レガ様……狂人、人類最強、相手の身体を能力ごと操れる。
GUNG-HO- GUNS……レガ様の手下? マジキチ集団。
#2 サイヤ人式修行
テスラとの生活が始まり、まずは身体を鍛えなくてはと思い立った僕は部屋で腕立てや腹筋といった筋トレを始めていた。
レガ様ボディとの違いからか僕自身の感性にズレがあり、それを修正する為に初日からやってるんだけど、最近は中々様になり始めたと思う。
テスラは僕の背中を椅子代わりに座りながら大事そうにドーナツの箱を抱えている、学校帰りにおやつとして買って来たら気に入ったらしく独占している。
ヴァッシュ=ドーナツな面があるから何となく買って来たのだけど、なんだろ、自立型プラントはドーナツが好きなのだろうか? もしかしてナイヴスも?
そんな事を考えていたらノルマ分が終わったので汗を流しにシャワーを浴び、部屋に戻ったらテスラが屋根裏部屋に上半身を突っ込んで何かをしていた。
唐突なのは普段からなんだけど、僕の心労センサーが働いてる、何となく嫌な予感が……。
その予感を裏付ける様に屋根裏から降りて来たテスラの手にはリモコンの様な機械が握られていた、何に使うのか聞こうとしたらテスラは僕の着せたトレーナーのポケットに手を突っ込み。
「てれれてっててー、ちょうじゅうりょくはっせいそうち〜」
「超重力、発生装置?」
「……うん、これでノーマンズランドとおなじ重力にできる」
「な、なにに使うのかな〜?」
「あなた」
あっ(察し。
そんな達観をした瞬間、彼女がリモコンのスイッチを入れる、すると一瞬で床に倒れ伏しカエルの様に潰れた状態になった。
僕はサイヤ人じゃないからこの手の修行は拷問なだけだって!! 僕はヤムチャレベルだから!! 超重力に耐えられないから!! 助けてレガえもん!! テスえもんがいじめるよ(震え声
と泣き言を言っていても仕方ないので全身に力を入れて立ち上がり、ランニングに向かった。
…………立ち上がって動ける時点で僕人間辞めてない?
部屋を出て一歩歩く度に廊下が軋む、僕の部屋は二階にあるので階段も板が抜けるのではと思えるほどギシギシ言ってる、ランニングってよりウォーキングになりそうだ(震え声
と、壁に手を付けながら慎重に降りていたんだけど、ついバランスを崩して階段から落下、全身を打ち付けながら一階に辿り着いた、身体が痛いなんてレベルじゃない(震え声
両親が走り寄ってきたけど『サイヤ人式トレーニングだから大丈夫大丈夫』と言って誤魔化し、立ち上がるのがキツイので匍匐前進しながら玄関に向かう。
その時に背後から母の『いつの間にあんな逞しい子に……』と言う声が聞こえたけど、よくよく考えてマミー? 逞しいってレベルじゃないと思うの? 床一面赤くなるレベルの出血で生きてるし、今回だって頭から落ちたのに平然としてるでしょ? 異能生存体レベルなんですが(震え声
やっとの思いで靴に履き替え、立ち上がる為に靴箱に手を置いたら僕の重さに耐えれずに潰れた、何倍の重量なんだこれ?
仕方ないので気合いの掛け声と共に勢いを付けて立ち上がり、また潰れない様に勢い良く外に飛び出した。
その瞬間、空から
爆速で潰れた、テスラ先生!! 重いです!! いくら女の子でも体重が倍加してるとただの錘にしかなりません!! あと部屋から出ないで欲しいです!! えっ?
確実に立ち上がれないので這いつくばったままお馬さんごっこの状態で移動する、此処まで来たら意地でもマラソンコースを回ってやる。
僕の背中にちょこんと座ったテスラをどける事もせずズルズルと身体を引きずっていく、周囲から奇異の目で見られてるけど気にするものか、僕のメンタリティ舐めるなよ!!
そうして暫く匍匐前進で亀の様に移動していたら、前の方からマラソン仲間の司馬達也君が走って来て、無表情ながら非常に困惑した様な様子で足を止めた。
「…………どう言う状況なんだ?」
「見ての通り、重力魔法を応用した、トレーニング、だよ」
「そ、そうか……」
僕の返事に彼は少し躊躇ったものの『人の趣味はそれぞれ、か……』と意味深に言って走って行った、あれ? もしかして背中に乗ってるテスラの事聞いてたの? 僕とんでもない変態扱いされてない? ねぇ大丈夫? 彼他校の友達だから誤解を解くの面倒なんだよ? 大丈夫だよね?
が、考えたら基本的にテスラの服は僕のシャツだ、下着? 有るわけないでしょ? つまりそういう事である、初日の服は医療用の奴だったし、アレはテスラが嫌って捨ててしまった。
このご時世のファッションは露出が控え目だ、なのにテスラは裸の上にトレーナーと言う前衛的にも程があるファッションをしているのだ身長差から下半身は多少隠れているけど、この世界では十分痴女です(白目
それに気が付いた僕は火事場の馬鹿力で立ち上がり、テスラを抱き抱えて自宅に戻った後、彼女を屋根裏に隠してCAD用に貯めていた貯金をはたいてテスラの服を買いに行った、テスラ製のCADがあるので買う必要が無くなっていたのが幸いしたよ、ほんとに。
ただし、僕の精神は完全に打ち砕かれたけどね(白目
女の子用の服を買いに行くだけならまだいい、下着まで買いに行くとなると女装癖を疑われるんじゃないかと言う心労が酷かった、店員さんがノーリアクションで助かったよ……。
▽
サイヤ人式トレーニングが始まった日から何日かした後、何気なくCADのネット販売サイトを見ていたら気になる物を見つけてしまった。
––––特化型CAD『フランク・マーロン』
「テスラ先生、カモン」
「……なに?」
ひょこっと顔を逆さまに覗かせるテスラ先生、屋根裏から降りて来る気は無いらしい。
「このフランク・マーロンって名前のCADってテスラが作ったのかな?」
「…………………ちがう」
ものっそい間があいた上に露骨に目を逸らした、確定である、優しく問い詰めたらあっさり吐いたので出品した作品を見せてもらった。
性能自体は現世代機の一つ上の性能で、しかも一丁限りの限定生産らしいので世の中を大騒ぎさせる物じゃ無いけれど、照準性能と魔法の発動速度が従来のものとは比べ物にならないほどズバ抜けて高く、早撃ちに特化した感じだ。
デザインもノーマンズランドの物が基準らしい、前に僕の記憶を読み取ったからそれでマーロンの事を知ったらしく、暇潰しの一環の売買だとか。
興味深そうにしていた僕に気を良くしたのか、テスラが屋根裏から降りて来て、僕の部屋の押入れを開けた。
「……撃ってみる?」
押入れの先が射撃場になってた。
なんでだぁぁぁぁあ!! 僕の部屋一体どうなってるんですかねぇ!? 好き勝手弄くり回し過ぎじゃありません? どんな超技術使って亜空間作ったの!? あっそうか、僕の記憶見たって事はリリカル世界の魔法とかもこの子知ってるんだ、だからか(白目
勉強机の引き出しにタイムマシンがあっても今なら気になら無い、多分。
テスラにさぁさぁと背中を押されて射撃場に押し込まれた僕は気を取り直して試し撃ちに入った、んだけどこの射撃場も普通じゃなかった。
「あの、テスラ先生?」
「どうしたの?」
「ターゲットが速すぎて当たりません」
人外仕様のスピードでした(白目
なんでこの子は自分の能力を誇示したがるのか、そんな事してたら嘗ての二の舞になるだろうに……。
サイオン粒子の塊を射出する無系統魔法の典型の技を使ってターゲットに当たり判定を出すタイプの物なんだけど、照準を合わせた瞬間にターゲットが消える所為で一つも当たらない。
「テスラ、ごめん僕にはまだ早い見たいだ」
「……そう」
「試し撃ち自体は出来たし此処から出ようか」
「……むり」
おや? 雲行きが怪しくなって来た(震え声
「……ターゲット撃破し終わるまでかえれない」
「…………マジっすか?」
「まじ」
秒単位で出たり消えたりするターゲットなんですけど? 目で追うのがやっとなレベルで身体が全然付いてこないんですけど?(震え声
「て、テスラ先生なら何とか出来るんじゃ……」
「これ?」
そう言ってテスラは可愛らしく首を傾げながら出したのは尖翼、うん扱い慣れてないでしょ? やめて(切実
「じゃあこっち?」
ニョキっと生える
(ダメだこの子に任せると大変だ……って事は僕がこれをクリアしなきゃダメなのか……どうしよう)
結局、ターゲットの出現位置を記憶した置き撃ちで一つ一つ時間を掛けて撃破する以外に思い付かなかった、おかげさまで部屋を出る頃には夕方だった(白目
テスラちゃんがやんちゃし始めました(白目