おれナルト。木の葉がヤバい。   作:焼酎臭いマン

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いやぁ今回はシリアスで申し訳ないですなぁ(๑˙灬˙๑)

いつもよりギャグ(のつもり)少なめです(;^ω^)


第五話 お前の罪を数えてやる!一個!!

 

 

前回のあらすじ。

 

 

ミズキ先生を嵌めてやろうと計画に従った振りをしたものの、その日のうちに火影の爺さんの所へ行くのはあまりに面倒くさかったため、次の日の朝一で報告しに行こうと思っていたナルト。

 

甘かった。おれは甘さ(チョコラテ)を置き忘れていたようだ。

 

 

昨日のおれとミズキのやり取りを見ていた者が居たらしく、すっかり共犯者にされてしまっている。

 

誰だ?あのハンバーグ親子だったら決して許さない。牛のゾンビに変化して夢枕にたってやる。幻術の応用で可能だっ!

 

 

 

いや、誰が密告者であるか。そんな事はどうだっていい。今はこの状況を何とかする方が先決だ。

 

おれは今容疑者として里の忍び共に追われている。今の時刻は朝の六時だ。既に搜索が始まっていても不思議ではない。

 

まだこの家に追っ手が伸びていないということは、アカデミーでも有名な落ちこぼれであるおれを御しやすい相手だと判断し、一応は中忍のミズキを優先している為であろう。

 

 

とはいえ気まぐれな忍びがいつ此処に現れるかもわからない。

 

 

まずはこの家を離れる必要がありそうだ。

 

おれは食べかけの朝飯をしっかりと胃に入れ、火影直伝の素早い歩法で木の葉の街に繰り出した。

 

 

 

 

 

さて、街に着いたは良いものの、忍びの数が多すぎる。それも上忍が半数を占めている。見つかればまず、逃げる事は不可能だろう。

 

幸いなのは、皆ミズキだけを血眼になって探しており、まだおれの搜索に意識が向いていない事か。

 

白眼を使えば直ぐ見つかるだろうに、捜索隊に彼らの姿はない。例の最強一族は朝が弱いと見て間違いないだろう。

 

 

 

火影の邸宅にさえ辿り着く事が出来れば、巻き物の術を会得しているおれがわざわざミズキの口車に乗るはずも無いと、火影様直々に証明してもらえるはず。

 

しかし、本件についての会議の本部が火影様のおわす木の葉総本部であるため、近づくことは非常に困難だ。

 

 

 

 

それにしても、師匠が裏も取らずにおれをよりにもよって指名手配するとは考えづらい。

 

これは、相談役のボケ老人共に押し切られたと見て間違いないだろう。

 

水戸門ホムラとうたたねコハル。もしこの世界に老人ホームがあったなら、おれは迷わず彼らをご招待する自信がある。

 

あいつらは本当に性格が悪く、おれが猿飛ヒルゼンの弟子だと知ってから、よくこのような茶々を入れてくるのだ。

 

本当に、意味がわからない。

 

師匠はお茶目な老人らで結構などと仰っていたが、被害者からすればたまったものではない。

 

下手に里の上層部にいるので、彼らの悪ふざけは冗談では済まされないのだ。

 

暗部に拘束されかけたのも一度や二度では無い。金輪際やめて頂きたい。

 

今回の突然の指名手配も彼らが暇を持て余した故の戯れだろう。断じて許さない。

 

腹いせにこの件が片付いたら、彼らがいつも食べている煎餅の海苔の部分を韓国海苔に替えといてやる。老体にはさぞかし油が応えるだろう。

 

 

さて、事の発端を考えるのはこれくらいにして。今回の打開策を練るとしようか。

 

まず、おれを追うであろう上忍達はプロだ。何処か一つの場所に隠れていては見つかる確率が高く、危険である。

 

街中を逃げ回るのも別の意味で危険だ。遮蔽物や高低差が多く一見逃げやすいように見えるが、おれが上忍相手に足掻く様を大勢の群衆に見られてしまうというデメリットがある。

 

かと言って、馬鹿の一つ覚えの様に里の外の森に出るのも頂けない。

 

戦争を経て、実戦経験の豊富な上忍に対して、戦場になることが多かったと推測される森で勝負をする事になる可能性がある以上、余りにも無謀だと言わざるを得ない。

 

 

 

仕方ないが、ここは定石に従うのがベストだと思う。

 

中忍程度の忍びを一人倒して、変化の術で成り代わってしまえばいい。

 

追われる側から追う側にジョブチェンジする事で情報アドを得られる上、おれは中忍レベルの術なら卒なくこなす事が出来るため、怪しまれるリスクも少なくて済む。

 

後は隙を見て火影に会いさえすれば、晴れておれの無実が証明される。

 

 

だが、今回欺くべき相手は上忍だ。敵が味方に変化している可能性は、暗黙の了解として各々の頭にあるだろう。

 

先ほどから観察しているが、彼らはミズキを探しながらもジェスチャーを用いた本人確認を行いつつ、互いの挙動や表情の動きへの注視を怠ってはいない。

 

変化対策の合図はもう覚えた。後は変化する相手である。

 

ターゲットに相応しい人物像は以下の通りだ。

 

おれが日頃から接する機会が多くクセをほぼ完璧に再現できる人間であり、かつおれの実力で瞬殺できる人間。

 

この二つの条件を満たす相手は、事件の主犯であるミズキを除けば後一人しかいない。

 

 

その人物は…っ!

 

 

 

 

 

 

 

吾輩の名は権田原ゴンザレス。アカデミーの講師をしている特別上忍だ。この妙な名前は親がノリでつけたらしい。はっはっ。笑えばいい。もう慣れた事だ。

 

自己紹介はこれくらいに。吾輩は今とても忙しいのだ。

 

なんといっても、木の葉忍者アカデミー始まって以来の大事件。

 

教師が生徒と共謀して犯罪を犯そうとしていたなど、清く正しい学舎にあってはならない事だ。同僚に反逆の気配があったことに気づけなかった吾輩も、まだまだ青いな、と思い知らされた事件でもある。

 

それに、犯人の片割れはあの出来損ないの化け狐。

 

せめて同じ屋根の下にいたよしみとして、吾輩の手で二人共葬ってやらねば☆

 

犯人を二人共吾輩の手で殺す事が出来れば、吾輩は一躍有名になれるだろう。

 

アカデミーの教頭にだってなれるかもしれない。あの英雄、うみのイルカを、顎で使えるようになるかもしれないのだ。

 

 

 

 

 

そんな希望を胸に、吾輩は粛清の為の第一歩を踏み出そうとして…

 

 

 

 

そのまま、意識が、暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、誰がゴンザレスだ。おれだ、ナルトだ。

 

作戦の第一段階はあっけなく成功した。

 

アカデミーの講師である権田原が一人になったところを狙って、一瞬で背後に回り込み、頚動脈を絞めて意識を刈り取った。なんとも呆気ないものであった。

 

同僚と生徒の不祥事を自らの手で解決し、称賛を受けるなどという、甘い甘いストーリーでも夢想していたのだろうか。こう言っては何だが、とても隙だらけだった。

 

彼はよくおれたちに「忍びたるもの常に戦場にいると思え」と語ってくれたが、その本人がこの体たらくでは説得力も何も無い。只只滑稽である。

 

 

今彼には自宅で眠ってもらっている。きっと起きる頃には何もかもが片付いているだろう。一言謝りたい。ごめんな。

 

 

 

 

では、作戦の最終段階に入りたいと思う。この姿のまま火影様のいる本部に向かい、事情を説明する。

 

おれはバネ髭をピン!と弾いて気合を入れ、本部までダッシュしようとしたその時。

 

 

「あれ、権田原じゃないか!ちょうど良かった!捜索が難航していてね。一旦広場に集まろうって事になったんだ。さぁ急ごう、時間が無い。ミズキはもう里の外に出ているかもしれないからね。」

 

 

「…あいわかった☆」

 

 

何とも不幸な事に名前も知らない同期っぽい忍びに見つかってしまい、広場に向かわねばならなくなってしまった。

 

これではとんだ遠回りである。

 

だがしかし。作戦に妨害は付き物だ。その妨害を乗り越えて目的を達成してこそ、ようやく一人前の男子だと言える。

 

おれはあのイルカ先生の妨害を物ともせず、見事留年を勝ち取った真の男だ。この程度は何ともない。動揺すらしない。

 

ただ、この名も知らぬ忍びの服にひっつき虫(『バカ』と称される事もある)をつける程度の報復は許して欲しい。

 

この植物は繊維にくっつく性質があり、主に他人の服につけて馬鹿にするといういたずらに使用されるスグレモノだ。

 

おれは割と使う。

 

 

 

 

広場につくと、そこには十数人程度の忍びが集まっていた。話を聞くに、どうやら遂におれを探す気になったらしい。

 

 

「どのみちろくな奴じゃねーんだ!見つけしだい殺るぞ!!」

 

 

前言撤回。上忍たちは、おれを殺しに来るらしい。目を見ればわかる。奴らは本気だ。アマゾンの狩猟民族のような目をしていやがる。

 

確かにおれはどのみちろくな奴ではないし、里の機密を持ち出そうとした人間を抹殺するのはこの世界において当然の事だとは思うが。

 

まさか彼らも当の本人がこの場に居て、一緒になってナルトぶっ殺すぞ宣言をしているとは夢にも思うまい。

 

 

 

 

 

あと、なんとなくだが秋道チョウザさんだけは許してはならない気がする。

 

 

 

 

 

しかし、意外なことはまだミズキの野郎が捕まっていない事だ。どう考えたって不自然すぎる。彼の実力ではこれだけの時間逃げ回る事など不可能に等しいはずだ。

 

どういう事だ?まさか他に強力な協力者がいるのか?

 

…ゴホン。いや、冗談じゃなくて。

 

女生徒には好かれていたものの、彼は女をとっかえひっかえしていたらしいから、里内での評判はあまり良くなかったはず。友達だってさほど多くはなかったはずだ。

 

女生徒の家に転がり込んでいる可能性は?いや、流石に親が気づいて通報するだろう。

 

では元教え子を人質にとって、匿ってもらっている可能性は考えられないか?これもありえない。少しでも騒ぎが起きれば、それを上忍が見落とす道理がないからだ。

 

となると、やはり協力者が?それとも運が良かっただけか?

 

あるいは、ヤケを起こして既に里を抜けた後か?

 

 

 

いや、ミズキがどこで何をしていようがおれには関係の無いことだ。それよりも。早く火影様の元へ向かい、手配を取り下げてもらわねば。

 

なんせ時間が無い。秋道チョウザさんたちがどのみちろくな奴じゃないおれの命を狙っているのだから。

 

おれは再びバネ髭をピン!と弾いて気合をいれ、息を大きく吸い込み、クラウチングスタートの構えを取ったところで。

 

 

「権田原さん。ちょっといいですか。」

 

 

何故か、綺麗な女の人に行く手を阻まれた。さっきもこんな事があった気がする。

 

取り敢えずこの女の人のワンピースにも、ひっつき虫をつけておいた。

 

 

 

 

 

綺麗な女の人は、権田原に変化したおれを里のはずれの森まで連れてきた。ずいぶんと早足だったが、何か急ぎの用事でもあるのだろう。

 

ちなみに、誠に不本意であるが、今のおれは一般的な感性を持つ男性として振舞わねばならないため、体内のチャクラを操作して無理矢理頬を染めている。

 

別に大人の女の人にデレデレしている訳では無い。そこは間違えないでいただきたい。

 

 

 

そもそもおれは、男を見て欲情したりしない。

 

 

 

先にタネ明かしをしておこう。この女はミズキである。

 

女性関係に定評のあるミズキらしい仮初の姿だ。その所作や体運びは、どこからどう見ても、女性にしか見えない。

 

声も完璧だ。里の上忍が騙される訳である。

 

 

だがしかし、おれの目は誤魔化せない。「綺麗な女を見たら美人局だと思え」とイルカ先生に教わってきたおれは、初対面の女性はまず疑ってかかることにしているのだ。

 

その教えの甲斐あって気づくことができた。この女、ミズキ先生と同じピアスをつけている。それも、左耳にだ。

 

確かこのピアスはオーダーメイド品で、世界に一つしか無いとか。よく彼が自慢げに話していたのを覚えている。

 

ミズキ先生と交際している者であるという事も考えられるが、それならばピアスは右耳についているはず。ピアスは男女でつける耳が異なるのだ。

 

きっと奴も慌てていたのだろう。そのせいで、いつもと同じ位置にピアスを付けるという致命的なミスをしていることに気づけなかったのだ。

 

 

 

「権田原さん、お願いがあるの。一緒に里を抜けてくれないかしら。」

 

 

頬を染めながら、上目遣いでこっちを見てくるミズキ。

 

なるほど。どうやらおれは追っ手が来た時の囮役として、ここに連れてこられたらしい。

 

駆け落ちでも装うつもりだったのだろう。作戦としては悪くない。

 

 

ミズキが権田原を選んだのは、日頃から彼が女性に縁がない事を十二分に知っていた為か。

 

 

彼にとって災難だったのは、連れてきてしまったのがおれであること。

 

彼の作戦は二日続けて失敗に終わってしまった事になる。

 

 

 

このまま男の化けた女の可愛らしい仕草を見るのも気色悪いし、なんだか可哀想になってきたため、取り敢えず変化を解いてやることにしよう。

 

 

そこまで考えると、未だ上目遣いでこちらを見つめ続けるミズキを手近な大木に蹴っ飛ばした。

 

 

女の正体は、予想通りミズキであった。

 

急に障害物にぶつかって肺の空気が漏れたのか、苦しそうにむせっている。なんともいい気味である。

 

 

そうだ。ここでこいつをぶちのめして引っ張って行けば、よりおれの疑いも晴れるのではないだろうか。

 

彼には申し訳ないが、おれの無実の為の証拠品となってもらいたいと思う。

 

 

 

 

「て、てめぇ、気づいてたのか…っ!」

 

 

「いや。おれです。うずまきナルトです。ミズキ先生。」

 

 

フラフラと立ち上がりながら悪態をつくミズキに、正体を現しつつ軽く自己紹介をしながら、拳を叩き込む。

 

 

風遁・飛蓮段。

 

 

風の性質を借りてパンチの威力を上げる、単純な術。相手は死ぬ。

 

 

おれに殴られたミズキは木を三つほど突き破って、先程とは別の大木に激突。そのまま、動くことはなかった。

 

 

「あなたの罪は一つ。おれを侮った事だッ!!」

 

 

背中に担がれた風魔手裏剣。長年連れ添った彼の相棒であるが、結局最後まで使われることはないままであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、事件は何事もなく収束した。

 

ミズキが直ぐに口を割ったらしく、とても迅速な終幕であった。

 

主犯のミズキは終身刑。何やら精神的におかしくなっているらしく、処刑にするほどの危険性は無いと判断されたそうだ。

 

勿論、元々無実のおれはお咎め無しだ。

 

権田原先生を眠らせた件についても、それとなくミズキのせいにしておいたため、特に注意される事もなかった。

 

その上、ミズキを自分の手で捕縛したおれには報酬が出るらしい。裏取りもせずに手配した事に文句をつければ、金額のかさ増しも可能だろう。

 

なんとも滑稽な事件であったが、おれは蹴って殴ったらお金が貰えた。素直に喜ばしい限りである。

 

 

これで当分は贅沢ができる。たまには焼肉に行ってみるのもいい。波の国で流行っている、げえむとやらを買ってみるのもいいな。

 

 

しかし、もうこんなことは懲り懲りだ。自分の無実を証明する為とはいえ、結果として里の為に働いてしまった。

 

 

里に借りを作っておくのも悪くは無いとはいえ、今後このような事はしたくない。おれは、おれの為だけに生きていたいのだ。

 

ましてやおれを差別するクソ里の為に尽くすなど、死んでも御免である。

 

取り敢えず今夜の飯を豪華にする事を考えながら、ホクホク顔で木の葉総本部を後にしたおれは、その時、ある一つの可能性を見落としてたことに気づいてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

同時刻。本部の会議室でとある話し合いが執り行われていた。

 

 

 

「今回の件、どう考える?」

 

 

「まさか落ちこぼれの生徒が中忍である教員を倒すとは…にわかには信じられませんな。」

 

 

「しかし…とても偶然とは思えん。見ろ。ミズキの傷を。手加減されているのがわかるだろう?奴には中忍を相手にしてもなお、余裕があったという事になる。」

 

 

「それでは、今までの成績は…!」

 

 

「ああ。前例が無いため受け入れ難いが…奴はわざと悪成績を取り、アカデミーに残り続けていたと考えて然るべきだろう。」

 

 

「授業では手を抜いていたというのか…!なんて奴だ!」

 

 

「落ち着け。今話し合うべきは、優秀な忍、それに人柱力でもあるうずまきナルトをこのままアカデミーで腐らせておいていいのか?という事だ。」

 

 

「と、すると…彼の処遇はやはりここに落ち着きますか…」

 

 

「ああ、問題ないだろう。」

 

 

「クククッ!九尾のガキがいよいよ野に解き放たれんとしているのか…!いやぁ、これからが愉しみで仕方ないヨ…!」

 

 

「いや、お前は黙れよ。」

 

 

彼らの手元には一枚の履歴書があった。四代目火影の息子であり、封印の巫女、うずまきクシナの血を継ぐ少年。うずまきナルトの名が記されたものである。

 

そこには、赤く『卒業措置』の文字が刻まれていた…っ!

 

 

 

後日、本部から自分宛に来た手紙を見て、ナルトは発狂する事になる。

 

 

容疑が晴れたお祝いに夕食として作ったハンバーグを旨そうに頬張る彼は、その悲劇をまだ知るよしもなかった。

 

 




甘さと書いてチョコラテと読むのは!某エスパーダ落ちの変態の影響です。知らない方はドルドーニ 甘さ で検索してみてくださいね♡

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