まどマギ式☆霊界ナビ   作:サムズアップ・ピース

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 本編とは関係ない

☆ ☆ ☆ ☆ ☆




いろは「みんな沢山年賀状が来てるなぁ……あっ、やちよさんっ」
やちよ「どうかしたの、環さん」
いろは「マギウスの翼から年賀状が来てます!」
やちよ「本当⁉何て書いてあるの⁉」
いろは「『みかづき荘の皆様へ 新年あけましておめでとう 今年こそ邪魔者は殺す』」
やちよ「どっかで見た事があるわね……まさか、宛名の所にマギウスのアジトの住所が書いてあるなんて言わないわよね」
いろは「あっ、やちよさん、何で分かったんですか」



7 ドント・ストップ・ミー・ナオ

 その翌日から、私は作業に取り掛かった。

 しかるべき相談所におじおば家族の目を盗んでこっそり電話をかけたのだ。いとこが学校から貰って来た、電話番号が書かれたカードが要らなーいとゴミ箱に捨ててあったのが役に立った。

 児童保護施設の人にはおばさん達を訴える事も出来ると言われたが、やめておいた。一応育てて貰った恩はある。二度と私の目の前に現れないでくれれば充分だ。

 

 その後、施設に引き取られてからそう時間もかからずに無事に引き取り手の見つかった私は本当にラッキーだと思う。新しい父親の拓真(たくま)さん。母親の摩耶(まや)さん。そして、姉妹の敦子。現在私が住んでいる日番谷の一家だ。

 施設を抜ける際、他の子供達の恨めしそうな視線が直視出来なくて、逃げる様に出て行った。

 

 施設に居た頃の記憶は、期間が短かった所為(せい)か実は非常に曖昧だ。元居た所から結構遠く、違う市だったかも知れない。顔や名前を思い出せない子も沢山居る。今頃どうなっているのやら……

 印象に残っている事と言えば……何だろう、赤いツツジが綺麗に咲いていた事位かなあ。

 あ、後、院長さんがめっちゃ良い人だった(よう)な。まあ、どちらにせよ大した手掛かりにはならないだろう。

 

 そんな事があってから一か月程経った頃だろうか?

 日番谷一家は、皆、善良で話しやすい人達で、言わば居候の立場に過ぎない私を快く受け入れてくれたお陰で、すぐに馴染む事が出来、新しい家に移ってから転校した学校も居心地がよく、前とは違って友達なんてものまで出来た。と言うか、それは私自身の変化だったのだろう。自分の存在を認めてくれる人達が出来たお陰で自分に自信が付き、他人と物怖じせずに話せる様になって行ったのだ。私が相手の気持ちが何と無く分かる事を自覚し始めたのはこの頃で(それまではみんなそうだと思っていた)、その技術の社会での使い方を少しずつ模索していた。

 私の新しいお母さんと言うのは、世間の「お母さん」と呼ばれる人達と比べるとちょっと若いが(私の本当のお母さんよりは年上だろうけど)凄い人で、毎日何か一つは私の事を褒めてくれる。特別な事でなくても、大袈裟な位に。

 

「へぇ~、クラス委員になったんだ?凄いじゃん、頑張って」

「手伝ってくれてありがとう。奈尾が居てくれて本当に助かってるよ」

「奈尾の笑顔は可愛くて素敵だね。もっと沢山笑いな」

 

 別に気を遣ってくれている訳じゃない。気を遣っていれば、私には分かる。おばさんのような含みも無い。

 勿論私だけ贔屓されているって訳じゃ無くて、あっこにもちゃんと同じだけの言葉をかけている。愛情を注いでいる。

 ひょっとしたら他の家庭ではそれは当たり前の事なのかも知れないけど、事あるごとに罵声を浴びせられていた前の家と比べたら、最高の場所だった。

 幸せだった。今もとっても幸せ。

 

 だが人間と言うのは、どうやら幸せでも思い悩む生き物らしかった。(むし)ろ幸せだからこそ、その頃の私の胸の中に生まれた思いがあった。

 私……こんなに幸せで良いのかな?

 幸せなままで……良いんだろうか?

 世の中には世間に知られていないだけで、かつての私かそれ以上に不幸な人達が沢山紛れているんじゃないか?「幸せである」と言う事がどんなに幸せなのか、分かっている(つもり。子供の()れ言と思って大目に見てよ)の私だからこそ、出来る事は……無いのかな。

 その頃の私は、何時か家を追い出された夜に私を助けてくれた、人生を自分自身の手で切り拓くきっかけを作ってくれたあの人の事ばかり思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法少女。

 確かにそう言っていた様な……。

 そうだ、考えてみたら、あの日、私はあの人にお礼すら言わなかったじゃないか。

 あの人にもう一度会いたいな。私も、その、「魔法少女」とやらになれば、何処かで会えるのかな……どうやってなったもんか。

 何度倒されてもすぐに立ち上がり、誰かの心を切り刻む不幸を吹き飛ばしてあげられる様な人に、私もなりたい。

 

 丁度(ちょうど)そんな時期に友達から聞いた話だった。

「……それ、私の前の家の近くかも」

「マジで?ヤバいね。

 住む人の居なくなった古い教会が、何でか取り壊されもせずにそのまま放置されてるんだって。

 何かね、実際その教会って言うのもちょっといわくがあって、数年前に急にテレビに取り上げられたり有名になったと思ったら、突然牧師が奥さんと娘達を刺し殺して自分も首を吊って自殺しておまけに教会に火を付けちゃったんだって。娘の一人は今でも死体が見つかってないみたい」

「何でまた……」

「だからさあ、呪いだって。オカルト的なアレなんだって。

 実際、牧師も死ぬ直前に『この教会には魔女が住み着いている』とかブツブツ言ってるのを見た人が居るってさ」

 今じゃすっかり廃墟になって、周辺住民にはオバケヤシキと呼ばれるその教会に『彼女』は居るって、風見野市じゃ(もっぱ)らのウワサ、オーコワイ、と、その友達は奇妙な節を付けて歌う様に言った。

 

 単なる「ウワサ」として片付けてしまえばそれまでだが、直感にピンと来る物があった。

 その日は授業が終わるとその足で図書館に行き、当時の事件の資料が無いか探した。

 

「……『あんず』?……『あんこ』?……『さくらきょうこ』……佐倉?」

 




 マギレコネタすいません……
 そして遅くなった事もお詫びさせて頂きます。遅くなったけどあけましておめでとうございます。あんまり静かだと寂しくなって来るんで冷やかしでも何でも良いからコメントくれたら嬉しいです。中途半端なとこで何言ってんだって話ですけど。

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