外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』 作:カロライナ
ぬいぬいと纒は、悪夢から目覚めることに成功するが錯乱し続けたままだった。
それを修羅と赤大が、自分達が可能な限りできる精神分析を2人に掛ける。
同じ精神分析にも、2人の特徴が十分に含まれた精神分析であった。
あれから8人を乗車した装甲車は半日ほどかけて走行を続けていた。何処を走っても広がるのは荒野ばかりではあったが、8人はそれぞれ退屈しないようにクリスティーナが拾って来た武装を拾い上げ操縦片手間に動作確認を行ったり、人間である4人はそれぞれの故郷の話を車外に居るロジーナを除くドール達に話したり、飛鳥が考えた胎児の名前の紹介など済ませる。
全員名前の由来まで聞くと納得したように頷き、希望にするか未來にするかに関しては意見が分かれたものの、赤大のコイントスで裏が出たため胎児の名前は『未來』という名で決定する。それも終わると、96式装輪装甲車に搭載されていた備品の確認などを済ませていた。
対話判定
ぬいぬい→纏 7【成功】
ぬいぬい→飛鳥 9+1 【成功】
飛鳥→修羅 9【成功】
飛鳥→クリスティーナ 6 【成功】
纏→ぬいぬい 5【失敗】
纏→ぬいぬい 9【成功】
ロジーナも腹ばいになりながらも、周囲を警戒しつつ何もない荒野の周辺を見回していた。話こそ入れなかったものの、空に飛び立つマカドリの数を数えるなどをし、暇をつぶしていた。
鉛色の空の地平線が薄ぼんやりと暗くなり始めた頃。ロジーナは運転席に乗車しているクリスティーナのフロントガラスをノックする。クリスティーナの注意がロジーナに引かれると、とある方角に指を指す。何やら視界の端に半ば崩れかけた教会が見えたのだ。クリスティーナはロジーナに対して親指を立てる。
対話判定
ロジーナ→クリスティーナ 1【大失敗】
【保護】→【恋心】
「みなさん、今夜の宿泊施設が見つかりましたわよ。決して綺麗とは言い難い外装をしていますが、少なくとも宿泊費は浮きますわ。」
軽いジョークを飛ばしながらクリスティーナは巧みに車両を運転し、進路を教会へと切り替える。舗装されていない荒野は先ほどまでよりも激しく車体を揺らしたが、徐行に切り替えることで、比較的揺れは抑えることには成功した。
そして半ば崩れかけた教会に装甲車は停車する。修羅が後部ハッチを開き瞬時に索敵を行う。幸いにも教会付近に敵対するような外敵は居ない事を、索敵後、確認する。
クリスティーナも修羅が外周の索敵を済ませ、装甲車まで戻ってくる直前あたりでエンジンを止め、鍵を抜いた。そして、飛び降りてきたロジーナに近寄る。
「ロジーナ! 今夜の宿泊施設を見つけるなんてグッジョブですわ!」
「・・・・・ぅん・・・・。・・・・クリスティーナも・・・・操縦・・・・上手かった・・・・。」
「お褒めに授かり光栄ですわ。あ、そうだ。ロジーナは装甲車外で索敵していらっしゃったから、お話しできなかったのですけど・・・今夜とっておきの面白い話があるんですが、良かったら話を聞いて下さらない?」
「・・・・ぅん・・・・。・・・・聞く・・・・。」
対話判定
ロジーナ→クリスティーナ 1【大失敗】
【恋心】→【恋心】
表情がコロコロと変貌しボディーランゲージも含め最大限に表現をするクリスティーナにロジーナは微笑んだ。そして修羅も索敵を終え、7人の目の前に姿を現した。
「周囲の索敵を行いましたが、特に危険なものは潜んでいないようです。」
修羅は地下研究所に居た時よりも重装装備で身を固めていた。ヘルメットを着け、オプションとして暗闇でも活動できるように暗視ゴーグルが付けられている。
「んじゃ。後は、教会内部の索敵だな。・・・・纏ぃー。いつまでアタシに申し訳なさそうな顔しながら、引っ付いてんだー? あれはアタシがお前に『アタシを刺せ』って命令して、お前は仕方なくそれに従っただけだろ? お前は悪くねぇんだからもう落ち込むんじゃねぇよー。」
「ほんとうに・・・ごめんなさい・・・・。」
赤大は軽く傷を押さえながら戻ってきた修羅に視線を教会内の扉に向け、合図を送る。
すると半歩後ろの位置で俯いて申し訳なさそうにしている纏に振り返ると、もう一つの片手で頭をワシャワシャと撫でる。声色も語尾を伸ばし、怒っていない素振を見せるが纏は平謝りを続けていた。
「あちゃー。『桜井』にここまで似ているとは・・・修羅、アタシ・・・やり方ミスったよな?」
「ミスどころか大失敗と考えた方が宜しいかと。」
「ヴァー。」
「あ、あの。中の確認に行きませんか? 少し風も出てきましたし・・・。」
ぬいぬいの助言で駄弁っている5人は我に返ったような顔をする。
「ぬいぬいさんの言う通りです。フォーメーションはどうしましょうか? 私が先頭に出ます。」
「じゃ、アタシ中衛左方。」
「・・・・・・後衛で・・・・掩護・・・する・・・・。」
「わたしは中衛の中央で皆さんを護る事の出来る位置に立ちますね。」
「前衛。飛鳥。護る。」
「私は未來を守らなきゃ行けないので後衛に居ますね。」
「ボクは中衛で反対側を索敵するね。」
「えーっと、それじゃぁ、わたくしは前衛に行きますわ!」
対話判定
ロジーナ→飛鳥 5+1【成功】
飛鳥→ロジーナ 8【成功】
纏→ロジーナ 10【成功】
適当な棒を拾い上げると、修羅は立ち位置を地面に記入していく。名乗りを上げるたびにその個所に立ち位置を書き込み、3分もしないうちに不完全なフォーメーションを組み立てる。周囲は光が無ければ見辛くなるほどに日は落ちていた。赤大も暗視ゴーグルを着用し、1つ予備分をクリスティーナに装備させる。初めは星乃にも渡そうとしたが、星乃自身が断った為であった。
【後書き】
ご存知の方は、この後の展開を考える分に5話ほどで次章に進むだろうと思うでしょうが、実はまだ3分の1程しか、この章は進んでいません。他の章に比べて、今のところ一番長いかもしれません。
それも1章を読み返して探索者×ドールの関わりが少ないと感じた為ですね。