黄色い花畑に向かって急降下していると、今までのあっちでの出来事が思い出される。
「……本当に、色々あったな」
まだ降りるまで時間がかかりそうだ。なら、それまで思い出していよう。
***
中学を卒業した日、俺は屋上に呼び出されていた。大方罰ゲームか俺を貶すためのだろう。そう思っていると、屋上のドアが開く音がする。
「やっほー、比企谷」
「……急にどうしたんだ、折本」
「んー、ちょっとねー」
そう言って、俺を呼び出した本人、折本かおりは体をモジモジしながら言い淀んでるように見える。
「……気持ち悪いぞ」
「ちょっ!?酷いってば比企谷ー」
そうして折本は落ち着いたのか、真剣な表情になる。
「……比企谷、あたし、アンタのこと、が………好き…なの…」
最後辺りは顔を赤くして尻すぼんでいたがちゃんと聞こえた。こいつの表情を見ると、どうやら本当のようだ。まぁ『能力』で調べたから分かってたが。
「……悪いな。俺は記憶はないが、ある女性と約束してるから、無理だ」
「……そっか。そうだよね。比企谷はいつもどこか違う感じがしたから、納得出来るよ」
「……そうか」
「うん…恋人がダメなら、友達はどう?」
「……は?」
「あたしはこれでも一途なんだよ?そんでその顔ウケる」
「いやウケないから。てかなんで友達?」
「……アンタを、手に入れるためにだよ!」
そう言って折本は俺の頬にキスをした。一瞬何をされたか分からなかったが、それが分かると顔が熱くなるのが分かる。
「フフッ、照れてるね、ウケる」
「ウケねーよ…」
「これからよろしくね!八幡!」
「ねぇなんでいきなり名前呼び?恥ずかしいからやめてくれない?」
**
それからなんやかんやあったが割愛し、高校一年の最初は事故にあってしまった。だが、それはある2人との出会いでもあった。
その2人とは雪ノ下雪乃と雪ノ下陽乃であった。その2人は事故当日入院先まで来て謝罪をしてきた。良く見ると2人はいい所のご令嬢。そして、親の道化となってきていた。それを見て、救いたいと思った。結果としては、両親と娘達の話のズレであった。2人は母親と話し合い、2人の好きなように生きていけることが出来た。そういえば雪ノ下家と今度食事会があったな。しっかりと行かなければ。
それから色々とピンク色をしたビッチが入部してきたり雪ノ下家の顧問弁護士の息子、葉山隼人と仲良くなったり、色々なことがあった。けど、ビッチこと、由比ヶ浜結衣は俺に突っかかってきたり妹?は俺とビッチをくっつけようとしてきたな。あれは本当にウザかったな…
そんなことを考えてるとそろそろ着く頃合だった。背中に付けた翼を羽ばたかせて落下速度を落とす。そして黄色い花畑…いや、太陽の花畑を傷付けないように花が咲いていなくて、植えられてないところを選び着地する。
「……ただいま、幽姉」
後ろを振り向くと、思い出した記憶とは変わらない笑顔でいて、涙が溢れている風見幽香がいた。
「……おかえりなさい、八幡」