やはり俺が小学生と青春するのは間違っている。 作:雨上がりに咲く花
ではでは、今回も駄文見辛いかと思いますが……良ければ楽しんでください!!
「……つ-訳で、昨日は悪かったな。ろくに説明もせずによ」
翌日、俺は真帆達に頭を下げた。正直許してもらえないかもしれないが……それでも
「でも、これだけは聞いてくれ。絶対勝たせてやる、俺は一度受けた仕事はきっちりこなすからな」
と、弄れ混じり照れ隠しに発した言葉にメンバーは自然と頬を緩め
「しょ-がないなぁ、許してやるか!はっちん!!」
と真帆が蔓延の笑みで俺の手を取る。
「まほまほ……」
俺も自然と頬が緩んだ。こんなにもいい笑顔を俺なんかに向けてくれる、また今までに感じたことのない心地よさを俺はしっかりと感じた。
「私たちも甘かったんです、もっともっと練習しますから!」
「私も頑張ります!!」
「お〜、ひなもやるっ!」
「八幡さん、改めてよろしくお願いします」
紗季、愛莉、ひなた、智花の順で俺にそう告げる。
「あぁ……改めて宜しく頼むわ」
年下相手だとこんなに素直になれるのか……いや、これは智花の話を聞いたからか。
智花にはぼっちになって欲しくない、これからもこいつを頼むぞ?お前等……。
心の中でそんな事を思いながら、俺は頷いた。
「それじゃあ、ランニング行ってきま-す」
「おう、後で追い掛けるわ。」
俺はまず、愛莉とひなたの2人に基礎体力を付けて貰う為基本的なランニングを指示し監督役に智花を選び送り出した。
そして
「ねぇ、はっちん?この場所からでいいの??」
「あぁ、そこで良い。今日から2人にはシュート練習をして貰うぞ。本番まではその位置からだけシュート打つんだ」
「あの、少し遠くないですか?」
紗季が疑問そうに俺に問い掛ける。
「ま、物は試しだ。ほれ?取り敢えず打ってみろ」
「はい…ッ!」
紗季のシュートはゴールには届くものの、やはり入らず……しかし
「ん……OK、OK。いい感じなんじゃねぇの?そんじゃ、次真帆な?」
「りょ-かい!見ててよ〜…?えいッ!!」
真帆が勢いよくシュートを放つ。
「入れ〜!!」
が、惜しくもそれはゴールリンクに弾かれる。
「距離は2人とも届いてるし、問題ねぇよ。後は膝を柔らかくして基本のフォームを思い出してみ?」
「あ、はい!分かりました」
「お互いに悪い所は指摘しあって教えあって行けばいい、そうすればお互い良くなるからよ」
「「はい!」」
俺の言葉に素直に頷く2人。今なら少し、平塚先生の生徒に対する思いってのがわかる気がするな……そんな事を考えながら俺は智花達の跡を追う為体育館を出る。
「ひなたしっかり!」
出るや否や、何とひなたは愛莉の膝の上でぐったりとしていた。
「お、おい!?大丈夫か!?」
「ごめんなさい、ひなたの体調に気付いてあげられなくて……」
俺も慌ててその側に駆け寄り様子を確認する。これで倒れられたら大変だぞ……顔を覗き込み、様子を伺えば
「大丈夫……だよ?おにいちゃん」
そう言って戸塚並の、いや下手をすれば戸塚以上の輝く笑顔を俺に向けてきた。
「うぐッ!?!?」
その時だった!胸の奥からやってくる使命感に、俺は慌ててひなたを抱え立ち上がり口から言葉が飛び出る。
「くっそぉぉぉ!!衛生兵!!衛生兵はどこだ!?我らが姫が倒れたぞ!?おい、誰か!?メディィィィィィィッック!!!!!!」
俺は冷静になり、目の前に倒れる新たなマイスイートエンジェルを救う方法を片っ端から考え始めた。
そして、出た答えは……
「ここは学校、つまり衛生兵は……保健室!」
決め顔で答えを導き出せば、俺はひなたを背負い全力疾走した。
「おい、ひなた!しっかりしろ!!」
「…にゃんにゃんにゃ〜ん……平気、お兄ちゃんの背中で少し元気になりました」
と甘ったるいほっこりするような声で囁く。
あ、この子は間違いなく天使ですね、はい。うちの小町の座を脅かす奴が現れるとは……!!
「…ん、脱げねぇな…」
下駄箱に着き、靴を脱ごうとするも中々しっかり履いてきた様で足だけでは脱げない。
仕方なく背中に乗る俺の新たなマイラブリーエンジェルに降りるように促せば
「だめぇ〜!!」
といきなり耳元で怒られてしまいました。
「あ、いや……靴脱げないんで降りてもらっても?」
「嫌です、ひなはおにいちゃんの背中が気に入りましたっ」
満面の笑みで答える天使の回答に俺はあっさり
「ならば仕方ないか……」
「おい、お前……ひなたになにしてんだよ!?」
と目の前から何やら盗賊Aが現れた。
八幡はどうする?
ひなたを守り戦う ひなたを守り逃げる
話し合う 名前をまず聞く
と謎の選択肢が俺の頭に浮かんでいると
「お〜、たけなか〜!ぎゅっ」
あぁ、なるほど。こいつが男バスの竹中かって、ちょっとひなたさん?地味にまた抱き着いてくるの辞めてくれませんか?幸せすぎて死にますよ?
「あんたが噂の女バスのコーチか、変な目しやがって。もしかしてひなた達に何かしようとしたんじゃねぇだろうな!?」
いや、目は否定しないが……って、こんな目をしてたら誤解も招くか。
「んな訳あるか、ひなたが体調悪そうだったから運んで来たんだよ」
「え?もしかして怪我したのか!?」
「お〜、してない」
「何だ、良かった……。」
こいつ、さっきからひなたの事は特に心配してるが……まさか?
「ふん!あんたが女バスのコーチだろうが、勝つのは俺達だ!!せいぜい足掻くんだな?だ〜はっはっはっは!!」
「……待てよ」
余裕の表情で立ち去る竹中の後ろ姿に、普段よりも更に低い声を出す。
その声にさすがの竹中も少し怯んだのか
「……なんだよ?」
強ばった声色で返してくる。
そんな竹中の目をしっかりと見つめながら、俺は言葉を放った。
「……靴、脱がせてくれませんか?」
俺は盗賊Aもとい、竹中を退けるとひなたを保健室のベッドへと寝かせる。
「ねぇ、おにいちゃん」
「ん?」
「ひな、終わりたくない……」
「え?」
「もっとみんなと部活したい。でもひな、下手くそで足遅い、シュート届かない……お願いします、ひなも頑張りますからひなにもバスケ教えてくださいっ」
それは余りにもか細い声から発しられた、確かな少女の意思。
俺が思う以上に、この5人の結束は強い。改めて見せつけられたと同時に責任感もやってくる。
出来ることは全てやり、もっと言えば得体の知れない俺に縋ってでも彼女達はこの場所を失いたくない。
こんな重い依頼は、多分初めてだしこれからも受けることはないだろう。
「……ひなたは、バスケが好きか?」
「お〜、みんなとするの楽しいっ」
「……明日からはもっと厳しくなるし、ひなただけを優しくなんてのは出来ないが……それでもやるか?」
「お〜、どんと来いっ」
柔らかな笑とは裏腹に、確かな力強さを感じた。
「はぁ〜、練習疲れた〜」
練習終わり、八幡と別れた後皆でドーナツ屋に立ち寄り買い食いをしていた。そんな中、真帆は大きな声を上げる。
「結構みっちりやったもんね」
「私のレベル、はっちんが5くらい上がったって!もうにばんどうろのコラッタは屁でもないってさ!」
「私は6だもん。」
と小声で張り合う紗季。
そんな楽しげな談笑の中、1人の少女だけが浮かない顔をしていた。
「はぁ……」
帰り道、愛莉は一人落ち込んでいた。
身長の事もあるが、一人ボールが怖くて逃げてしまう。こんな私がいつまでも足を引っ張ってしまっている。いつまでもそれでは駄目なのに、気持ちをコントロール出来ない事にまた溜息を一つ漏らしていた。
今回は短めですみません…今日中にバス試合編は完結予定なのでしばしお待ちください!!