目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

20 / 23

ちょびっとだけ時系列が戻ります、まぁ戻ると言う程戻りませんが具体的には半日ほど。

割と躊躇いなく殺害に走るあたりこの主人公も中々に悪人ですね(白目


#20

#20 テスラonサーフボード

 

ちょっと諸事情で遅れ掛けたけど、何とかバトルボードの予選には間に合ったよ、危うく遅刻するところだった。

 

テスラは光井さんと共にバトル・ボードへと出場する事になってるので僕の側には居ない、なので遅ればせながらも僕は彼女の応援の為に予め用意していた応援旗とその他諸々の最終チェックをしていた。

 

「ふっ、我ながら完成度が高い」

 

「遅れて来たと思ったら、何をしてるんだお前は……」

 

達也君の呆れ声に気が付くも、逆に僕の気合いを説明をしてやろうと思いながらドヤ顔をして振り向くと何時ものメンバーと共に何とも言えない顔をして僕を見ていた。

 

「何って……応援の準備だけど? ね?、森崎君?」

 

「……頼むから僕に同意を求めないでくれ」

 

途中で捕まえて準備を手伝って貰ってた森崎君に同意を求めたら達也君達が可哀想なモノを見る目で彼を見つめてる、普段なら突っかかってるだろうけどもうそんな気力も無いらしい、そんなにスピード・シューティングで三位だった事が辛かったのかな?

 

そんな事を考えてると光井さんのレースが始まる時間になり、みんな大人しく席に座ってしまった。

 

正直僕はあまり接点が無いし、友人の友人って感じだから距離感測り辛いんだよねぇ、彼女。

 

次のレースがテスラのレースだし早く終わらないかなぁと思ってたら北山さんに制服の袖を引かれ、そっとサングラスを渡された。

 

何故に?と思ったが、達也君が事前に用意してた物らしい、多分視覚に影響を与える何かをやるんだろうね。

 

サングラスをかけながらそんな事を思ってると、レース開始直後に水面へ光学系魔法をかけて目眩しをした為、彼女は独走状態となった。

 

成る程まぁ邪道な戦い方だし、二度目以降は通用しないから一度切りの戦法だけど有効な戦術だと思うよ、ウチのテスラには通用しないけどね!!

 

光井さんは序盤のリードを守り切り見事に一位通過、自分の作戦が上手くいったからか達也君はとりあえずは胸を撫で下ろしたようだ。

 

「さてみんな!! テスラの出番だよ!! 僕は最前列で応援してるからみんなも応援してね!!」

 

僕はそう言って勢い良く立ち上がると、法被と鉢巻を装備して最前列へと向かう、その際に北山さんが『椅子に座ったままでも誰も文句を言わないのに、全力で応援したいって言う自分の欲望を誠実に果たしたんだよ』とか、『明らかにやり過ぎてる事に気が付かずに自分が常識の範囲内だと勘違いしたままやり遂げるなんてなかなかできないよ』とか、褒めてるのか貶してるのかよく分からない事を言われてしまった気がするけど、多分褒めてるんだろう、うん。

 

さて、肝心のテスラの試合だけれど、彼女は以前もその傾向があった通り、自分の実力を誇示したがる癖を持っている。…………その癖のお陰で出会ったばかりの頃は割と散々な目に遭わされたんだけどね。

ともかく、彼女は自分が強くて凄いという事を示したがる訳だ、となると勿論やる事は小細工なしの真っ向勝負、光井さんの使った様な戦術では無く単純に最速で走ってゴールすると言う手段を取るに違いない。

 

僕の視線に気が付いたのか、テスラは非常に呑気に手を振ってくれている、緊張感の欠片も無ければ余裕のある態度に対戦者の中の何名かがムッとしたのが見て取れる。

 

けど、それもレースが始まるまで、カウントダウンがゼロになった瞬間にテスラは有りっ丈の加速魔法を段階的に使用してロケットスタートを開始、危険走行と取られない範囲の限界速度まで加速すると、最初のコーナーを超人的な身体能力を使ってノンブレーキで曲がる。

 

会場が静まり返る程の速さと、それを維持し制御するテスラの身体能力、更に最短距離を一瞬で見極めそれを一寸も違わずなぞる正確さ、彼女は周りの選手を半周以上も突き放して予選を突破した。

 

僕もテスラが走ってる最中に可愛らしいドヤ顔を浮かべて居るのが見えて大満足、全力で旗を振った甲斐があるって物ですわ。

 

後はあれだね、病み上がりなのに青筋浮かべて大股で歩きながらコッチにくる渡辺先輩と、笑顔の引きつった会長から逃げるだけだね!!

 

僕は旗を掲げたまま走って行き、一高生の居るエリアから他校の居るエリアへと逃走する。

 

白い制服だから大分目立つけど、一高生の中だと僕は完全に味方の居ない孤立無援状態なわけでして、他校の中へ逃げた方が彼女達を撒ける公算は高い。

 

と、建前を並べては見たけれど、本命はこの会場に潜り込んでいる無頭竜(ノーヘッドドラゴン)の息が掛かった連中の割り出しだ。

 

うん?無頭竜が何かって? それはさっきのスピード・シューティングの試合後に親切な実行委員の人と少しお話した時に教えてくれたんだ、要は横浜の犯罪シンジケートの一つらしいよ? 末端の構成員だったから大した情報は知らなかったらしいけど。

 

ちょっとお話に熱中し過ぎて少し時間が掛かっちゃってさ、危うく大事なテスラの晴れ舞台に遅れちゃう所だったよ、いやぁ我ながら手際が悪いねぇ。

 

取り敢えず彼の事は今夜にでも発覚するだろうけど、その前にお仲間の話は教えて貰ったし? 後は末端連中に接触しようとする人間か、其奴らを見張ってるであろう軍の人間の思考を読み取らせて貰うとしよう。

 

そんな訳で糸を使って周囲の人間の思考を読み取りながら情報収集を行いつつ、僕は笑いながら追ってくる先輩達から逃げ回るのだった。

……ただ逃げ回る事と情報収集に夢中になり過ぎた結果、部屋に帰るのが遅れてしまい、何やら兄妹で良い雰囲気且つ聞かない方が良い内容のお話をしてる司波兄妹の所為で立ち往生してる所を森崎君に捕まり、会長達のお説教をまた受ける事になってしまったけどね。

 





平和的なOHANASIをした後、血の匂いも死臭も達也に感じさせずしれっと応援席に行く主人公、ブレーキが壊れてるかそもそも取り付けられてないかの二択なだけで達也も似た者同士なんだよなぁ……。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。