外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』 作:カロライナ
崩れかけた教会に設置されていたベンチを解体し、それに火を付けて暖を取っていた一行。
シスターが狂った様相になってしまい誰もが気を落としていた。
シスターの死に打ちひしがれていた時、空気の読まない腹鳴りが闇夜に響き修羅は思い立ったように装甲車からあるものを持ってくる。
和気藹々とした食事も終え、修羅とぬいぬい食器を簡潔に洗い 洗った水は飲み水としてボトルに保管する。その間、6人は別々行動をとっていた。
「星乃さんって、一回殴ったら大抵ものを粉砕している様に見えるのですが、どうやったらそんな風に強くなれるんですか? ボク・・・みんなの援護とかで役に立ちたいんですけど、ボクの手順になった頃には殆どの敵が片付いてしまっていて・・・役立たずなんじゃないかって思えてきて・・・。」
「・・・。相手。弱点。捉える。例。人間。脳天。鼻。顎。喉。心臓。鳩尾。秘部。弱点。縦。並列。見極め。殴打。強い。なる。」
「機械とかもパーツを破壊して居たような気がするんですけど・・・あれはどの様に?」
「・・・。・・・。・・・。・・・勘。」
「えぇっ?!」
「・・・。纏。」
「は、はい!」
「纏。居る。それだけ。価値。ある。悪い。考え。ない。」
「・・・ありがとうございます・・・!」
纏は星乃の元まで近寄り、敵を縦横無尽にしていく星埜に対して強くなるコツを聞いていた。星乃は目を逸らし無表情のまま考えた後、纏を正面に立たせ人の基本弱点を軽くこぶしで小突いて行く。秘部を小突いたときには、星乃の手には『ふにゃり』とした感覚がし、小突かれた纒は股下に寒気が走ったのか内股になった。
星乃は特に気にする様子も見せず解説を続ける。そしてどこか落ち込んでいるような様子を見せる纏に対し、途切れ途切れの言葉を繋いで励ましていた。
「・・・・クリスティーナ・・・・
「
「・・・・シスターを・・・射抜くとき・・・・・・・咄嗟に・・・この言葉が・・・・・・出た。・・・意味は・・・・分からなかったけど・・・・・クリスティーナも・・・・似たような言語を・・・話していたから・・・・聞こうかな・・・って・・・・。」
「では、それはきっとロジーナの祖国がわたくしと同じロシアである事の裏付けで間違いないですわ! でないと、咄嗟の呟きでロシア語なんて出ませんもの。」
「・・・・そう・・・なのかな?」
「そうに違いないですわ!」
ロジーナとクリスティーナであれば焚き火の近くに座り込み何気ない会話をしている。少し慣れない言語が口から飛び出て戸惑って居るような表情をしていたロジーナではあったが、クリスティーナが笑顔でニコニコ笑いながら話しかけられているうちに自身も朗らかに笑顔を作り出していた。
「赤大さん、1つ質問があるのですが宜しいですか?」
「ん? 構わねぇよ。巫女さんが、アタシに質問とは なんだ?」
「あの星乃さんについてなのですけど・・・・。星乃さんは、赤大さんの親戚・・・ですか?」
「ん? んっ? 待て待て待て。何処からそんな思考になった?」
「いえ、風貌は全く異なるのですが・・・どこか星乃さんと赤大さん・・・似ているなって思いまして・・・。」
「・・・うーん・・・他人の空似じゃねぇか?」
「ですかね・・・?」
飛鳥は赤大に話しかけに行っていた。食事中は胸元に仕舞われていた胎児が抱えられており、クリアグリーン色の培養液の中でプカプカと泳ぐように浮遊している。
最終的には赤大と飛鳥は互いに首を捻り、簡潔に話は終わる。
対話判定
ロジーナ→クリスティーナ 6【成功】
【後書き】
今回もこの話の裏話です。
以前、取得できる【未練】には上限があるとお話しましたが、今回にもその名残は残っています。『纒』と『星乃』の会話と『飛鳥』と『赤大』の会話ですね。対話判定には2つ分あったのですが、未練がなかったことになったと言うことで、ロジーナとクリスティーナの判定の身になっております。
しかし、結果として、これはこれで良かったのかもやしれません。誤った認識によって、本来会話をするはずのない存在同士がコミュニケーションを取ることができましたので。