「おかえりなさい、八幡」
あの人の声が、俺の心を動かす。体を動かす。俺は幽姉に抱きつく。
「八幡……」
「…会いたかった。本当に、会いたかった」
「……フフッ、私もよ。けど、こうやって会えたから嬉しいわ」
「幽姉……」
「八幡……」
そうして俺と幽姉の顔が自然と近付いていく。お互いに近付かせる。そして、唇同士がくっつく。数秒後に離れるが、心が充実してくる感じがする。そして、更にもっとしたいと心が叫ぶ。その矛盾した感情が顔に出てたのか幽姉は微笑む。
「もっと、しない?」
そこからは、記憶がないがとても心が満たされていくのが感じられた。
***
あれから時間が経ち、俺と幽姉は目が合うと顔が赤くなり俯いてしまう。けど、不思議と気まずいとは思わない。幸せを感じる。
「は、八幡……」
「な、なに……」
「……ふぅ、ようやく落ち着いたわ」
「……ククッ」
「もう、なによ」
「いや、ね……」
「フフッ……」
「「アッハッハッハッハ!」」
幽姉と互いに笑い合う。これは本当に幸せだ。
「さぁ八幡、あっちで起こったこと話してちょうだい。気になるわ」
「分かったよ幽姉。本当に色々あったからな、まずはな……」
それから幽姉にちょっと嫉妬されたり、怒られたり、頭撫でられたりと現代で体験したことを話していった。話し終えるとどうやら夕暮れのようだ。
「ふぅ……すごいわね八幡。あら、どうやら夕方ね」
「お、本当だな。早いな……」
「それほど楽しかったのよ。私も楽しかったしね」
「幽姉がそう言うならよかったよ。あ、そうだ」
「なにかしら?」
「数日後にまた現代に戻るよ。連れてきたい人がいるんだ」
「あら、なら私はその人達に本妻ってことを知らしめないとね♪」
「ほ……」
顔が熱くなるのが分かる。けど、それは実際俺も望んでいること。そしてそれを幽姉が望んでいるのが嬉しい。
「フフッ、さて夕飯にしましょうか」
「……そうだな」
そうして立ち上がろうとするとドアをノックされる。
「あら、今日来たのね」
「誰?」
「私の弟子よ。会ってみるといいわ」
そう言って幽姉はドアを開ける。そこには白黒の服を着た魔法使いのような、活発な女子がいた。
「よー幽香、美味しいキノコ手に入ったから持ってきた……誰だ?」
「いらっしゃい魔理沙。キノコありがとう。ちょうどよかったわ、今日はおめでたい日だからね…彼は、私の彼氏よ」
「か……!?」
魔理沙と呼ばれた女子は目を限界まで見開く。あまりの衝撃に固まっている。
「幽姉、そいつ固まったぞ」
「あら、本当ね。まぁしばらくすれば戻るわよ」
「そうか」
「はっ!」
あ、戻った。
「ちょっ!幽香さっきのはマジか!?」
「本当よ。前から言ってた約束の人なのよ。けどいきなり大声出さないでちょうだい」
「……よ」
「「?」」
「よがっだ〜!!」
なんで泣いたの!?
「ちょ!?魔理沙!?」
「いつも…ヒッグ…約束した人との話…ヒッグ…なると…暗くなってたからぁ…ヒッグ」
「魔理沙……」
そうか、こいつは幽姉を心配してたんだ。だから、こんなに幽姉のために泣いている。
「幽姉、慕われてるな」
「……そうね」
そっぽ向きながら答える。なにそれめっちゃ可愛い。なんならもっと見たいまである」
「え……」
何故か幽姉は赤くなる。何故だ?
「ヒッグ…声に…出てたぜ……ヒッグ…」
マジか!?てか魔理沙は泣きながら言うな。鼻水が出てるぞ。
「はぁ…全く、仕方ない娘ね」
魔理沙の顔を見てティッシュでふく。それから魔理沙と一緒に夕飯を食べたり、自己紹介したり、そして幽姉と一緒に魔理沙からからかわれたり、なかなか楽しい時間が過ぎていった。結論、魔理沙はいい奴。