手段として残っていたロジーナの最後の足もかみ砕かれ、だるま人形が出来上がる。腕も、脚もない。だるまの人形だ。

 ロジーナがクリスティーナとしてみていたクリス人形を含む3体は、ロジーナが完全にだるま化したのを尻目に残るべく2人へ向けて一歩足を踏み出し接近しつつあった。

 

 

 

狂気点追加

ロジーナ

ぬいぬい+2

 

ぬいぬい

飛鳥+2

 

飛鳥

ぬいぬい+1

纏+1

 

飛鳥+2

 

 ドールたちは心の奥底でポッキリと心がへし折れる音を確かに聞いた。

 幻聴ではない。されど、現実では決して鳴らない音。

 そして湧き上がる後悔。懺悔。謝罪。全ての負の感情が彼女達を覆って行った。

 

===戦闘終了===========

 

 

 




【後書き】
 何を勘違いしたのか、この時寝ぼけていた私はやってしまいました。
 兵力を誤って2倍で留めておくところを2.5倍。
 つまり4人に対し、8人分の兵力で殴る筈が、10人分の兵力でドールを殴りに行ったわけです。

 行動値も強化したし、パーツも増えたし大丈夫だろう。と
 完全な慢心ですね。完全にダイスの女神の目が敵に対しても微笑んでいました。
 999・・・嬉しくなかったです。飛鳥はいつも通り過ぎて、実質戦力が3人でしたね。

 後悔しても、すべては後の祭りなのでこのままエンディングに入ることになりました。



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