ってことで八幡人称のとこまで!
「みなさーん、休憩でーす!」
わたしはいつものようにサッカー部のマネージャーとしてグラウンドに出ています。
「いろはす〜、水ちょーだい!」
「はーい」
「最近生徒会とか大丈夫なん?」
「はい、仕事は最近あまりありませんから!」
「いろはすが部活来てくれたら俺らもやる気でるわ〜」
「それはよかったです〜」
仕事なんてもともとないんですよねぇ〜。先輩と少しでも一緒にいたいが為に適当に仕事作ってただけですから。まぁ今はもうそんなことをする必要がないので部活で気を紛らわせてます…あれ?葉山先輩どこ行ったんでしょう?
すると校舎裏に向かう葉山先輩を見かけました。特に用があったわけでもなかったんですがなんとなく気になって付いて行ってみました。
(誰かと話してる?)
近くまで行って物陰に隠れながらこっそりと様子を見てみました。
そこにいたのは、先輩でした。
(な、なんで先輩と葉山先輩が?あの2人ってそんなに仲良かったっけ…)
なにやら話しているようでしたがなかなか聞こえません。気づかれないように少しずつ近づき、ようやく会話が聞こえるとこまで来ました。
ドゴッ!!!!!!!!!
鈍い音がしたと思った時には先輩は仰向けになっていました。
え?え?葉山先輩が先輩を、殴った、?
意味がわからず混乱していると
『…だからお前と一色のために関わらないように』
『そんなの嘘に決まっているだろ!!!』
葉山先輩の叫びよりも先輩が言った『お前と一色のために関わらないように』というのにわたしは動揺していました。
わたしと葉山先輩のため?まさか、先輩は…
『君はどうして気づかないんだ、いろはの気持ちに。いろはは君に、君の気持ちに一歩でも踏み込もうとしているんだ。そして君の特別になろうと必死なんだ。あんな必死な彼女は見たことがない。バレンタインの日、必死に彼氏のふりをしてくれ、って頼まれたよ』
わたしは黙って先輩達の会話を聞いていました。そして葉山先輩の話でわたしは納得しました。どうして気づかなかったんだろう。先輩が自分を犠牲にまでしてわたしと葉山先輩の仲を取り持とうとしていたことを。先輩はそういうやり方しか知らないことを。
なぜかわたしは涙が止まりませんでした。先輩が自分を傷つけたことへの罪悪感か、それとも本当に嫌われていなかったという安堵感からか、おそらく両方です。
ほんと、バカです先輩は。
嫌われたのに、諦めたくても諦められなかった。それで今の聞いちゃったら、ますます諦められなくなっちゃうじゃないですか。
先輩、わたし先輩のこと好きでいていいんですよね?
ーーー
その日、部活が終わり帰ろうとすると校門で偶然雪ノ下先輩にお会いしました。
「こんばんは、一色さん」
「こんばんはです、ってこんな時間までどうされたんですか?」
「入学式の準備について段取りをね」
さすが雪ノ下先輩です。なんたって学年一位の才女で学年一の美少女ですから。先輩は毎日こんな人達と一緒にいるんだなぁと思うとなんだかモヤモヤしてきました…
「ねぇ一色さん」
「は、はい?」
「比企谷君のこと、好き?」
「はい…ってえぇぇ!?」
「そ、そんなに驚くことかしら、というか隠してたつもりなの?」
そ、そんなにバレバレ?亜美にも言われたし…
「ではなぜ奉仕部に顔を出さないのかしら」
「そ、それは…」
「大方、比企谷君が何かしたんでしょう」
「それは、間違ってはないんですけど…」
「比企谷君は自分を犠牲にすれば何もかも解決すると思い込んでいるのよ。それは彼の過去がそう仕立て上げたものよ」
「けれど今は違う。あなたのように彼を想っている人がいる、それを彼は気付いていなかったのよ」
「気付いて、いなかった、?」
「えぇ」
「それって…」
「それじゃあ一色さん、私はここで」
「え?あ、あぁ、はい。失礼します!」
「えぇ、おやすみなさい」
「明日の模様替え、私も比企谷君も行くからよろしくね」
「は、はい!」
そういって雪ノ下先輩は踵を返し、悠然と立ち去って行きました。けれど、その背中に少しの迷いが見えたのはわたしの思い込みだったのでしょうか。
ーーー
模様替え当日
わたし、一色いろはは今日、先輩に告白します!
とかいう冗談は置いといて、今日先輩と話し合いたいと思います。
ん?というかそれ言ったら告白と変わらなくないですか?先輩も葉山先輩とのやりとりでわたしの気持ちに気づいてる、はずですよね?
ど、どどどど、どうしまひょう……か、噛んじゃった。えへ☆
そんなこと考えてるうちに学校に着いちゃいました。せ、先輩いるかな…。会ったらなんて言おう…
わたしは生徒会長なのでまず生徒会室で段取りを確認してから体育館で準備です。
「おっはよーいろはー」
「あ、亜美。おはよー」
「どう?先輩となんか進展あった?」
亜美は毎日わたしと先輩に何かあったか聞いてきます。そんな毎日何か起こるわけないのに。でも今日は…
「ま、まぁ、ね」
「え!ほんと!?何々!?」
「ちょ、ちょっと亜美ちかいよ」
「最近のいろはは全くと言っていいほど生気がなかったからねぇ。今日のいろは見たら元気そうだし何かあったのかな?って思ったらビンゴ!」
ど、どんだけわかりやすいのわたし…
「で、でもまだ良いことかって決まったわけじゃ…」
「でも、変化があったのは良いことなんじゃない?昨日までのいろはって本当に自殺するんじゃないかと思うぐらいだったよ?」
な、なんだか恥ずかしい…
「そ、そんなことしないから」
「ふーん、あっ、私も仕事あるから行くね!また惚気聞かせろよぉ〜?」
「惚気って…はいはい、わかりましたよ」
そういって亜美は走って教室へ戻って行きました。亜美ってやっぱり何かとわたしのこと心配してくれてるのよね。わたしってこういう性格だからあんまり女子の友達とかいなかったけど亜美が友達で良かった。
そんなことを柄にもなく思ってしまいました。
ーーー
段取りの確認が終わり、わたしは体育館にいます。もうすでに雪ノ下先輩がテキパキ指示を出しており生徒会長なのにわたしの番ないんじゃないかな、なんて思っちゃいます。まぁ、さすがにここには先輩はいませんね。い、いや、期待してたわけじゃないですよ?決して。うん。まぁ、ちょっとはしてたかなぁ…
そんなこと言っててもわたしだって生徒会長ですから、先輩を探すより仕事仕事!
あ、探すって言っちゃった…
ーーー
「ふぅ、」
案外椅子並べって面倒なんですね…。先輩なら効率よくサボってそうですけど。足りなくなったからまた倉庫から出さないと。
わたしは倉庫に行き薄暗い中椅子を持ち戻ろうとしました。その時誰かとぶつかってしまいました。
「あ、すみません」
「あ、悪りぃ」
え?この声…
ぶつかった相手は先輩でした。そのまま先輩を見つめたまま動かなくなってしまいました。
こ、こんなの聞いてないよぉ…ど、どうしよう絶対今顔赤くなってる…
「し、失礼します」
そう言ってすぐに戻りました。
ってバカ!?わたしバカなの!?先輩に伝えることあったじゃん!何してんのよわたし…
はぁ、流石に今は戻って話しかける勇気は無いのでまたの機会に…
わたしはそれからも黙々と作業を続けていました。椅子だけに集中し、周りは一切見ずに淡々と作業をこなしていました。周りを見ると先輩を目で追っちゃうから仕事にならない、なんてのは秘密です。
すると誰かがこっちに走ってくる音が聞こえてきました。一瞬先輩かと思いましたけどよく考えたら先輩が走るなんてありえなかったです。すると私の上でガシャン、という音がしました。なんだろう?と思い確認しようと…
「きゃあっ!!!!」
わたしは誰かに突き飛ばされ、その瞬間何かが地面に落ちる音がしました。
痛ったぁい…、もぉ、誰ーー
その時わたしは凍りついたようにその場から動けなくなりました。だって、さっきまでわたしがいたところに照明器具が落ちてきて、そこから手が見えていましたから。顔は器具に覆い隠されていました。けれど、なぜかその下敷きになっている人がすぐにわかりました。だってこんなことするのはあの人しかいない。
「ヒッキー!!!」
「比企谷君!!!」
結衣先輩と雪ノ下先輩の声を聞き私は我に返ってすぐに駆けつけました。照明器具をどけ、助けようとーー
その時わたしは目を疑いました。
先輩の頭、顔の周りに血溜まりができており、みるみるうちに広がっていてーー
「い、いやぁぁぁぁ!!!!」
わたしは我を忘れて叫んでいた
結構シリアスな感じになりましたかな?
予定通り八幡人称のところまで追いつきました!
いろは人称やっぱり好きです!
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