外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 探索者組は外の光景に酷く取り乱す。
 赤大は倒れ、まともに動けそうな飛鳥と星乃が、纒と赤大の補助に入る。
 絶望に打ちひしがれるなか、修羅とクリスティーナは希望を見つけ、走り出したのだった。




2章 『求める愛』
Episode3-1 『放射能汚染被曝』


 奇妙な組み合わせの8人を乗せて装甲車両は軽やかに走り出す。

 ところどころ舗装していたであろう道路も、整備がされていないために荒廃による穴があり、それが車体を揺らすものの8輪装甲車の前には微々たる振動でしかなかった。

 ぬいぬいの看病を行っている修羅が、時折クリスティーナに放射能の濃度に関する測定器の情報を伝え、クリスティーナ自身も放射能汚染の軽い場所を走っていた。

 

「・・・っぁ・・・あぁ? ここは?」

「目覚めましたか。96(くろ)の中ですよ。」

96(クロ)の? あぁ・・・やっとあの狂った世界から帰ってこれたのか・・・。長い悪夢だったな。」

「いえ、その悪夢は継続しています。第一、それが夢だとして気絶していた貴方を叩き起こすこともなく私が後部座席に座っていると思いますか?」

 

 あの胎児を拾った場所から それなりに走り出した頃、気絶していた赤大も目を覚ます。目頭を指先で抑え、装甲車の名称を聞くと何処か落ち着いたような声色になるが、修羅の無慈悲な宣告により何処か諦観したかのような顔つきになった。

 

「それで? 96(クロ)があるって事は搭載していたガスマスクや防護服なんかもあるのか?」

「・・・。残念ながら、それらの類はありませんでした。他隊員の食料や武器、弾薬、替えの燃料、応急箱などはあったのですが・・・。」

「・・・・・・。」

 

 非常に苦虫を奥歯で噛み潰したかのような表情で修羅は、残酷な現実を赤大に告げる。赤大も諦観の表情で、物資に僅かな希望に掛けていたようであったが、その望みも絶たれたことが分かると、いよいよ絶望に打ちひしがれたと言ったような顔つきになり、うつむく。

 

自分の余命を悟ってしまったSANチェック0/2

赤大63→5【成功】

修羅68→97【失敗】

68→66

 

「・・・なんとか、なるだろう!」

「・・・。・・・そうですね。今後は身の振り方を考えましょうか。・・・飛鳥さん。」

「あっ、はい! 何でしょうか?」

「もしも私に何かありましたら、ぬいぬいさんの事をよろしくお願いいたします。」

 

 赤大は苦しそうにしながらも、無理やり笑顔を作り自分の未来の予想図を考えないようにとでもするように首を横に振った。一方、修羅はぬいぬいを看病しつつも、どこか諦観している赤大と修羅に対し、話しかけようかと迷っている飛鳥に向き直ると丁寧に深々と頭を下げた。

 

「は、はいっ! 確かに承りました!」

 

 飛鳥もそんな修羅に気押しされるかのように頭を下げながら、その願いを聞き入れる。

 修羅と赤大は、互いに互いの思い人に類ずるドールに寄り添い、頭を押さえ苦しそうにするぬいぬいと纏を看病するのであった。

 

 

 




【後書き】
 新章が始まりましたね。

 そうです。前回お話した96式装輪装甲車を登場させた訳とは、ネクロニカ世界線で探索者が活動するには時間が足りなさすぎるのです。
 少しばかりインタネットの方で放射能被曝による死亡について調べてみましたが、数時間で症状が表われ、2~3日で死亡する場合もある様なのです。
 ネクロニカの世界線は核戦争後の話ですから、放射能はガッツリと残されていることでしょう。



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