外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前書き】
 2日掛けてドール達は教会からシェルターまでの最短ルート上にある森へと到達する。
 森は外見に比べ悍ましい容姿をしている。
 しかし、僅かな希望を掛けて4人は歩む足を止めることはなかった。




Episode4-7 『恋バナ』

「ははは、あっちは賑やかだね。」

「・・・・・・そうだな・・・。」

 

 飛鳥の絶叫が入ったことにより、ロジーナと纏も前進を中断し各々の武器を構え、背後を振り返る。

 そこでは飛鳥が巨大な蛾に対し、はち切れんばかりの絶叫を上げ既に右手は握り拳を作っている光景であった。そのまま、その拳は蛾を捉え粉砕する。

 そして驚くぬいぬいと、焦る飛鳥の姿を確認することが出来た。

 

「・・・・纏・・・。」

「ん?」

「・・・・・少しだけ・・・・・記憶・・・・・思い出した・・・・・・。」

「おお。・・・どんな記憶を思い出したの?」

「・・・・・笑顔が・・・・素敵な・・・・・女の子と・・・・・・花の世話を・・・・する・・・・・・記憶・・・。」

「へぇー。因みにさ、その笑顔が素敵な女の子って、もしやクリスティーナさんだったりする? ほら、あの人もロジーナに多くの笑顔を見せていたから。」

「・・・・・多分・・・・・違うと・・・・・・思う・・・・。・・・クリスティーナの・・・・口元と・・・・記憶の女の子・・・・・口元・・・・・似ているけど・・・・違う・・・・・。」

「・・・そっか、クリスティーナさんはロジーナの事良く知っているみたいだったから、彼女かなって思ったんだけど。」

「・・・・そういう纏は・・・・・・赤大に・・・・ついて・・・・・・何か思い出した・・・?」

「えっ?」

「・・・・・纏も・・・赤大から・・・・ちやほやされている・・・・印象あったから・・・。」

「うーん・・・・赤大さんか・・・。思い出せないかなぁ・・・シスターの話だと赤大さんっぽいんだけど、んー・・・ボクの方が思い出せないって言うか・・・。」

「・・・そうなんだ・・・・・。」

 

 弁解が終わるまで、飛鳥の背後まで近づいて行き2人は気長に待つことにした。

 纏は口元を少しばかり緩め、ロジーナもそれにつられる様に口角を上げた。しばらくすると、ロジーナは目を凝らすかのように目を細める。それから、纏の肩を二度ほど叩き弁解の終わりを見せない飛鳥を尻目に思い出したことを呟くように伝える。纏も思い出した内容にクリスティーナの話題も織り交ぜてみるが、ロジーナは首を横に振り拒否反応を示す。

 逆に問われれば纏は顔をしかめ、首を傾げるようにした。ロジーナは両目を瞑り纏の両肩に両手を置きコクコクと頷く。

 

「ねぇ・・・・纏は・・・・赤大の事好き?」

「ブーーーッ!!」

 

 まだ終わらない飛鳥の弁解を、二人はロジーナが纏をあすなろ抱きするかのように眺めて居た。ぬいぬいは弁解する飛鳥に対して、目を逸らしては蛾を。飛鳥を。蛾を。交互に見ていた。

 2人も必死な弁解に飽き飽きしていたころ、唐突なロジーナの問いに纏は盛大に吹きだす。

 

「・・・その反応・・・・図星?」

「ち、違うよっ!? そんなことないよっ!」

 

 こちらはこちらで纏が弁解するかのように、あすなろ抱きで抱きついているロジーナを見つめ、顔を赤らめながら慌てたように四肢を躍らせる。

 

「そ、そういうロジーナはクリスティーナさんの事どう思っているのさ!」

「わたしは・・・・・・クリスティーナのこと・・・好きだけど。」

「れ、恋愛対象として?」

「恋愛対象として。・・・よく笑うし・・・一緒に居ると気分が楽になる・・・・・・辛いことがあっても・・・明るくなれる・・・。現に・・・・最初・・・目覚めた時から・・・・勇気や元気を・・・・たくさんもらった・・。」

 

 そしてサラリと自分へ向けての話題をロジーナへと切り替える。ロジーナはその問いに対して、特に纏に顔を赤らめることなく素直な気持ちをありのままを伝える。

 

「・・で、纏は?」

「ボ、ボクは・・・ボクは。」

「・・・正直に・・・・話したら・・・? ここにはわたし達しか居ないよ・・・。」

「んん・・・・。赤大さんは・・・友人として好きかな!! シスターの話と被るけど・・・同僚っていうか、悪友っていうかさ。役に立たないボクを引っ張って行ってくれる・・・そんな存在かな。」

 

 真っ直ぐな視線を向けるロジーナに対し、纏は徐々に顔の赤みを薄めながらも俯き口ごもっていた。言い出さない纏に対して、ロジーナは耳元で悪魔の囁きのような声で話しかける。観念したかのように顔を上げると背後から抱きついているロジーナにしか聞こえないような声の大きさでボソリと一回呟いた。

 

対話判定

ぬいぬい→飛鳥 1【大失敗】

【友情】→【恋心】

ぬいぬい→飛鳥 8【成功】

飛鳥→ぬいぬい 10【成功】

飛鳥→ぬいぬい 4【失敗】

ロジーナ→纏 7【成功】

ロジーナ→纏 5【失敗】

纏→ロジーナ 9【成功】

纒→ロジーナ 5【失敗】

 

 




【後書き】
 前回、登場した蛾ですが鱗粉は人間にとって猛毒でした。オリジナルエネミーとして戦闘に参加させる予定だったのですが、シークレットダイスの結果。小役としての登場のみとなってしまいました。
 プロット上の正式ルートであると探索者も装甲車を捨てて、この森を歩く予定だったのである意味崖の崩落は良かったのかもしれません。

 全てはダイスの女神(クソビッチ)が悪い。



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