不遇な朝田詩乃に寄り添いたい 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
この話を書くにあたって、「B.o.B」「死銃」をどうするか。本当に悩みました。
原作ではシノンが銃に関するトラウマを乗り越え、成長していた。たった1人で。
でもこの作品は違う。トラウマも無ければ、1人でもない。
主人公は死銃について色々と考えていますが、基本ポカする奴です。《事件》の時みたいな。
家も、原作と同じ家に住んでます。
死銃対策をするなら、完全にターゲッティングされない方法もあるにはあるんですよ。でもそれをすると、ガンゲイル・オンライン編の黒幕「死銃」について書けなくなってしまう。
だから、主人公は「色々考えてるけど肝心な所はポカする奴」と思ってください。極論原作知識フル活用すれば「ちょっとお高い家に住む」だけで死銃の脅威はなくなるんですから。
ですから、B.o.B本戦では原作とはまっっっっったく違うストーリーを描きます。
原作読んでなくてもいいです。
ただ、死銃の脅威は残して、戦わせたい。その思いはある。
だから、オリ主と、詩乃ちゃんがターゲッティングされる必要があったんですね(メガトン構文)
B.o.B予選はキリトくんとシノンちゃん空気ですけど、本戦では多種多様な視点で全く新しい第3回B.o.B本戦を描きたいと思います。
お楽しみに!
まぁいつになるかわからんけど!笑
「果てさて2回戦はいつ始まるかなぁ〜」
なんて呑気に待っていると、動悸が収まってきたキリトくんがまず転送されて行った。
B.o.B予選は勝てば即2回戦に駒を進め、2回戦目の相手が決まり次第いきなり飛ばされるシステムだ。キリトくんや僕、シノンちゃんは比較的早く終わったから待ち時間が発生したが、長期戦闘になった奴は勝ったら即2回戦なんてことになる。心労的にも早めに勝っておいた方がいいのだ。
「ふぅ。邪魔者は消えたみたいね」
「うわっ。邪魔者は酷いんじゃない?」
そんな軽口を叩きながら、シノンちゃんと二人でカウンターに腰かける。シュピーゲルは未だに離れたところでモニターを見ているようだ。ぼっちかな?
「ねぇ貴方。あのキリトってやつ。決勝まで来ると思う?」
そんなシノンちゃんの問いに、俺は即答する。
「来るだろうね。間違いなく」
迷いない即答に、結構驚いた顔をするシノンちゃん。
「随分とまぁ……「買ってる」のね。男とは言え妬けるわ」
「ハハッ。実は1回戦を見てね。彼、弾丸を切って相手を倒してたぜ?」
「ハァ!?弾丸を切って!?……そりゃ規格外ね……相手が可哀想だわ」
そんな風にイチャイチャしていると、次はシノンちゃんが転送され始めた。
「あら。じゃあね。んっ」
最後にほっぺにキスをされ、シノンの姿が消えた。
あ〜……僕の嫁可愛すぎ……
なんてことを思ってると、僕も転送が開始される。次は骨のある奴がいいな。なんて思いながら。
パチリ
「おぉ〜……?」
そこは、暗闇だった。
室内のようだ。あかりも窓もなく、うっすらとしか確認出来ないが、正方形の独房のような場所だった。これならポンチョも必要ないだろう。
さて……困ったな。
基本、AGI極振り構成は室内戦に弱い。その俊敏さを上手く活用出来ないからだ。加えて僕が使っているのはP-90……ではなく、P-90(P)。取り回しやすさがP-90よりも劣り、その松葉杖のような姿、長さはアサルトライフルにも引けを取らない。
「くわばらくわばら……」
どうか相手がサブマシンガン使いじゃありませんように。出来ればスナイパーだといいな。なんて楽観視しながら、部屋を出て廊下に出る。
先程「独房のような」と言ったが、どうやら本当に独房らしい。
扉に「007」と掘ってあり、小さな窓が備え付けられている。今度のフィールドは刑務所だ。
GGOはアメリカ発祥のゲームだ。それ故、細かいディティールはもちろん、基本構成がアメリカ式だ。
日本の刑務所にもアメリカの刑務所にも入ったことはもちろんないので分からないが、どうやらこの刑務所は1×1km正方形のフィールドに加え階数があるらしい。
これは長期戦になるか?接敵までに時間がかかりそうだ。
散策しながら見つけた階段の踊り場で、ある程度の地図が壁に貼っつけてあった。大体を頭に即叩き込む。地理把握は戦術の基本の「キ」だ。
スタ……スタ……という、自身のソックススニーカーの足音だけが木霊する。これだけ静かだとソックススニーカーでも足音が響くんだなぁ。相手がブーツだったりしたら即わかるなぁ。なんて思って歩きながら、1階まで降りる。
同じような牢屋を隈無く見て回り、敵を探す。
敵が見つからないまま、1分、3分、5分、10分、20分……
「(いや全然敵見つかんねぇな!?)」
驚く程無音。静寂。全くもって敵の気配を感じない。
1×1×0.3kmはある複雑怪奇な刑務所とはいえ、ここまですれ違うとは。既に場所は1階から3階に移っている。
3階のとあるドアを開けると、外廊下のようなところに出た。そこは中庭(バスケットコートのようなものがある)を見下ろせる場所で、どうやら監視塔に繋がっているようだ。
監視塔からなら見渡せるかもしれない。なんて歩を進めようとすると、ザッ……ザッ……と言った足音が耳に聞こえてくる。
急いで歩くのやめ、その場に伏せる。中庭を見下ろすと、全身プロテクターの男(女かもしれない)が中庭の土を踏んでいた。
「(見つけた……が)」
見つけたはいいが、この場所からだと攻撃しても弾丸は金網に吸われ、尚且つプロテクターを貫通することは出来ないだろう。7.62mmならまだしも、こちらは5.7×28mm弾。相手までの距離300m程だ。例え命中してもプロテクターに弾かれノーダメか良くて1割2割だろう。
「(相手はどう動く……?)」
中庭を突きぬけ、角まで来て、ぐるりと見回し始めた。窓の1個1個を確認し、俺のいる廊下をなぞり、監視塔を見て、再度銃を構え直し歩き出す。どうやらバレていないようだ。
フルプロテクターに
相手は1階の北側扉にゆっくりと姿を消す。
頭の中の地図を開きながら、相手の居る場所まで出来る限りバレないスピードで走る。階段はゆっくりと降り……
足音が階段下から聞こえてきた。
フルプロテクター特有のガシャガシャした音が響き渡る。
5階建てのこの刑務所の階段をゆっくり上がって来る相手は、もちろん、敵しかいない。
ソックススニーカーのお陰か、まだバレていないようだ。歩調に乱れがない。一定の速度でガシャガシャと階段を昇ってくる。それを、4階にあがる階段の所で待ち伏せる。
このまま上がってくるなら、奇襲ができる。
「(来い……来い…………来たっ!)」
フルプロテクターの鈍色の光沢が現れる。どうやら3階に用があるようで、4階へ続く階段へは目もくれていない。これは予想だが、先程見回した時に俺がいた通路を見て、監視塔から相手を探そうと考えたのだろう。相手のメインアームは見た所64式7.62mm小銃 H&K(ヘッケラー&コッホ) HK33……アサルトライフルだ。まともにやりあってたらやばかったな。
「よう」
と声をかけると同時に、背中に全力射撃。反動を何とか抑え、肩甲骨から首、頭にかけて弾丸をお見舞していく。
「ガッ!? アッ……」
気が緩んでいた所のあまりの衝撃に、相手は俺の声に反応するより前に倒れ込む。流石フルプロテクター。STR-
「クッソ!この野郎!」
相手が起き上がり、こちらに銃口を向けると同時に4階へ続く階段をショートカットして上がる。ガガガッ!という銃弾を背に聞きながら、手早く2秒とかからずリロードし、4階の扉を蹴り開け走る。音からして、着いてきているようだ。
お互い膠着状態が長く続いたこともあり、痺れを切らしここで仕留めたがっているな。すぐに顔を出すようなら今度こそ。
しかし予想に反して、相手は冷静なようで、扉から飛び出すようなことはなく、ゆっくりと僕を視認し、撃つ。
弾道予測線をなんとか避け、雑居房に飛び込む。
「やべぇな……ベテランだ」
B.o.Bに出場を決めている時点でまぁベテランだろうが、2回戦であそこまでの相手と当たるとは色々と運が悪い。フルマガジンを撃ち込んでやったので、いくらSTR-VIT型のフルプロテクターとはいえヒットポイントも7割か8割は削っているだろう。それなら、正面切っての戦いならこちらに分がある。と、信じたい。
ガガガッ!ガガガッ!という子気味いいBURST射撃をしながら、ゆっくりとこちらに近付いてくる気配がする。ふむ。強いな。顔出しもさせず、このまま押し切るつもりか。特に守っていない頭部なら、7.62mm弾1.2発で僕は死ぬ。
このまま雑居房に入れば、やがてたどり着いた相手が牢屋の外から僕の体を余す事無く撃ち抜くだろう。
打開策は……いくつかある。その中でも最も勝ち筋に近いものを選ぶべきだろう。
左胸に付けた細長い筒を手に取り、壁に擦り付け点火。
そう。発煙筒だ。
BURST射撃が止んだ一瞬の隙間をダメージ覚悟で飛び出て、相手の顔面向けて発煙筒を投げつける。
フルプロテクターの弱点に、視野の問題があるとは先程語った。
それは何も、狭まるだけではない。サングラスのように、夜目が効かない、そしてその逆……急激な明るさに弱い、という点がある。
「うだっ!」
赤く発色し煙を炊く発煙筒は見事に相手の顔面に当たり、射撃が止む。BURST射撃の何発かを腕と胸に喰らい、ヒットポイントが2割程減る。どうやら肺へのダメージ判定が生まれたった2発でこれだけ削られたようだ。
しかし、こうなったらもうこちらの勝ちだ。
油断も隙もなく、P-90(P)を構え、撃つ。こちらも煙でシルエットしか見えないので、全弾発射。狙いは付けず、バレットサークルも気にしない。心臓はバクバクしていないので、体のどこかしらには当たるだろう。そして、相手のヒットポイントはもう多くて3割……如何な相手とは言え、計100発の弾丸を体中に受け無事ではすまなかろう。
最後にガガガッと指に引っかかったままの64式7.62mm小銃 H&K HK33が吠えたが、それは僕ではない空間に吸い込まれ、バタンと相手は倒れた。
「…………あぶねーーー!!!」
そう叫び、勝利の余韻に浸る間もなく次のステージに転送される。
今度は待機エリアではなく、即座に第3回戦が行われることだろう。時間をかけすぎた。25分はかかっただろうか。充分長期戦と言える。
眩い光が体を包む────
長くなったな。
フルプロテクターは強い。これはガチで_:( _ ́ω`):_
この度R18ver.を投稿しました!
成人済みの方はぜひ目次からご賞味あれ。
サブヒロイン候補
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ピトフーイ
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レン
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フカ次郎
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銃士X
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要らない!ヤン詩乃ちゃん一筋で行け!
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閲覧用(作者の好きにしたらいい)