不遇な朝田詩乃に寄り添いたい   作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_

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や……やったー?


はーい詩乃ちゃん視点で〜す。
ヤンデレ書こ書こ〜いえ〜い。
ヤンデレ書くとなると指も乗っちゃうよねー。


柊出雲は今日も恰好いい

 朝5時30分。起床。

私は毎朝この時間に起きる。前日は大体20時か21時に寝ているので、9〜8時間以上は寝ている計算になる。問題ない。

まだ早朝で、外はあまり明るくない。この時間帯は、雨だろうが晴れだろうが、曇りのような空をしている。これも、彼が居なければ知らなかった事だ。

 

 まずは、(くし)で髪をとかしながら、整えていく。彼の前に出るのに、寝癖なんてあってはならない。それを20分程し、髪留めを付ける。

この髪留めは、私と彼が友達になったばかりの時、彼が買ってくれたものだ。お小遣いを貯め、お店で買ってきてくれたらしい。

クロス型の、小さな髪留め。本人は安かったし、壊れたら捨ててもいいよといっていたが、あれから2年経った今でも、壊れず私の髪を留めている。これを付けていると、彼を近くに感じられる。

 

 服を入念に選び、6時になったら、彼の家へと向かう。1年前の今頃は、私も寝ていたのだが、彼は遅刻やギリギリに来る事が多く、私が居なきゃダメな事に気が付いた。もっと早く気付くべきだった。

 

 6時00分。彼の両親もまだ寝ている頃。私は彼の家の鍵を開け、彼の部屋へと向かう。鍵は、彼の両親がくれた。起こしに行き始めたぐらいに。優しい人達だ。

彼の部屋へと入り、すやすやと穏やかな顔で眠る彼の顔を見つめる。何故か下腹部が熱くなるが、いつもの事なので放っておく。

毛布を剥ぎ、すこし肌寒いのか、身動ぎする彼の足に跨る。彼は寝起きが悪い。暴れたりする訳では無いが、尋常じゃない力で毛布を被る。最初の頃は困ったものだ。

少しシャツが捲れ、むき出しとなった腹部を見て惚けてしまう。なんと引き締まった(そそ)る腹をしているのだろう。このままずっと見ていたい。

 

 しかしそれはダメだ。毎朝行われる、彼を前にした私の理性と本能の攻防。今日も理性が勝利し、彼を起こしにかかる。

起こすのは簡単だ。肩をゆすればいい。起き上がるまでは長いが、起きるのは早い。

 

「……」

 

 眼を、少し開いた。起きた事がわかった私は、溢れ出ている感情を無理やり押さえ込む。毎朝毎朝、本能を抑え込むのは疲れる。

 

「おはよう出雲。まだ寝てるの?」

 

 私がそう問いかけると、彼は少し頭を上げ、私の顔と体を往復して見て、頭を下ろす。右手を額に乗せて、弱々しい声を出す。

 

「……降りてぇ」

 

 降りてやらない。降りたら、ベッドからずり落ちている毛布を取って被り、数十分、下手したら1時間起きてこないからだ。最初は、寝たいなら寝かせてあげようと思って、彼の椅子に深く座り込んで、彼の寝顔を近くでじっと見ていたのだが、時間を忘れ、朝ご飯だと叫ぶ彼の両親の声も聞こえず、あっさり2人とも遅刻した。

それからは二度寝させないようにしている。

 

「じゃあ起きる?」

 

 無言。何も返ってこない。ちょっとムッとしてしまうが、習慣化された起床時間とは異なっているので、眠いのは当たり前だと、自分を納得させる。

1年も続けているのだから、そろそろ自主的に6時に起きてもいいと思うのだけれど。

……それはそれで寂しい。我ながら面倒臭いと思う。

 

「今何時だよ……」

 

「6時よ」

 

 時計を探すようにキョロキョロしていたが、間髪入れずに私が答える。時計なんかに意識を向けず、ずっと私に意識を向けて欲しい。そう思うのは、異常なんだろうか。

 

「まだいいじゃんか……朝ご飯7時でしょ……」

 

「いいから起きなさい!」

 

 これは断じて私的な物ではなく、6時に起きるのが健康的だから、必死になって起こしているだけだ。そう。別に、彼が構ってくれなくて寂しいなんて、そんな訳ない。確かに、彼はイケメンで優しくて性格も良くて綺麗好きでセンスも良くて頭も良くて私なんかと仲良くしてくれる私の大好きな人だけど、構ってくれなくても大丈夫なのだ。

 

「…………嘘」

 

 思わず声に出してしまう。頭の中で言い訳を並べていたのだが、私の本質が言い訳を許さなかった。

彼に聞かれてしまっただろうか……

 

「んん……なんか言ったぁ?」

 

……聞かれていなかったようで、よかった。

 

「いいえ。何も。早く起きなさい」

 

「うぇ〜……」

 

 はぁ……まったく。彼は、私が居ないと、本当にダメなんだから。

 

 

 

 

 

 

 学校への通学。彼は「歩くのは嫌いだ」とボヤいているが、私は、彼と2人きりでいられるこの時間は、結構好きだ。

学校へ着き、席に座る。彼は真ん中少し後ろの位置におり、私はその三つ前、最前席である。授業中、彼を見られない事はとても辛いが、彼の視界に常に私が映っていると思うと、嬉しい。

 

……と、普通なら思う所なのだが、彼は授業中、机に突っ伏して寝ているか、暇そうにペン回しをしており、黒板なんてチラリとも見ない。そんなので大丈夫かと思うだろうが、彼は天才。テストは全部満点だ。ある時、一体何処で勉強してるの?と聞いてみたら、「へっ!?……よ、夜、かな?」と曖昧な返事が返ってきた。何を動揺していたのだろう。

 

 休み時間になったら、彼の元に向かう。彼が椅子を差し出してくれる時もあったが、何度も断っていると、して来なくなった。気持ち悪いとかいう理由では断じてない。むしろ座りたいくらいだ。しかし、そうすると彼が立つことになってしまう。それはダメだ。私が許せない。

 彼と向き合って話していると、彼の後ろに、彼を見て笑いながらひそひそ話す姿が見えた。

1年前から、私は学校でも彼と関わるようにしている。その時、必然的に、彼も私と話す為、喋る事になる。今までは「関わるな」オーラ全開だった彼が、普通に話し、尚且つ優しいと知った雌豚共は、私と合わせて話しかけようとする。

 

 雌豚がこちらに歩き出そうとした時、私は殺意を込めた目を雌豚に向ける。彼から2m程の距離で立ち止まり、私と目を合わせて「ひっ」と小さく悲鳴をあげる。

雌豚の分際で、彼に話しかけようなどと、烏滸がましい。その醜い手で触れて欲しくないし、その汚い声で彼の耳を犯して欲しくない。彼の体も耳も、全て私のモノだ。

 

……彼には気付かれていないな。よし。

 

「詩乃ちゃんはさ」

 

 数秒の間(先程の眼の攻防約3秒)無言だったが、珍しく彼から話題を振ってくれた。彼は、1年経った今でもあまり学校では喋らないので、彼から話しかけてくれたのはとても嬉しい。

 

「なに?」

 

「僕以外の友達って、居ないの?」

 

 友達……友達?あの薄汚い雌豚と、何も考えていない能無しの屑共と友達になる筈が無いでしょう?

そう言いたくなるが、口からその言葉を出す直前、とある思いに辿り着く。

 

 そうか、そうか。彼は優しい。それは底知らずで、天上知らずだ。つまりは、薄汚い雌豚も、何も考えていない能無しの屑共も、等しく見てくれているという事だ。あぁ、なんて優しいんだろう。あんな奴らにも優しさを与えるなんて……

 

「……貴方の言える事じゃないと思うけど?居ないわよ。そんなもの」

 

 無難に返しておくとしよう。彼がいくら優しくても、私はそんなに優しくない。彼が「他の奴らとも仲良くしろ」というのならば、あの雌豚や能無し共と仲良くするのも吝かではないが。

 

 しかし、このままこの話題を引っ張るのは良くない。私も彼も、友人など居ないし、作る気もない。いや、彼に作る気がないのかは知らないが、私は作らせない。少なくとも、周りの屑共はダメだ。絶対に。

 

「そういえば、出雲。貴方も眼鏡かけ始めたのね。目悪かったの?」

 

 結構最近、彼は眼鏡をかけ始めた。いつもとは違う、知的さを感じさせる眼鏡も、とても似合っている。

いや、いつも知的さを感じさせない訳では無いのだが。これはこれで、とても恰好いい。

 

「言ってなかったっけ。ここ最近で、すっごい目悪くなってね。眼鏡なしだと、今の席じゃ黒板の小さい文字が見えないんだよ」

 

「黒板見てないくせによく言うわね」

 

 苦笑する彼に、私も自然と笑みが零れる。この時間は、何にも変えられない、今しか味わえない感覚に落ちる。永遠に続いて欲しいとも思うし、それ以上も求めてしまう。

私なんかが、なんて、最近はよく思う。雌豚共が彼に群がっているのを見て、更にだ。

でも、私がどんな状況でも、彼は私の手を握り、いつも私を安定させてくれる。どんなに辛く苦しい時でも、彼が居れば、私はやっていける。

 今はまだ、彼の隣に立つには、足りないかもしれない。でも、絶対、いつか、彼の隣に、堂々と立ってみせる。

私以外……立たせない。

 

 窓際で、数人の屑が話している。いつもなら頭にとどめすらしないが、今回は何か違う。()を見て、何かを話している。何かするつもりなのだろうか?しかし、彼のモノである私の体を見られるのは気分が良くない。ジッと見つめ返していると、屑共もこちらに気付いたのか、ふっと視線を外した。何なのか少し気になったが、彼にどうしたのか聞かれ、すぐに頭から抜け落ちる。

 彼がそちらを振り向こうとしたが、私が止めた。あんな屑共を、彼の視界に入れてはいけない。

 

 

 

 

 放課後になったら、私はすぐに彼の手首を掴み、校門まで引っ張る。悪いなとは思うけれど、すぐに出なければ、雌豚と屑がわらわらと集まってくる。事実、彼と私が話し始めた頃に、何度かあった。それからはこうしている。

 

「さ、帰りましょ」

 

 校門前で、振り返って、彼の顔を見る。彼は毎回不思議そうな顔をするが、私が笑顔で彼の手を握ると、苦笑した顔になり、私と共に歩く。

何度も言うが、彼は優しい。それは良い所だが、同時に悪い所でもある。外の世界は危険なのだ。だから、危険を知らない彼を、私が守らなきゃならない。

 

 

 

いつまでもいつまでもいつまでも……

私は、彼を見守る。彼の隣に立つために。私の幸福感を満たす為に。そして、彼の幸せの為に。

 

「……大好きだよ。出雲」

 

 私のその言葉は、強い風の音でかき消され、誰の耳に届く事もなかった。




真顔で書いてるのを想像してみて下さい。

あら不思議。ヤンデレ末期じゃないですか。
いい精神科紹介しましょうか。


詩乃ちゃん事典(小4時点)
自分→すべて柊出雲のモノ
柊出雲→すべて私のモノ
柊出雲の両親→いい人
お母さん→優しい母
自分以外の女子→薄汚い雌豚
柊出雲以外の男子→何も考えていない能無しの屑

まだ親達に優しい感情を向けている。
状態【普通のヤンデレ】

サブヒロイン候補

  • ピトフーイ
  • レン
  • フカ次郎
  • 銃士X
  • 要らない!ヤン詩乃ちゃん一筋で行け!
  • 閲覧用(作者の好きにしたらいい)

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