目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

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日常回。


#14

#14 おでかけ

 

今日は学校が修繕の為に休校になっているのでテスラとおでかけしている。

 

校舎の損害に関しては僕も何割か責任があるから出かけることに少し負い目があったんだけど、ここ最近色々物騒な思考になってるので気晴らしがしたかった。

 

おでかけの目的は僕とテスラの私服選びだったり、ドーナツだったり、普通にデートです。

 

家を出た時点から腕に抱きつくテスラを撫でながら、僕はこんな平和を望んでいたんだと密かに涙する。

 

邪魔者を消したら平和でしょ?的な平和なんて要らないんだ、ただ静かに暮らしたいだけなんだよ(震え声

そんな悲しい事を考えながら交差点で信号待ちをしていたら、見知った顔が居た。

 

「あっ、森崎君」

 

「げっ、関根」

 

明らかに歓迎されてない表情を浮かべる森崎君、最近はテスラも彼を威圧するのに疲れたのかこの程度では彼を睨まなくなった。 顔見知り程度の認知はしてるんだろうね、まぁ僕に抱き付いて離れないし、ずっと僕の横顔を見てるから挨拶しない程度の相手なんだろうけどね。

 

「それで? 森崎君もお出掛け?」

 

「お前……校舎の七割壊してよく平気で出歩けるな……」

 

「僕が直接壊した訳じゃないから大丈夫だって」

 

 

相手の攻撃を避けると校舎に当たるから仕方ない、人に向かってバズーカぶっ放して来たり、車で特攻してくるのが悪いんだ(震え声

 

「いや、それ以外にも車ぶん投げたりしてたろ!? お前が壊した割合の方が明らかに大きいって!!」

 

「森崎君……細かい事を気にしてると、禿げるよ?」

 

「貴様、人が気にしてる事をッ!!」

 

「えっ、森崎君……」

 

「ハッ!?」

 

 

気になったので彼の頭を覗いたら、最近ストレスで抜け毛と胃痛がするらしく、今日は医者に行く予定だとか。

 

彼のストレッサーは一体なんだろうね? まだ16歳だろうに脱毛と胃痛がするとか、彼も彼で苦労してるんだね……。

そんな憐れみの視線に気が付いたのか、森崎君は何時もの通りに絡んで来ようとしたのだけど、急に胃を抑えて思い止まっていた。

 

「いつつ……お前と関わってから僕の評判はダダ下がりになるわバカップルのイチャつきを見せられるわで散々だ、せめて休みの日くらい関わらないでくれ……」

 

「ま、まぁ、僕としてもデート中に他の人と話してるのもアレだし、良いんだけどさ」

 

 

そんな立ち話をしていたら信号が切り替わり、足早に森崎君は横断歩道を渡って行って、その先でバイクに乗った男に鞄を引ったくられていた。

 

保健証とかを入れる程度の小さな鞄だったので通り抜けざまにかなり鋭利な刃物でベルト切られて華麗にひったくられていた、それに気が付いた森崎君がブチギレて犯人追い回してから半殺しにしかけたので慌てて羽交い締めにした後、警察を呼んであげた。

 

ひったくられた瞬間の彼の反応は素早かった、鬼の形相で近くの石を拾い、魔法で自己強化しながらひったくりのタイヤ目掛けてぶん投げてバーストさせる。

 

そして陸上選手並みの走り方で犯人追っ掛け回し、捕まえた後はマウント取って殴ろうとしてた、危うく傷害だよ(震え声

 

なんとか説得して落ち着かせた僕は、リストラされたサラリーマンの様な状態で近くのベンチに座り『……僕の癒しはカウンセラーの小野先生だけだよ』と言う森崎君を置いてデートの続きを再開した。

 

えっ? 薄情? ほら、僕は今デート中だから多少はね? それに人間誰しも一人になりたい時ってあるじゃん? だからほら、『……鳥って、自由だよな』とか『なんで人間って不自由なんだろうな』とか達観した目で呟く森崎君には暫く一人の時間が必要だから(震え声

 

まぁ僕が散々好き放題テロリストをボコってた裏で森崎君は割と頻繁に僕の巻き添え食らって危うく死に掛けたり、増援に行った先で毎回毎回複数戦になったりとかなり苦労してたらしいからこれ以上はそっとしておくべきだろう。

 

それに、森崎君が小野先生の事を言った時に『確かに、あの人胸大っきいしエロいしなぁ』などと考えてたらふくれっ面したテスラに脇腹抓られたからね。

 

 

洋服店で僕達はお互いの服を選び合い、公園で僕の作ったお弁当を二人で食べ、おやつに馴染みの店のドーナツを食べた後、近くの河原で二人並んで昼寝していた。

 

デートって言うには微妙なラインだろうけど、テスラが人混みのある場所は少し苦手なのと、先日二人殺してしまった影響で、下手をするとうっかり人を殺しかねない不安定さが出てしまっているのでしばらくはこんなのんびりプランだ。

 

幸いにも天気は快晴、風も心地よく、食後の眠気が心地良い。

 

僕の腕を枕に気持ち良さそうに眠るテスラを眺めながら、一緒に寝てしまうかなんて考えていると、人の足音が近づいて来るのが聞こえた。

 

ミッドバレイ並みの聴力があれば誰か判別出来たんだろうけど、流石にそこまでは出来ないので素直に糸を伸ばして索敵する。

 

(ん? 達也君達か……、まぁ彼等だったら僕らの状態に何も言わないだろう、それに達也君には一度超重力お馬さんごっこ見られてるしね)

 

アレは恥ずかしかったなー、なんて思ってたらテスラに抱きつかれた上に足を絡められた、しかも丁度達也君と深雪さんが僕らに気が付いた瞬間に。

 

「相変わらず仲が良いな、俊」

 

「君と深雪さんも大概だけどね、まるで恋人だよ」

 

「こ、恋人だなんて、何を勘違いしてらっしゃるのでしょうか俊彦さんは!?」

 

「深雪? 何故顔を赤らめる?」

 

「達也君は鈍感だねぇ……」

 

 

両想いなブラコンシスコン兄妹に苦笑いしていたら、人の気配を感じてテスラが起きて来た。

 

彼女は眠そうに目を擦りながらおはようのちゅーをしようと顔を近づけようとして、達也君達と目が合った。

 

 

「……おはよう?」

 

「……二人は何時もそんなことを?」

 

「……達也と深雪はしてないの?」

 

「へっ!? わ、私と、お、お兄様が、ですか?」

 

「テスラ……俺と深雪は兄妹だぞ……」

 

「……兄妹がちゅーしちゃダメなの?」

 

純粋な目で達也にそう質問するテスラ、達也君はどう言うかと言いあぐねいている様子なので助け船を出してあげる事にした、地味に深雪さんが期待を込めた目で達也君を見てるけど気にしない。

 

「テスラ、あまり他のカップルの事情に首を入れちゃダメだよ? 君も僕らの関係に口出しされたくないだろう?」

 

「うん、ごめん達也」

 

「あ、あぁ……」

 

 

テスラもあまり気になるネタではなかったのか、あっさりと引き下がった後、改めて僕の頬にキスをしてから胡座をかいた僕の膝に座る。その時にボソッと深雪さんが『頬ならセーフ、ですよね?』と言ってたのが気になったけど、多分深く追求したら凍り付けにされるなアレ。

 

なんとも言えない空気になったので、それを払拭する為に膝に収まったテスラには悪いけど少し腹ごなしの運動をする事にした。

 

「さて達也君、いきなりで悪いけどお昼は済ませたかい?」

 

「ん? ああ、既に済ませているが……」

 

「なら良かった、少し腹ごなしに付き合って貰えるかい?」

 

「それはOKだが……組手でもするのか?」

 

「んー、ちょっと違うかな? 過去に僕とテスラがやってたアレ、君にも是非体験して貰おうかと思ってね」

 

「…………………あの公然SM露出プレイか」

 

「誤解を招く言い方やめて!? 深雪さんにドン引きされてるから!! つかやっぱり誤解されたままだったよチクショウ!!」

 

「冗談だ、で? 結局アレは一体何だったんだ?」

 

「女の子背負ってランニングだよ、但しサイヤ人式のね?」

 

「嫌な予感しかしないんだが……」

 

 

僕の答えに軽い難色を見せた達也君だったけど、好奇心が出たのか超重力お馬さんごっこを了承した。ククッ、今度は君がカエルになる番だよ達也君。

 

僕はテスラを、達也君は深雪さんを背負った状態でテスラの魔法で僕等にノーマンズランドと同じ重量が襲い掛かる。

 

余りの加重にさしもの達也君も膝をついたけれど、信じられない事に初見でこの重力に抗った上に立ち上がってみせた、マジで人間やめてません? 今ならミカエルの眼の人間だって言われても余裕で信じるよ?(震え声

 

 

「ッ!! お前、は、こんな、事を、やって、た、のか?」

 

「流石の達也君も辛いようだね、気を抜くと一瞬でカエルだからね?」

 

「お兄様!! 大丈夫ですか!?」

 

「俺は大丈夫、もう慣れたよ深雪」

 

「うっそだろ!? えっ? 僕が一年掛りで克服した超重力だよ? それを数秒で? えっ、マジで?」

 

「流石にまだ走ったり跳ねたりは出来そうに無いけどね」

 

「…………普通に歩けるだけでも十分に身体の作りがおかしいんですが」

 

この後僕らはおんぶしたままジョギングからランニングに切り替わり、更にはこの超重力の中でマラソンにまで発展してしまった。

 

だって、ほら、あっさり超重力に慣れやがってって気持ちがあるんですよ、はい。

 

だからね? ちょっと追い抜いてから煽る→追い抜かれて煽られる→追い抜き返して煽り返す→追い抜き返されて煽り返される→以下エンドレスになったのは必然なんですよ、全力ダッシュされた時の僕の心境と来たら……。

 

そんな訳で我々アホな男子どもはグッタリと倒れ、我々の汗で汚れた女子は近くだった司波家のお風呂で先にシャワーを浴びている。

 

僕らが先にシャワーを浴びた方が良かったのだろうけど、体力の全てを使い切ってしまいお互いに息切れをしてるので動けない。

 

主に僕が蹴りやらなんやらの物理的妨害を途中で入れた所為で要人背負った状態というシチュエーションの組手になってしまったのが原因だろう、回避したら女子に当たるのでノーガード化した殴り合いに熱中し過ぎた。

 

でも、ま、偶にはこんな日があっても良いよね?





夕食は司波家で頂きました、意外にテスラと深雪は悪影響を与え合ってるので波長が合ってます(白目

尚男二人のマラソンは障害物蹴りながら三角飛びしたり、ショトカの為に電柱を垂直に駆け上がったりといった障害物競争でした、途中から主人公が蹴りを入れたり拳を入れた所為で達也も反撃し、回避すると互いのパートナーに当たるのでノーガード化、最終的に司波家近くで疲れ切った二人が超重力に耐えられずカエルになって収束しました(震え声

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