蒼龍歪界録~Caeruleo depravavit draco insanit justítia~   作:ゆーれーあばたー

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第五章『力とは、気を付けなければ自らをも殺す物となる」

「さて、と」

 

はい、やって来ましたは見渡す限りの荒野、荒野、荒野。

何故こんなところにいるかというと今回の戦争は此処が一番丁度いい場所だからなんだよね。

 

「・・・・・十分、いや五分以内に天照さんとその他大勢を片付けないといけないのかな?」

 

正直その他大勢は十秒あれば片付くので問題は天照さん何だよなぁ

 

不安で一杯だが諏訪子のため、と自分の中の不安を掻き消して前を向く。

そして、手元には言葉通りなんでも切れるナイフを持っている。

 

恐らくそろそろ来る頃だろうから臨戦態勢をとる。

因みに爆破するのは、敵の本部を奪うのとそこにいる敵の殲滅、諏訪子も土地神の頂点とはいえ歴史では負けているから、長くは持たないだろう、五分持ってくれれば恐らく大丈夫だと思うが、早いに越したことはないからね。

 

「お、来た来た。んじゃあ始めますかね。」

 

人格を変えるため仮面を付ける。

実際媒体ーが無くても使えるが脆く、そして、集中出来ないので面を媒体にしている。

今回着けるのは感情を殺す『無情の面』だ。

仮面は着けると消えるので気にならないし、外そうと思えばいつでも外せる。

 

「蒼空殿」

 

何時の間にか天照さんとその他大勢が来ている。早いもんだね!

 

「ん?あぁ天照さん、こんにちは」

 

「あぁこんにちは、ところで本当に御主一人なのか?」

 

「そうですよ。別に天照さんはともかくその他大勢なんて触れなくても殺れますよ」

 

・・・・さっきから天照さんの後ろが五月蝿いなぁ。どうせ強がりだとか下等生物が何を言っているだとか、これはさっさと片付けたほうがいいね。

 

「天照さん、そろそろ始めませんか?後ろが五月蝿いですし」

 

「ん、ああすまないな。始めよう」

 

「さてと、それじゃあ・・・」

 

ナイフを持った手を上へと運び、振り下ろした。

少しおさらいしてみよう。僕は妖気が漏れないように霊力でコーティングしています。

このナイフは何でも切れます。あとはもうわかるよね?

 

バキバキバキバキ!!!!

 

地面に亀裂が入り砕けていく。それはすぐに後ろの軍勢にも届いて行きーーーー

 

「「「「「「「グアァアアァァアァァァ!!!!!!」」」」」」」

 

軍勢の断末魔が辺り一帯に響く。

骨の折れる音、地面の割れる音、その衝撃波は荒野全体をボロボロにしてその手を止めた。

悪いが天照さんの剣以外の武装は破壊させてもらった。僕もパーカー長ズボンナイフという装備だからこれで真剣勝負の条件は揃った。能力はすべて封じて剣だけの勝負だ。

 

「御主・・・何をした!?」

 

「別に、ナイフで霊力の壁を壊してちょっとだけ外に妖力を漏らしたんですよ。勿論真剣勝負ですから能力は全面禁止ですよ」

 

「そんなこと言って御主が能力を使わないという保証はないぞ?」

 

「大丈夫ですよ、約束事は絶対に守る主義ですから」

 

僕は一応生まれてこの方約束を破ったことはないので安心してもらいたい。

ボク、ウソツカナーイ

 

「むぅ、それなら信用しよう。」

 

「では始めましょうか」

 

「あぁ、ーーーーん?ちょっと待て」

 

「どうしたんですか?いきなり」

 

いきなり天照さんが驚いた表情で問いかけてくる、何か問題でもあったのかな?

 

「いや、御主その小刀でで戦おうというのか?」

 

「当たり前じゃないですか、僕の相棒ですよ」

 

自慢じゃないがこのナイフは絶対に壊れなくて何でも切ることが出来るナイフだ。

神具とはいえ、壊れる心配は要らない、むしろ彼方が壊れるのが先だ。

 

「そ、そうか、じゃあ始めよう。」

 

「?わかりました」

 

皆よくわかんない反応をするなぁ。諏訪子の訓練に付き合う時もそんな反応だったしなぁ。

まぁ、手加減しても、ボロ勝ちしたら、プライドがどうとか泣いてたなぁ

 

「悪いが人間だからと言って手加減はしないぞッ!!!」

 

天照さんが一気に目の前にきてその大剣を振り下ろす。

だけど全然遅い、ナイフの刃と柄の直角になっているところに引っ掛ける。

 

「遅いねぇ、力も弱いですねぇ、これじゃあ負けちゃいますよ?」

 

「!?クッ!!余計な御世話だ、よッッ!!」

 

次は右フックが飛んでくる。だから遅いってのに、

今度は大剣をナイフの刃を滑らせ拳に振り下ろさせる。

 

「クソッ!!」

 

天照さんは瞬時に拳を引き大剣をそのまま地面に叩き下ろす。はなから手は狙ってなどいない。狙っていたのはーーーーーー

 

「!!!!しまっーーーー」

 

「チェックメイト、僕の勝ちです」

 

ーーーーーーーーーーー大剣を引き抜くまでの一秒の隙だ。

 

その一秒の間に体を右回転させ、後ろを取り片手で動きを抑え片手で首にナイフを当てた。

これで僕は何時でも天照さんを殺せる。体の自由を奪ったので逆転は不可能と言ってもいい。

 

「貴方方は投降してください。さもなくば殺します」

 

「・・・・・・はぁ、わかったよ、私達は負けた。」

 

「ありがとうございます。では行かせてもらいますね」

 

「どこに行くんだ?別に御主の役目は終わったはずだろう。」

 

どこに行くなんて決まっているーーーーーーーーー

 

「ーーーーーーー大切な家族を守りに行くんですよ」

 

早く、急がないと、また大切な家族を・・・・・・失いたくない。


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