外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 胎児の名前は性別が分からない為、赤大のコイントスによって決定した。
 半日ほど走行を続けた結果、日は傾き周囲には薄暗さが蔓延する。ロジーナはクリスティーナにキュンキュンしながら、今宵営みを育めそうな宿泊施設を指差し行先を導いた。
 周囲の索敵も無事に済ませ、施設の中に入る探索者とドール。そこで待ち受けるものとは・・・。



Episode3-6 『見覚えのある顔』

 装備を整え、決めたフォーメーションで8人は教会の崩れかけた扉を潜り中に入って行く。教会の中は荒れ果てていたが、複十数人の人影がぼんやりと佇んでいた。粗末な鎖でつながれた何人もの少女たちと・・・・・メガネのようなものをかけたシスターの後ろ姿であった。

 

行動判定

ロジーナ→8【成功】

ぬいぬい→2【失敗】

飛鳥→8【成功】

纏→6【成功】

 

狂気判定+記憶の欠片【シスター(入手)】

ロジーナ→5【失敗】

飛鳥→8【成功】

纏→7【成功】

 

 ロジーナ、飛鳥、纏の3人はぼんやりと佇んでいる少女たちやシスターを見るや否や生唾を1つのみ込んだ。ロジーナは対戦車ライフルに付属しているスコープを他の周囲に立っている少女たちに狙いを定め、その瞳が大きく見開かれる。纏や飛鳥も同じ状態であった。何かの間違いであってほしいと言わんばかりに身体が小刻みに震え、視点が定まらない。

 

聞き耳

クリスティーナ60→17【成功】

修羅80→17【成功】

赤大85→17【成功】

星乃85→27【成功】

 

 探索者4人は、ぬいぬいを除いたドール3人の様子がおかしいことを感知し、足音を立てないようにしながら、前衛を星乃とクリスティーナ両名に任せ最寄りの相手に近寄り震えている原因を小声で尋ねた。ぬいぬいも周囲を警戒しながらも、様子のおかしい2人の話に耳を傾ける。2人はそれぞれ言葉を繋ぐかのように言い合う。

 

「ぁ、ぁぁ、赤大・・・さん・・・あそこにいる女の子・・・見覚えがあって・・・。」

「あちらに、居る、シスター・・・私に・・・神教を教えて下さっていた方で、困っている、方には、誰にでも、手を、差し伸べて、私も、私も、いつかはあんなふうに、なりたいって・・・。」

「シスターはある教会に居たの・・・周りの少女たちも・・・・ボクたちに優しくしてくれて・・・。その時は・・・ぬいぬいも、居たような・・・。」

「地上が戦争によって焦土と化したのですが、私達は、何処かに逃げ込みました。そこに、あのシスター、の、教会もあったはず。」

 

狂気判定

ぬいぬい→6【成功】

 

記憶のカケラ【入手】

シスター(特殊)

 

 2人の繋ぐような言葉に、ぬいぬいも驚いたような顔をすると途端に震えだす。

 

「修羅 縫・・・さん、わたしも・・・・思い出しました・・・。ですが、ですが・・・一つ変なんです・・・。」

「・・・変?」

 

 飛鳥に対して様子を伺っていた修羅ではあったが、ぬいぬいがうわごとのようにブツブツと呟き始めるとそちらにも近寄り話を聞こうとする。そして4人は口を揃えて言った。

 

「「「「記憶にあるシスターの教会はここじゃない。」」」」

 

 その声は4人とも小声ではあったものの、重なった結果大きな1つの声となってしまった。

 シスターが振り向き8人の姿を完全に捉える。同時にクリスティーナは2連式ショットガンを構え、星乃は冷徹にシスターを睨む。

 シスターは人型をしていたが人間ではなかった。顔面や表に出ている腕には多数の継ぎ接ぎ跡が付いており、その肌色はブラックジャックを連想させるかのような顔つきであった。顔の様子から優しさが滲み出ているものの、継ぎ接ぎが全てを台無しにしていた。

 

「・・・時は満ちたのですね。」

「待って・・・おりました。」

「どれほど長い月日を待ち望んで・・・。」

 

 シスターはフラフラと夢遊病患者のような足取りで一歩一歩と距離を縮める。そして、どこか納得したかのような頷きを見せた途端、シスターは両目に涙を溢れさせ床に膝をついた。同時に周囲に佇んでいた『ナイトメア』や『バンシー』がずるずると前へ突き進んでくる。

 

『ナイトメア』『バンシー』を目撃SANチェック0/1D4+1

クリスティーナ76→36【成功】

赤大63→31【成功】

修羅66→36【成功】

星乃79→79【成功】

 

 探索者達は生唾を飲み込むものの、初めて目撃する“アンデット”の存在に対して恐怖の感情を抱くことは無かった。それどころか、彼女達を見つめる視線は何処か悲しげかつ、憐みも混じったかのような瞳であり、どこかやるせない表情を浮かべていた。 

 そんな中、シスターは唄うように高らかに叫び声を上げる。

 

「御使いは降臨いたしました! わたくしの胎にいざ御子を! 荒廃せる世界に救いを! おいでください、御子よ! 迷える子らからの讃美歌を!! 高らかなわたくしの子守歌を! どうぞお聞きください!! どうぞわたくしの中へお宿りください!!!」

 

 叫び終えるのと同時に、修道服から4本腕とそれぞれに構えた銃が露わになる。

 

明らかに不気味な存在に対してSANチェック0/1D2

クリスティーナ76→96【失敗】

76→74

修羅66→24【成功】

赤大63→28【成功】

星乃79→67【成功】

 

 それに合わせるようにして赤大や修羅も戦闘態勢に移行し、星乃はブツブツと『ナイトメア』が呟くうわごとのような呟きを発する。

星埜HP18→14 1D6→6

 

 次の瞬間、銃声の子守歌とナイトメアとバンシーの狂気の声が教会内を包み込んだ。

 狂気じみた感動の涙を流しながらシスター・・・否、サヴァント・バレットシスターは銃口を8人に向けた。

 

 

 




【後書き】
 ネクロニカサプリが届きました!
 ナイトメアやアンデット達の様相が想定していたよりも、おどろおどろしく探索者の如くSANが減りましたね。SANの減少を0/1D6ぐらいにすれば良かったと後悔しましたが既に時遅しでした。



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