外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 飛鳥の誤りは、英語のできる修羅によって無事に正しく翻訳されたものの、次は修羅が無事では済まされず四面楚歌に陥る。
 『胎児』を連れて行くかどうか、8人で相談し方針を決めたのであった。
 突如としてぬいぬいと纒の2人が苦渋に満ちたうめき声をあげながら倒れる。




Episode2-9 『大脱出』

 途端、破壊しつくした筈のリフトトバイスやミートシュレッダーが再び起動し始める。

 強襲かと6人は身構えるもそうではない。次々に爆発し始めたのである。戸棚に設置された培養槽のカプセルは振動によって落ち、床に叩きつけられるたびにカプセルが割れ、中身が零れ落ちる。更に誘爆するかのように次々と部屋の様々な場所が爆発を引き起こし、瓦解(がかい)し始めた。

 

「クソッ!! 最近の作業機械には自爆機能も備わってんのかよ!!」

「ぬいぬいは私が背負います! 赤大は纏さんをお願いします!」

「わかってらぁ!」

 動けないでいる2人を抱きかかえ、背負うことで逃走準備に取り掛かる。飛鳥も、机の上に置かれた胎児を素早く手に取ると巫女服の中へ仕舞い込んだ。感覚は無い筈であるのに、ひんやりとでもしたのか、飛鳥は身を小さく捩らせる。

 誘爆は止まることなく、引き続き爆発を続けていた。

 

目星

クリスティーナ70→6【スペシャル】

修羅80→27【成功】

星埜55→90【失敗】

赤大25→68【失敗】

 

DEX*5

クリスティーナ75→20【成功】

 

「みなさん、今の爆発で壁に穴が!! あそこから出られそうですわ!!」

「飛鳥。こっち。」

「きゃっ。」

 

 クリスティーナが指差した先には、爆発によってできた明るい光の差し込む光が見えていた。指差すのと同時に星乃が真っ先に飛鳥の手を引いて、その穴を潜り抜ける。呆気にとられながらも飛鳥は星乃に引き連れられるように爆発する穴から安全地帯へと這い出て行った。

 その行動に修羅と赤大も続く。一番巨体の星乃が通れるほどの穴であった為、纏やぬいぬいを背負った2人だとしても難なく通過することが出来た。

 

「・・・・! ・・・・・クリスティーナ・・・! ・・・・はやく・・・・!!」

「これだけ持ったら今行きます・・・・わっとぉおぉぉ!?!」

 

 ロジーナも修羅と赤大に続くようにして、潜りぬけようとした時だ。気が付いた。クリスティーナの姿が見えないと。もしや・・・といった焦燥が浮かび上がった顔で背後を見る。そこにクリスティーナは居た。武器らしきものをかき集めている。幸いにも、ロジーナが想定していた最悪の事態は免れていた様子で胸を撫で下ろす。

 ロジーナは、出口から呼びかけるもののなかなか穴に向かわない。修羅たちと、うってかわってドール側が探索者を、米俵を肩に担ぐかのように持ち上げると穴に向かって走って行った。

 直後、クリスティーナが武器をかき集めていた場所に巨大な瓦礫が降り注ぐ。あと一歩でも遅れて居ればあの瓦礫の下敷きになり、『レイヴン』と同じ運命を辿っていたことだろう。

 

「・・・・ぉぉ。ロジーナ、助かりましたわ!」

「・・・・・・はぁ・・・・・。」

 

 死んでいたかもしれないというのにも関わらず、能天気な反応を見せるクリスティーナに対し、ロジーナは溜息を1つ付いた。そしてクリスティーナの手には武器が4つほど握られており、ロジーナ自身もその量には目を丸くし同時に何処か呆れたような、微笑ましいような表情をする。

 

 

 




【後書き】
 察しの良い方なら『4人の少女』とであった時に、既に気が付いているかもしれませんが、探索者×ドール、それぞれに相棒(バディ)が居ます。一番初めに執筆していた頃は、探索者は探索者。ドールはドールと個別にして書いていたのですが、今書いているものよりも執筆の速度は鈍足で、話の展開は高速的に進んでしまったので途中で飽きてしまったんですよね。
 読み返せば、もうドールだけでよくね? と思うところも何点かあったり。
 今もそうだなんて言われてしまったら、修正できる余地もないので『次、気を付けますね』としか言えないのですが・・・。



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