漸く新しいお話しが投稿できました、ちょっと仙台の方まで遠出してまして──言い訳(殴)
2巻の内容はまだ続きます出来ればあと二話で終わりにしたいです
それでは
どぞ(っ´∀`)っ
―リアスside―
「はぁ………」
これで何度目のため息になるのだろう。
私はあのゲームでライザーに負けた。負けてしまった。
あの1週間頑張って来た意味も、すべて無駄になってしまった
そう思うくらい位に私は負けたのだ。
なぜならあの大きな火の鳥としてライザーが復活した瞬間私は怖くて動くことが出来なかったんだもの。心のそこからそう思ってしまうのも仕方ないと思っている。
それにこの格好、ライザーは暗に理解させようとしているのでしょうね。
私はライザーに負けた、だから身も心も自分の物だと知れと。
『夢』なんて物は忘れてしまえ。と
それにしても無礼な男ね。
先程男子禁制のこの部屋に入って来たのだイヤミもオマケで。そう言う点では『彼』と少し似ているかしら?
……いいえ、そんな事を考えたら彼に失礼ね。
それにゲームで消える直前、何とか振り絞って出た言葉。
「助けて──って届いたかな」
届いていて欲しいな。届いていれば彼はきっと────
───きっと、私を救い出してくれる
そんな淡い期待が微かに心の奥で燻っていた。
気がつくと私は式場に召喚されていた。けれどそれに気が付かないほどぼーっとしてしまったみたい。それに気付いても私は顔を上げることが出来なかった。
あんなに啖呵切ってゲームに参加したのに敗北したのだ。当然と言えば当然のこと。
顔を伏せてライザーの口から出る言葉に耳を貸すこともなく。ただ待った。早くこのつまらない式が終わりますようにと願って
そして彼は現れた、誰かの叫びと。
包み込む様な優しい冷気と暖かい風が私の涙を掬い取りながら
「何者だ!」
ライザーの叫んだ言葉に、黒コートの人は少しだけ微笑んだ様に見えた。
まるで悪役のようにでも決して嫌味を感じさせない、むしろ清々しいくらいね。彼に似た雰囲気の人物に当てられてしまったのか無意識にけれど言葉にはならないくらい小さな声でもう一度口が動いた。
『瑚太郎、助けて』と
―サーゼクスside―
それが現れた時、僕はいつか見たあの騎士の姿を重ねた
燃える半分の扉、凍り尽きボロボロに砕けた半分の扉。
全て昔見た彼の持つ力、でもその扉を突き破って来たのは普通の人間を平均して作ったかの様な人間だった。
浅はかだと自分でも思った、あれは千年も前の事で今彼が生きているとは思えない。そんな事はありえないと、しかし片隅に残って拭い切れない恐怖が浮かんだ。
少し間を置いて、ようやく気が付いた。私が招いた、リアスの認めた、ただ一人の男だと。
あの時リアスが語っていた事に嘘は無いと思っているし、そんな人がいるならば僕も是非リアスを貰って欲しいと思っていた。
事実、私はその男以外に人間に招待状を渡した覚えはない
「奴を捕らえろ!人間などこの神聖な挙式に誰が呼んだ!」
ライザー君の声だ。それはせっかくのリアスとの婚約の儀だというのにそこに人間がいるのは腹立たしい事だろう。
彼の声に反応して衛兵達が男に向かっていった
フードを被った彼が衛兵達を見た瞬間。
僕に久しい恐怖を与えてくれた。そして───
──彼に向かっていった衛兵のただの一人も起き上がる事すら出来ず、その場に崩れ落ちた。
そんな光景を目にして衛兵など自分には取るに足らない存在と認識したのか彼は「ふっ」と鼻で笑った
―主人公side―
なんか鬱陶しい蝙蝠が突撃して来たからつい睨んでしまった。
それにライザーが式に神聖な、という言葉を付けたのを聞いて、つい吹き出してしまった。
そもそも悪魔が神聖なって何だよ、アホ過ぎて笑う事しかできねぇよ。だって神聖なものは悪魔にとって相当な猛毒な筈だろ。
「何者だ!」
声が聞こえた。ライザーの方じゃない
俺が守りたいと思った女の子の声だ。
「瑚太郎、助けて」か
任せろ必ず救う、助け出してやるその為に今ここに俺が来たんだから
どうすれば奴はここにいるヤツらは納得するか、絶望するか。そんなことを考えながらライザーの前まで歩いていった。
誰も俺を止めようとしない、いや正確には止めようとはしている。
ただ、俺を知りうる者以外に対して撒き散らす様に殺気を敵意を向けているんだこれで向かってこれる方がおかしい。
「な、何者だ!貴様は!」
2度目だ。このセリフも俺とお前が会うことも
「天王寺 瑚太朗だ」
低く唸る様な声で名前を応えながら奴の目の前に出て、フードを取った。
コイツの隣にいるリアスが俺の事を信じられないものでも見るかのように見つめてきていた
「黒い?………でも瑚太郎?」とリアスが呟いた事でリアスが凝視して来た理由を察した。
あぁ、髪の色が変わっているのだろう。何故か知らんが俺の髪の色は感情によって操作出来るみたいだからな。
「やあ、ちょっと良いかな?天王寺瑚太朗君」
随分と昔に聞いた声に振り返った。そこに立っていたのは――――
「私はサーゼクス・ルシファー、魔王をやっている者だ。早速だが君に頼みたい事がある」
かつて、ドラゴンの喧嘩の仲裁に入った時についうっかり、睨んでしまった紅髪のイケメンだった
「魔王ルシファーが俺みたいな一般人に何の用で?」
「なんて事を!」
うるせぇな。外野は黙ってろよ
消すぞ
本気で殺意を飛ばした。耳障りなんだよゴミ虫が!
それに気付いてかルシファーが外野連中の声を遮るかのように大きな声で話を続けた
「この式を盛り上げて欲しいのだよ。具体的にはライザー君とゲームをやってくれないかい?」
「……へぇ、俺にメリットは?」
「代価を支払おう」
ほぉそう来たか。
「何故です!何故人間如きに代価など!」
また、外野がうるさくなってきたな。少し間引けば静かになるか?と更に殺気を増しながら考えていると。
「黙れ、彼を呼んだのは私だ。それなりの代価を支払うのが筋だ。それとも私を礼儀知らずの魔王と呼ばれる事をあなた方は望むのか?」
「い、いえ。しかし―――」
ドスの効いた低い声で魔王の男が周りを鎮めたことに対して、尚も食い下がる蝙蝠の声。それを遮り
「お受けしましょうその勝負。私とその男が、レーティングゲームで勝負すれば良いのですね。それならばこのライザーフェニックス身を固める前の最後の炎をお見せしましょう」
とライザーが喋り出した。
……飛んで火に入る何とやらだな。
「そうだ。それで対価は何がいい瑚太朗君」
それにしてもいいねぇ、魔王サマ。
望みを自ら答えさせるとは、しかも指定はない。
望めば幾らでもいいって事ですか?
なら最高じゃねぇか、後悔するなよ?
「なら二つ程、一つ明日少し俺と少し話をしましょう」
え!?という声が凄く聞こえた気がする。
リアスを奪いに来たことを真っ先に言うんじゃねえのかよって?黒歌が先だこんちくしょう。
が。先に言いたいのは山々なんだけど流石に黒歌の事をこの場で言う事は出来ない、そんな事を持ちかければパニックになるだろうからな悪名高いんだから(悪くないけど)。
だからこそ違う場を設けた。悪いか!?
「いいだろう、もう一つは?」
「この勝負、俺が勝ったらリアス・グレモリーを貰って行くぞ。異論は認めない」
目の前の男を睨みつける。さあ、どう出るサーゼクス・ルシファー。
いやサーゼクス・グレモリー。
「いいだろう、ゲームを始める!」
そう言うと、サーゼクスは紅い髪の壮年の男性の下へ歩いていった。リアスのお父さんか綺麗な紅色の髪だ
その隣に薄ら冷めた笑顔をこちらに向けている可愛らしい女性がいる。リアスの姉か?いや雰囲気的にお母さんか………ふむ、そりゃあリアスも綺麗になる。
にしても思ったよりあっさり──────というかそもそも自分で言った手前ダメって言えないか。
なんて少し考えていたらリアスがそばに寄ってきた。
「瑚太朗、どうして?」
「ん?“約束”しただろ?助けてって言ったら絶対助けるって」
自然と殺気も敵意も飛んで行った。純粋に笑顔を向けるべきだと思ったからだ
「そんなことで本当に来たの?………そんなの、そんなの──」
俺の答えにリアスが俯いた。耳が真っ赤だ。恥ずかしかったのか、それとも嬉しかったのだろうか。俺には分からないが不快感を示しているわけではないからきっと嬉しかったのだろう。
「そんじゃ、行きますか。行くぞリアス」
手を差し出しリアスを迎える
「ええ、朱乃たちの所に向かってエスコートして貰えるかしら?」
「了解致しました」
リアスの手を優しく握りオカ研のみんながいる所へ連れていく。みんなの心配するような顔を一瞥し一言
「リアスを頼む。それじゃー行ってくるよ」
それだけ言って何も言わせず振り向いた
魔法陣に近づく俺に一人走って来たやつが、あぁイッセーか。
「待てよ瑚太朗。俺も―――――」
「いや、いい邪魔だ」
「っ!?何で!」
俺が突き放した事にキレたのか、邪魔だと言われた事にキレたのか、まあ兎に角いまのイッセーは邪魔だ、全力が出せなくなる。ただでさえもう余裕が無いのにイッセーが来たら確実に死ぬ
「おい待てよ瑚太朗!―――うわっ!?」
イッセーの靴の裏を凍らせて動けなくした、まあ俺が転移したらすぐ解けるけど。
「瑚太朗君」
朱乃だ、少し寂しそうな声で俺の名前を呼ばれ、立ち止まってしまった。
「「瑚太朗君(先輩)」」
「「瑚太朗」」
佑人に子猫、朱音にちはやまで。
「連れて行かないぞ」
イッセーが喚くなか他のみんながただ一言だけ思いを込めて、俺に送ってくれた。
「「「「「勝って来て(ください)」」」」」
それを聞いて、俺は魔法陣に乗った。イッセーは最後の瞬間まで、ライザーは俺が倒すとヤケになっていた。
どこで育て方を間違えたかな……
――チェス盤上――
赤いな、何もかも血で染めたみたいに赤くなっている
持って来たナイフを握りしめて目の前の全て揃った十六の駒を見ていて思った
「ライザー、お前に聞きたい事がある」
「なんだ、冥土の土産に答えてやっても構わないぞ。」
もう切り替えて来たか、流石はキングって所だな。
「何でリアスだったんだ?他にも純血の悪魔はいるだろう?」
「あれ程、美しい美貌で肢体を持つ者などそういない、それに夜の方も俺を楽しませてくれるだろうな!」
予想通りの言葉が返って来た。というか予想よりも頭の悪い返答だった
「それで?」
俺が聞きたいのはそこじゃないんだよ。
お前がどれだけリアスの夢を理想を叶える事が出来る奴なのか聞きたいんだよ。悪いが勝手ながら測らせて貰うぞ
「何?」
「お前は『リアス』をどう見ているんだ?」
「どうも何も先程言った通りだ。分からないのか?」
·········はぁ
「あの、瑚太朗様私はこの勝負降ろさせて頂きますわ」
「いいよ、俺の後ろに避けてな」
一人だけ、俺の聞かんとしている事が彼女の心に秘めた気持ちが分かったのだろうか、レイヴェルだけが、この勝負を降りた
「どういう事だ、レイヴェル!」
兄の声に応えること無くレイヴェルは俺の後ろに座った。
奇襲を仕掛けて来る気配も度胸も感じない、感じ取れるのは親近感に似た感情だ。
「俺が見てきたリアスを教えてやるよ」
「そんなもの聞いて何になる」
さぁ、少しでも巻き込まれる子が減ってくれれば良いと思う。でもお前は分からなくていいよ。ライザー。最初の質問でリアスをどう見てどう思っているのかなんて分からないほど馬鹿じゃない。
下半身だけでものを考える獣コレは原作のイッセーが言われていた事だが俺にはお前がそう見えるよ。
それに彼女は2度俺に助けを求めた。それに応える義務があるだから一方的に奪われる感情の恐怖を叩きつけてやらないといけない
「リアスは魅力的な女性だ。お前が言っていた事にも共感できる所も無いわけじゃない。でもな?リアスはまだ高校生の女の子なんだよ。たとえそれが悪魔であるとか、グレモリー家の娘だからとかじゃない普通の女の子なんだましてや純血の悪魔だからなんて関係ない。自分の望んだ相手と結婚をしたい、そんなごく普通の夢を持つ女の子だ」
ライザー側にいる女性の俺への態度が変わった。興味深いものを見る様な物に変わったのだ。
「この間のレーティングゲームの準備期間中いつもとはちがう頑張り屋の一面がみえて誰よりも努力をする子だって教えてくれた。普段の学校生活だって、学園の二大お姉さまとか呼ばれながらも学校生活を楽しんでるし。球技大会の時もソーナやクラスの連中と楽しげに活発に活動してた、面白く無いことがあったり上手くいかないとむくれて頬を膨らませる様な普通の女の子だ。それを純血の悪魔だから、ゲームで負けたからなんて理由で彼女の大切な夢を奪っていいはずがないんだ」
少なくとも女性からしたら俺の発言はかなり痛いものだろう。勝手に他人の気持ちを代弁して、勝手に自分からみた話をする。そんなの面白くなんてないだろうとは思っていた
「─────ッ!!そんな事聞いた所で何だと言うんだ!」
·········ダメだな
一発殴り掛かろうと体重を前に移した時。ライザー側の陣営の女性が一人手を上げて質問して来た。
「天王寺瑚太朗。代表して私が返答する。『
この子確か、イザベラとか言ったっけ
以外にも俺の熱弁は上手く働いてくれたみたいだな
「ああ構わないよ、その代わり絶対に俺の前に出ない事、不意打ちとかはべつに構わないけど。後悔するなよ?」
「分かった、ではよろしく頼む」
丁寧に礼をして、こちらの後に回った。
「!?貴様ら、揃いも揃って何故だ!何故そこにいる!」
俺も分からないがお前ほどじゃない。たとえ怒りで視野が狭まっているのだとしてもコレはキングとしては最悪だ。どちらにせよ今のままのこいつに未来はない。ならここで本当に1度へし折ってしまおう。あくまでも再起できるギリギリのラインで
それにしても女性陣には何か自分にも思い当たることがあったのだろうか。後にいる子達からリアスに対して同情、共感それから羨望を感じる
けどあの女王は動かないなきっと。
女王としての役割、ライザーへの忠誠、愛を感じる。こういう人は言葉では動じない。
「そろそろ始めようかライザー」
「………いいだろう、初手は譲ってやる一度だけだがな」
何処か悔しさを孕んだ言葉は俺の心を射抜く様に真っ直ぐに飛んできた。……まだまだ、子供だなこいつも。俺も
「分かった」
そう言って持っていたナイフを握り締める。
自分に突き立てるとでも思ったのだろうライザーが笑いユーベルーナが爆破の準備をはじめた
「リアス」
ゲームやこれまでのことを思い出してかなり頭にきている筈なのに、酷く穏やかで、何かを届ける様な声が出た。
「約束まもらせてもらうよ」
そう言ってナイフを使って自らの両手首を切り裂いた
頼もしい二人の相棒と共に一つの理に至るための言葉を紡いで
「『『────
─イッセーside─
パーティー会場で騒いでいた上級の悪魔たちが急に黙って画面を見つめ、魔王ルシファー、部長のお兄さんがいきなり笑い始めたこと。
それから俺に最もそれがやばいと悟らせてくれたのはドライグだ。
瑚太朗に何かあった時にという理由で出しっぱなしにしていた俺の左腕、正確には『
俺の頭ん中でドライグが呪詛の様に何かブツブツと呟きながら
『ダメだ、ダメだ、ダメだ。まだ早い早すぎる。こんな状況であれと戦えば間違いなく死ぬ、それどころか今度こそ消される、あぁ嫌だ殴るな殴らないでくれ、寄るな、寄るな、寄るな!その腕を見せないでくれ。嫌だもう一度あれを食らうなんて絶対に嫌だ。嫌ダアアアァァァ!!精神が燃える、すり潰される嫌だ嫌だよあんなの、あんなの、あ───』
………さっきからずっとこの調子だ。
さっきまでライザーを倒すことで頭がいっぱいだったのに、それがどうでも良いくらいドライグがうるさい。
本当にうるさい。てか怖い
あ、何人かの悪魔が血相変えて出ていった。
すげぇなあれマジで何なんだ?画面越しだって分かってるのに体はガタガタ震えるし。
嬉しそうにしている人もいれば泣いている人もいる。かと思えば、何か恥じる物を見るような、恨みのこもった様な目で画面を見つめる人もいた。
「瑚太朗、帰ったら色々聞かせて貰おうかしら」
「ええ、まさかあの『鈴木 凡人』だなんて私も思いませんでした。今度学園の悪魔を揃えて瑚太朗君を問いただしてみましょう」
「いいわね、私も手伝おうかしら」
「ええ、ぜひ」
なんか朱音さんと、会長が怖いこと話してた。
俺は何も聞かなかったことにしよ。
ふと気になって部長の方を見た。
なんかもう泣き崩れていた、近くに朱乃さんもいて部長の背中をさすっているのが見て取れた。
瑚太朗が何ものであるか初めて知った様な気がした。
思えば瑚太朗は俺たちのことをよく知っているのに俺たちは瑚太朗のこと何も知らないんだ。とそんな風に思わされた。
何か少しだけ話をしているように見えたけどそれが終わると同時に
ア)あと少しであの焼き鳥に引導を渡せる。ウフフフフッ!
ゼ)アン、怖いよ。
瑚)取り敢えず奴は真正面から叩き潰してやる
ゼ)死なない程度に殺しましょう
瑚)ああ、作戦はいつも通りだな。
ア)死なない程度にぶっ殺し
ゼ)死なない程度にぶっ壊し
瑚)仲間に手ぇ出したヤツは地獄の果てでも清算させる。の3ヶ条だな
作)怖えよ!