目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

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人外アンド人外化したお兄様、これで好きなだけさすおに出来るよ!!(白目




#10

#10 風紀委員のお仕事(尚内申点は付かない模様)

 

 

模擬戦を終えた僕達は気を取り直した渡辺先輩に連れられ風紀委員会本部へと移動していた、演習場を出る前にテスラに行ってくる事を伝えたり、達也君が中条先輩にCADの事で絡まれていたりと少しワタワタしてしまったけどね。

 

風紀委員会本部は入ったら何というか、まぁ、アレだね、片付けがなってないと言う感じだった。

 

備品のCADも割と適当に置かれてるし、コレ何が何処にあるかとかを把握出来てるんだろうか?

 

僕がそう思っていたところで達也君が片付けを提案し、整理整頓を始めてしまった、自分の部屋とかならともかく学校とかの一時的な居場所の掃除って僕はあんまり拘らないから面倒なだけなんだけど、言い出せる空気じゃ無いねこれ。

 

仕方なく掃除を手伝い始めたんだけど、その途中で達也君がこぼした『二科生対策に俺たちを入れたのは逆効果では?』と言う言葉に思わず聞き返してしまった。

「何で逆効果になるのさ?」

 

「二科生の上級生が同じ立場の下級生に取り締まられたらどう思う?」

 

「あー、なるほど、面白くないねぇ」

 

 

納得すると同時にそれならそれで別に良いんじゃね?と思う自分がいる、だって規律違反してるのは相手側なんだし、取り締まりが嫌ならそもそもやるなって話だからね。

 

そして達也君は一年の二科生には有効だろうけど、それに倍する反感が一科生から上がるだろうとも言った、確かにそう言われると納得だけど、声を大にして僕ら批判したら深雪さんとテスラが何するか分からないんだよなぁ……。

はぁ……聞くところによると内申点に影響しないって言うし、今更勘違いでしたって言って辞めれそうに無いし、胃薬を本格的に用意しとこうかなぁ……。

 

ひっそりと悲しみを背負った僕が備品のCADを片付けていると、風紀委員の先輩二人が入って来た。

 

「お、姐さん、いらしてたんですかい」

 

「委員長!! 本日の巡回、逮捕者・違反者共に居りませんでした!!」

 

 

渡辺先輩……確かに姉御肌だし、勝気な人だけど……あの人も苦労してるんだね。

 

苦労人仲間が増えた事にホロリと涙が出掛けたけど、チラッと先輩達と目が合った。

 

「ところで委員長、其処の二人は新入りですかい?」

 

「ああ、1-Eの司波達也と関根俊彦だ、生徒会枠でウチに入る事になった」

 

「へぇ……紋無し、ですかい」

 

紋無しだと言った先輩から値踏みするような視線をぶつけられ、この学校の人は本当に実力主義だな、と半ば他人事の様に考えていたら隣の先輩に紋無しでは無く二科生と呼ぶのが正しい、と訂正されていた。

 

「お前達……そんな領分だと足元を掬われるなんてレベルじゃ済まんぞ? 身体能力だけで壁や天井を走る奴らだからな」

 

「ははっ、姐さん下手な冗談やめて下さいよ」

 

「冗談なものか、何だったら第三演習場を今から見てこい」

 

半信半疑な先輩達がそう言われて退出し、暫くしてから引きつった顔で帰ってきた。

 

「姐さん、即戦力にも程があると思うんすけど……」

 

「身体能力でああもなるとは……彼らは人間ですか?」

 

 

酷い言われようである(白目

気を取り直して自己紹介をし、正式な活動は翌日からという事で今日は解散となった。

 

校門で達也君と一緒にテスラ達を待ってから帰宅、テスラは僕を見つけるや否や正面から抱き付いて離れなかった、なので帰り道はおんぶ状態だ。

 

顔が近いし、良い匂いがするし、背中に胸が当たるのでこの体勢は非常に役得だ。 えっ? ドキドキしないのかって? 同じ部屋で生活してるのにこの位で動揺しないって(震え声

 

 

家に着いたら両親は不在だった、机の上には『結婚記念日なので外食してきます』と書かれたメモが置かれていた、裏には父さんの字で『PS.男になれよ?』と書かれていた、余計なお世話だ。

メモを握り潰し、当然の様に用意されていない夕飯を作りながら明日からの事を考える。

 

丁度明日は新入部員の勧誘活動がある日、僕へ対する男の嫉妬から分かる様に割とこの学校の生徒は積極的な行動をするので毎年荒れるんだそうだ、うっかり殺さない様にしないとダメだね。

 

そう思った僕は携帯の様な端末で達也君にメールを送る、文面は『明日うっかり人殺っちゃダメだよ?』だ、彼なら加減を誤る事は無いだろうけど揶揄い目的でね?

 

返信は僕が料理している間に来たらしく、テスラとご飯を食べさせ合っている間に内容を確認する。

 

何々? 『大丈夫だ、俺は証拠を残さずに相手を殺れるからな、万が一があっても安心だ』だって? お、おう。

 

直ぐに二通目が来ていたのでそっちも確認すると、ただ一言『冗談だ』と書かれていた、やれても不思議じゃない気がするから冗談に聞こえないんだよなぁ……。

 

 

明日、明日か……、流石に銃声の鳴るCADよりも糸を使った制圧の方が平和的かなぁ……、後でテスラにそれ関連のトレーニングを手伝って貰おうかな?

 

この時、僕はかなり楽観視していた、あんな事になるとは知らずに……。

 

まぁ、何時もの事態悪化の負のスパイラルなんですけどね?(白目

 

 

 

翌日、風紀委員会で簡単な自己紹介をした後に早速校内の巡回を開始する事になった。

 

初日に絡まれた森崎君も教職員枠で風紀委員会入りして気まずかったけど、表立って喧嘩する気は無いのか憎まれごとを僕らに言って先に行ってしまった。

 

まぁ固まってても仕方ないのは確かなので達也君に軽い挨拶をしてから僕もテスラの端末に連絡を入れてから中庭の方へ行った。

 

彼女と合流し、料理研究会のドーナツを二人で食べながら見回りをしていると早速中庭で喧嘩が始まっているのを発見した。

 

部員勧誘争いから発展したんだろうね、テスラの舌はドーナツだけは例外なので彼女に残りのドーナツを渡し、喧嘩の仲裁に入る。

 

「まぁまぁ先輩がた、抑えて下さいよ、ね? 風紀員のお世話になりたくはないでしょう?」

 

「んだテメェ!? ウィードの分際で口出ししてるんじゃねぇよ!!」

 

「一丁前に仲裁に入る俺カッケーってか? 舐めんな!!」

 

 

死にたいんですかね? テスラの目を見てよ、殺意MAXですよ? 何故自分から死にに来るのか?(震え声

 

しかし、折角のお祭りだ、流血騒ぎを起こすのも控えた方が良いだろうし、穏便に僕にヘイト集めて摘発しよう。

 

そう決めた僕は魔法の起動を悟られない様に片腕を背後へと回し、ナノサイズの魔法糸を彼らに忍ばせて肉体を掌握する。

 

「な、んだ? 身体が、いきなり!?」

 

「なに、しやがった!?」

 

「何でも良いじゃないですか、はいごめんなさいしましょうね〜?」

子供に言い聞かせる様な声で二人の先輩の身体を操作し、ぎこちない動きながらも無理矢理頭を下げさせる、うーむやはり複数操作はまだまだ未熟だなぁ。

 

『じゃあこれで手打ちって事で』と言って魔法を解除した瞬間、キレた二人に殴り掛かられた、うんまぁ予想通りに。

 

で、こっからが予想外だった。

 

殴り掛かって来た二人を避けた瞬間、人がごった返している中に勢い余って二人が突っ込み、ガラの悪そうな生徒を殴ってしまう。

 

 

「何しやがるんだテメェ!!」

 

「あっ、すんません、風紀委員で––」

 

僕が仲裁に入る前にそのガラの悪い生徒が片方の先輩を掴んで殴り飛ばし、殴り飛ばされた先輩が演劇部の出し物へと倒れ込んだ。

 

そしてその所為で彼らが用意していた衣装が汚れたり破れたりしてブチギレ、小道具を持って殴り飛ばした生徒に襲い掛かるも、また違う人を殴り倒してしまい大混乱になった。

 

バタバタと崩壊して行く出し物や、部のテント、飛び交う皿や発表物、極め付けはロボ研の作ったロボットが暴走を起こし、その結果この場にいた上級生が全て暴徒と化してしまった、如何してこうなった(白目

 

「なんの騒ぎだ!!」

 

「ああ、森崎君!! イマイチ安心出来ないけど来てくれてありがとう!!」

 

「貴様ッ、一々人を苛立たせないと会話ができな––––」

 

増援に来た森崎君だったけど、話の途中で彼の顔面へ魔法技術によるどうやって作ったのか分からない熱々の生クリームが盛られたパイがぶつけられ、来た瞬間悶絶してしまう。

「顔が焼けるぅぅぅぅう!!? 何だこれは!? ダークマターか何かか!? 形容し難い味と匂いがぁぁぁあ!?」

 

「あー、生クリームなのに真っ黒だからね……」

 

「どんな状況なんだこれは!? というか何なんだこれは!?」

 

「見ての通り、暴動?」

 

「何で疑問形なんだよ!? 僕が聞いてるのはそんな事じゃ無くてだな––––」

 

「あっ、森崎君危ない!!」

 

「はぁ!?」

 

 

僕の掛け声と共に振り向いた森崎君の頭に空っぽになったカレー鍋が引っかかる、音の反響で凄く煩いだろうなぁ……、しかもカレーは辛口だしこれは辛い。

 

森崎君を宥めようとしたけれど、その判断は遅かったらしく彼もカレーとクリーム塗れで風紀委員の腕章を見せながら突っ込んでいった。

 

 

僕はテスラに被害が及ばない様に彼女の横へ移動し、大騒ぎになった現場をどうやって鎮圧するか悩んでいた。

 

うーん、沸点低い人は嫌だねぇ、この学校の一科生には忍耐の二文字が欠けているのだろうか。

 

そんな事を考えていたら、騒ぎのど真ん中から注射器の様な物がテスラに向けて飛んで来たので彼女に当たる前に掴み取る。

 

演劇部の小道具なのは見てわかったけど、それを見た彼女は明らかに怯えてしまった。

 

「おい、僕のテスラにこんな物投げ付けたバカは何処の何奴だ!! 人の女のトラウマ抉っといてタダでは済むと思うなよゴルァ!!」

 

僕はそう怒鳴りながら乱闘騒ぎの中に飛び込んでいき、達也君が他の風紀委員全員を連れて鎮圧しに来るまで殴り合いに参加してしまった。と言うか僕が拳で興奮した先輩を大人しくしてたら達也君に絞め技食らって風紀委員なのにそのまま連行された、音もなく背後取らないで下さい(震え声

 

 

今は、風紀委員会の本部で森崎君と共に渡辺先輩の説教を受けながら反省書を書いてます(白目

 

 

何故だ、何故僕がトラブルを回避しようとすると何故何時も悪化するんだ? 今回だってきっかけは喧嘩の仲裁だったじゃん!! だから僕は悪くない(震え声

 




森崎君とばっちり(白目

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