外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』 作:カロライナ
自分の存在意義に纒は疑問を持ち、星乃に素手で戦う術を伝授してもらうべくして話しかける。
星乃に慰めてもらい元気を少しだけ取り戻したが、危うく纒の『たからもの』が潰れるところであった。
一方ロジーナはシスター戦で
「さて、これから就寝に入る訳ですが、見張りは私と赤大がします。皆さんは、さっさと明日に備えて就寝するように。明日はシスターが指差した方角に向かう予定ですからね。時間がどれほど消費するか不明の為、朝一番に教会に何か使用できそうなものを捜索した後に出発します。」
硬い地面にビニールシートを引きながら修羅は周囲に指示を送る。その上に半ば疲れたような様子のクリスティーナが座り込みと飛鳥が横になる。背面では暖かな焚き火が、8人を照らし暖かな空気を運んでいた。
「それで。何か異論はありますか?」
「あるよ!」
「なんですか纏さん? 念のために先に申し上げておきますが、アンデットは眠らないというような点でしたら、それは『偽り』・・・仮にそうだとしても休息は貴方たちにとっても必要でしょうと先に申し上げますね。既に飛鳥さんは就寝に入っていらっしゃるようですし。」
「うぐっ。」
淡々と全体を指揮するように指示を入れる修羅に纏が、食って掛かろうとするものの飛鳥が横になり、大切そうに未來を抱きかかえながら寝ている姿を指摘されるとぐうの音も出ないと言った様子で引き下がる。
「あいにく職業柄、夜間の歩哨は慣れていますのでご安心ください。布団が必要な方は隅に置いておきます。ご自由に使用してくださいね。」
纏の食って掛かる様子に修羅はあしらうような笑みを見せる。決して小馬鹿にしているような嘲笑を含んでいる笑みでは無かったものの、纏は番犬が警戒するように唸りながら、ビニールシートの上に横になり瞼を閉じた。
「ロジーナ・・・・一緒に寝ましょう・・・。」
「・・・・・・うん・・・・。」
「もうちょっと近くに・・・。」
「・・・・・・このぐらい・・・?」
「もうちょっと・・・。」
「・・・・このぐらい?」
「このぐらいですわ。」
「・・・・っ!」
「ふふっ・・・・ロジーナの身体、冷たくて心地良いですの・・・。」
クリスティーナの手招きに応じるようにロジーナも隣で横になった。横に成ると向かい合うような形となる。ロジーナはクリスティーナと視線が合う度に目を横に逸らし、近づくように言われれば、恥ずかしそうにしながらも接近する。そして腕で巻き込めるぐらいになると、クリスティーナは抱き寄せた。口を近づければキスを交わすことが出来るほどのゼロ距離まで接近する。クリスティーナは両腕で彼女を抱き寄せる。そしてロジーナと同じように、恥ずかしそうではあるが嬉しそうにも笑うのであった。
「ほら、ぬいぬいも。貴女も今日は頑張ったのですから、もう寝て疲労を回復させた方が良いですよ。」
「ぬいも・・・ぬいも無理したら駄目ですよ。眠くなったら、わたしにいつでも言ってくださいね?」
「分かりました。睡魔に耐え切れそうになくなった時はお願いしますね。」
「・・・! はいっ。おやすみなさい!」
「おやすみなさい。ぬいぬい。」
修羅に促され、ぬいぬいも半歩ビニールシートの上に足を乗せる。そして振り返り、周囲に目を泳がせながらも、上目づかいで互いを呼び捨てで呼び打ち解けたようになった修羅に心配するような声色で注意する。修羅も一呼吸開けることなく、ぬいぬいの好意をささやかな微笑を作りながら頷き返答した。ぬいぬいはそれだけでも嬉しくなったのか、元気よく返事をすると纏の背中に引っ付くようにして瞼を閉じた。
「ふぁーぁ・・・・。」
「何を大きな欠伸をしているんですか、私が外周の警戒をしますので赤大は火番兼室内の警戒を担当してください。誤っても寝ないようにお願いいたしますね。」
「へいへい・・・分かったよ。」
6人が床に就いたところで、赤大が大きく口を開き欠伸をする。
その様子に修羅が足早に接近すると軽めのチョップを赤大の頭に叩き込んだ。赤大は叩かれたところを掻きながら、焚き火に新たな木材を投げ込んでいた。
【後書き】
焚き火が無ければ、星ひとつ見えない闇なんですよね。
目を開いているのか閉じているのかすら分からない暗闇・・・ちょっと考えるだけでもぞっとします。