一色いろはの恋愛事情⇦こんなのも書き始めました!途中からデレはす成分多めの作品にしていこうと思ってます!こちらもよろしくですっ
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「あっ、わたし病院にカーディガン忘れてきちゃいました」
結衣先輩と病院を後にし、帰ろうとした時にふと思い出しました。
わたしは救急車で頭だけではなく腕からも出血していた先輩の腕に、自分のカーディガンを包帯がわりに巻いていました。それを病院の集中治療室の前に忘れてきてしまったみたいです。
「結衣先輩、すみませんけど先帰ってもらってていいですか?」
「あ、うん、わかった、先帰ってるね」
そう言ってわあしは駆け足でカーディガンを取りに戻りました。
カーディガンを見つけ帰ろうとした時、奥の角を曲がったところから誰かがすすり泣く声が聞こえてきました。なんだか気になって覗いてみると、
そこに居たのは雪ノ下先輩とその雪ノ下先輩の胸に顔を埋めるような形で泣いている陽乃さんでした。
「ひ、ひき、がや…君が………ど、どうしよ……ゆきのちゃん………ひき…がや……君が……」
雪ノ下先輩は陽乃さんの頭をしきりに撫でていました。
陽乃さんの涙を見たのはこれが初めてでわたしは驚いていました。知り合って間もないから当たり前といえばそれまでなんでしょうが、常に笑顔で強化外骨格みたいな仮面を被った陽乃さんが、周りに人がいないからとはいえ涙を流すなんて想像もできなかったからです。
あの凛とした態度は年上として、ただただ強がっていただけなのだ。
わたしはすぐに病院を出て帰路につきました。
今になってまた罪悪感と喪失感が襲ってきて、今にも泣き出しそうでした。
これからどんな顔してお見舞いに来ればいいんだろう。
先輩が目を覚ました時、なんて声をかければいいんだろう。多分先輩は私を許してくれる。別に気にすんな、俺が勝手にしたことだ。なんて言うと思う。
けれどわたしはわたしを許せるのだろうか。
答えは否である。
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先輩が入院してから3日が経ちました。未だ病状の進展は無く、先輩の意識は戻らないまま私の罪悪感だけが増すばかりでした。
事故の次の日にはもう病院からお見舞いが許可されました。しかしわたしはどうしても行く気にはなれなかった。どんな顔して会えばいいかわからなかったから。
放課後
「いろはちゃん、今日ヒッキーのお見舞い、行く?」
「え、あ……」
わたしはすぐに返事をすることが出来ませんでした。本当ならすぐに駆けつけたい、その気持ちでいっぱいなのに、それなのに。
「今日は、ちょっと…」
「…そ、そっか!それじゃああたしとゆきのんは行ってくるね」
「…すみません」
わたしはその場から逃げるようにして家路につきました。
もう逃げないって決めたのにな、ダメだなわたし。
「…ただいま」
家に着きわたしはベットに顔を埋めて自問自答していました。
わたしはこれからどうすればいいんだろう。普通に先輩のお見舞いに行けばいいんだろうか。小町ちゃんにはどんな顔すればいい?雪ノ下先輩は?結衣先輩は?もう合わせる顔なんか無いよ。
そんな時わたしの携帯が鳴りました。誰からだろう、と確認すると小町ちゃんでした。
「…もしもし?」
『こんにちは、いろは先輩』
「…」
『小町は、待ってますから』
「…え?」
『いろは先輩、まさかお兄ちゃんに合わせる顔がないから、とか思ってお見舞いに来ない気じゃないですよね?』
「そ、それは…」
『確かにお兄ちゃんに対して罪悪感があるのはわかります。でも』
「……………小町ちゃん?」
『お、お兄…ちゃんは………会いだ…がっでる…はず、でず………』
「…小町ちゃん」
『待ってるでありますっ」
そう言って小町ちゃんは電話を切りました。
行こう、先輩の元に。
わたしはすぐに自転車に乗り先輩が運ばれた病院へと急ぎました。
1秒でも早く先輩に会いに。
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病院に到着し、わたしはすぐに病室へと駆け込みました。
「はぁっ…はぁっ…すみません遅くなりました」
「いろはちゃん!」
「一色さん…」
「いろは先輩!」
病室にはすでに結衣先輩雪ノ下先輩小町ちゃん、そして平塚先生がいました。
「来てくれたか一色」
わたしはその場で深々と頭を下げました。
「すみませんでした」
「謝ることなんてなにもないわよ」
「そうだよいろはちゃん」
「…でも、わたしは」
「私も、もし一色さんの立場なら行くのをためらってしまうと思う。けれどそれは一色さんが悪いからじゃない。一色さん自身が比企谷くんに負い目を感じているのでしょう?」
「…はい」
「そんなの比企谷君に失礼だわ」
「…え?」
「彼はあなたを命がけで守った。その代償があなたとの距離を広げることなのかしら」
「違うでしょう。もしあなたが比企谷君に対しての負い目があるのなら」
雪ノ下先輩は一呼吸置いて、
「比企谷君を信じなさい。彼はあなたを恨んだりなんかしないわ。そして私達を信じなさい。誰もあなたを恨んだり蔑んだりしないわ。あなたと私たちの関係はそんなものじゃないもの」
「……は、いっ……ありが…とう、ございます……」
涙が止まらなかった。そうだ、罪悪感を背負って先輩に会わないなんて先輩のしたことを否定するのと同じなんだ。
「先輩、わたし毎日会いにきますからねっ」
その時
『毎日来られても困るんだが』
先輩がそう言ってるような気がした。
なかなか難しいですねぇ。
次は特別編?的なのを書こうと思います!