外伝クトゥロニカ神話『4つの愛』   作:カロライナ

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【前回のあらすじ】
 探索者の特技は一撃必殺。ドールの特技は手数勝負。1.5倍の兵力でも覆すことは可能である。
 ロジーナの正確な狙撃は胸元の胎児ごと射貫き『レイヴン』は撃墜した。
 見事8人で協力をした結果、『レイヴン』の討伐を完遂させる。




Episode2-6 『修復の時間』

『あ。』

 

 8人の声が1つの声となってハーモニーを繰り出す。

 単純明快。壊してはいけないようなものまで、その対戦車ライフルは射抜いてしまったからである。

 

幸運

?????→11【大成功】

 

DEX*5

クリスティーナ75→75【成功】

修羅75→75【成功】

赤大75→75【成功】

星乃80→53【成功】

 

 しかし、幸運にもそのカプセルは割れることもなく『レイヴン』ごと落ちてきた。

 『レイヴン』の肉体は、そのままカプセルを抱きかかえるかのように落ちて行く。そして床と衝突すると「ブシャリ。」と鈍い音を立て高所からトマトを落下させたときと同様に肉片が周囲に爆裂四散する。

 クリスティーナ、修羅、赤大の3人は『レイヴン』が潰れる間際の顔立ちを視界の先から背けることで直視することは無かった。星乃は『レイヴン』の最期をしかと見届ける。『レイヴン』表情はしっかりと8人へ向けて、何かを必死に訴えかける様な視線であった。その瞳にはハイライトが灯っていたような気がする。

 が、星乃は気にも止めず飛鳥の方に振り返った。どうやら他の仲間に抱き抱えられるようにして、壊れてしまった脚や拳を“直して”いるようだった。そのまま星乃は潰れた『レイヴン』の元までゆったりと歩いて行く。

 

 

大切な相手が半壊になっているSANチェック0/1D3

クリスティーナ71→1【成功】

修羅67→29【成功】

赤大61→29【成功】

星乃74→42【成功】

 

 

「ロジーナ!! あぁぁっ・・・ロジーナぁ、あしが・・・・かたが・・・・・っ!」

「・・・・・大丈夫・・・・。くっつければ・・・・・元通り・・・・。・・・・ね?・・・・だから・・・・泣かないで・・・。」

「すまない・・・すまないっ・・・・私がぬいぬいを守ると約束したのに・・・・!!」

「大丈夫だよ。痛くないから。・・・そんなに謝らないで。むしろ修羅 縫さんは大丈夫? 怪我してない?」

 

 星乃が『レイヴン』のだったものに近づいている間、こちら側はこちら側で阿鼻叫喚な光景が広がっていた。基本パーツを修復するドールたちに、それぞれの探索者が寄り添い、慰める側が逆転しているという状況が起きていた。

 クリスティーナは涙を溜めていた両目を決壊させ、ボロボロと大粒の涙を流し号泣。それを抵当なパーツを拾い上げ『接着』し、『接着』の終わった肩でを動かして涙をぬぐい慰めるロジーナ。

 正座の状態で下唇を噛みしめ、非常に悔しそうにしながらぬいぬいに対して、感情を押し殺したかのような声で謝罪を述べる修羅。それを少し戸惑い困ったような表情をしながら、優しい言葉を掛けるぬいぬいの姿がそこにあった。

 

対話判定

ロジーナ→クリスティーナ 3【失敗】

ぬいぬい→修羅 5【失敗】

 

「まさか、あんな場所で電気コードに躓いて転んでしまうだなんて、流石に想定して無かったです。」

「気を付けてね。今回は偶々パーツが全員分あったから良かったけど・・・。赤大さん、ほねの代わりになりそうなものはないかな?」

「お、おう。こんなのでどうだ?」

「ありがとう。」

「お、おう・・・・縫い付ければ動くものなのか・・・?」

「詳しい事は分からないですけど、粘菌同士が接合して動くようになるみたいです。」

 

 2人のドールが探索者を慰めているのに追われている間、反対側では纏が持っている救急箱の中から縫合糸を取り出し、丁寧に飛鳥にほねとあしを縫合(ほうごう)していた。パーツが足りなくなると赤大が周囲を見渡し、動くことが出来ないドールに代わって使えそうなパーツを持ってくる。非常に戸惑うような赤大に向けて、纏は首裏にある余分な目で簡易的な表情を作りながら縫合を続けて行く。

 

対話判定

纏→赤大 2+1【失敗】

纏→飛鳥 10+2【大成功】

【依存】→【保護】

飛鳥→纏 8【成功】

飛鳥→纒 10【成功】

 

「纏さん、縫合お上手ですね! これで問題なく動けます! 赤大さんも、私に合うパーツを探し出してくれてありがとうございました!」

「いやアタシはその分 飛鳥や纏に助けて貰っているからな。お互い様だ。また必要な時は探してくるよ。」

「そう言って頂けると助かります!」

「それじゃ、アタシは纏の部品調達があるから。」

「はい。ありがとうございました!」

 

 丁寧に頭を下げる飛鳥に対し、赤大は手を血液のような粘菌で赤く染めながら振り返ることもなく、手を振り、纏の元まで向かって行く。

 

「纏ー。そっちはどうだー? 合うパーツは見つかったかー?」

「今、縫合してるところ。」

「でよ、ちょっと気になることがあるんだけどさ。」

「なにかな?」

「お前の首筋の瞳って視野として見えてんの?」

「みえてるよ。視界を3等分にして下の部分に背後の景色が見えているって感じかな。」

「うへぇー、酔ったりしねぇの?」

「不思議と酔わないかな。むしろ視界が広いから奇襲にも対応できるね。」

 

対話判定

纏→赤大 4【失敗】

 

 他の姉妹より復帰した飛鳥は、遠目から和やかな雰囲気を生暖かい目で観察していた。

 クリスティーナはロジーナに慰められ、今はロジーナの両大腿の中に顔を埋めることで事なきを得ているようであり、修羅もまた 纏から縫合針を受け取ると覚束(おぼつ)ない手取りで、ぬいぬいの手の届かないメイド服破損個所を縫い直している。

 その間、ロジーナは修復した手で優しくクリスティーナの後頭部を撫で、ぬいぬいは何処か恥ずかしそうに恥じらいながら大人しく破損個所を縫い直して貰っていた。

 

対話判定+1

ロジーナ→クリスティーナ 5+1【成功】

ぬいぬい→修羅 6+1【成功】

 

 

 




【後書き】
 因みに1度、第二章の話まで全体的に修復しています。
 原因はネクロニカルールに存在する【未練】の取得数(ルルブP.111)について。ネクロニカルルブを購入して3セッションほどシナリオを楽しみ、2週間目ぐらいからこの小説の執筆を始めたのでルールが、まだ完全じゃなかったんですよね。

 修復はしましたが、名残として『纒』が『修羅』に嫌悪のまなざしで見つめていたり、『ロジーナ』が『星乃』に対して『纒』と同様な感情を抱いていたりします。
 しかし、未練はないので発狂はしませんし、狂気点取得もないですね。



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