退屈な日常に刺激を求め、好奇心旺盛。此処は自分の居るべき場所では無いと、何時も思っていた。顔の作りが綺麗な事から生頭奈に言い寄って来る男子は大勢居たが、彼女からしてみればそんな
その内、彼女は親に内緒で、出会い系サイトと言う物を始める事になる。
そこには彼女が今まで知らなかった世界が広がっていた。
出会った男性は、物腰が柔らかく、見た目もカッコ良くて、何より生頭奈にとっては未知の輝き、彼女が今まで知り得なかった「大人の世界」の香りを常に身体からさせていた。
彼は生頭奈を、今まで知らなかった色々な所に連れ出し、今まで見た事も無い様な素敵な服やアクセ、楽しい遊び、そしてお酒の味を教えてくれた。生頭奈に対して何時も優しく声をかけてくれ、猿の惑星での暮らしで疲れた彼女の心を癒してくれた。彼と一緒に居る時間こそ生頭奈にとっては一番大切になり、他の事はどうでも良くなった。
彼女は恋に恋する乙女だった。もう、彼女は誰かに依存しなければ生きて行けなくなってしまっていた。
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素行がすっかり不良のそれになった生頭奈は、何時もの様に友達と一緒に平日から遊び回り、オバケもとっくに布団に入って寝ていると言う
何処のお店もやっていない。明かりが点いているのはコンビニやファミレス位の物。
家に帰るつもりは無かった。もう何日も家には帰っていなかった。マンガ喫茶か友達の家を探して、泊めて貰うだけだった。
その時、こんな夜遅くに大声でお喋りしながら歩いて来る者があった。
嫌な物を感じて、反射的に彼女は身を隠した。
「……最近のJKってのは、親から一杯お小遣い貰ってるからさあ、意外と美味いんだよ。
だからさぁ、女ってのは人間扱いしちゃいけないんだって。犬か何かだと思って躾けてやりゃあ良いの。最悪顔殴るぞって脅しゃあどうにでもなるから。向こうもそれで喜んでる訳だしね、馬鹿だから。
愛情だとか、そんなもんないない。棄てる時に面倒臭いじゃない。ホストとしちゃあ危険だよ、そう言うの」
骨の髄までアルコールがどっぷり染み込み、すっかり酔っぱらって。
何時も会う時のカッコ良い物腰とは違う、べろんべろんのだらしない姿で、生頭奈の憧れの彼は、人をヒトとも思わない本性を、例えるならそれはまるで大きな
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吹き抜ける冷たい風は、肌を刺す様でもあり、同時に心地よくもあった。
こんな
お腹にそっと手を当ててみると、小さな心臓の感触があった。
さっきまでは彼と自分との間の想いの証の様に思われていた
お腹を地面に叩き付けるつもりで、彼女は寒風吹き荒ぶ夜の学校の屋上から飛び降りた。
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芽育生頭奈が―――お母さんが飛び降りた後の事。
お腹から叩き出された赤ちゃんは―――私は、芽育奈尾は、普通の新生児の半分の大きさにも満たない超未熟児だった。
「あの」台詞、描いてると心が痛くなって来るなぁ……
と言うか、こんなの描いてる所を誰かに見られたら変な誤解受けそうで……
あ、奈尾のお母さんの名前ですが、「治す」に対して「傷」のイメージで付けました。
また「頭」と言う文字が入っているのは、「尾」の対比だったり。