「ルイズー!ル~イ~ズ!」
太陽が顔を出して、トリスティン魔法学院を照らし出した刻、ドクターはルイズを起こそうと耳元で大きな声を出していた。
昨夜、ターディスでの宇宙遊泳を楽しんだ後に学院に戻ってルイズから朝、洗濯と起こすように言われていたドクターは洗濯を早々に終わらせて先程から大声を出していた。
しかし、ドクターがどんなに頑張ってもルイズは唸るか寝返りをするかで全く起きる気配がない。
「ルイズ!・・・イヤー、全然、起きないな。こうなったら、最終手段だ!」
仕方ないと言った様にポケットから、耳栓を出してつけると、ドクターは懐からソニックドライバーを取り出した。
「ルイズ、最後の警告だ。朝だぞー!おっきろー!」
「ウッ、ウーン」
起きないルイズ。
その様子を確認したドクターは今から、悪戯を決行する子供の様な笑みを浮かべてソニックドライバーのスイッチを押した。
途端にソニックドライバーから、高音の音波が響き、部屋全体が震え出した。
「キャアアアアアアア!!なっ、何!?何なの!!」
ルイズはたまらず、ベットから飛び起きて耳を塞ぐ。
ドクターはサッとソニックドライバーを切って懐に仕舞うと満面の笑みでルイズに声を掛ける。
「おはよう、ルイズ!今日は良い朝だよ!」
「あ、あんた、誰よ?」
「僕だよ!ドクター、君の使い魔!」
寝ぼけて、聞いてきたルイズにドクターは笑みで答えるとルイズは、ああ、そうだったと頭を掻いて思い出す。
「ドクター、着替えを」
「No.program!もう、用意してるよ。じゃ、着替え終わったら教えてね!」
ドクターはそう言い残すとサッと部屋の片隅にあるターディスに入って行った。
「ちょっと、私に着せなさいよ!もう!」
「良い!今度は私に着せなさい!」
「はいはい、ご主人様」
ドクターに文句を言いつつ、二人は扉を開けて廊下に出た。
「あら、ルイズじゃない」
「ツェルプストー・・・」
そこに第三者の声が聞こえて二人は振り向くと、赤毛で褐色の肌の美女が立っていた。
ルイズは、あからさまに眉を潜めて、ドクターは気軽にやぁと挨拶をする。
「アハハハハハハ、何?貴女、本当に平民を詠んじゃったの?」
褐色の美女はパッとドクターを見ると突然、笑い出した。
ルイズは更に眉間に皺を寄せる。
「もう、貴女って本当、人を笑わせる才能があるのね」
「人を笑わせる才能って、すばらしい事だと僕は思うよ」
「ドクター、お黙り!」
「使い魔ってのは、こう言うの呼ばないとね。おいで、フレイム」
そう言うと、足元から大きな赤いトカゲが姿を現した。
「ワォ!何だい、これは!」
すかさず、ドクターはフレイムに近づくとソニックドライバーで全身を調査し出した。
「えっ?何、それって、杖?ルイズ。貴女、メイジを呼び出したの?」
「違うわよ!あれは私にもあまり解んないわけど、ソニックドライバーって言うので、ドクターはメイジじゃなくてタイムロードでって、ちょっとドクター、何してんのよ!」
ルイズはそこまで言うと、フレイムからドクターを引き離した。
「いやー、ごめんごめん!見たことない生き物だったから、ついね。それに見てごらん、尻尾の先の炎を綺麗だと思わないかい?」
悪びれもせずにウィンクする。
「まぁ意外にお目が高いのね、ミスタ。フレイムは火龍山脈のサラマンダーで好事家に見せたら、値段がつけられないのよ。そう言えばまだ、自己紹介して無かったわね。私はキュルケよ。二つ名は"微熱"」
「僕はドクター!二つ名は・・・ねぇ、何が良いかな?」
「知らないわよ!」
「まぁ、よろしく!」
自己紹介が終わり、キュルケは早々に階段を降りて行った。
残ったルイズは、きつくドクターに食って掛かった。
「良い、ドクター!ツェルプストーとは、あまり関わったら、駄目よ!」
「また、何で?」
「トリスティン貴族のヴァリエールとゲルマニア貴族のツェルプストーの領地は隣り合っていて事ある毎に争ってるのよ!ご先祖様なんて、婚約者を奪われたりしてるの!!」
憤慨して言うルイズにドクターは苦笑する。
「それに何よ!自分がサラマンダーを召喚したからって、あんな自慢しちゃって!悔しい!!」
そこまで言ったときにドクターはルイズの頭に手を置いた。
「何よ!」
「ルイズ、悔しがる事ないじゃないか。君の使い魔は不思議なboxで宇宙に連れて行く事が出来るんだよ。さぁ、僕はお腹が空いたから食堂に行こう!」
笑顔で言われてルイズは毒気を抜かれて、それもそうねとドクターに釣られて笑みを溢した。
「さあ、行こう!置いてっちゃうぞ!」
「ちょっとドクター、食堂の場所知らないでしょ!待ちなさい!」