今回は少し短め、そして明日の更新は未定です。
#11 怪しい気配
何だかんだで忙しかった新入部員勧誘週間が終わり、僕は今平穏な学園生活とは程遠い人気者になっていた。
いやー、モテる男は辛いですわー、今も放課後なんですけどね? 引っ張りだこになってます。
「居たぞぉぉぉぉお!! 関根だぁぁぁぁぁあ!!」
「ギャァァァァア!! 見つかったぁぁぁあ!?」
「ぶちのめせぇぇぇえ!! あの野郎の所為で新入部員全然勧誘出来なかったんだ、恨みを晴らせぇぇぇえ!!」
はい、あのですね、言い訳させて貰うとですね? 僕が諍いとかを止めに行くじゃないですか? そうするとですね、ヴァッシュ並みにトラブルがトラブルを呼ぶんですよ。
なので僕は風紀委員なのに逆に追われる事になりました(白目
何故だ!! 何故こうなるの神様!! 僕何も悪い事してないよ!?
「なんの騒ぎだ!? って、またお前か!!」
「げっ、渡辺先輩!?」
「お前は風紀委員だろ!! 何故毎回毎回騒ぎを大きくするんだ!! 私に何か恨みでもあるのか!!」
「今回に限っては僕何もしてないですよ!!」
生徒会のテスラ待ちの時間によく毎回毎回僕を追い回せるもんだ、前に一回本気でキレたテスラのプレッシャーで全員腰抜かしたのに……。
鬼ごっこの鬼に渡辺先輩が加わってしまったので、壁を蹴って窓から屋上まで逃げ、気配を消してやり過ごそうと考えたんだけど。
「–––––が我々には必要だ。分かったかい? 壬生君」
「……はい」
「アレ? もしかして、お邪魔でした?」
確か剣道部の主将と……達也君の担当した初事件の片割れの何とかって先輩だっけか? 何やら話し込んでたところに割り込む様に着地してしまった。
何とかって先輩はびっくりしてたけど、主将の方は僕の身体能力に何か思うところがあったのだろう、貼り付けた様な笑顔で僕に話しかけて来た。
「やあ、関根君だね? 君の噂は良く聞くよ、剣道部に入ってみないかい?」
「あっ、遠慮します。 僕魔法無しで模造刀でドラム缶輪切りにしたり、爪楊枝でスチール缶に穴開けれないんで」
「……は?」
コレはレガ様の下僕一号が実際にやってた事だ、あの子半端ない戦闘能力してるからね……。
「ふーむ、流石噂の風紀委員。まるで災害だから
「ハハッ、先輩。 誰がそんな事言ってるんですかね? ブチのめしに行きますんで教えて下さいよ」
「うーん、ちょっとそれは教えられないなぁ……」
そう言って言い渋る主将、別に口を割らなくても頭の中覗けるから別に関係ないんだけどね? …………まぁ、そのおかげで彼的には知られたくない情報を知れたから良しとしようかな?
知った情報は反社会組織との繋がり、まだ何も事件を起こしていない内からどうこうする事は出来ないし、証拠も無いので他人に話してもしらを切られるだけだろう。
僕的にはテスラにさえ被害が及ばなければ誰が何をしようと構わないんだけど……釘だけは刺しといた方が良いかな、何やら企み事の最中みたいだし。
「ところで関根君、少し君に話があるんだが––––」
「貴方が裏でやっている組織に関する事かな? なら、答えはノーだよ」
僕の一言で彼の貼り付けた笑顔が固まった、けど所詮使い捨ての末端組織、彼らが僕を消しに来ても一人残らず返り討ちにするくらい余裕だからね。
「別に僕は今貴方達をどうこうする気はないよ、変な気さえ起こさなければね?」
なんだろう、普段の自分よりもかなり低いトーンの声が出た、ってかこれレガ様ボイスなんですが(震え声
「正直君たちの主義主張なんて、僕からしたら実にくだらない事だから関わるだけ時間の無駄なんだよ。 自分の劣等感すら飲み込めない負け犬君?」
「…………言ったわね」
僕の口が煽りしか出ない現象に頭にきたのか、何とかって先輩が食って掛かって来た。
後遺症、辛いです……。
「その制服、貴方も二科生でしょう!! なのに何故そんな口がきけるのよ!?」
「君と違って、僕はそんな些細な自尊心なんて持ち合わせていないんだよ、人間レベルの事で苦労なんてしていないからね」
「些細、ですってッ!!」
「そう、些細さ。 優越感に浸る人間も、劣等感に苛まれる君も、殺せば死ぬ程度の強さしか持てないのに何を悩むことがあるんだい?」
やめてマイマウス!! レガ様居ないのに人を煽らないで!! 僕が死ぬ程自意識過剰になってるから!! 何とかって先輩青筋浮かびまくってるから!!
「それに、君は剣道部なんだろう? 魔法以外の部分を大人しく鍛えていたらどうなんだい? こんな風に……ね?」
そう言いながら、僕の身体は彼女の身体を魔法じゃない方の糸で掌握する、うんやはり後遺症が出てるね。
「えっ!? か、身体が、動かない!?」
「所詮魔法なんてのは道具でしかないんだから、一々それの得手不得手で一喜一憂する事はないのさ。じゃあ、僕はそろそろお暇させて貰うよ?」
本当はもう少し身を隠してたかったんだけど、これ以上此処に居ると多分ロクでも無い事になるし、さっさと退散するしかない(震え声
…………思った以上に、根っこの部分がレガ様に染まってるみたいです。
▽
その翌日から達也君が例の何とかって先輩に逆ナンされたとか、言葉責めにしていたとか色々と噂が立っていた。
なんでもテラスで彼女を口説いていたのを何人もの生徒が目撃していたそうな、この噂が広まってからというもの1-Aの気温が、というか深雪さんの周りの気温が下がってるとかなんとか、おかげで風紀委員会の見回りの時に一緒になった森崎君が風邪引いてたよ、可哀想に……。
と、そんな同情をしていたところ校内放送が鳴り響いた。
『全校生徒の皆さん!! 僕らは校内の差別撤廃を目指す有志同盟の者です!!』
「だってさ、森崎君。早く潰して帰ろうよ」
「僕に指図するんじゃない!!」
「あー、でも今四階だしなぁ……」
「おい待て、何窓から下を見てるんだ? 階段を使えばいいだろ!! だから僕の肩を掴むな!! 止めろ僕は階段を使う!!」
「こっちの方が早いから遠慮しないで良いよ森崎君」
抵抗する森崎君をひっ掴み、僕は放送室の丁度上に移動して下へと飛び降り、糸で身体を誘導しつつ放送室の窓を蹴破って中へと侵入した。
「本当ね司波君!! 私達の身の安全はちゃんと保証してくれ––––」
何とかって先輩が達也君と話してる最中だったのだろう、盛大に窓ガラスを蹴破って放送室へ侵入した僕と森崎君はバッチリとその何とかって先輩と目が合ってしまった。
「お取り込み中すいません風紀委員です、貴女達を確保しに来ました、抵抗せずに投降して下さい。 ……ほら、森崎君も」
「……ははっ、また反省文だよ」
「反省文は書く為にあるんだよ、森崎君」
「君は……ッ!!」
放送室を占拠していた生徒達がそれぞれ立ち上がり、抵抗しようとしたので森崎君と共に全員を鎮圧し、皆お縄にした。
今回は余裕で褒めて貰える筈だ、何せ早期鎮圧だし、怪我人も居なければ魔法も使って無いし。
肩を落とす森崎君を宥めながら、糸で外に居るテスラに終わった事を伝えると、縛り上げた違反者達を連れて外へ出た。
「テスラー終わったよー!!」
「やはりお前か、俊彦!! 折角穏便に済ませようとしたのにこれでは私達が騙し討ちしたみたいじゃないか!!」
「ちょっ、渡辺先輩? めっちゃ怖いんですけど!? 僕今回は悪くないですよね!? ね? テスラ、僕は悪くないよね!!」
「渡辺、俊は悪くない」
「煩いぞバカップル!! 私は手段が悪いって言ってるんだ!! そして森崎!! お前もしれっと逃げようとするな、連帯責任だ!!」
「そんな理不尽な!?」
はい、後から聞いたら生徒会は有志同盟の要求を利用し公開討論会を行なって、差別意識の撤廃をするつもりだったらしいです。
うん、武力行使に出たら不味いタイミングで武力行使しちゃった(震え声
「でもほら、ね? 放送室のマスターキーを盗んで籠城した訳だから向こうは規律違反どころか犯罪行為をしてる訳でさ、だから僕の判断は間違ってない!! 森崎君も止めなかったしね!!」
「止める前にお前が飛び込んだんだろうが!! 僕を巻き込むな、むしろ僕は階段で行くって言っただろ!!」
「つべこべ言わずにさっさと反省文を書け、お前ら二人とも過程はどうあれ窓ガラスを蹴破ったのは事実だろう」
「「はい……」」
これ、僕そろそろ懲罰委員会行きじゃね?
森崎君、胃薬が手放せない体になりました(白目
主人公は意外に森崎君嫌いじゃなかったり。