目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

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テスラちゃんが銃職人になりました(白目

ネットワークに直接繋がった状態で自分の個人情報を隠蔽してるので人間相手じゃまずバレない(震え声


#3

#3 魔法作成(使えるとは言っていない)

 

押入れの射撃場改め実験室、僕はテスラと共に魔法の開発を行っていた。

 

基本コンセプト等は僕が担当し、細かな修正や矛盾の解消はテスラが担当と言う役割分担での開発だ、テスラに丸投げするとトンデモナイ物を開発される事請け合いだ。

 

「はい、と言う事で馴染み深いGUNG-HO-GUNSの彼らの魔技を魔法として再現したいと思います」

 

「……おー」

 

小さく握り拳を上げているテスラの頭を撫でつつ早速魔法の制作に取り掛かる。

 

我が家には秘伝だのは無いからね、好き勝手に魔法を作っても問題は少ないはずだ。

 

初っ端に取り掛かったのは音階の覇者ミッドバレイの能力、ざっくり説明するとありとあらゆる音を操作する音使いだ。

 

コレだけ聞くとあまり強く思えないだろうけど、彼は建造物の中を吹き抜ける風の音を聞くだけで全体の構造を把握し、損傷などがあればそれらも把握・推理出来てしまう。

 

更に彼が獲物であるサックスに息を吹き込めば秒速340mで建築物を破壊し、人間の脳髄を揺さぶり尽くして内部から破壊する事はもちろん、音波であるにもかかわらず指向性を持たせられる為共闘も可能。

 

それの応用として周囲の雑音、反響、共鳴などを聞き取り、リアルタイムで演奏する事で味方の出す音を相殺し全くの無音で行動させる事もできる。

コレを攻撃に転用したのが彼の必殺技『衝撃超音波(ウルトラ・ショック・ソニック・ウェイブ)』相手は攻撃を受けた事すら分からずに即死させる頗る付の技だ。

 

 

今回の目的は彼の技、主にこの技を再現する為の研究開発、一番まともで使いやすい技だったってのもあるけど系統魔法に振動の魔法があるから取っ掛かりとしては研究しやすいと思ったんだ。

 

テスラも居るので研究自体は思い通りに進んで行ったけど、此処で一つ問題を発見した、それも致命的な。

 

 

はい、彼の魔技は彼の異常な聴覚と音感によるものと言う超大前提の事です(白目

 

いや、魔法でその辺り再現出来ないかなって思ったんだけどね? 結論から言って現時点の一般的な技術では無理でした。

 

まず、音を出す為の術式が天文学的数字で存在するので凡用型ですら容量が圧倒的に足りない事、プラント技術でそれを解決したとしても更に同じく天文学的数字の数だけ音を組み合わせて常に演奏し続けなくてはならない為魔法演算領域が確実に足りない事、そしてそれらを一度のミス無く処理しなくてはならないと言う事、問題点があり過ぎてどうにもならない。

 

コレをCADで再現するくらいなら実際にサックスを買って来て演奏した方が再現出来る確率は高い(震え声

 

 

そもそもだ、仮に彼の演奏を録音して寸分違わずに再生したとしてもその時の環境の変化に対応出来ない時点で普通の楽曲になってしまう。

 

魔人の魔技はその道のスペシャリストだからこその物、よほど才能が無ければ見よう見まねでやろうとして出来る物では無いと言う事だ。

 

……前の世界じゃレガ様が作った下僕一号があっさり二重星雲(ふたえ・ネビュラ)を習得してたからイケると思ったんだよ。

 

 

「はぁ……流石にそう上手く行かないよね、つか寧ろ真似できる方がおかしい」

 

「…………でも、こっちは形ができたよ?」

 

「それは、まぁ、そうなんだけどね?」

 

 

唯一僕が使えた魔技はレガ様の技、けどコレは本来の性能とは程遠く納得の行くものでは無かった。

 

別に人間を細切れにしたいとか、コンマ数秒でミンチにしたいとかそんなつもりは無いんだけど、長い間一緒に居た所為であまり再現度が低いと殺されそうな気がしてならない(震え声

 

けどまぁ、思考の読み取りと印象操作くらいは出来るし父さん母さんにテスラの事を刷り込む程度の事はできるかな?

 

微調整や諸々の作業をしているて気がつかなかったけど、持ち込んだ時計を見たら12時間程経過していた、魔法の研究は中々に時間が掛かるなぁ……。

 

研究机の椅子に凭れ掛かりながら横に座っているテスラの頭を撫でようとしたら、空振った。

 

(……おやっ?)

 

くるっと振り向くと何時の間にかテスラが居ない、良く考えたら一、二時間前から居ない気がする。

 

慌てて立ち上がったら微妙にズレて金髪が見えている黒いカツラと僕の服を着たテスラが研究室に入って来た、何やってるんです?(震え声

 

 

「あのー、テスラ先生? 何処行ってたの?」

 

「……リビング」

 

「な、何しに?」

 

「……ごはん?」

 

 

何故疑問形なのか分からないけどそうかー、ご飯食べに行ってたのかー、そうだよねー朝イチで研究してたもんねー。

 

多分僕は今最速だろう、自分にレガ様の魔技を使って身体を操り壁を蹴るようにしてリビングに飛び込んだ。

 

 

「母さん!! 今!!」

 

「あら? 俊彦ちゃん? カレー食べて上に行ったんじゃ無かったの?」

 

あ、俊彦ってのは僕の名前ね? 自己紹介まだだった(現実逃避

 

じゃないよ!? ばいきんまんやロケット団よりもガバガバな変装だったよ!? 何で気が付かないの!? 息子でしょ!? いや、気が付いて貰ったらそれはそれで困るけど!!

 

「なんだ俊、身長伸びたか? さっきより頭一つ分背が高い気がするぞ?」

 

「あんたらの目は節穴か!?」

 

 

僕がおかしいのか!? この状況に疑問を持つのは僕だけなのか!? 普通に考えて顔付きが全然違うだろ!! 僕は女顔でもなきゃ中性的な顔でも無い!! テスラだって普通に美少女だ!! 身長だって違うだろ!! 身長だって!! この世界の僕の両親は頭大丈夫か!?

 

…………あ、いや、元々の僕の両親もこんなガバガバな頭した人らだったわ(震え声

 

この世界でも心労が絶えないのか……(白目

 

 

 

 

部屋に戻るとテスラがしれっと食後のデザートにドーナツを頬張っていた。

 

僕はおかげで食事抜きになったのだけど、まぁやんちゃする程度には僕を信用してくれていると捉えよう、うん。

 

溜息を吐きながらドーナツのクリームやチョコで汚れたテスラの口を拭いてあげている時に彼女の埃臭さが目立つ事に気がついた。

 

…………考えたら屋根裏が居住区だしそれも仕方ないよね。

 

丁度お風呂の時間だ、足音を隠すようにテスラを抱き抱えていけばあの両親にバレる事は無いだろう、と言うかあの二人に関しては言いくるめた方が早いんじゃ無いだろうか(白目

 

 

「という事でテスラ、お風呂に行きます」

 

「うん」

 

「言うまでも無いけど静かにね?」

 

「うん」

 

コクコクと頷くテスラ理解しているのかどうか不安だけど考えても仕方ない。

 

両手を伸ばして抱っこを要求するテスラを抱き抱え、お風呂場へ向かう。

 

軽いし可愛いし柔らかいのだけど、最近好奇心が出始めたので苦労の塊なんだよなぁ、この子。

 

気の張っていた僕は肩透かしを食らった様に無事にお風呂場に着いた、問題があったら困るけど。

 

「じゃ、此処がお風呂場だから、上がったら僕を––––」

 

「……どうやってつかうの?」

 

「あー、うん、分かった、一緒に入ろう」

 

「うん」

 

考えたら彼女は産まれたてと言ってもいいからね、使い方が分からなくても仕方ない、僕の記憶読んだはずだから知識は持ってると思うんだけどなぁ。

 

取り敢えず完成したばかりのレガ様の魔技を使い、外の情報が分かるように糸を張り巡らせながらテスラを丸洗いした後、一緒に湯船に浸かっていると彼女が指を組み合わせて水鉄砲の様に水を僕に向かって打って来た。

 

しかもこの小娘的確に目や鼻を狙いよる、最初は笑ってた僕もいい勢いで鼻へ熱湯を入れられたので反撃に出る事にした。

 

魔法を使用し、水の玉を作って指弾でテスラの顔に当てる、お遊び程度の魔法だから痛みは無いし、傷も付かないから約束は守ってるよ?

 

しかしテスラの反撃返しは石鹸水と言うレギュレーション違反、目にしみるんだぞ!!

 

「ふ、ふふふっ、テスラ流石の僕も怒るよ?」

 

「なんのことかわからない」

 

「石鹸水だよ!! ダイレクトに目に当てやがって!!」

 

「きのせい、これはただの水」

 

「んな訳あるかぁぁぁぁあ!! ボディーソープ何プッシュしたんだよってくらい泡立ってるでしょーが!!」

 

「100プッシュ」

 

「押し過ぎじゃぁぁぁあ!!」

 

 

洗面桶を使って湯船の水を掬ってツッコミと共にぶっかける、テスラは頭から濡れ鼠になったけど彼女もお返しにとシャワーの威力を最大にして僕の顔に掛けてきた。

 

もう入浴と言うよりも水遊びになってしまった僕らは暫くバタバタと暴れていたけれど、その騒ぎを聞いた母さんが注意に来ることが僕の魔法糸から伝わって来た。

 

慌ててテスラを背中に隠し、母さんを待ち構える。

 

「俊彦ちゃん、お風呂で騒ぎすぎよ、丁度ドラマもいい所だから静かにね?」

 

「う、うん、分かったよ母さ––痛ってぇ!?」

 

 

母さんと喋っていた所に後頭部へ痛みが走る、別に強い痛みじゃない、例えるなら毛を抜いた時の様な痛みだ、糸で様子探ったらテスラが僕の白髪を二、三本纏めて引き抜いてた、自由奔放だな!?

 

「だ、大丈夫俊彦ちゃん?」

 

「大丈夫大丈夫、アレだよ、その、そう!! 魔法で白髪抜いてただけだから!!」

 

「そう、なら大丈夫ね」

 

 

毎度思うけどちょろ過ぎるだろこの人(震え声

 

 

 

その後はそそくさとお風呂を上がって部屋に逃げ込んだ後、ドライヤーで髪を乾かしてあげながらふと何気無く、天井板の外れている屋根裏を除いて見たら……………ごちゃごちゃと機械が山程並んでいた、工場か何かかな?

 

「テスラ、あの屋根裏の機械は?」

 

「……つくった」

 

「う、うーん、あんまり好き放題能力を使ってると黒髪化が進んじゃうから極力力は使わないでね?」

 

 

黒髪化、自立型プラントが力を頻繁に使い続けると髪が黒くなる現象で、髪が全て黒く染まった時肉体は崩壊してしまう。

 

なのであまり使って欲しくはないんだけど、彼女もそれは分かっているらしく、コクコクと頭を頷いていた。

 

「よし髪も乾いたね、じゃあテスラ、何時もの射撃訓練をしたいからお願いしても良いかな?」

 

「わかった」

 

 

研究に時間を割きすぎて今日のノルマが終わってないからやっとかないと……、せめてノーマンズランドで生き残れる程度には強くなりたいし。

 

 

だからってねテスラ先生? また超重力装置を僕に使わないで下さい、タダでさえこの訓練ターゲットの動きがキツイなんてもんじゃ無いんですから(震え声

 




この主人公の両親はこんな芸風です(白目

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