Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは逃げた。

わが身可愛さに

ヴェロニカは見るだけ。

ただそれだけ


ヴァリアー編
Veronicaの逃走と再会


黒曜編が終わって数週間…

リボーンには私が黒曜ランドにいたことを知られることなく。

私には平穏な日々が戻ってきた。

 

 

 

 

「ヴェロニカって君のことかい?」

 

 

 

 

拝啓

 

春の桜の散ってしまいました。

春風が涼しい中そろそろ梅雨に入ろうとしています。

私は日本で色々学んでおります。

父上は地獄でどうお過ごしでしょうか。

やはり鬼どもをカッ消しているのでしょうか。

父上を思うととても寂しいです。

そういえば、この前六道骸相手に白星を付けることが出来ました。

これからも父を見習い頑張っていきます。

私ももしかしたら直ぐにそちらへ行くことになりそうです。

 

     敬具

 

ヴェロニカ

ザンザス

 

 

 

「ねぇいつまで黙ってる気?」

 

あぶなっ、現実逃避というかあの世にいるパパへの手紙が出来上がってた。

 

「…ごめん、もう一度言ってくれない?」

「だから、ヴェロニカって君かい?」

 

六道骸カッ消す。

あいつしかいない。

10万回ほどカッ消す。絶対だ。

 

「……………確かに私の本名はヴェロニカだけど…」

「やっぱり君だったのかい、ねぇ僕と戦いなよ」

「何故」

「君が並盛中の喧嘩ランキングで一位だったんだよ…だから僕と戦うんだよ」

「…断る」

「君に拒否権はないよ」

 

そういうと雲雀はトンファーを構える。

私はそれを見た瞬間、大きく後ろに飛ぶ。

先ほど私のいたところには雲雀のトンファーが叩きつけられていた。

 

「学校だぞ」

「それが?僕の学校だ」

 

なんという暴論。

パパと張るな…

じゃない、とりあえず誰もいなさそうな…屋上に行くか。

ほんと誰もいないところで聞かれてよかった。

 

ヴェロニカはそのまま階段まで走り、足の裏に炎を纏い一気に上に上がる。

雲雀が後ろから迫ってくるとかどこのホラーゲーム?

 

屋上に出て、開けた場所に到着する。

 

「へぇ、わざわざ誰もいないところまで来るんだ…」

「……」

「ま、やるならどこでもいいけどね」

 

雲雀はにこやかにヴェロニカに向かってトンファーを振りかぶる。

ヴェロニカは死ぬ気の炎を全身に覆い、避け続ける。

今の雲雀に炎は出せず、トンファーで殴りつけるため調和は使えないし、私には武器がない。

一応、スカートの中にザンザスの拳銃を隠してあるが、これからザンザスと戦うであろう雲雀に見せるわけにはいかない。

ヴェロニカは、どうやって逃げ切るかを必死に考えていた。

 

「ねぇ攻撃してきなよ」

「武器を持たない相手にどの口が言う」

「ふーん…いいよ、見逃してあげる」

 

お?マジ?思ったより物分かり…

 

「でも明日は得物、用意してきなよ」

 

よくない、やっぱり雲雀恭弥は苦手だ。

雲雀はトンファーをしまい、そのまま屋上から消えていった。

残されたヴェロニカは叫びたくなった。

 

雲雀恭弥が黒曜編でボロカスにやられたたから、全快するまでに数週間もかかったんだろうけど、そろそろヴァリアー編じゃないの?コレ。

逃げ切ってたら、全部ディーノに押し付けられるパターンかな?

妙案を思いついたヴェロニカは、ディーノが来るまで徹底的に雲雀恭弥を避けようと思った。

一応、見つかったらやばいので剣を常備して。

 

次の日から雲雀恭弥と鬼ごっこを開始した。

 

『仲田夏美、今すぐ風紀委員室にきて』

 

ブツン

 

その放送があったときは、教室中の全員の視線が寄せられた。

沢田綱吉は、どこか心配そうに私を見ていたが、無視した。

そのあと、何回か放送及び風紀委員が来たが尽く避け続けた。

授業中も来たので、窓から逃げさせてもらった。

クラスメイトがめちゃくちゃ騒がしかったが、多分気のせいだ。

鬼ごっこを始めてかれこれ一週間。

そろそろ雲雀の忍耐袋がブチ切れる頃だろうか。

日に日に痣を作ってくる風紀委員達に同情しながらも逃げるヴェロニカ。

ある日、雲雀の放送がないので、風紀委員室を覗いてみると、金髪の青年がいた。

 

よっしゃ!後は任せますわディーノさん!

 

ヴェロニカは内心ガッツポーズをして、帰りの支度をして校門を出た。

久しぶりに得られた放課後の休息をヴェロニカは満喫した。

帰る途中、喫茶店によって私の好物のイチゴタルトとチョコケーキを頼み、寛いでいると後ろから声がした。

 

「んまぁ、どこもかしこも満席じゃないのぉ」

 

とても聞き覚えのある…オカマの声がしたような……

 

ヴェロニカは、声のもとを視線で辿ると、そこにはルッスーリアが立っていた。

そして何故か隣はベルとマーモンもいた。

そしてルッスーリアと目が合ってしまい、私の席は4人席だった。

これは来ますわ、絶対に。

案の定、ルッスーリアがこちらに近づいてきた。

 

「そこの可愛いお嬢さん、ここ相席していいかしらん?」

「………いいよ」

 

久々に顔を見た彼らに私は断り切れず、頷いてしまった。

ルッスーリアとベル、マーモンはそれぞれ席に着いた。

 

「あたしルッスーリアよん、あなたは?」

「……ヴェロニカ………」

「あら、いい名前ね」

「俺ベルフェゴール~」

「僕はマーモンだよ」

 

久々にこの人たちの声を聴いて、心のどこかでとても安堵した。

 

「あなたここの近くの学生さんかしらん?」

「並盛中…」

「あら、じゃあ沢田綱吉って知ってる?あたし達彼の知り合いなのん」

「同じクラス…でも喋ったことない」

「そう、にしてもあなた日本人じゃなさそうだけど、国籍どこなのん?」

「イタリア」

「あっらまぁ!あたし達もイタリアなのよ~」

「シシッ、ちょ~偶然じゃん」

「世間て狭いね」

 

少しお喋りをしていると、ふとルッスーリアが口にした。

 

「ねぇベル、ヴェロニカちゃんって少しボスに似てない?」

「あ?んー…確かに…眉毛とか…顔立ちとか…」

「僕は最初からそう思ってたけどね」

「気付いてたんなら言いなさよ~、にしてもそう思い始めるとますます似てくるわね~」

「……ボス?」

「あ、あたし達の上司でね~あなたにとても似ているのよ!」

 

あっぶねぇ、ここでもか!どれだけ私はパパに似てんのよ!

パパの遺伝子頑張りすぎだろ!

だが美形遺伝子だから許す。

 

「あ、そろそろ時間だわ!ここら辺であたしたちはお暇するわね!」

「…わかった」

「会計はあたしが払ってあげる!」

「ありがとう…」

「じゃあねん、ヴェロニカちゃん!」

 

ルッスーリア達と別れて、私はマンションに帰ろうと思った。

彼らがいるということは、既にヴァリアー編は始まっている。

…暫くは九代目に電話出来ないや。

少ししんみりしていると、知らぬ男に声をかけられた。

 

「すみません、少しいいですか?」

「……何…」

「ここに行きたいのですが、どこに向かえばいいですか?」

「………私もこの方向へ行くので途中まで送ります」

「え、あ、ありがとうございます」

 

男は私の後をついてきて、私はマンションの一つ外れた道まで歩き出す。

 

……?

 

歩く途中、僅かな違和感を覚えた。

何か、見逃しているような……何だろう……

この感覚、どこかで…ッ

 

 

幻術に嵌まっているかもしれない……そう直感で思った。

父譲りの直感を信じ、私は後ろをついてくる男にバレないよう、波長を探す。

少し時間がかかったが、見つけた。

だがこの波長は……どうして……

私を一般人か確認しているのか、それとも私を嵌めようとしているのか…

後者と判断し、私は一気に幻術を解き男から一気に距離を取る。

幻術を解くと、先ほどいた場所は空き地になっていた。

 

誘導されたか…

 

後ろにいた男は解かれたことに気付いた様子だが、焦っている様子はない。

 

 

「何のつもり…?…………マーモン」

「ふーん、そこまで分かったんだ」

 

男の姿が縮小し、小さなフードを被った赤ん坊の形になる。

にしても先ほどのカフェでの会話に何か不自然なところでもあっただろうか…

いや単に、私がリボーンの生徒だからか?

 

「で、何故私に幻術を?」

「……強くなったんだね、プリンチペッサ」

「え……」

 

ヴェロニカは大きく目を開いた。

 

「……マーモンあなた……」

「君を追って未来から来たのさ、全く皆心配していたよ」

「え、……と…ごめんなさ…い」

 

私は警戒を解いて、マーモンの近くに寄る。

マーモンはムスっとしていて、怒ったように私の頭を弱く叩いた。

 

「全く、君に何かあればあの世でボスにカッ消されちゃうの僕たちなんだけど」

「……えと…」

「色々聞きたいことも、教えることもあるからどこか誰もいないところに移動するよ」

「うん……」

 

私はマーモンの言葉に頷いて、マーモンを腕で抱えると近くにあるホテルへ移動した。

ホテルに入ると部屋の中でマーモンは椅子に座ったので私もそれの反対側へ行く。

そして私の今の状況と、未来の状況を教えてくれた。

 

まず、私がこの時代にいきなり飛ばされたのは、沢田綱吉がいきなり部屋を開けたせいで中で実験していた電子機器稼働ボタンを正一が押し間違え、そのせいでバズーカが作動してしまっとか。

そして、私を未来に戻れるようにするにはまだ時間がかかりそうだ。

とりあえずヴァリアー幹部全員に沢田綱吉は殴られたそうだ。

沢田からヴェロニカのことを聞いたときは驚愕して、それから荒れたんだと。

何故、死ぬ気の炎のことを知っていたのか、マフィアと分かっていたのか…いえばいくらでもあったくらいだった。

そのあとパパを火葬して、会議を行ったらしい。

誰が過去に行くかだった。

最終的にはじゃんけんだったそうだ。

じゃんけんでなくともマーモンにすべきだと思った。

 

そのあとマーモンには私の話をした。

ここにきて九代目に話して協力をしてもらったことや、リボーンに家庭教師をしてもらっていること、この前六道骸に勝ったこと。

六道骸のあたりはマーモンは大げさなほど驚いていた。

だが、一つだけ、死ぬ気の炎はザンザスが死ぬ直前に発現したことにしている。

 

私はマフィアのことを知ったのは最近です、あなた達のことは何も知りません。をアピールするためマーモンに質問を投げかけた。

 

「にしても、マーモンあなた姿がそのままだけど10年前からそうだったの?」

「一応ね、未来では大人の姿になれたけど、君の前ではずっと赤子の姿をしていたのさ」

「そう……マーモンはどれくらいここにいるの?」

「多分、二週間くらいだよ…ボンゴレリング争奪戦が終わるまではいると思うけどね」

「そっか……」

「あと、これを預かってきたよ」

 

マーモンはそういうと、箱を渡してきた。

中を開けると、注射器と液体が入っていた。

 

「これ!」

「ワクチンだよ…僕も数本持っているけどね。一応君にも渡しておこうと思って…」

「ありがとうマーモン!」

「あとこれは、このボンゴレリング争奪戦中にワクチンをボスに接種できなかった場合使うものだよ」

「なにこれ」

 

マーモンが出したのは小さめの手のひらサイズのバズーカ

 

「小型10年バズーカ…タイムリミットは一か月…君には少し未来を教えておくよ」

 

少し省いてはいたが、マーモンは未来編のことを教えてくれた。

何故、未来まで行かなければならないのか、マーモンに聞いてみたところ…

 

「ボスに少しでもワクチンを接種出来る可能性がある場面に出くわす確率が高いから」

 

ふむ、詳しく聞くとザンザスにワクチンを打つにはまずザンザスが意識がないとき、又は眠っているときにしか出来ない、と。

そしてザンザスがこれと言って目立つ怪我をしたことがあまりなく、唯一怪我をしたのが指輪争奪戦の時と未来編でのみなのだと。

なるほど、確かにあの人寝てても近づいたら起きそうだもんな。

 

「ん?待って、ってことはワクチン打つときって手負いのパパを抑え込んでやるの?」

「まあ、そうなるね…僕も少し前にバズーカで入れ替わったけど、ボスに打つタイミングなんてこれっぽっちもなかったね」

「そっか…」

 

それなんて無理ゲー?

え、手負いのザンザスに?無理でしょ。

結構ハードルたけぇなおい…

 

「マーモン、ボンゴレリング争奪戦でパパに打てそうなタイミングって?」

「最後だね、ボスが沢田綱吉に敗北した時倒れたからそのときか、あとは入院中…かな」

「その時皆重傷だったの?」

「そうだね、ま、今回僕は傷を負うつもりはないよ。未来も知っていることだしね」

「分かった」

 

胃が痛くなってきた。

目の前のマーモンは少し険しい雰囲気で口を開く。

 

「プリンチペッサ、この時代のボスは君を知らない」

「うん」

「この時代のボスは君の父親ではないんだよ……だからボスは多分容赦なく君に攻撃すると思うよ」

「分かってる、覚悟の上よ…」

「なら僕は何も言わないよ……でも一つだけ最後に聞きたいことがあったんだ」

「僕の幻術、どうやって解いたんだい?」

 

マーモンはそれが気になって仕方なかったらしい。

一応、調和の性質を使ったと言ったらマーモンはあんぐり口を開けていた。

 

「ぇ、じゃあ何…君は僕の波長をあの短期間で探し出した挙句、調和して幻術を解除したっていうの?」

「そうだけど」

「君、憤怒の炎ってだけでも破格なのにっ、なんだいその化け物並みの探知力とコントロールは⁉」

 

まぁ、他の人から見ればそうなるよね、うん。

 

「ほんっと、非常識なとこもボスそっくりだね!」

 

おい待てやコラ、『も』ってなんだ『も』って。

顔はともかく、暴君じゃないし、非情なつもりもないぞ。

大変遺憾である。

 

「ほんっと、僕達のいない間にどれだけ強くなる気だい……」

「取り合えず目標は打倒スクアーロ」

「今のスクアーロになら出来るんじゃないかい?」

「経験が足りない」

「まぁ、そうだね…それに君得物も持ってないし」

「一応持ってる」

「何だって?」

「両手剣、九代目にもらったの……マンションの方に置いてあるわ」

「剣だって?君剣士にでもなる気かい?」

「違う、本当は銃を使うつもりだったけど、パパも使ってるから使えないの」

「そういえば君ボスの二挺拳銃奪っただろ!あれ無くて皆屋敷中探し回ったんだよ⁉」

「ごめん」

「ちゃんと持って帰ってきてよね…ったく」

 

マーモンはほっぺを膨らまして、プンスコ怒っている。

正直可愛いだけである。

 

「僕はもう皆のところに行かなきゃならないけど、何かあったらコレに連絡しなよ」

 

マーモンはそういうと、私に番号の書かれた紙を渡す。

 

「プリンチペッサ」

「何」

「これだけは約束してくれないかい?」

「?」

「何があっても絶対にボスの前にそのままで現れないこと」

「…………分かったわ」

 

下手したらバレますもんね。

ザンザスって何で血が繋がってないのにあんな超直感みたいなのあるんだろう…

 

マーモンと別れて、私はマンションに帰っていった。

 

私はいつでも一歩後ろから全てを見るだけ。

どれだけの人が傷ついても私は見ているだけ。

目的をはき違えるな…

原作を変える為に来たんじゃない。

 

「ごめんね、おじいちゃん……」

 

 

私の独り言は誰にも聞こえることなく消えていった。

 

 

 

 

 

マーモンside

 

最初、ルッスーリアがプリンチペッサが部屋にいないことに気付いた。

そのあと、トイレかと思ったが数十分経っても部屋に戻ってくる気配はなく、屋敷を探し始めた。

だが見つからなかった。

ボスの遺体のある部屋も、いつも籠っていた庭にも、書庫でも。

プリンチペッサがいそうな場所を探したがどこにもいなかった。

屋敷外も数時間探して、ベルがふと声を出した。

 

「俺たちの話、聞かれてた?」

「プリンチペッサが気配を消せるわけないだ……ろ…」

 

ただの傷心で、どこか外に出て行っただけなのかもしれない。

けれど、皆ベルのその言葉を何故か否定できなかったのだ。

 

いつもどこか達観していたプリンチペッサ。

無表情で、だが声の起伏は顕著で。

ボスに似てとても頭の切れる子だった。

僕たちの仕事は悟られないようにしていたけれど、賢いあの子がそれに気づかないフリしていた可能性が無くもないのだ。

 

ベルの一言で、僕らはボンゴレの方へ出向いた。

そしてそこには沢田綱吉が顔を青ざめながら入江正一に何かを訴えていた。

 

「えぇぇぇえええ⁉ヴェロニカちゃん、バズーカの故障で戻ってこない⁉」

「ええと、ごめんよ…何年前に行ったか分かれば僕も対処の仕方があるんだけど…」

「え、じゃ、じゃあヴェロニカちゃんは戻ってこれるの⁉」

「今からバズーカを修復しないとどうにも…」

「どどどどどうしよ…これ絶対ヴァリアーにバレるって!っていうかヴェロニカちゃん予防接種のワクチン持って行ってないよぉぉぉお」

 

「おい、それはどういうことだぁ」

 

スクアーロが一段と低い声で沢田綱吉の襟元を掴んだ。

沢田綱吉はこの世の終わりとばかりの顔で僕たちをみていた。

 

プリンチペッサが過去に行ってボスを助けに行くと言い出して、そのあとのバズーカの故障で飛ばされた年代が分からない。

 

これだけ聞いた瞬間、僕たちは沢田綱吉をタコ殴りにした。

沢田綱吉は暫くずっと謝っていた。

僕たちのプリンチペッサを…ボスの形見を…よくも…

これ以上時間を無駄にするわけにはいかなく、入江正一に至急特定をさせた。

その間、僕たちはプリンチペッサと沢田綱吉の会話を聞かされていた。

 

マフィアと知っていたことも、炎のことも、そして彼女に死ぬ気の炎が発現していたことを聞かされた時は、眩暈がした。

だがそれ以上に、ボスがそれを知ってなおプリンチペッサをマフィアに関わらせないようにしたことに驚いたのだ。

だから、プリンチペッサはボスを助けようとしたのだろうか。

無表情で、何を考えているか分からないように見えて、プリンチペッサはボスが好きだったから。

それでも、何も言わず一人で行動した彼女に喚き散らしたくなった。

 

プリンチペッサの時間軸の特定はとても時間がかかった。

そして、それからバズーカをその時間軸に合わせる調整期間を経てようやく会いに行けることになった。

だが、直ぐに作っただけあり一人だけしか飛ばせないことが分かり、誰が行くかで喧嘩になった。

最終的にじゃんけんで収束したが、皆一様にボロボロだった。

そのあと僕はワクチンを数本持って、バズーカで過去に飛んだ。

 

飛んだ先で直ぐに状況を確認すると、ボスが8年ぶりに目覚めた直後だった。

イタリア滞在中にヴェロニカについて探していたけれど、見つからず焦りながら日本へ向かった。

日本に有幻覚を置いて、自分はイタリアに戻りヴェロニカを探すつもりだった。

けれど、日本に到着した翌日、ルッスーリアがカフェに入りたいというので渋々入る。

満員と言われ、帰ろうと言おうとする前にルッスーリアが一般人の女子生徒に声を掛けたので内心イラついた。

だが、女子生徒がこちらを向いた瞬間さっきまでのことが全部吹き飛んだのだ。

 

プリンチペッサ!

 

彼女の方は相席に了承すると、四人席にそれぞれが座って話し始めた。

僕はプリンチペッサを見つけた喜びにその時喋っていた内容はあまり覚えてはいなかった。

カフェを出ると、ベルとルッスーリアに有幻覚の僕を見せて、僕はプリンチペッサを追いかけて行った。

幻覚で男に見せて、僕はプリンチペッサに声を掛けた。

 

「すみません、少しいいですか?」

「……何…」

「ここに行きたいのですが、どこに向かえばいいですか?」

「………私もこの方向へ行くので途中まで送ります」

「え、あ、ありがとうございます」

 

彼女は疑いもせず、僕を案内していくが、僕は人気のない場所へ誘導するため彼女に幻覚を掛ける。

そのまま人気のない場所につき、そのまま奥まで行こうとした時、幻術が解けた。

破られたんじゃなく、解けたのだ。

僕は驚愕し、幻術を張り直そうとした時、プリンチペッサが振り向く。

 

「何のつもり…?…………マーモン」

「ふーん、そこまで分かったんだ」

 

僕は驚きを表には出さなかったが内心ひやひやしていた。

プリンチペッサがマフィアや炎のことについて既に知っているのは聞いていた。

だが、僕の幻術を解けるほどの力を持っているなんて聞いていない!

僕は観念した。

 

「で、何故私に幻術を?」

「……強くなったんだね、プリンチペッサ」

「え……」

 

プリンチペッサは大きく目を開いた。

 

「……マーモンあなた……」

「君を追って未来から来たのさ、全く皆心配していたよ」

「え、……と…ごめんなさ…い」

 

意外にも彼女はすんなりと謝ったので、拍子抜けした。

それと同時に、黙って行動した彼女にイラだっていた感情が再び沸き上がるが、彼女は相も変わらず無表情で宥める様に僕を抱き上げてた。

そのあとは近くのホテルに移動して、今までの報告をし合っていたが、驚きの連続だった。

 

あの!六道骸に!勝ったなんて!!

いくらボスの娘でもこれは飛び抜けすぎていると正直に思った。

 

10年後の為のバズーカとワクチンを渡し、一段落ついた頃僕は先ほどからの疑問を投げる。

何故、僕の幻術が解かれたのか…あんな解かれ方をされたのは初めてだった。

そして返ってきた回答に顎が外れそうになった。

 

ちょ、調和だって⁉

あの短時間で僕の炎の波長を見つけて⁉

 

あまりにも恐ろしいことをさらっという目の前の少女に僕は気が遠くなった。

そして確信した。

この子は将来ボスより強くなる。

経験がないにも関わらず六道骸に勝ち、僕の幻覚を解いて見せた。

これだけでも称賛に価するのだ。

リボーンの野郎に任せるにはあまりにも惜しいと、本気で思った。

 

そのあとも、剣士の真似事をやっていたり、ボスの拳銃を盗んでいたりと驚かされたが。

プリンチペッサの無事な姿を見て取り合えずホッとしたのだ。

最期にプリンチペッサと約束をして別れた。

 

帰り道、僕は思い出した。

 

 

そういえばこの時代のボスってめちゃくちゃ性格悪かったような。

スクアーロなんて鮫に喰われちゃうし。

大丈夫かな、プリンチペッサ…

ボスに失望しなければいいんだけどなー。

 

 

 

 

その頃ヴェロニカは…

 

「てか今回のパパおもっくそかませ犬じゃね?」

 

 

 

 




ヴァリアーとの対面。
レヴィは口調があまりわかんないので出番ないです。
マーモンが未来と入れ替わってます。
次回はボンゴレリング争奪戦の対戦開始です。

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