やはり俺が小学生と青春するのは間違っている。 作:雨上がりに咲く花
最近、この八幡えらく崩壊してんな〜と思いながらも元々、ひねくれる前はこれくらい素直だったのかも等と妄想を膨らませながら書くのが凄く楽しくなってきてますw
それでは、駄文ですが暇潰しにでもどうぞ!!
「全く、何だったんだよ!アイツ!!」
と、真帆は文句を言いながら頬を膨らませる。
俺達は今、雪ノ下達から離れ待ち合わせ場所で美星先生を待っていた。
「すまんな、雪ノ下も悪い奴では無いんだが……」
「はっちんは悪く無いよ!!悪いのはあのムカつくペチャパイだし!!」
「比企谷さん、私も親しき仲にも礼儀あり…だと思います」
紗季も真帆に同調するかの様に呟く。いや、恐ろしくその通りなんだがな…
「ま、まぁ!あの人の事は今は置いておこう?これからせっかく合宿なんだし…ね?」
皆が俯く中、この重苦しい空気を払い除ける為に口を開いたのは智花だった。
「…だな、皆。とにかく俺の知り合いが不快な思いをさせた事は俺に免じて許してくれ。だが智花の言う通りこれから合宿だ、せっかく用意してくれた美星先生の為にも全力で楽しもう…な?」
「はっちん……そだね!せっかくのはっちんとの練習、楽しまなきゃ勿体無いしね!」
「お〜、ひなも楽しむっ!」
「……そう、ですね」
と、何処か歯切れの悪い愛莉。そんなに俺の為に怒ってくれてたのかよ……何か嬉しいのやら何なのやら。
「愛莉、さっきはありがとうな。俺の為にあんなに怒ってくれて……その…正直、あそこまで俺の事を思って庇ってくれたのはお前が初めてだよ。」
俺は愛莉に近付き、肩に手を置きながら告げる。…俺はいつからこんなに素直キャラになったんだよ、ったく…でもこれも悪くは無い、というより本来ならこれが普通なのだろう。
「ひ、比企谷さん……私はただ、大事な人が傷付けられるのが許せなかっただけですよ…」
「だ、大事なって、んな大袈裟な……まぁ、確かに愛莉は俺にとっても大事な女の子だけどよ…」
「へっ!?」
途端に愛莉の顔は俺を見つめながらみるみると赤く染まり始める。
「おぉぉ!すっげぇ!!はっちんがアイリーンに告った!?」
「はっ!?ばっかちげぇよ!?!?」
何を口走りやがるんだおいまほまほ!?
「落ち着きなさいよ、真帆!これは急展開だわ…!!」
「お〜、おにいちゃん。ひなは?ひなも大事?」
こんな時までぶれないひなたちゃんマジHMTだわ…。
「だから、そういうつもりじゃねぇって。それに愛莉が迷惑だろ……」
「わ、私は比企谷さんなら……」
おい待てぇぇ!?何故火に油を注ぐの愛莉さん!?いや、嬉しい。凄い嬉しいけど頬を赤らめながらもじもじして言わないで!?それを今言ったら…
「な……比企谷さんがまさか愛莉と相思相愛なんて!?きゃぁ!何て展開なのこれ!?」
「う、うぅぅぅぅ……」
「お〜、智花がしたむいてふるえてるっ」
「おっと!ここでもっかんの機嫌が悪くなってきたぞ〜!!」
「ち、違うもん!!」
「おーっす、お前達〜!!」
と馬鹿騒ぎをしていると美星先生がやって来た。何て良いタイミングで…助かります。
「と、取敢ず行くぞ?ほら」
俺は智花達を促し、美星先生の車へと乗り込んだのだった。
どうも皆さん!こんにちは〜私は比企谷小町です!
お兄ちゃんが出ていった後、私も急いで雪乃さん達との待ち合わせ場所に来てみると……
「ゆ、ゆきのん…」
「……大丈夫よ、由比ヶ浜さん。もう平気だから」
えぇぇ!?何この重苦しい空気!?何があったんだろ……。
「皆〜!お待たせって…あれ?八幡は??」
とそこへやって来たのはお兄ちゃんが良く話している戸塚先輩。
「あ、すみません。兄なら用事があるみたいで……」
「そうなんだ、残念…って、君が八幡の妹さん?」
「はい、比企谷小町ですっ!!宜しくですっ」
そして私達は幾つか会話を交しながら、いつの間にか落ち着いた雪ノ下さん達と共にやって来た平塚先生の車へと乗り込んだ。
「ね、寝心地はどう…ですか?」
「わ、悪く無い…」
俺達は今、美星先生の車の中なのだが…只今右隣の智花の膝で膝枕されながら、左隣のひなたちゃんの膝に足を乗せて横になっている。何故こうなったのか…かれこれ30分前に遡る。
「お〜、はいっ。おにいちゃん?あーん?」
「あ、あーん…」
かれこれ30分位はこれが続いている…が、俺の頭の中は先程の雪ノ下の事を考えていた。あの雪の下でも、子供にあんな事言われて平気なのだろうか…確かに俺は雪ノ下の暴言にはもう慣れている、が確かに第三者の目から見れば気持ちの良いものでは無いかも知れないな。
「あの…八幡さん、大丈夫ですか?お加減が悪いとか?」
右隣に座る智花に声を掛けられ意識が思考を巡らせるのを止める。
「あ、いや……何でもない。少し車に酔ったかもな」
「お〜?おにいちゃん車酔い??」
「え!?大丈夫ですか!?それなら横にならないと…えっと、枕…枕…」
「別にそこまでじゃないから気にしなくていいぞ?」
「駄目ですよ!?お身体に障りますから…えっと、八幡さん…取敢ず、私のひっ…ひっ…」
と、そこまで言いかけて智花は頬を赤らめる。しかし、頭を上げ軽く左右に振ると俺に向き直り
「私の膝枕にどうぞ!!」
そして今、俺は智花の膝枕で横になっている……じゃねぇよ!?
いや確かに、断ったら「私のじゃダメですよね…」とか言われるんだから仕方ないよね?ってそうじゃねぇ!!大問題だろこれ!?小学生の女の子の膝枕に寝転ぶとかどんな御褒bっゲフンゲフン、幸い後ろに座る真帆と紗季、俺に代わり助手席に座る愛莉は眠りについている…が、これはまずいだろ!?
「にゃははん!!比企谷コーチ、愛されてるねぇ〜。コーチのし甲斐があるでしょ〜?」
「いやまぁ…はい」
茶化す様に美星先生がそう言うが…ツッコミを入れる気力も智花の膝枕の効力か吸い取られていく。
「おにいちゃんのふくらはぎ〜、もみもみ〜」
俺これ死ねる、うん。ごめんな?戸塚…小町…もうこの魅力から抜け出せそうにないわ…。
「よし、着いたぞ〜?」
「ん…?おぉ!!着いたんだ!って…えぇぇ!?もっかん!?何この状況!?」
目的地に辿り着き、前の座席を見れば八幡が智花に膝枕されたまま眠っている。
この後、すっかり女バスの会話は俺が愛莉派なのか智花派なのか、或いは両方狙う二股狙いなのかという会話で盛り上がったのだとさ。
やほ〜!再び小町です!
私達を乗せた車は目的地へと辿り着き、外に下りてもう一つの班と合流を果たしました。
「おーい!!優美子、とべっち〜!!」
「おっす、結衣」
「やぁ、結衣、戸塚君、雪ノ下さん。えと…そちらの方は?」
「あ、葉山君やっはろー!こっちはヒッキーの妹の小町ちゃん!!」
「どうもですっ」
「そうか、俺は葉山隼人。宜しく」
うわぁ、絵に描いたようなイケメンだな…この人。
「あれあれぇ?というかヒキタニ君は??来てない系??」
「あ、うん…ヒッキーは別け…えぇ!?」
結衣先輩は突然驚いた声を上げていた。私もその視線を追い掛けると、そこには……
「しっかし、暑いねぇ〜はっちん」
「だな、こんなに暑いと練習プランも色々と練らねぇと……」
「いつもありがとうございます、比企谷さん。せっかくの夏休みなのに私達に付き合ってもらっちゃって…」
「相変わらずしっかりしてんな、紗季は。でも安心しろよ、俺が来たくてここにきてんだからな」
「比企谷さん…ふふ、そうですね」
「お〜、おにいちゃんあめたべる?しおあめだよ??」
「お、ひなたちゃん気が利くな」
何と、あのお兄ちゃんのが小学生と楽しそうに話しながら歩いてきたんです。
「ひ、比企谷!?」
思わず声を上げていた葉山さんに気付くと、お兄ちゃんは抜の悪そうな表情を浮かべ
「皆逃げろ!」
と随分とまぁ危機迫った顔で告げてその場から退散していた。
キャンプ合宿の挨拶が執り行われる中、葉山は俺に近付いてきた。
「比企谷、彼女達は?」
「俺がバスケを教えてる女の子達。平塚先生の古い友人が担任でな、伝手を伝って俺のところまで来たって話だ」
「なるほど、そういう事だったか」
「あぁ、今回俺はあの子達と練習合宿をするから…そっちに関わる事は無い」
「……そうか」
葉山が俺から離れた後、小町が猛ダッシュで俺の所へとやって来た。なに?そんなにお兄ちゃんに会いたかったの小町ちゃん??
「お兄ちゃん!?どういう事!?」
小町には何とか葉山と同じ様に説明し、理解して貰ったが…
「後でちゃんと教えてね?あ、智花ちゃんの事もっ♪」
妹による尋問は確定的なものとなりながら、俺は体育館へと足を向けた。
「愛莉!もっと攻めて行け!まほまほは智花をマークしろ!!」
「「はい!!」」
「ひなたちゃんはパスの受けやすい場所へ!紗季、良いぞ!!もっと積極的に抜いて行け!!」
「お〜!」
「はい!!」
「そろそろ時間か……よし!そこまで!!一旦休憩!!」
「ふぅ〜、紅白戦は楽しいねぇ〜はっちん!!」
「まぁ、実践に勝る経験はないからな」
「えへへ、何だか着実にレベルアップしてる気がして凄く楽しいですっ」
「愛莉も大分とセンターに慣れてきたな、このまま慧心の大きな武器になってくれ」
「はいっ!えへへ…」
「へぇ〜、こんな所に体育館あんじゃんって…あれ、ヒキオ?」
と、ぞろぞろと葉山グループ御一行が体育館へと入ってきた。
「おっ、バスケやってる系?楽しそうじゃん!!俺らもやらね?」
「バスケか…良いね、休憩時間はまだあるし」
何勝手に話進めてやがんだよ…アイツ等。
「おい待て、今は女バスの練習時間だ。お前等使用許可は取ったのか?」
「はぁ?んな事一々良いじゃんよ、大体半分くらい使っても文句無いっしょ?」
「ここは走り込みなんかも使うから困るんだよ、帰ってくれ」
「おいおい、そりゃないっしょーヒキタニ君?いいじゃん別に〜」
勝手だな、おい…こっちは真剣に…
「ま、まぁまぁ…皆で[遊んだ]方が楽しいだろ?」
「おい!!!!」
真帆が限界なのか立ち上がり、葉山に詰め寄る。
「遊びじゃねぇんだよ!!私等は真剣にバスケしてんだよ!!」
「はぁ?何この糞ガキ、ムカつくんですけど」
ったく…既に三浦と真帆は臨戦態勢か、まぁ最悪…真帆に何かする様なら俺にも考えがあるが。
「ま、まぁ…とにかく、皆でやった方が楽しいだろ?ほら」
と、運動得意な葉山が落ちていたボールをドリブルし始め、一気に駆け出した…が
「っ!!」
気付いた時には葉山の手にしていたボールは葉山の手元には無かった。
「……出て行って下さい、このレベルなら遊びにもなりません」
薄紅色の髪を揺らし、葉山からボールを奪った少女は普段から考えられないくらい低い声を出しつつ葉山を睨み付ける。
「す…凄いね、君。不意打ちとはいえ凄いよ」
葉山は少し震えながらも、智花に対してそう告げる。
「…っ!」
智花は葉山の言葉など聞かず、ドリブルで葉山に攻め込む。流石の葉山も2回目はしっかりとディフェンスの構えを取る…が、智花はいとも簡単にドライブで抜き去り華麗なレイアップを決めて見せた。
「2度は言いませんよ、出て行って下さい…」
「は、はぁ?ちょっとバスケ上手いからって調子に乗って…あーし等下手な連中はバスケしちゃいけないって訳?」
「そんな事言ってね「ふざけんじゃねぇ!!!!」
気付いた時には、真帆の言葉を遮って叫んでいた。
突然あげた俺の声に三浦だけでなく葉山まで驚いている。
「ざけんじゃねぇよ!?智花達が調子に乗る?何も知らない奴が知った口を聞くな!!この子達は自分達の居場所を自分達の手でやっと守り抜いたんだ!!お前等みたいな友達ごっこやってる連中が智花達を馬鹿にしていい理由は無い!お前等が学校でどんだけふんぞり返ろうが知った事じゃないけどな、智花達にまで偉そうな口を叩ける道理はねぇんだよ!出てい来やがれ最低野郎共が!!!!!」
「…比企谷………すまない」
葉山は終始驚いた顔を止める事は無く、三浦達を連れて体育館から出ていった。
何してんだよ、何やってんだよ…俺、こんなんじゃ夏休み明けには虐めの餌食だな……上位カーストに喧嘩売るとか、俺はひっそりボッチで生きていくんじゃ無かったのかよ……とか言いつつも、俺に後悔は無かった。寧ろ、何処か心は晴れやかな物だ。
「……ばっかみたい」
こちらを見つめる一人の少女には気付かないまま、俺達は練習を再開させたのだった。
次回は少し、番外編としてほのぼのコメディ回を作ろうと思います。