目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

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少々短め。


#16

#16 九校戦開催

 

 

今日は九校戦の会場に向かっています、僕が選ばれた後に達也君もエンジニアとして選ばれてたので深雪さんのテンションも上がっていました。

 

うん、過去形です、理由? 会長が大遅刻してそれを炎天下の中で達也君が待ってたからだよ? 彼も損な性格してるけど、この子もかなりアレな性格してるよね……。

 

彼女は前の方の席に座ってるから不機嫌オーラ全開な深雪さんが嫌でも目に映る、隣に座る彼女の友人がフォローを入れるも火に油を放り込む結果になってる。………可哀想に。

 

「深雪、お茶でもどう?」

 

「大丈夫よほのか、お兄様と違って炎天下の中で立たされてた訳じゃないから」

 

「うっ……」

 

「まぁまぁ達也君は人間辞めてるから、この程度の日差しじゃ倒れないって、水無しで砂漠横断できそうなサイボーグだし」

 

「うふふ、俊彦さんは氷漬けになりたいのかしら? そうならそうと言って下さればよろしいのに」

 

「ちょっ!? 地雷地雷!! その話題地雷だから!!」

 

「えーっでも事実だしさ、気にしない気にしない、小学生の時なんか二人でサウナ耐久12時間とかやってたし」

 

あの時はマラソンの後に汗流すつもりで銭湯に行ったんだけど、つい誰も居なかったからサウナ入ろうって流れになったんだよな……。

 

当時はまだテスラも屋根裏の住人だったし、達也君もそれほど深雪さんと仲良く無かったらしいからお互い馬鹿な事を良くやった覚えがある、サウナだって貸切状態だったから僕が魔法で温度上げまくった所為で二人とも脱水症状で大変な事になってしまった事を覚えてる。

 

後は海水浴で沖の無人島まで全力で遠泳して競争したりもしたなぁ、泳いでたら大雨降って来て波に攫われて危うく溺死しかけた記憶もあるね。

 

当時の僕らはなんだかんだ言って子供だったし、身体能力の高さを張り合ってたからねぇ、二人で修行の名目で冬山登山して遭難した事もあったっけか。

 

学校こそ違ったけど、当時は良く二人で遊んでたからねぇ、今はお互い二人だけで遊びに行くって事は少ないけど。

 

ドヤ顔で当時の話をすると、三年前からブラコンを発病させた彼女の額に青筋が浮かぶ、自分の知らない兄の姿を知ってる僕に腹が立つのだろう、はっはっはー付き合いだけなら僕は君より長いぜ!! と煽ろうとしたら選手として選ばれてたテスラに裾を引かれた。

 

そちらを見ると、テスラが酷く困惑した顔で爆弾を投下した。

 

 

「ねぇ俊、達也と付き合ってるの?」

 

「………………はい?」

 

「『はい』って事はそうだったんだ……達也は男だよ俊!? 私は愛人だったの!? 達也じゃ子供産めないよ!?」

 

 

テスラがそう叫んだ瞬間、バスの中が騒ついた。

 

先輩方は僕に対するヘイトが高いから絶対コレ変な噂になるよね? 絶対そうだよね!?

 

誤解以外の何物でも無いんだけど、テスラだけでなく深雪さんと彼女のお友達もその話を真に受けてしまった。

 

「ええっ!! お兄様と俊彦さんが!? あっえっ? 嘘? いえでも確かにお二人は仲睦まじいですし、私がお兄様と仲良くなる以前からご関係がありましたし……けど、そんな非生産的な……」

 

「ま、まさか、お兄さんが女性に興味がなさそうなのは既に男性の恋人が居たから……!? そう言えばさっき小学生の時に二人でサウナに行ったって!!」

 

「しょ、小学生の頃からお付き合いを!? 肉体関係まで!?」

 

「僕は男に興味は無いよ!? そもそも小学生でそんな性癖持ってたら真性じゃんか!!」

 

「じゃあ受け? 俊彦さんでしたよね? 貴方は受けなんですね!? そしてお兄さんが攻めなんですね!? ハッ!! 最近森崎君と一緒に居るよね!? 浮気? 浮気なんですね!! 男同士の三角関係ですか!?」

 

「おいぃぃぃい!! なんで僕にまで飛び火するんだよ!? 今日は僕、関根となんの関わりもなかったろ!? 極力席離してるだろ!!」

 

「誤解だ!! 誤解だってば!! 僕はテスラ一筋だ!! 達也君だって深雪さん一筋だろ!? それに君、ほのかさんだっけ? それ以上行くと引き返せないよ!?」

 

「関根君、ほのかは少し思い込みが激しいから……」

 

「少しどころじゃないよね!? てかテスラもショック受け過ぎでしょ!? 君の勘違いだから!! 僕の事は良く知ってるよね? 落ち着いて考えて見てよ、ね? ね?」

 

「俊、私ちょっと性転換手術を受け––––」

 

「––––なくて良いから!! テスラはそのままで十分魅力的だから!! 僕は今の君を愛してるから!! なんなら今晩二人でホテル抜け出して語り合おう? ね?」

 

なんでこうなるんだよ!! 珍しく深雪さんをからかえそうだからからかったんだけど、思いっきり間違いだったよチクショウ!! と言うかテスラは病院とか思いっきりトラウマでしょ!? そんなトラウマ押すレベルでショックだったの!?

 

誤解を解く為とは言えバス内で大声で愛を叫ぶのは恥ずかしかったです(白目

 

必死の弁明で何とか三人の誤解を解いたんだけど、その直後に対向車線から車が中央分離帯を飛び越えて突っ込んで来た。

即座に空中で弾き飛ばそうとして念の為に持って来ていた競技用じゃない方のCADを抜いたんだけど、同じく反応した森崎君や北山さん、そして前の方に居た先輩の一人がCADを構えてしまったので僕はCADを引いた。

 

無秩序に魔法を使うと魔法同士が相剋を起こしてまともな効果が出ない、実践的な分野だから僕はそれをよく知っているんだけど、立ち上がった三人は失念しているらしい。

 

この状態で減速魔法を上書きする事は出来ない、かといって放置すれば直撃コース、3人同時に起動式を撃ち抜いたとしても残り三発で止めきれるとは思えない。

 

糸を使えば余裕で止められるんだけど……あまり開けっぴろげに使うと一瞬で要注意人物入りだからできるなら魔法で何とかしたい。

 

攻撃魔法で消しとばすのが一番楽な方法だけど、一撃で車を吹っ飛ばすとなると前の世界の砲撃くらいしか持っていない。

 

けど火力あり過ぎるんだよねぇあの砲撃、撃ったら多分道路ごと吹っ飛ぶから却下。

 

ならバインドかな? 直接車に魔法を掛けなきゃ多分止められるはずだ、車から離れたところに起点を作ってそこからチェーンを伸ばせば……。

 

そう考えて弾丸を入れ替えようとした瞬間、車自体に掛かっていた魔法が全て解除された。

 

誰の仕業か分からないけど助かった、深雪さんが炎上した車を鎮火すると同時に空気弾を段階的に撃ち込んで行き慣性を殺しきる。

 

十文字会頭や七草会長に褒められたけど、僕は少しきな臭さを感じていた。

 

中央分離帯を飛び越えて来たあの車、事故防止用の塀を飛び越えて此方側へと侵入して来ていた。

 

見たところタイヤがバーストしているけど、それだけで車体以上の高さのある塀を乗り越える事は普通出来ない、となると普通じゃない方法で此方側へ吹っ飛んで来た事になる。

 

…………運転手も口封じの為か既に死んでるし、このバスが目的か? 考え過ぎ、だと良いんだけどね。

作為的な事故に考え込んでいたら目的地に着いたらしく、テスラに袖を引かれた。

 

「……俊、着いたよ?」

「ん? あ、本当だ気が付かなかった」

 

「考え事?」

 

「…………さっきの事故がただの自爆テロなら良いなってさ」

 

「四月みたいな事件?」

 

「かもね、けどまぁ会場入りしてしまえば直接的な襲撃はないと思うよ? 流石に全国の魔法科高校が集まる日だし」

しかも実力で選抜された選手達だ、万一襲撃してきたとしても余裕で返り討ちに出来るだろうね。

 

難しく考えていた自分に最近スローライフとは程遠い生活してるな、と内心で凹んだ僕はテスラと一緒にバスを降りた。

 





ほのかさんが腐りかけてます(震え声

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