「はうぅ」
そんな可愛いらしい悲鳴が聞こえた。いやそんな事は言っちゃ行けないか
声のした方を向くとシスターの格好をした女の子が倒れていた、手元にビニール袋がある事から買い物帰りなのはすぐに分かった。
助ける程のことじゃ無いのは誰が見ても明らかなんだけど、それでも自然と体が動いていた
「大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます。どうして転んでしまったのでしょう?」
確かに、何も無い所で転んでいるのは不思議だ。おっちょこちょいなのかな?なんて、勝手に思っていると。
彼女はビニール袋を持ってフラフラと歩き始めてしまった
「.....ちょっといいかな?」
「?はい、何でしょうか」
シスターさんはキョトンとした様子で俺の方を振り向い
「手伝うよ、そのままだとまた転びそうだし」
「ですが...」
「大丈夫、気にしないで」
そう言って彼女の持っていったビニール袋を一つ預かった
歩き始めて少しした頃
「ありがとうございます、この街には優しい方がたくさんいらっしゃるのですね。」と言われた
どうやら昨日も誰かに助けられたらしい、その人のことをシスターさんが楽しそうに話して居たから
少し羨ましくなった、こんな可愛い子に慕われている存在が少しだけ。こんなにも簡単に人を助けることの出来る存在が。
教会につく少し前に名前を教えて貰った、アーシア・アルジェントと言うらしい
それ程時間もかからずに教会の近くまで来る事が出来た
その代わり身体中に経験した事の無い悪寒が走った。
アーシアにお礼をしたいと言われたがそれどころの話じゃない、悪寒によって凄い吐き気に襲われているから。「俺は兵藤一誠、皆からはイッセーって呼ばれてる、またなアーシア」それだけ言って立ち去った
夜、部長に叱られたもう二度と教会関係者や教会に近づいてはいけないと、念を押された
その日の夜、はぐれ悪魔とやらの討伐に連れて行ってもらう事になった
夜いつものように部室に集まった俺たちは、はぐれ悪魔のいる廃墟に向かった
「はぐれ悪魔.....か」
どんな気持ちで主を裏切ったんだろう、私利私欲?それとも仕えるべき主がクソ野郎だったからのかな?
何にしても俺は、俺の主は最高と言ってもいいくらいだと思う。優しいし、美人さんだし、他のメンバーもいい人ばかりだ
ただ討伐依頼と聞いて部長の顔が曇ったのは少し気になったな
まるでいつも倒す前に獲物を横取りされているみたいなそんな感じがした
「...血の臭い、それから
小猫ちゃんがつぶやく様に言ったいつものという言葉に少し引っかかる感じがした
「.....そう、また」
部長がそう言うと皆から感じる殺気が少し増した気がした
やる気に満ち溢れた皆を前にそのまま歩き続けて行くと、急激に室温が下がったように冷たくなった、俺たちの目の前に氷漬けにされた、巨大なはぐれ悪魔がいたからだ。
みんなが『またか』という雰囲気を纏っている中、俺は氷を眺めていた。
悔しそうに氷に触れた部長がはぐれ悪魔の氷漬けを消し飛ばして、その日は解散となった
部室に戻ってから聞いたことだけど俺はポーンというチェスで最も弱いらしい性質だった
チェスのプロモーションについて部長に聞くと驚かれたけど、主であるが部長が敵地であると認めた場合そこでプロモーションが可能になると教えてもらった
プロモーションを使えば教会に乗り込んでも戦えるかな、と馬鹿なことが頭の片隅によぎるようになったのは間違いなくこの時だ
~主人公side〜
シスターさんを助けました。
ドラゴンの体でほんとに良かったよ俺、英語とか全然話せないからね。そのシスターさんの名前はアーシアと言う名前だった。メインメンバーの一人、イッセーとは会ってないみたいだったけどそのうち会うでしょと楽観していた
アーシアさんとは割と会話が弾んだ、神器を持っているという共通点からなのか、俺が初めての友達だからなのかは知らないが、とても嬉しそうに笑ってくれた
家に帰ったら黒歌が「瑚太郎から知らない女の臭いがするにゃ!」と叫んでいたけど何も聞かなかった事にした
ああそうだ、一応確認としてオカルト研究会の方には行ってみたけど、朱音は知らなかった。というかイッセーがいなかった
いい加減咲夜が出てきてもいい頃だと思うのに一向に姿を見せない
同じ能力を持つ化け物として仲良くしたいんだけどなー
これは余談だけどイッセーのトレーニングメニューを悪魔に転生する前の10倍の質と数をこなすように調整させてもらった。いつもよりキツくなってるのに音をあげないのは悪魔に転生したからなのか、俺が人間じゃねぇのに気づいているからなのか。まぁ恐ろしい速さで成長しているのは間違いない、リアスが掛けたであろう封印を三つも壊してるからなー
「うーん、暑くなって来たかなー」
イッセーが悪魔になってから暇になってしまったので、今は黒歌とまた出かける時の為にルートを考えながら散歩をしているとこ―――ん?
.....涼む為に廃墟らしき前を通った瞬間に強い鉄の臭いがした、ついでに言うなら悪魔の臭いもする。
中に入ると血の臭いは強くなった。
何度も何度も嗅いだ事のある、俺の嫌いな臭いだ
「美味そうな匂いがするぞ。人間だ食事が自分からやって来たぞ」
.......あぁ、はぐれか。またか、そう.....
「まぁいい、死ね人間!!」
上半身が女の裸で下半身が化け物のはぐれ悪魔は奇声をあげながら俺に突っ込んできた
「.....いい加減、依頼無しでもはぐれを狩って欲しいね」
俺ははぐれ悪魔に聞こえ無い程度の声でつぶやいて、左手を上に突き上げた
「ギィィィアアアア!!!!」
その叫びと同時か少し早くはぐれ悪魔を覆い尽くす様に魔力がはぐれ悪魔の足元から氷の柱を組み立てた
氷の冷たさ故か、少し叫ぶとカタカタと震え始めた。
俺ははぐれ悪魔が震え始めたのを確認すると
「.....俺の目の前に現れた事を後悔しろ。グレモリーの悪魔に発見される迄そこで地獄を味わい続けろ。最期にはぐれ悪魔になったことを懺悔しろ。」
それだけ言って廃墟から出た
子供みたいに、依頼を待っているだけ?
ふざけんな、自分の領域なんだろ?だったらはぐれ悪魔なんて寄せ付けてんじゃ―――いや、リアスがはぐれ悪魔がどれだけいるかマメに確認しなかったから黒歌と出会えたんだ。それに今はまだ子供だ、はぐれ悪魔は俺が狩るか。
そんな事を考えながら帰路についた
数日後
アーシアと公園で出会った、どうして教会の外にいるのか理由は聞かなかったけど、周りをキョロキョロと気にしている様子だったのは一目瞭然だったからスグに声を掛けた。ブランコに座ってボッチ感をすごく醸し出していたから凄く雰囲気暗かったよ
その後はイッセーと合流してメックに行ったり、ゲーセンで遊んだりして楽しんだ
アーシアは悪魔をも治療出来る神器で悪魔を癒している所を見られてしまったらしい、教会のスグそばでだ。その事で今まで聖女とされてきたアーシアは魔女として疎まれて、巡り巡って日本に赴任することになったらしい。
神ってやつは何してんだろうな、こんなにも他人に優しくて、たった一つの行動によって明るい未来を断ち切られてしまって、望みの少ない人間で、救うべき人間とは彼女の様な人間じゃ無いのか。
夕方、教会から逃げてきたアーシアをどうしようかと考えていると、レイナーレが出てきた。なんでも儀式とかいう事をしてアーシアから神器を抜き取るのだと言うそんなことをしたら間違いないアーシアは死ぬ。それでもレイナーレはあまり乗り気には見えなかった。本当はいい奴なのかも知れないな。
途中ドーナシークとか言うコート野郎が俺とイッセーを盾にしてアーシアを連れ去って行った
あのまま攻撃しても良かったんだけど、アーシアの立場やイッセーの主であるリアスにバレるには少し早いと思って何もしなかった
イッセーがイライラしている姿を久々に見た。友達を守れなかった自分が腹立たしいのだろう。
儀式が行われるのは今日、俺の仲間の一人銀髪の悪魔祓いから教えて貰った、イッセー達とは障壁として立ち塞がるつもりらしい
というかそれ以前に気がついたら家の前に立っていた、うーん流石に人間クラスまで落としてると上級悪魔程度の魔力干渉にも負けるか、魔法その物は俺の方が強いだろうけどリストバンド外して、少し教会の方を見に行くか。
そういやドーナシークって原作だと確か中級クラスだったはず、でもあの魔力保有量だと.....何か嫌な予感がする。
俺という存在がこの世界に与えた大きな影響に、俺自身はまだ気づいていなかった
文才が欲しいですね、ハイ
瑚太郎(???)は世界にどんな影響を与えているのでしょうか、気になりません?