side マァム
用事があってダイ達の部屋の前まで来たら、部屋の中からダイとポップの話が聞こえてきた。聞く気はなかったんだけど、耳に入ってしまいどうしたものかと思っていたら、二人の話が不穏な方向へと進んでいった。完全にタイミングを逃してしまった私は、ただ二人の会話を聞くことしか出来なかった。
聞かなければ良かった。アバン先生が死んだなんて・・・・・二人はアバン先生の意思を継ぎ、魔王軍を阻止する為に旅を始めたことをその時初めて知った。そんな二人をほっとけない気持ちで一杯だが、私にはこの村を守る使命がある。私の生まれ故郷であり、父さんが眠るネイルの村を・・・・・・・
そうしてとうとう私の心が決まらないまま、ダイ達が村から旅立つ日がやってきてしまった。一緒に付いて行って力になってあげたい。でも村が心配・・・揺れ動く私の心を見透かした様にお母さんが、ダイ達について行く様に進めてくれた。おかげで踏ん切りがついて、私はダイ達とロモス王城に向って旅の第一歩を踏み出したのであった。
side ポップ
マァムが一緒に着いて来ることになった。旅の仲間が増えるのは良い事だが、あの凶暴な性格はなんとかならないものか・・・・そんなことを考えながら歩いていたが、いっこうに王城に着く気配はなかった。マァムの道案内が悪いんじゃないかと言ってみたら、『敵に見つからない様に、わざと遠回りをしているのよ!!』と怒られてしまった。本当に凶暴な女だ!
そんなやり取りをしていたら、ようやっと森を抜けロモスの城下町を見渡せる所までたどり着いた。見た感じあと一時間も歩けば何とか町に入れるだろう。本当に長かった・・・結局2時間歩いて、ようやっと王城にたどり着いたところで、衛兵に止められてしまい明日来いと言われた。何とか交渉して入れてもらおうとしたが、頭の固い連中には通用しなかった。(覚えとけ!コンチキショウ共め!!)
仕方がなく今日は宿屋に泊まって、明日出直してやることにした。宿屋に着いてすぐに、ダイが価格交渉を始めた。値段交渉の結果、格安料金にしてもらったらしい。このクラスの宿で5ゴールドとは悪くない感じだと思い、ダイも中々やるもんだなと感心した。とても孤島でモンスター達と生活していた人間とは思えないが、頼もしいかぎりだ。
宿屋の主人の話だとこの宿には、魔王軍と戦っている《勇者様御一行》が泊まっているらしい。ダイは興味深々な様子であり、マァムが止める間もなく速攻部屋に押しかけていった。おれが追いついた時には、ドアを猛烈な勢いで叩いていた。どうやら相手にされなかったらしく、意地になっている様だ。戦闘になると物凄いが、そういった所は年相応なお子様だなぁと思う。
勇者様?がとうとう我慢出来なくなったのかドアを開けてどなってきたが、どうやらダイの知り合い?だったらしい。結論から言うと、こいつらはニセ勇者だった。ダイに話を聞くと、勇者と言うより小悪党といった言葉がピッタリな感じだ。ゴメちゃんを捕まえて一攫千金を狙ったらしいが、ダイにコテンパンにやられ、大金より小金を稼ぐ方へ方針を転換したらしい。
ダイ曰く、中々の強さらしい。城の用心棒でもすれば、金も稼げるのにと思いそう言って見たら、楽をして《廃城荒らし・格下モンスターばかりを討伐・適当な魔法を兵士に教えて高い授業料を取る等々》金を稼ぎたいと言うことらしい・・・・ダメだこいつら早くなんとかしないと!!
そんなこんなで夜が更けていった。翌日、モンスターの雄たけびで目が覚めることとなるが、魔王軍との戦いがあれほどの激戦になるとは、当時のおれ達に知る由もなかった。