外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』 作:カロライナ
時は22xx年。人類は核戦争によって滅んでいた。生き残った1億4000万人の人も1億を切っている。そんな『滅んだ』とされる絶滅危惧種である人間が4人、コンクリート造りの通路で立ち往生していた。
構成は特殊部隊隊員2名、民間人2名。全員女性だ。
そのうちの民間人の1人が前回、神話的現象に遭遇し深きものを見てしまったクリスティーナであった。
「・・・そうか。そいつは良かった。」
クリスティーナが立ち直ったのを見届けると、お礼を言われた方の赤髪の特殊部隊隊員はクリスティーナに向けて微笑む。
「そちらの御方は? 先ほどからあちら側の扉を凝視しているようですが、何か気になった物でもあるのですか?」
「・・・・・。」
「・・・
「・・・・・。」
「・・・。」
そのやり取りの間に桃色髪の特殊部隊員は、そのまま視線を巫女服姿の赤髪の女性へと移す。問いかけをしてみるものの返事はなく、言語が異なるのかと仕方なく流暢な英語で話しかけてみるが依然として無反応と言った様子であった。
言語が伝わらないことに対して、少し嫌気を示したかのような表情をすると話しかけるのをやめ、彼女が見ている方向へと顔を向ける。
そこには先ほどと変わらない閂状の鉄の扉があるだけであった。
「何をそんなに見ているのです・・・・。・・ッ!」
特殊部隊隊員の女性は、扉に何も異常性が感じられないと分かると、顔を先ほどの女性に戻した。
その時の事だ。彼女は素早くその場から飛びのき、巫女服の赤髪の女性との距離をとる。理由は単純なものであった。彼女は既に扉を見るのをやめ、見つめる視線を感じさせることもなく特殊部隊隊員の女性に注意を向けていたからだ。
特殊部隊隊員の女性は、その無機質のような瞳に対して何か恐怖のような物を感じ取ったのか、反射的に彼女の右手が帯刀中の太刀へとのびる。
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「向こう。何か。居そう。警戒。する。ました。」
「居そうだとしても、開かないのでは確かめようもありませんわ。丁度、開かない鍵も閉められていますし・・・例え何かが居たとしても、向こう側からでは開かないのではないかしら?」
「もしも。為。」
「まぁ、よくわからねぇけどさ。その『もしも』が現れたら、アタシ達が護ってやっから安心しろよ。」
太刀を抜刀しようとする女性に対して、巫女服の女性は気にする様子も警戒するでもなく、はなから興味を無くしたように残り2人に向けて視線を戻した。そして接続詞のない、何処かの他言語が訛りのようなカタコトの日本語でゆったりと返事を返す。
飛び退いた女性の代わりに、クリスティーナと同僚でありそうな赤髪の女性が応じるが、彼女達は桃色髪の特殊部隊員が感じた恐怖を感じ取ることは無かったかのように、普通に話しかけている。
「ところで、なんで飛びのいてんだ?」
「汗。凄い。気分。大丈夫。」
「・・・・大丈夫です。問題ありません。」
クリスティーナ達は一通り巫女服の女性と話をすると、振り返るような形で桃色髪の方を見る。さらに巫女服の女性にも単調的ではあるが、心配するかのような声を掛けられ 敵意の無いことが分かると太刀に伸ばしていた手をゆっくりと降ろした。
「でしたら良いのですが・・・・。この後はどういたしましょう? 閂側の扉は開きませんし、このまま奥の扉に向かいますの?」
「・・・開かない以上、進める方向はこっちだけになるからな・・・そうなる。」
「向こう。物音しない。嫌。予感。ない。」
「その口調ですと、閂の向こう側から何か嫌な気配がしたんですの?」
「した。女性。泣く。歌う。よくわからない。怖い。」
「・・・それが事実だとして、他に被害者が居たとしても助ける手段は無いですから・・・どちらにせよ。奥の扉に進むしかありませんね。」
閂のされた扉に注意をしながら4人は歪な円陣を囲む。
すると今後の方針について話し始めた。
巫女服の女性は特殊部隊隊員の女性へ視線を向けるのを止め、再び閂扉を見つめる。クリスティーナは半歩、輪から外れている女性に向けて視線を合わせ指先を反対側の扉の方に指を指した。赤髪はクリスティーナに対して頷いて見せる。桃色髪は肯定しつつも、巫女服の女性に警戒しながら話す。
「そうなりますわね・・・・おっと、申し遅れました。わたくし、
「お気になさらず。
「アタシは
「・・・。」
「・・・・そちらの方は?」
「私。
「ん? それは、神社の巫女さんを探していたんですの?」
「私。巫女。人探し。相手。巫女。」
「あら、同じ巫女さんを探していたんですの・・・。」
「・・・・・・。」
ふと思い出したかのようにクリスティーナは、口を開き自己紹介と自分がココにいる経緯と先ほどの失態に対して謝罪の言葉を述べる。
それに続くようにして、同じように特殊部隊の女性2人と赤髪の巫女も簡潔に自己紹介を済ませるのであった。
アイディア
クリスティーナ65→91【失敗】
修羅80→49【成功】
赤大80→82【失敗】
修羅は一瞬だけ、表情を何か考えるかのように左手を口元に添える。そして眉を潜めた。
【後書き】
前書きで、前回のあらすじを書いて見ました。
途中から読み始めた人でも前回の内容がザックリと内容が分かってもらえれば・・・と
思い始めてみましたが、結構難しいですね。
今回も0話はあります。
まだ投稿予定日ではないだけです。