ハイスクールDxD 書き換える者    作:裕 紫翠

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はい、どうも皆さん
おはようございます、こんにちは、そしてこんばんは
身に塩を振るナメクジこと紫翠でごさいます。
今回はいつもより早く?長く書き上げる事が出来ました。
お風呂で執筆すると全身ふやけてものすごく歳を取った気分になります。どうでもいいですね。ハイ
そんな私の瞬間老化現象は下水道にでも流しておいて

それでは。どぞ(っ´∀`)っ


『世界』に拒まれる《世界》

イタズラ電話も含めた七小の生徒に連絡をした翌日。

「ルチアが休み?珍しい事もあるもんだな」

「そうなんですよ。まだこの間の事謝ってないのに………」

「ちーちゃん……」

お互い気にかかってはいるみたいだけど、なかなか噛み合わないみたいだな………もどかしい。俺がイタズラ電話しまくってた時はそこまで落ち込んだりしてた様子はなかったんだけどなぁ〜

昨日の雨に続いて今日も朝から雨だ。イッセー達、フリード捜索班は相当辛いだろう、風邪引かなきゃ良いけど

その日結局学校にルチアは来なかった。

 

…………雨だ。雨にいい思い出は、あまりないな。

俺が壊れた日も雨だった、俺が死ぬ前日も雨だった。

望まない結果になる、若しくは思いもしない事が起こる。そういう時は大体雨だ。

何でかな?気分が落ちるからかな今日はゼルも俺の中に居ない。

お陰で魔力も仙氣も枯渇したけど。あいつはアンと一緒だ!って喜んでたから。俺はそれでいいと思う。

もう俺に縛られる必要は無いだろう。でも2人が居ないと困るな………力が、感情(想い)が。俺にはコントロール出来ないからな、ホント未熟な存在だな俺

 

って、いかんいかん。やっぱ雨はダメだな。気持ちがナイーブになる。あーも暗いし早く帰ってゼルとアンと黒歌の4人で遊びたい!

よし、そうと決まれば早くか────ギュッ

「わたしを起こさないで……」

!!!!???!!?!?

ててててててててて手?な、なんやなんや誰かおるんか?やんのか?やんのか!?

おばけ怖いぃ!!呪われるぅぅぅうう!!

全力でサイドステップをして逃げた。ドンッ!と結構大きな音を立てて壁に頭をぶつけた。普通に痛い。でもおかげで少しだけど冷静になれた、と思う。思いたい。おばけ怖い。

 

「私をおこさ───」

もう一度聞こえた声に、振り向くと誰かが街灯の下に立っていた。

逆光で顔は見えにくい。でもこのシルエット、この匂い……そこまで考えた所で、シルエットの人物が糸が切れた人形の様に倒れそうになった。

「おい、大丈夫か?…やっぱりルチアだったかこの匂い」

取り敢えず倒れる前に抱き上げたから汚れては居ないな、雨に濡れてるくらいで。

ちくしょうなんでこんな所に傘もささずに突っ立ってんだよ!

ああ、もう!俺も濡れちまうが、そんな事よりもルチアだ。

先程までさしていた傘を倉庫(王の財宝)に放り込み、ルチアを抱え家まで走った。

 

「ハァ、ハァ。ああ!黒歌寝かせる時いつもこの格好で抱いててよかったな。おぶるより全然楽だ。ハァ、ハァ」

にしたって、どうしてこう何かある時に限ってリストバンドの封印強化したりしてんのかねぇ。

黒歌然り、イッセー然り、リアスの時はまぁ特に無かったけど。今回のルチアこれもそうだ。昨日、調整して強化も施した上にこれだ。

パワーバランスがほぼ人間になるように調整が故に少々キツイ、重くは無いが走りにくい!でもおぶるよりは重心が前に寄るから楽。

っとここを曲がって。あとは直線!

家の前には、大体誰かが立ってる。要は出迎えです有難いことに今日も一人黒歌が立ってた。傘をさしながら。今日はゼルとアンが料理担当らしい。結構いい感じの香りがする。

物凄く食欲をそそられます。ハイ。まぁ料理は置いといて今はルチアが優先だな。黒歌にタオル持ってきて貰わねぇと

「黒!タオル2枚頼む!」

「はいにゃ!」

いつもと様子が違うのに直ぐに気が付き、急いで家の中に引っ込んだ。

玄関に着くと床にもタオルが敷かれていて、直ぐに対応出来るように風呂も沸かしてくれているみたいだった。

「瑚太郎タオルにゃ。あと私の服持って来るからアン着替えさせてあげてにゃ。ゼルっち鍋から離れちゃダメだにゃ!」

「ありがとう助かる」

「どういたしましてにゃ」

ホント対応が早いって、いうか早すぎません?

見ても居ないのによくゼルが鍋から離れたって分かったな。いや、俺も音と匂いで分かるからそんなもんか。

それにしても、よく出来た嫁さんだよなぁ。いや結婚してねぇしまだ嫁さん呼びは早えか。

黒歌に貰ったタオルで濡れた体を拭きながらそんな事を考えていた。

 

「ふぃ〜。何とかなったな」

取り敢えず、ルチアは俺の部屋に寝かせている、別にほかの部屋でも良かったんだが。この状況じゃ顔の知らない奴らの部屋よりも顔見知りである俺の部屋の方がまだ安心出来るだろうと思っての事だ。

「この手袋、少し特殊な作りになっているみたいですね」

「……うん付けるだけで何かを抑えられるみたいね〜。それよりも、ルチアちゃん起きたらご飯食べていくかな?ねー、マスター」

「あの子の手に触れない様に着替え。って言っても脱がせて瑚太郎のワイシャツ着せただけ、何だけど。あの子の手やっぱり何かあるの?瑚太郎」

三者三葉とはまさにこの事か

「まぁそうだな。起きてそん時の様子見て、話してみるから飯はもうちょい待つか。それとルチアの手に関してだけど、もう一度確認するけど誰も触って無いんだな?」

「ええ触ってません。肌を見る間もなく運ばれて行きましたからね彼女」

「私は特に触れてはいないかな〜。マスターのあの感じからすると手にまつわるナニカって言うことまでは読み取れたしね」

「私も直接触ってはないにゃ、瑚太郎お手製の仙糸手袋を着けてたからにゃ〜」

うん、なんか地味に気に入ってくれたみたいで嬉しいよ黒歌。今度マフラー編もうかな、空き時間使えば冬までには出来そうだし。

「OK、誰も触れてないなら問題ない。ルチアに確認取らないと行けないし、俺がこのことに気付いてるって事も多分まだ知らないと思うから。もう少し待っててくれ」

「「「はい(にゃ)」」」」

「そんじゃ、俺ちょっと様子見てくるわ」

「ご飯準備してて大丈夫かにゃ?」

「うーん、そうだな。8人分用意できそう?」

「了解にゃ!アン8人分ご飯の用意にゃ」

「あいあいさー」

ふふっ、楽しそうで何よりだ。

さて、本題に入ろうか。2階に登り俺の部屋に向かう。

質素な感じに作られている割に階層数と部屋数がやたら多いのが我が家だ。俺の部屋はその2階の1番奥にあるのでちょっと面倒だ。寝坊した時なんて特に。

さて、くだらん考え事をしてるうちに部屋の前に着いてしまった。一応ノックはした方がいいか、俺の部屋だが今この部屋で寝ているのはルチアだしな。

コンコンッと少し強めのノックをする寝ていたらいいがワイシャツ姿でうろついていたら不味い……がノックに返事はなかった。

 

ゆっくりと扉を開け、中に入る。

まだ寝てるな………魘されでもしてるのか?寝つきがあまり良くなさそうだな。手を握って………いや、今はやめとこう。

結局ルチアの目が覚めるまでネットで()の教会を探していた。

「──────っ!!はぁ、はァ。………ここは?」

「おっ目、覚めたか」

「瑚太郎?」

「おう、瑚太郎さんだ。着替えとかはうちにいる同居人がしてくれたから安心しな誰も肌に触れちゃいないってさ」

「そうか、ならいいんだ」

弱ってるな、しかも相当。精神的に参ってる切っ掛けというか原因は間違いなく俺のせいなんだろうな。

 

っとまた考え過ぎた、ルチアが立ち上がったのに気が付かなかったぞ今。

「見てくれ」

プチッと俺の部屋に置いてあった植物の葉を引きちぎると俺に見せてきた。ああ、ちなみにこの部屋の植物は全て小鳥の物です。置き場所ないから置かせて。と言ってその日から我が家に自然がやってきた。

 

ルチアのもっていた葉は紫色のナニカに侵食されるように崩れていった。

「おぉ、なんだそれ」

「アサヒ ハルカの呪いだ……」

呪いねぇ………手から滲み出る死臭、いや正確に死に近い気配だろうか。なんであんなもんが手袋ひとつで抑えられんのか不思議でたまらないけどアレはヤバいだろうな、ある程度耐性のついているこの体が危険信号を出すって事は相当だ

「俺のせいか?俺のせいでルチアが」

「気にするな瑚太郎、そうだとしても私はこれまでと変わらないだけだ」

辛そうに何かに耐える様なその笑顔は、俺が1番嫌いな表情だ。

これを教えるって事は相当狼狽して頭が回ってないんだろう。恐らくコイツは自分から俺を遠ざけようと必死になってる。

だからこそ自分の嫌っているこの手を、この()を俺に見せた。

 

「手袋は誰にも触れないようにするために着けていたんだ。穢れた私が触れてはいけないから、私が触れなければ誰も───「それは違うぞルチ」──っ!」

パシッと小高い音を立てて。手を払われた。

触れたのは一瞬、たかが一瞬でもそれがかえって毒がどれ程強力なものなのかを知らしめた。

触れられた瞬間に分かった、鼓動が変わった、悪寒がする、尋常じゃない痛み。これら全てを受け、表情を変えずに喋る自信は到底無かったけど。この顔で良かった表情が表に出にくい顔で本当に良かった。

「お前には分からない、私の悲しみも、アサヒ ハルカの苦しみも!分かってる、分かってたんだ、私たちを受け入れる世界なんてないって。私たちは生涯誰とも触れ合えず独りで、孤独に生きて行かねばならないんだ。だからもう、止めてくれ。」

「………そう、だな。うん明日を最後にするよ。これで最後。もう終わりにする。だからルチア。飯食ってけよ。な?」

話す内容にまとまりがない、グチャグチャだ。大分余裕がないけど、それでも言いたい事だけは何とか伝えられた。明日が最後と『一緒』に飯食おうって。きついなこれ、気ぃ抜いたら痛みで叫びそうだ。クソ

「何だそれは、私は1人で………」

「いいから降りるぞ。黒!ルチアの制服持ってきてくれ。もう乾いてるだろ!」

「はいにゃー、お待たせしました………ってなんでルチルチ泣いてるニャン?」

「こ、瑚太郎が………っていうかルチルチって何なんだ?」

「俺かよ!否定出来ないけど──ブゥン!!──うおっぶね」

「瑚太郎?後でお話ししよっか」

「あ、はい」

やべぇ、リアスがキレた時の比じゃないくらい怖かったんだけど。桜架に近いキレ方だよなぁあれ。

「ハイハイ出てって出てって、これから女の子どうしでお着替えするんだから。男子はお邪魔にゃん」

「あいよ、じゃあ下で出迎えでもするかね。そろそろ帰って来るだろリアスたち」

「お願いするにゃ」

「了解しました」

ビシッと二人揃って敬礼みたいなポーズをとる。あんまりここに長居してしまうと今度は違う女子がキレそうなので早めに退散するとしますかね。

 

下に降りるともうリアス達が帰ってきていた。

「お帰りリアス。それと、いらっしゃいイッセー、アーシア……ってどうしたイッセーそんなにケツばっか抑えて」

「それは後で本人に聞いてちょうだい。本当にあなたの言う通り仲間を大切にする子だわこの子達。我ながら誇りに思ってる部分もあるのよ。本人には絶対に教えないけどね」

いい性格してるわ、コイツめ撫で倒してやりたい所だけど今は我慢だ。明日まで耐えないと。

おっと、二人も降りてきたっぽいな。

「お帰りリアス!」

「ただいま黒」

ギューッと2人で抱き合っているのだが。変形の仕方が凄いっす!まじ眼福ですご馳走様です!あと挟まれたい!って顔でイッセーが二人を見てた。アーシアに思いっきり抓られてたけどな。

「こ、こんばんはグレモリー先輩」

「あら、此花さんじゃない。いいのよリアスでそっちの方が有難いわ。グレモリーじゃなくなってもそっちの方が呼びやすいだろうしね」何故ドヤ顔でコッチを見ているのかね。撫でたいの我慢してんのに我慢できなくなっちゃうよ!?毒が蔓延するゾ!?

「はぁ、そうですか。では今後はリアス先輩と呼ばせてもらいます」

懐柔されてない?ルチアさんや。まぁいっか

「よし全員揃ったし飯食うぞー!」

「「「「「おー!」」」」」

 

いつもより賑やかな晩飯になった。

これだから客を呼ぶのは止められないんだ。

飯のある日は修行はなしって事で決めてるんだけど、最近はイッセーがうちに来ないのでそもそも修行は無しだ。でもまあ、俺個人はずっと部屋に籠って特訓してるけどねまだ全ての力を完全に御しきってる訳じゃねぇし。

っと。飯時に考える事じゃねぇな。

それにしても、黒歌はルチアに我が家の今現在の構成を伝えたんだろうか。すごく気になるんだが。

「ゼル煮物取って〜」

「はい、あーん」

「あーん、……美味しいぃ!」

「イッセーさんもあーんです」

「お、サンキューアーシア。あーん」

「「瑚太郎も!」」

「すまん今日は───グボォ!!」

「………………」ジト

ゼルとアンに毒されてアーシアがすっかりあーんに慣れてしまった。それに乗るイッセーも中々に耐性が着いてきたらしくルチアがいるのに平然と食っている。

我が家の嫁さん2人はうん、たぶん分かると思うけど。珍しく拒否したので喉に激痛がする。もう拒否しないから喉は止めて喉は、いくら俺でも死んじゃうから。あとルチアさんのジト目コワイ。

 

そんなこんなでワイワイと夕食を楽しんでいると。

「あの、そろそろ帰ろうと思うのだが」

「ん、もうそんな時間か。アーシア、母さん達に土産貰って帰ろうぜ」

「はい、瑚太郎さんまたお土産作って貰ってもいいですか?」

「あいよ、すぐ持って来るから。ルチアもちょっと待っててくれ送ってくよ」

「いや、その私は」

「良いから良いから、イッセー。手伝え、お前いた方が早いし自由に選んでくれて構わん」

「了解。アーシア、部長と黒姉とルチルチと「おい兵藤!」此花さんと待っててくれすぐ戻ってくるから」

「はい、頑張って下さい」

いつものと言っても俺の作っている果実酒やジュース類、漬物に干物といった物を小分けして小さなボトルに入れ替えるだけなんだけどな。

イッセーを呼んだのは女子同士の時間を作るためで特に意味はない。という訳でも無いんだけど。これを機会にルチアに友達を作ってもらういい機会になると思ったのが主だ。案外のこの世界は1人じゃないんだぞ。って教えてあげたいだけなんだけどな。

 

浅漬け、干し芋、スルメ、いちご酒、ワイン、蒸留酒。イッセーたちでも飲めるフルーツジュースを数リットルを持って戻ってくると。ワインは流石に自家製のものは用意できなかったのがやっぱり残念だよな。

「あっ!戻って来たにゃん」

「あら、今日はいつもより早かったわね、いつもなら小一時間かかるとおもうのだけど」

「イッセーさん私にもお持ちできるものがあったらおっしゃって下さいね」

「ありがとうアーシアじゃあ漬物とか入ったこのトートバッグを持ってってくれ」

「はい、分かりました」

「いつも通りの時間だと思うけどな、そっちこそいつもより会話に花が咲いたんじゃないか?楽しそうな声がこっちまで聞こえて来たぞ。っとほい、ルチアこれお前の分な、暇があったら静琉なんかにも分けてやってくれ」

そう言って、イッセー達の土産よりも少しばかり小さなトートバッグを手渡した。

中に入っているのは、漬物や希釈用のジュースとその使用方法だ。

カ〇ピスと大差無いからそこまで苦労はしないだろうし、相当味覚がイッてるやつでもないくらい原液では飲めない。俺でも飲めない。というか体に悪い。糖分摂りすぎになるからな。

「よし、じゃあ帰るか。アーシアそろそろ帰ろう母さん達にお土産早く渡さなきゃ」

「はい!きっとお喜びになりますね」

「それじゃ、私もそろそろ帰る」

「おう、分かった。ルチア、家の近くまで送っていくよ、流石にこの時間に1人で帰す訳には行かないし」

「いや、それには及ばん多分そろそろ迎えが来るからな」

「親御さんか?」

「いや、お前も知ってる人だ」

 

ルチアの言う通り少し待っていると。インターホンが鳴った。

「はーい、いま行きまーす」

「黒、ゼルとアン呼んできてくれるか?」

「分かったにゃ」

リアスは迎えに来たであろう人物を出迎えに行った。

黒歌にゼルとアンを呼んできてもらったのは。恐らくルチアの迎えに黒歌の顔が割れるのはマズいと思ったから。

少し時間を稼いでくれよ二人共。

「こんばんは〜、あら〜。本当に、天王寺くんがいるじゃな〜い」

「ん!?先生!?こんばんは、ルチア迎えって先生のことだったのか?」

まぁ、なんと言うか予想通り西九条先生が来た。

彼女は守護者(ガーディアン)側の人間だから当然の事と言えば当然なのだが。

「よくウチが分かりましたね。ルチアから連絡は多分してないと思うんですけど」

「あら、変な所に気を回すのね。大丈夫よルチアちゃんの携帯に着いてるGPSを辿ってきただけだから。それにしても随分と立派なお宅に住んでるのね。先生妬いちゃうゾ。そ・れ・にこの間、静流ちゃんの迎えと一緒に乗って送って来たじゃない」

「あ、そう言えば。そうでしたね。それとこの家は2人が遺してくれたものです。本当に大事に住んでいますよ」

「そう言えばご両親は………とごめんなさい」

「いえ、もう昔の事です大丈夫ですよ」

本音を言うと今もまだ少し引きずっているところがある。がそれをここで言うのは違うだろう。彼女には全く関係が無いことなんだから

「さて、ルチアちゃん帰ろっか。本当はこんな時間まで女の子が男の子の家にいるなんて良くないんだから」

「はい、帰りましょう。瑚太郎今日はすまなかった。迷惑をかけたな」

「気にすんなっての、また何時でも来いよ。次は先生も是非いらしてください」

「ええ、機会があったらそうさせてもらうわ」

「そうだ、リアスさんも送って行くわよ。私は車だからそっちの二人もどう?」

あ、これ不味いんじゃね?

「いえ、大丈夫です俺らは2人で帰るんで」

「はい、お土産をもってイッセーさんのお家に帰るのもトレーニングです」

「私も大丈夫ですよ。西九条先生。私はここに住んでいるので」

「あら?……………うふふふふふふふ。聞き間違いかしら?天王寺くん?この二人とあなた達────」

「さあ!帰るんだろうもう遅いし、急いだ方がいいんじゃ無いか?」

「うふふ、天王寺くーん?来週オハナシしましょう、ね?」

「はい」

今、俺に死刑宣告を出された気がする

そう言えば西九条先生オカ研(研究会)の顧問だから俺の事知ってんじゃないのか?もしかして茜さん俺の事話してない?

そもそも教師に対して、はい同棲してますってにこやかに言えないわ俺

うーん、まぁいいや取り敢えず。俺、来週死んだ

 

4人を見送ったあとゼル、アン、黒歌の3人が奥の家から戻ってきた。

「あれ?もうみんな帰っちゃったにゃ?」

「おう。残念だったな見送れなくてって、それにしても随分と時間がかかったじゃないか何してたんだ?」

「「それは………」」

「ナニしてたにゃ」

「「黒歌殿(ちゃん)!?」」

まさかそっちの方向で時間稼いで………いや、コイツら素だな。素で

やってたな……はぁ。

「そうすか、いや、まぁ駄目とは言わないけどダチが来てる時に流石にそれは不味いだろう」

「俺らも最近してないし……ハッ!」

「何を最近してないの?」

危なかったのか?アウトなのか?どっちだ!?

怖え怖えよ!

「あー、なんつーか最近特訓してないなってちょっと思ってサ」

しくじった。何とか誤魔化そうと思ったのに最後変な感じでうわずった

「それもそうね、イッセー達が最近教会の子達と聖剣を追ってたからね。もう、全然私に話してくれないんだもの、心配でしょうがなかったわ。暫くして、匙くん?だったかしら?ソーナの兵士(ポーン)の子も一緒に何かしてるって言うんだもの。彼女と一緒に様子を見に行ったのよ」

500回で許してあげた私の方が優しわね。ソーナなんて1000回叩いてたんだから。と言っていたが。

本当に1000回数えて叩いたのか……怖いなソーナ。

五十歩百歩だなとは思ったが、口には出せなかった俺である

 

「さて、そろそろ俺らも寝ますかね。俺は少しやることがあるからまだ起きてるけど他は早く寝るんだぞ。特にゼルとアンいつまでもはっちゃけ過ぎるなよ」

「お任せ下さいそうならないように全力を尽くします」

「大丈夫ですよマスター。きっと、ええ」

そうですかこちらの声は届いてませんか。

2人はきちんとこちらに返事をした様に聞こえるがずーっと2人で向かい合ったまま、付かず離れずの距離を保っていた。

「もういいです。朝までごゆっくり」としか言えないです。ハイ

実際、リアスがいるのでそんな事は言えなかったが。

そうして今日も俺は1人。部屋に籠る。

 

 

─黒歌side─

最近の瑚太郎ずーっと部屋に籠りっぱなしで、つまらないにゃ。

 

 

それよりも今日の朝。突然ゼルくんを連れてくるんだもの。いきなり過ぎてビックリした。だけどアンちゃんが喜んでたから特に何も言わなかった、そもそもアンちゃんが来る時だっていつも突然だった。

そしていつも大体どちらか片方だけなのに今回は珍しく二人揃っている。なんか不思議。

ゼルくんとアンちゃんに『主』『マスター』って呼ばれてるの。何でかな、私は確かにこの二年、三年しか付き合いが無いけど。瑚太郎の人となりを信じてるし、愛してる。心の底から好きだーって言える。

でもそれ以上に瑚太郎は二人と長い間一緒にいたんだなって思った、負けたくないって思うけど、二人は私のことを最初から知ってるみたいだった。ずるいって思ったし。それが不思議でたまらない。

英雄で、強くて、格好よくて、なんでも出来て、私を好きでいてくれる。それから、どんな事よりも彼は優しい。人としての優しさじゃなくて『存在』としての優しさ。なんでそこまでするんだろう、なんでこんなに愛おしいのかな。もう恋なんてしないって思ったのにアイツだけ。って決めていたのに。叶わなくなってしまえばそんなものなのかな。

けどそんな事はないって何度も思った。けどやっぱりその愛おしさは変わらない。ずっと昔から縁があったみたいなそんな感じ。なんだろうこの気持ちフワフワしてるのにとても胸が痛くなった。アイツの時はそんな事思わなかったのに。これは不思議。だった

きっと《黒歌》である前に『私』としての記憶がそれを邪魔をする。そう思ったから。どうして?どうしてこんなにも悲しくなるの?

(瑚太郎)が────だから?私も同じだからなの?

この世界は()()()()()優しいあの人は教えてくれた。始めは楽しそうって思った。でもそれは私の首を強く締め付けてきた。

それがあのクソ野郎だった。あのクソ野郎も───だった。

でも瑚太郎は違う。彼は、彼だけは他とは違う。何故だか分からないけどそう強く思った。

 

「──か?──く─か。黒歌?大丈夫?ぼーっとしてたみたいだけど」

「あ、ごめんリアス。なんの話だっけ?」

「うふふっもう。今日は一緒に寝ましょって話してたじゃない。瑚太郎が部屋に籠って、何をしてるかなんて………気になるけど。すっごーく気になるんだけど。今日は女子会……って言うよりも嫁会よ。瑚太郎が部屋から出てきたらいっぱいいたずらするんでしょ」

にこやかに、楽しそうに私と会話をしてくれるリアス。嬉しかった、ありがたかった。さすが()()のメインヒロイン、流石キングね。

「そうだったにゃ、お家汚す系は瑚太郎が怒るからなしとして何しよっか?」

「そう来なくっちゃ、そうと決まれば黒歌の部屋にGOよ!ゴー」

「はいはい、嫁会するゾー」

「おーっ!」

たまには女子で二人っていうのもいいよね。女の子どうし万歳!

 

 

 

─瑚太郎side─

「フーッ、フーッ、フー」

「…………………………」

2人が抜けた穴を埋めるのは大変だな。

感情と理性このふたつの柱を支える『存在』が欠けた今の俺は他の人にはどう写っているのだろうか。

今の俺は何なんだろうか。静かで真っ赤な部屋の中絶えず滴り続ける水の音。誰が流したものだろう。誰が流させたものだろう。

考える必要はない。今この部屋の中にいるのは一人(二人)だけ。

『俺』と《俺》

 

倒れているのは俺だ、見下ろしているのも俺だ。

どっちも俺で、どっちも血だらけだ。

違うのは返り血なのか、自分の血なのか。唯それだけ。

「………復讐は、やめたのか?」

「いや、そんなつもりは無いけどな」

「………最近弛んでるぞお前、らしくない。復讐に駆られていた時のお前の方が強かったぞ」

「そうかもしれないな」

「………それに今のお前、何も無いぞ。絶対に〜するって気持ちが、殺る気がない」

「そうだな」

「………復讐は終わったか?」

「…………………いや、まだだな」

「………もうひと勝負するか?」

「ああ、そうしよう。もうすぐ日が昇る。コレが最後だ」

「………分かった」

「『禁手化(バランス・ブレイク)』」

「────────」

「『刻輝龍の死鎧(セイブル・グリッター・ネクロメイル)』」

そっちじゃなくて俺()()の力って結構強いんだぜ?

「────────」

 

 

決着はすぐ着いた。

勝ったのは『俺』だった

それともう一つ───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日俺は初めて仮病を使って学校を休んだ。




瑚)ゼル、一応希望にそった見た目の型は出来たけど。作る?身体
マジすか!?お願いします!)ゼ
瑚)?(おかしいゼルが変な感じになってる。まぁいっか。)理想としての型は出来た。あとはこれに仙気を流し込んで中を作るだけだからそこまで時間はかかんないよ
ゼ)ありがとうございます。大事にします!
瑚)(………戻った)期間は3日。消滅のタイミングがアンと重なるように調節してもらった。不祥事でアンが先に消滅したとしてもゼルは残る。そもそも魔力と仙気は別物だからな。
ゼ)心得ておきます。
瑚)さて、じゃあ次会うのは朝だおやすみゼル
ゼ)おやすみなさいませ。主─────うおっしゃああああああああ!!アンと一緒だあああ!!
瑚)(よく感情を人前で隠すよな。ゼルって)

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