ハイスクールDxD 書き換える者    作:裕 紫翠

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番外編第2弾
イッセーが瑚太郎に憧れるだけのお話


俺、憧れました

ヒーローに出会った。いや、ヒーローなんかよりも格好いい奴って言う方が正しいかも知れない

 

小学5年、夏

夏休みで俺と松田、元浜、瑚太郎の3人でいつもの様に公園で気で探る隠れんぼをして遊んでた。

何故か瑚太郎だけには未だに勝てないのだけど...まぁそんなことは良いや

いつもの様に馬鹿みたいにはしゃいで帰るそれだけ

けどその日はよる遅くまで遊んでた、具体的な時間は忘れたけど夜遅くだったと思う

みんなで『ヤベェ怒られる!』って言って慌てて帰った

その日、俺は瑚太郎の家で泊まる予定だったのだけど、瑚太郎の両親はいない

瑚太郎の家に行ったのはそれが初めてだった。

親もいないのに1人で生活していて凄いな〜何て思っていた

確かに瑚太郎の家には塵一つ落ちているように見えなかったし、武家屋敷みたいな大きさの家はとても憧れた

 

聞けば、瑚太郎は色々な事を教えてくれた

そのお陰で夏休みの宿題だって日記以外全部終わったし勉強の手伝いをしてくれるのは単純に嬉しかったし、ありがたかった

そこで噂で瑚太郎が道場を開いているだとか、修行中の身であるとか変なことを聞いたので、事実かどうか確かめた。と言ってもただ、この噂は本当なの?とか俺にも修行付けてくれよ、と言って見たりした

噂は大半が嘘だったけど修行しているという事実は教えてくれたし、何なら道場に通うか?とまで聞いてきた。

その時の瑚太郎は本当に嬉しそうだったな.....

 

瑚太郎の下で修行もとい門下生となってから

数日、瑚太郎がカツアゲされていた奴を助けていた、大人気(おとなげ)もなく小学生相手に大人3人で路地裏に連れていくとか最低だなって思った、ボコボコにされた連中が瑚太郎を『 白銀色の死神(グリムオブシルバーリッパー)』と呼んでいたのは何故だろう。それはこの地域の不良達の支配者の名前だって瑚太郎が教えてくれたんだけど。

そんなに似てるのかな瑚太郎、何て思っていた

瑚太郎が助けてた奴から質問攻めにされていたけど、適当に返してたな、後で後悔しそう.....

瑚太郎に憧れたのはこの時だったと思う、自分よりも何倍も大きい大人に向かって行った瑚太郎は子供だった俺にはヒーローに見えた

 

 

中学生2年、秋

瑚太郎に「基本をやれ」と言われる事が無くなった

家でも出来る事を少しずつやってみたところ、体幹や筋力は瑚太郎を除いた同級生の誰よりもしっかりしたものになった

最近の練習内容は組手だ、ずっと組手。「基本的な形や動きは全部教えられたから、組手で良いか」との事。初めて組手をした時の事はよく覚えている、他の門下生の仲間達はどんどん組手や応用に入っているのに俺だけがずっと基本、筋トレ体幹と言った土台作り(・・・・)をやらされて、他の奴らに見下されているも自覚してた。

でもそういう連中は、直ぐに辞めて行った。理由は色々とあったみたいだけど、一番多かったのは瑚太郎が強すぎて勝てない事に苛立って辞めていくパターンだ。どいつもこいつも、基礎吹っ飛ばして、勝負しろ!って瑚太郎に吹っ掛けて行って、一撃でやられて行った

そんなある日に、瑚太郎が「イッセー、ちょっと組手しないか?」と声を掛けてきたのだ。

俺はここの門下生になって初めての組手で喜んで受けていたと思う。

そして、組手がはじまって絶望した。

 

始めの合図がかかった瞬間、瑚太郎が軽く踏み込んで来た。

いきなりの出来事で慌ててガードした、正解だった

ガードの体勢を取った瞬間、瑚太郎の拳がブレて俺は吹き飛ばされた。

初めて感じた痛み、恐怖、そして今までよりよ強い憧れ。それらの感情を持って瑚太郎に向かって行った。

瑚太郎の攻撃を避けつつこっちからも攻撃をする、基本的な攻撃ばかりだけど、それも極めれば大きな物になる

ずっと基本的なことをしていたお陰で瑚太郎の攻撃を捌いたり避けた時に、無茶な体勢になっても直ぐに元に戻って反撃が出来るようになっていた。

組手が始まって一分経った時に、俺の意識は刈り取られた。頭をやられたせいであまりに覚えてはいないけど、あの一瞬瑚太郎が笑った様に見えたんだ。どういう事かはよく分からないけど、いつも無表情でいる瑚太郎が笑っていたのだ

 

中学生2年、冬

誰かを助ける。これが俺の最初の憧れだった、困っている人がいたら、手を伸ばす事の出来る人間になる

そして、その気持ちに突き動かされる様に、裏路地に女の子が連れていかれたのを見て、走って追いかけた。

瑚太郎に連絡する事も考えたけど、俺は瑚太郎みたいに誰か助けるんだ、その為には瑚太郎の力を借りてちゃ駄目なんだ!そう考えた俺は

「お前ら、何してんだ」

既に踏み込んでいた。

 

「あぁ?何だてめぇ」

不良だ、見るからに馬鹿だ。でも、油断はしない

こういう連中は馬鹿でも喧嘩ではかなり強いから油断するな。って瑚太郎に言われたから

「その子、放してやれよ。いやがってるだろ」

「あぁん?中坊が何いきがってんだオイ」

.....こいつは正真正銘の馬鹿だな。そうすると注意しておくのは女の子を掴んでいる奥の2人

「無視してんじゃねぇよコラ―――!?」

1発掠らせてから殴ったから、正当防衛かな?後で瑚太郎に確認しよ

「てめぇ!」「クソが!」

奥にいた2人が女の子を放してこっちに走って来た

人を殴ろうとしているのに躊躇がない、こいつら慣れてるな

「まず1発!」「オラァ!」

両サイドからの大振りの攻撃、殴ってきた手に腕を当てて後ろに跳ぶ、これで正当防衛になるでしょ。通りの方まで飛んで来たから何事かと多くの人が近寄って来るはず。俺は人が寄って来る前に路地裏に戻った

 

「なっ!」「てめぇまだ!」

こいつらのコンビネーションは何なんだろうな、凄く息が合っている

「お返しだ!」

それぞれの急所に一撃ずつ、あまりやり過ぎると過剰防衛になるって瑚太郎に教わったから、一撃ずつに留めた

あの3人が完全に行動出来なくなったのを確認して俺は捕まっていた女の子に近づいた

 

女の子は篝というらしい

暗くてよく分からないけど、瑚太郎と同じように綺麗な白い髪だ

容姿は凄く可愛いのに言葉が上からの様に感じるのが玉に瑕だと思った

篝を抱えて路地裏から出ようと、通りの方に向かっていた時

後ろから頭に対して凄まじい衝撃が走った

視界がボヤけて来た、通りまであと少し、あといっ――――!

篝を歩いていた人に向かって咄嗟に投げつけた、初対面でしかも女の子を投げるなんて俺の信念に反する、けどそんな余裕はない。襟首を掴まれた、後ろに引っ張られる前に篝から離れなきゃ行けなかったか、だから投げた

襟首を引っ張られて、息が出来ない、これじゃ意識が、薄く、なって。

意識が薄れて目を閉じそうになった瞬間。

急に呼吸が軽くなった、しかも放されたのに地面に落ちること無く、誰が支えてくれているみたいだった

「大丈夫か?」

優しく労わってくれるこの口調、本当は怒っている筈なのに俺の頭を撫でてくれる優しい手。

ボヤけてハッキリとは分からない。けど白い髪がそれが誰なのか教えてくれた

「ごめん、瑚太郎。俺、全然駄目だった」

「そんなことないぞ、ただ女の子を投げるのはいただけないな。俺じゃなきゃ受け止められなかったぞ」

そっか、あの娘投げた先にいたの、瑚太郎だったのか、じゃあ安心かな。

頭を殴られたせいで、うまく思考がまとまらなかったけど

「瑚太郎、ありがとう」

「おう、後は任せな」

瑚太郎はゆっくりと俺を下ろすと、もう一人の一番奥にいた奴に向かって行った

その背中は紛れもなく、俺の憧れたヒーローの背中だった

 

 

 

 

 

 

 

 

事件後

「おう、起きたなイッセー」

「あぁ、うん。おはよう?」

「ん、おはよう。起きてすぐで悪いがイッセー、お前の練習内容変えるからよろしくな」

「うん?分かった」

「安心しろ、多分、死なないから」

多分!?

事件後、俺の練習内容は今までよりみっちりと、内容の濃い地獄の様な練習に変わった

 

俺が憧れたヒーローの背中はまだまだ遠くにあることをこの事件で思い知った

でも諦めない、いつか必ず瑚太郎を超えてみせる!




どうでしょうか
瑚太郎の行動に憧れて、少しずつ強くなっていくイッセー。
今後の成長が期待出来そうですね

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