……んー?なに…眠くてよく聞こえない…
自分の近くで話し声が聞こえる。数人がすぐ近くにいて、こちらが寝ているのにも関わらず声のボリュームを調整していないようで、しかも寝惚けている状態ではっきり話している内容が聞き取れなかったため、ルイは不愉快に感じた
普通、眠っている人間がすぐ近くにいるのに、他人というものはこんなにも気を遣わないものだったのだろうか。話すのならもっと別の場所ですればいいのに、とルイは思った。
しかも、瞼を刺激する光を感じない。つまり今は夜だ。夜中なのだ。それなのにこんなところで会話をしていていいのか、というかなにを話しているんだ
まだ眠い。
学校は不登校気味でほぼ昼夜逆転の生活を送っていたルイだが、朝までアイアンメイデンを作るのに夢中で、しかも完成してすぐトリップさせられたため、まだ寝ていなかったのだ
そう。非常に眠い。だが、昼の緊張と疲れのため眠りは浅かった
ルイは眠い瞼を押し上げる
ゆっくり開いていったが、その会話していた人物たちを見つけるとゾワリと背筋を冷たいものがスー…っと駆けていく
・・・アンビリーバボー。旅団の方々ではありませんか
てか何故に場所バレた?
ルイは月明かりで照らされた自分の身体にキラリとなにかが光ったのに気づいた
ワンピースには銀色に光る細い棒?のようなものがついている、……いや、“刺さって”いる
その銀色の細いものの先に穴が開いていて、風に揺らめいている糸が通っていた
針と、糸だった
それを無言のまま見つめているとだらだらと汗が流れていくのがわかった
針と糸。そのことで頭を通りすぎるのはHUNTER×HUNTERの、クラピカがウボォーを拐うところで、旅団員の1人であるマチがウボォーを追跡するために使ったものだった
理解すると、血の気が引いて、サッと脳みそが冷える
今、旅団員が会話している内容を想像してしまった。
もし、いや、もしかしなくても
私を殺す相談?
考えてすぐ、その考えを破棄する。かの幻影旅団が私みたいな小娘を殺すためだけに相談?
次に思いついたのは、クロロのことだった。彼は他人の能力を盗む念能力を持っている。もし、仮にもし、あのとき逃げた所為でなんらかの念能力があるとおもわれていて、そのチカラを盗むために・・・と、考えついた
大正解である
クロロたちからはルイこと“ヤツ”は移動系の能力に、なにかしらのステルス能力があると考えた。クロロは既に移動系の念は持ってはいるが、距離が短く、使い勝手が悪かった。だからこの大移動の証拠を見て、欲しいと思った。そして、自分たち幻影旅団が気付かないほどのステルス能力も欲しいと思ったのだ
つまりルイは墓穴を掘っていた。それどころかその墓穴の中で眠りこけていた。
ルイは思った、
また死亡フラグが建ったと