はじめに、願いがありました。
どんな伝説でも、どんな物語でも、いつも始まりは誰かの願いでした。
人々が困難に直面して立ち止まる度に、小さく純粋な願いが、祈りが、みんなの希望となって道を
しかし、願う者達が報われる事はとても
それどころか、時には願いから生まれた力が、それに救われた筈の者達から恐れられたり、良からぬ事の為に利用されたりする事さえあり、願う者達はその純粋さ
女神さまはそんな魂達を憐れみ、雨の様な涙を
かわいそうに。かわいそうに。
女神さまは
―――文字通り、世界の果て。
過去、現在、未来。過去、現在、未来―――無限に広がる真っ暗な空間の中に、あらゆる世界が生まれてから滅ぶまでの瞬間が凝縮されて詰まっている。そしていと高き、それらの景色全てを見下ろせる程高い位置に、
その周りを浮遊する、太陽に対する地球の様に小さな魂の一つが声を発する。
「…………長かったねえ……此処まで来るのに」
「うん」
太陽が短く答えた。
因果律さえ捻じ曲げる程の願いによって新たに創り直された世界、その全ての日々では、生涯を終えた魔法少女達は呪いに取り憑かれず、望まず誰かを憎んで苦しむ事は無い様に見えた。しかし……
「でも、取り敢えずこれでお互い、オツカレサマって事だよね?」
「ううん、まだ全然終わってないよ」
「?」
「確かに、創り直す前の世界で魔女になる運命にあった子達は全員連れて来られた……でも、わたしはその為に世界の在り方を大きく変え過ぎちゃったから……その影響で、新しく魔法少女になった子や、魔女になりそうになっている子が、これから出て来るかも知れない。
ううん、沢山出て来る。わたしには分かるの」
「その子達もみんな救うつもりなの?まどか一人がやらなきゃいけない事なのかな……それは」
「やめる訳には行かないよ。これはわたしが自分で選んだ道だから……
…そろそろ行かなくちゃ。押し潰されそうになっている魔法少女を探しにいかな…いと…」
その時、太陽が震えた。
その振動はわずかながら全ての世界にも伝わり、大地が震えた。
「…………まどか?どうしたの?まどか⁉」
太陽が傾く。
その
エネルギー体は、何処の世界の何時の時代かも分からない砂漠に墜落した。
その時にはもう、太陽の様な光を放っていた大いなる存在は、何処にでも居る女の子位に小さくなってしまっていた。
「まどか、しっかりして、まどかっ‼」
さやかが声をかける。まどかの背中から生えた翼は、擦り切れて殆ど羽根が抜けかけていた。
「あんた……こんなに自分をすり減らして…!」
「ううう……っ!
いか…なくちゃ、みんなの……ところに…!
たいへんな……こと……!」
なんかすいません、こんな世界滅亡みたいな感じで……