Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは見守る。

ただ行く末を

ヴェロニカは逃げる。

彼の銃口から


Veronicaの偵察

現在並盛中から少し離れた建物で争奪戦を観戦しているヴェロニカです。

今、私の目の前で雷の守護者の対決が行われていた。

晴?原作通り、笹川了平が勝利を収めた。

私的にルッスーリアがボコボコにされるのはあまり気分のいいものじゃなかったので、直ぐに帰ったのだが。

雷、嵐はヴァリアー側が勝つので、最後まで見ようと思う。

今回のマーモンは未来から来ていて、六道骸にどう対処するか予想不可能なので、取り合えず見に行く予定である。

 

あ、ランボがバズーカ使った。

レヴィも小さい子相手に普通に攻撃してるけど、外道だなぁ…

あれ、ここでもっかいバズーカ使うんだっけ?

ってことは20年後のランボか、変わりすぎだろおい。

 

ヴェロニカがそんなことを思っているとき、一瞬だけ大人ランボと目が合った気がした。

いやないだろ…だって結構離れてるし、私双眼鏡使ってるし…

待って大人ランボが二度見してこっち見てる、これ絶対私の居場所バレてますわ。

 

ヴェロニカはすぐさま、双眼鏡を仕舞いその場を離れた。

双眼鏡を覗くとき、フードが邪魔で取っていたけど、あの距離から顔バレてないよね……

足を炎で強化して、建物の上を飛び越えながらマンションへ遠回りしながら帰る。

マンションへ着き、部屋の中に入ると持っていた剣を置きベッドに転がる。

ヴェロニカは少しだけ目を閉じ、これからのことをシミュレーションしていた。

 

ザンザスの入院中の病院へ侵入した後、マーモンの幻覚で医者に化ける。

化けたら、そのままザンザスの病室まで行き、点滴液の方にワクチンを投与すればいい。

その前に気付かれれば直接パパに投与。

抵抗した場合のことも考えて、今のうちにパパの波長を思い出す。

同じ憤怒の炎だからか、又は親子だからか、パパの波長はとても私に似ていた。

私にはとても心地よいほど似ていて、何もせずに攻撃を喰らっても多分ほぼダメージは通らないのかもしれない。

 

ヴェロニカは目を開ける。

部屋の天井には、薄く細い炎の糸が複雑に張り巡らされている。

 

もっと複雑に もっと細く

 

ヴェロニカは目を細くし、炎の千切れるギリギリの細さまで炎を伸ばす。

 

プツン

 

炎の糸が力なく千切れ、紛散していく。

ヴェロニカは力なくため息を吐き、そのまま布団を被り目を閉じた。

 

 

翌日、嵐の守護者の対決で、何事もなくベルフェゴールの勝利で終わった。

途中で足を折ったベルに私は少し心配になったが、原作通りになり安堵した。

 

明日はスクアーロなのでパス。

ぶっちゃけ鮫に喰われるスクアーロという共食いなんぞ見たくない、泣く自信しかない。

しかもそれに対してパパが非情な言葉を掛けた覚えがある。

この頃のパパが荒れていたのは知っているけど、聞くと辛いものがあるので敢えて聞かないように明日は来ないことにしていた。

していたんだ。

 

なのに、何で私は双眼鏡を持ってまた並盛中を見ているんですかねぇ…

くっそ、久々にパパ見れると思うと居ても立ってもいられなくなって、結局来てしまった。

ちゃんとフードはしております。

スクアーロも最初に山本をナメぷするから最後に逆転勝ちされるんだよ、あのアホ。

最初から殺す気で…おっと危ない、思考が危険な方向にいってしまった。

 

にしてもパパ若ぇぇぇ

私の記憶に残ってるパパなんて50手前のおっさんってこともあって少しだけ目頭にしわあったし。

それ思うと、大分若く見える。

私のパパはいつでもイケメンだな。

性格クソだけど。

あ、スクアーロが負けた。

鮫にぱっくんちょされるのは見たくないので退散しますかっと。

 

ヴェロニカが立ち上がった瞬間。

 

バゴォオオ

 

ヴェロニカの足元が一気に崩れた。

いきなりのことに、驚愕したが直ぐにその場を飛び退き建物から降りる。

攻撃源を見ると、ザンザスがこちらに向かって銃を構えていた。

 

うっほおぉあ!バレてらぁ!

 

ヴェロニカはその場から出来るだけ遠くに退避した。

何か複数の視線が背中に刺さってるけど無視。

逃げる途中、何発か足の近くに銃弾がぶつかり足場が崩れていくと、ヴェロニカは慌てて足に炎を圧縮して纏い、その場を蹴った。

すると、足場にしていた建物が崩れた。

 

もう一度言おう、崩れた。

 

んんんんんん?

 

一瞬ザンザスの攻撃かと思ってが、自身のせいだと気付く。

あまりに急な襲撃だったので、思わず炎を圧縮して飛んだせいで、建物がその負荷に耐えられなかったようだ。

やっべ、これ絶対逃げ切らないと…!

ヴェロニカは必至でその場を去った。

 

 

数分後、マンションに戻ったヴェロニカは疲れた体で風呂を入り終えると、ベッドに潜り込んだ。

その時、携帯が鳴ったのでディスプレイを見るとマーモンだった。

 

「はい」

『プリンチペッサァァァァァァァァアア!』

「ごめんなさい」

 

こういうのは素直に謝るのが一番である。

 

『君ってやつは!どれだけ僕の心臓が止まりそうだったことか!』

「ごめん、あの距離でバレると思わなかった」

『ボスの獣並みの勘を侮っちゃダメだよ!それよりどこか怪我してないよね!?』

「別にどこにも…」

『君に怪我がなくてよかったよ…というか君、何したのさ…建物が崩れたけど』

「ごめん、まだ炎の加減が出来てなくて…」

『やっぱり君だったか…ベルが君に興味持っちゃったじゃないか』

「うわっ」

『もうちょっと上手く隠れなよ!どうせボスの若い頃見たくて来たんだろう?』

「うっ…」

『ったく……君はもう少し慎重に動くべきだよ』

「はい」

『もう僕は眠るよ。明日は僕の番だからね』

「頑張ってね、マーモン」

『分かってるよ、おやすみ』

「おやすみ」

 

ピッ

 

携帯の通話を切ると、一気に疲れが押し寄せてきた。

 

「ふぅ……」

 

リボーンにバレてないといいんだけどな…

ヴェロニカはベッドの上で瞼を閉じた。

 

翌日、学校への登校時、いきなりリボーンが現れた。

 

「ちゃおっす」

「…」

「おいヴェロニカ、おめー昨日の夜どこにいやがったんだ?」

「マンション」

「嘘だな、おめー並盛中の近くにいただろ」

「昨日は外出していない」

「ボンゴレリング争奪戦のこと、誰から聞いたんだ?」

「知らない」

「嘘をつくんじゃねぇ」

「くどい」

「……ヴァリアーの奴らがお前に興味を持っていた。あぶねーからもう覗きに来るんじゃねぇぞ」

 

リボーンはヴェロニカに忠告すると、直ぐに姿が見えなくなった。

これはもうバレてますわ。

でも私が否定しているから誰にも言うことも出来ないだろうな。

いや沢田家光には言っていそうだ。

ああ、なんて面倒な…

色々自業自得すぎて、何も言えないが。

だが今日はマーモンの晴れ舞台!見に行かないわけにはいくまい。

ナッポー野郎をボコボコにしてほしい、切実に。

 

その日の夜、私はバレないように周りに細心の注意を払いながら対戦を見ていた。

マーモンは容赦なくクロームを叩きのめしている。

女の子に手をあげるマーモンも意外と外道だよね。

でも仕方ない、あいつら生粋のマフィアだし。

そんな外道なあいつらが私は好きだし、私も色々外道思考になってきているかもしれない。

って、あーあ…クロームボロボロじゃん。

っと、そろそろ骸が……来た。

あの顔見ると殴りたくなる。

雲雀恭弥に私のこと喋ったのあいつだし。

だから私は雲雀に追われるハメになってるわけで。

ヴェロニカは殴りたい衝動を抑えて、戦いの行く末を見守っていた。

あるぇ?骸が勝っちゃった。

それもマーモンがボロ負けしてる。

えー、原作通りじゃん。

 

「解せぬ」

「何がだい?」

 

後ろから、マーモンの声がして私は驚きすぎて勢いよく振り返ると、そこにはマーモンがいた。

 

「え?……もしかして」

「そ、今六道骸にやられてるのは僕の有幻覚さ」

「……何で有幻覚?マーモンが六道骸カッ消せばいいじゃない」

「君ボスの口調移ってるよ……そうするとヴァリアーが勝っちゃって、明日の雲の対戦が無くなっちゃうじゃないか…一応、僕たちの目的は沢田綱吉に濡れ衣着せて殺すことなんだし」

「そうだったんだ……濡れ衣って?」

「ああ、言ってなかったっけ?雲の守護者、ゴーラモスカの中身は九代目だよ」

「……そう」

「僕たちは九代目を沢田綱吉に殺させて、それで大義名分を得て沢田綱吉を殺すのが目的だったんだよ」

「……」

「君は九代目を慕っていたからね…僕達を軽蔑するかい?」

「九代目、未来で生きてたってことは一応死にはしないんでしょ?」

「ま、そうだね…」

「なら別に思うところはないかな……それに…九代目とあなた達を比べたって、私はマーモン達を選ぶわ…」

「……何故だい?」

「子供のころから一緒にいたのはあなた達だったし、私の誕生日をいつも祝ってくれてたのもあなた達だもの……マーモン達の方が好きよ」

「フン、君はたまに恥ずかしげもなくそんなこと言うよね、聞いてらんないよ」

「そう」

 

マーモンはフードで隠し切れないほど、顔を赤くさせていた。

めちゃくちゃ可愛いです。

天使かな?

 

「そろそろ有幻覚と代わってくるよ」

「気を付けてね」

「それ、そのままお返しするよ。くれぐれも誰にも見つからないように早く帰りなよ」

「うん、おやすみ」

 

マーモンはそういうと、ヴェロニカから離れていく。

ヴェロニカも闇に紛れながらその場を去っていった。

 

 

 

 

リボーンside

 

晴の守護者の対決が始まった。

対決中、ふと近くに気配があることに気が付いた。

敵意はないので、深く探りはしなかったが、こちらに刺さる視線は少し鋭かった。

 

次の、雷の守護者の対決でもその気配はあった。

一体どこから見ているのか定かではなかったが、やはり敵意はなかったので放っておくことにした。

ランボが負けそうになり、10年バズーカを使い10年後のランボが来るも、窮地に追いやられたことで再びバズーカを使った。

出てきたのは20年後のランボで、この戦いの行方が分からなくなっていた時、ランボがある一点を見た。

そして目を見開き、もう一度そちらの方角を見て口を開いた。

誰にも聞こえないほど小さな声で、そして誰にも気づかない程僅かな間の視線の動きだった為、それに気づいたのは俺だけだっただろう。

 

『あれは――――の娘……何故ここに……』

 

読唇術で、分かったのはそれだけだった。

誰の、までは分からなかったが、俺たちを覗き見ているのは女のようだ。

そこで俺には直ぐ浮かんできた人物が、ヴェロニカだった。

やつならば、この騒動に気付いて見に来てもおかしくないと思った。

隠れていた気配が遠くなるのに気づき、撤退したと分かった。

俺は手を顎に添え、対決を観ながらヴェロニカのことを考えていた。

 

先ほどの気配をヴェロニカと仮定してだ。

10年後でのランボはあいつのことを知らない、といった。

だが20年後のランボは知っているようだった。

単に、10年後以降に知り合った可能性が高いが、俺はそれだけだとは思わなかった。

今の段階で頭角を現しているあいつが10年以上も知らないわけがないと思ったのだ。

そして誰かの娘……マフィア関係者の娘ということが分かるが、ランボでも知っているような人物を当たるしかないのだろうか。

一体あいつに何が隠されているんだ…

リボーンは雷の守護者の対決が終わっても思考が休まることはなかった。

 

次の嵐の守護者対決でも、その気配はあった。

今とっ捕まえてもいいが、逃げられる可能性があるのでやはり放置していた。

ベルフェゴールの片足が折れた時、俺たちを見る視線が一瞬だが揺らいだ。

何故揺らいだ?ベルフェゴールの足が折れたから?

それとも、ヴァリアーに何らか思うところでもあったのか。

その日は、結局ベルフェゴーレの勝利で幕は下りた。

 

次の雨の守護者対決でも、気配はあった。

どこから見ているか未だ分からない。

雨の守護者の対決が決まった時、隠れていた気配が動いたと思った瞬間。

大きな爆発音が聞こえた。

そちらを見ると建物が少しだけ崩れていて、チェルベッロ達も驚いている。

なにせいきなり無人の方向に発砲したのはザンザスであった。

 

「どうしたのさ?ボス」

「ネズミがいた」

 

マーモンの問いにザンザスはそう答えると、もう何発か同じ方向に撃ち始めた。

俺の隣のダメツナは、発砲に驚いて状況が分からないようだった。

ザンザスの攻撃を上手く避けているのか、銃撃が終わらず、チェルベッロが止めに入ろうとした時、攻撃していた建物が崩れた。

ザンザスが僅かに目を見開いたのを俺は見逃さず、これは奴が引き起こしたことではないと分かった。

で、あればあの建物を破壊したのは、先ほどの気配の持ち主。

何故壊したかは分からないが、恐らく目くらましのつもりだろう。

既にその気配はなかった。

 

「何そいつ、ずっと見てたわけ?王子気付かなかったんですけど…シシッ」

「俺たちに気付かれずに隠れるとは…余程の手練れだろうな」

「んー、俺気になるかも」

「ベル、お喋りはそこまでだ。舞台が動き出すよ」

 

気配の主に興味を持ったベルフェゴールをマーモンが黙らせる。

マーモンの言う通り、試合会場には鮫が投下され、スクアーロが喰われたのだ。

山本は腑に落ちない顔をしていたが、その日の対決はダメツナのチームが勝利を収めた。

 

 

俺はその次の日、登校時のヴェロニカを捕まえ声を掛けた。

 

「ちゃおっす」

「…」

「おいヴェロニカ、おめー昨日の夜どこにいやがったんだ?」

「マンション」

「嘘だな、おめー並盛中の近くにいただろ」

「昨日は外出していない」

「ボンゴレリング争奪戦のこと、誰から聞いたんだ?」

「知らない」

「嘘をつくんじゃねぇ」

「くどい」

「……ヴァリアーの奴らがお前に興味を持っていた。あぶねーからもう覗きに来るんじゃねぇぞ」

 

ヴェロニカは始終俺の言葉に否定していたが、俺はあの気配がこいつだと思っている。

確証はないが、今までの勘でこいつだと思った。

取り合えず、忠告はして俺はその場を去る。

ダメツナの元に向かう途中、ふと思い出した。

 

確か、俺はヴェロニカの炎を見たことがなかった。

大空の属性であることは知っているが、実際見たことがなかった。

今回のボンゴレリング争奪戦が終わってからでも、確認しにいくか。

 

 

その日は、霧の守護者の対決だった。

クロームがマーモンに一方的にやられていて、ダメツナも山本も止めに入ろうとするくらい焦っていた。

だが、力尽きたクロームはその場で意識を失う。

これで終わりかと思った時、六道骸がクロームの体に憑依し現れた。

やつは、周りを見て少し落胆した様子を見せたが、直ぐにマーモンに攻撃を開始する。

六道骸はマーモンを圧倒する。

マーモンも奮闘するも、敗北。

今回もこちらの勝利で、明日の雲の対決で全てが決まることになった。

気付けば、さきほどあった気配もなくなっていた。

その気配はまるで、何かを待ちわびているようだった。

 

 

「何も、起こってくれるなよ…」

 

 

 

 

 

その頃ヴェロニカは…

 

「マーモンは天使、異論は認めない」

 

 

 




次回で、多分ヴァリアー編が終わります。
ザンザスの「崇高なるボンゴレ」発言にヴェロニカの腹筋は耐えられるのか―――⁉
私は耐えられませんでした。

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