ハイスクールDxD 書き換える者    作:裕 紫翠

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番外編です
基本的に本編とは関係ない話になると思います
今回はちょっとだけ本編に関わる様なお話です
どっちだよ!と突っ込んで頂けるとナメクジは喜びます


番外編のブレイクスルー
ノラ猫、飼い猫になりました


――――ハァハァ.....

どれ位の間逃げ続けたのかな、私をアイツを殺そうとして失敗した

何年も追われて、何度も殺されそうになって、何百回も傷ついて

 

私は今、何処にいるにゃ、ここはどこ?

ガサガサと草木をかき分ける音だけが耳に届く

走って逃げて逃げて逃げ続けて追っ手に深手を負わされて

傷を癒すためにまた逃げて

 

あの子は、白音は無事?

最近はずっとこの事ばかりにゃ

こうなる前に本気で力を使えばよかったかにゃ────

 

ふと、視界が朧気に揺らいだ。

私は倒れたのかにゃ?視界には土しか入らなかった

動かそうにも自分の体が自分の体じゃ無いみたいに重くて苦しくてとても辛くて。あぁ…もう流石に限界かにゃ……

出来ればもう一度白音に会いたかった、にゃ──

 

目を閉じかけ飛び掛けの意識の中

確かに誰かに拾い上げられた。僅かに残った感覚が暖かくて心地いい腕を感じ取る

 

「どうしたらこんな怪我すんだよ普通じゃねぇぞ」

虐待か?と彼は言う

そのあとも何か言っていたみたいだけどもう、どうとでもなればいい

そう思う間もなく意識を失った

 

 

 

次に目が覚めると見知らぬ家だった

「あ、良かった。目が覚めたか」

「にぁ~」

私を拾ってくれた人、普通の人みたいだった

ごく普通のどこにでもいるような一般人。悪魔なんて存在知りもしないような白髪のそんな普通の男の子

特に何かするような素振りも見せずにただ見守るそんな雰囲気を出している

足には包帯が巻かれていたほつれた様子もなくとても綺麗に巻かれていたにゃ

とても巻き慣れているのかなと思った。それだけ

ただ、それだけ。

包帯を舐めていると彼が私に声をかけてきた

「そうだ、なあ黒歌......あっ!」

「にゃ!!!」

しまった。そんな風にあっと叫んだ彼

名前を呼ばれた私は反射的に人の姿になった

でも無理に人化し妖術を行使しようとした為にそのまま意識を失った

 

起きたら手を握られていたにゃ

暖かい手で、優しく包み込んで、まるで大切な物を守るように

瀕死と言って相違ない程酷い怪我をしていたのに私の身体には擦り傷どころか古い傷跡一つ残っていなかった

ハッキリ言って異常な回復の仕方。でもこの時の私はそんな単純なことにも気が付かなかった。

目が覚めた私に彼は「おはよう」とうっすらと隈の出来た少し窶れた様な顔で、でも笑顔でそう声をかけてくれたにゃ

それなのに私は、まだ追われていた時の感覚が残っていて、名前を呼ばれたときの恐怖感から仙術で彼を壊そうとした

 

彼は一瞬驚いたような顔をすると同じように仙術で対応してきた

私は仙術で対抗されたことに驚いてまた(・・)悪意を取り込み始めてしまった

私が悪意まで取り込み始めた直後。彼は面白くなさそうな顔をして

私が取り込んだ悪意全てを仙術の応用で奪い去ってしまった(・・・・・・・・・)

あれだけの悪意を完全に取り込みそれなのに尚平然としたいる彼には勝てない。そう思ってあらゆる抵抗をやめてしまった

たとえ私が彼にに犯されても、殺されても、悪魔に引き渡されても仕方ない抵抗したところで負けるそんな風に納得してしまったにゃ

ただ、どういう訳か彼は丁寧に私の手当をして話を静かにきいてくれた。

私に起こったこと、どうしてあの場所にいたのか、ずっと逃げ続けていること、白音のこと。ほかにも色々なことを話したにゃ

それに何があっても白音だけは助けて欲しいそう言い続けたにゃ

 

彼は私の話を聞いている間、時々真剣な表情で相槌を打ちながら聞いていたけど

悪魔のところへ連れて行こうとはしなかったにゃ。時折見せる真剣で真摯な顔付き以外は慈しむ様に慰める様に話をきいてくれた。

私の名前を知っているのなら、彼は悪魔側の人間で私に懸賞金がかけられている事も知っているはずなのに、彼はそんなことをする素振りを全く見せなかった

 

彼は話終えた私に微笑んでゆっくりと包み込む様に抱きしめてくれた。

「ずっと一人だったんだな、寂しかっただろ、辛かっただろ。悪魔連中に突き出すようなことはしない。約束だ」

「ーーーーっ‼︎.....ありがとうございます。にゃ」

私はこの人の下で生きよう。そう思ったのはきっとこの時だにゃ

 

これからよろしくね私のご主人様

 

 

───────────────────

 

 

初めて会ってから一週間くらいたった日の事

 

「ご主人様、しばらくの間で構わないからこの家においてくださいにゃ」

「ん?何言ってんだ?」

本気で訳が分からない、といった風に言われた

出て行け、そう言われると思って俯いて情けないことにちょっと泣き出しそうになってしまった

「お前は俺の飼い猫だ。気の済むまま居るのでも構わないし。ずっとここに居てもいいんだぞ」

その言葉を聞いて私は嬉しくて本当に泣き出してしまっていた

その時のご主人様は、自分が何か悪いことを言ってしまったんじゃないかって

あたふたしていてとても可愛かった

 

ご主人様に出会って一ヶ月くらいたったある日

「あ、そうだ黒歌。ご主人様、禁止な」

学園へ行く直前突然そんな事を言い出した

「な、なんでにゃ!!」

「何か恥ずかしい、それにご主人様より名前で呼んで貰った方が嬉しいからな」

ご主人様がそう言うのなら、名前で········

「こ·······こた、ろう?」

何か恥ずかしいにゃ!!

「────良し、それで行こう」

一瞬ポケーっとしていた彼は、それだけ言うと足早に家を出ていってしまった

「ちょ、ちょっと待つにゃ!」

こんな感じにこの家にも慣れてき始めた。

そんな時だった。

 

ある日の夕方

「こーんにちは、はぐれ悪魔の黒歌さんはいらっしゃいますかぁ?」

「誰にゃ!」

悪魔が家に来るようになったのにゃ。要求は私の身柄

拒否すれば瑚太郎を殺すと

だから私は手紙を置いて家を出た

 

公園?······どうしてこんなところに?

「よぉ、目ェ覚めたか。安心しなまだ手ェ出してねぇからな。お楽しみはこれからだしよォ!」

「この!」

魔力で作り出された鎖によって身動きが取れなくなっていた

何で!?この程度

「あァそれ、特別な素材で出来てるらしいからお前じゃ外せねェよ」

クソ悪魔が抵抗する私に、鎖について説明した。変な所で親切にゃん。

そこに悪魔が一人戻ってきた。

「おォい!、ちゃんと連れ来たんだよなァ」

「ああ、バカみたいについてきたよ」

「こ、瑚太郎」

そこにはいつもと雰囲気の違う瑚太郎が立っていた。見た目は確かにリストバンドがない。日焼けのあともくっきり残ってるからすぐにわかった。でも違う。そういう違いじゃなかった。

今ここにいる瑚太郎は私がよく知っていて、私が好きになった瑚太郎だ。

 

だけどどうしてか人から|離れた()()()に見えた

 

「ああ、いたいた。助けに来たぞ黒歌」

「逃げて!瑚太郎!」

何でこんな所に瑚太朗が、手紙読んだの?でも人間なのに·······!

「そうだ、さっさと逃げてってくれていいぞ。俺たちはこのはぐれ悪魔の黒歌で楽しむからなぁ」

この、クソ悪魔!

でも私の事を知っていて仙術に妖術までつかえ無くなる様にするなんて上級、下手をすれば最上級クラスの悪魔にゃ

いくら瑚太郎が強いからといっても人間の力じゃ

 

「黒歌」

瑚太郎が柔らかい言い方で少し微笑みながら私を呼んだ、だけど────

「すぐ助ける」

───瑚太郎の体から発されているオーラは人間のそれとは明らかに違っていて。私に不安と怯えそれを感じさせない瑚太郎の態度が

大胆不敵で真正面から敵に立ち向かうその姿が

まるでお伽噺の中に出てくる英雄がそのまま現れたみたいで。とても強くて頼もしかった

 

「ヒィィ!!こ、このォ!人間の癖に!」

「そ、そうだ奴は人間だ」

「う、うわぁああ!」

 

三人いる内の一人

恐らくこの中で1番下級の悪魔が瑚太郎に向かって走り出した

「死ねェェェェ!!!」

上級クラスの悪魔が走って来ているのに瑚太郎は別段驚いた様子も無くただ、ゆっくりと左手(・・)を向けた

 

その瞬間、悪魔の全身が白く染まったと思ったら『パキッ』という音と共に瞬きをする間も無くサラサラと粉々に砕けて散った

粉を吹いた様に跡形もなく消滅した悪魔を見て、クソ悪魔共は相当狼狽えていた

 

でも、私は瑚太朗が悪魔を消滅させた時、恐怖よりも嬉しさを感じたにゃ。だって瑚太郎の姿がおとぎ話の英雄様と同じ様に感じたから

手を閉じたり開いたりして何かの感触を確かめる様に、何度もその動作を繰り返しながら、何かに話しかけているように言葉を呟いている。

 

「くそぉぉぉ!人間の癖にぃぃ!」

「1人で何言ってんだ?アイツ、クソ震えが止まらねぇ」

確かに瑚太郎は独り言が多い、それも誰かに話しかけているみたいに、瑚太郎の家にいた時も時々見る光景だったから、私は特に気にしなかった

 

「死ぃねぇぇぇぇぇ!!!」

私を縛っていたクソ悪魔の一人が瑚太郎に向かって走って行った

すると瑚太郎は今度は右手をクソ悪魔に向けて灰に還したにゃ

やっぱり魔法の発動を視認する事が出来なかった普通な────

「──っくう!?」

 

「おい!さっきの奴らを殺ったみたいに俺を殺して見ろよ!」

卑怯にゃ!!最後に残ったクソ悪魔が私を盾にするような形で回り込み首もとににナイフを突き付け瑚太郎に見せつける様に立った

「出来ないみたいだな。じゃあ───」

ゾワッとした。瑚太郎の纏うオーラが明らかに変質したから。今までの強くて優しいオーラじゃない。黒くて悍ましい()()()が噴き出していた。

 

 

「────じゃねぇよ」

私でも少ししか聴き取れなかったでも何故か黒く悍ましいオーラを放っているのにどうしてか私には悪い様には思えなかった

「あぁ?聞こえないぞ!」

「ハァー、よく聞いとけクソ悪魔。」

すると瑚太郎はゆっくりとこちらに向かって一歩だけ踏み込み

 

 

 

 

 

「──────────!!」

ゴシャァ!!

気付いた時には私は瑚太郎に抱えられていた

悪魔の野郎がどうなったのかは分からないけど音からして死んだみたいだけど。瑚太郎が悪魔の方を見せないようにしているから詳しくは分からないにゃ

瑚太郎としては見られたくないだけかもしれないけど優しくでも力強く抱きしめられている。今はこれだけでいいかなにゃ〜

 

「終わりか…………ったく、黒歌!」

「は、はいにゃ!」

怒られる?怒られるよね。でも助けてくれてありがとう

ちょっと変わった、おとぎ話の英雄そっくりな私の大事なご主人様

「ふふっ」

それなのにそれだけの強さがあるのに、私の為だけにあんなに怒ってくれる、そんな事実がおかしくて。たまらなく嬉しくて。

つい、笑ってしまった

 

「む····何、笑ってんだ?」

「なんでも無いにゃ」

「ハァ·····帰るぞ」

さっきの言葉ずーっと覚えてるからね。瑚太郎

 

家へ帰るとこの手紙は何だー!って怒られたにゃ

もしまた、悪魔共が来るようなら俺に言え。そんときはまた追い払ってやるから、そう言いながら頭を撫でてくれた。抱き締めてもくれた。

やっぱり瑚太郎の手は暖かくて優しいにゃ

 

手紙の内容?こんな感じにゃ

 

えー、短い間でしたがお世話になりました

私は追われている身なので迷惑をかけてしまいます

瑚太郎はずっとこの家にいて良いぞっていってくれたっけ

もしも、もう一度会うことができるなら、私は貴方の飼い猫になって

なっても良いですか?瑚太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソ悪魔を殴る時のあの一言ずーっと覚えているからね忘れてなんかあげないんだから

 

「俺の飼い猫()に手ェ出してんじゃねぇぞクソ悪魔!!」

 

はい、私は貴方の飼い猫です。

どんな時でも、どんな所でも一緒にいます

 

例えそれが地獄でも、天界でも。

貴方がそこにいるのなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは黒歌、飼い猫になりました

ただ幸せを望むだけの黒猫です。だけどホントは──────




どうでしたか?
瑚太郎が制限無しに能力を使ってる様子は
えっ?もっとしっかり戦闘描写をしろって?
スミマセン、今の自分にはこれが限界っす

っと、まあこんな感じで番外編もよろしくお願いします!!

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