Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは考えた。

調和とは

ヴェロニカは見出した。

包み込む炎を


Veronicaの初戦闘

どうも、ボッチ飯のヴェロニカです。

沢田綱吉が、一人で食べている私を気遣ってくれてか昼休みよく声を掛けてくるが尽く拒否っているヴェロニカです。

そして笹川京子もたまに私に声を掛けてくる。

が、私はこれまた理由を付けては毎回断っている。

これ以上原作キャラと仲良くなったら後のバタフライエフェクトが怖い。

 

さて、そんな私ですが、クラスでは今日も噂が絶えない。

曰く、雲雀恭弥が沢田綱吉に目を付けたとか

曰く、笹川了平に沢田綱吉がボクシング部に勧誘されたとか

 

大方順調に原作が進んでいっている。

未だ雲雀恭弥に目を付けられたくない私は毎日彼の目に映らないように必死に息を殺している。

そろそろ桜が満開になる頃だ。

黒曜編が近いという証拠である。

 

私は今日まで、とりあえず走ったり、筋トレしたりしている。

因みにリボーンとはあの学習テスト以来、会っていない。

あいつ一応家庭教師任されているはずなんだが…

トレーニングにあたり、パパの拳銃を練習していた私だが、途中で重大なことに気付く。

 

今の時代のパパも同じ拳銃使ってね?

 

非常に由々しき事態だ。

私が使っているところを、ヴァリアー又はザンザスを知っているものが見れば、即刻問い詰められる。

というか原作キャラのほとんどに見せればアウトという件について…

てなわけで、拳銃は奥の手でしか使えなくなってしまった私は日々なんとか手だけで頑張っています。

一応、他の武器も考えてみて使っては見たが、上手くいかなかった。

例えると、ナイフ。

炎を纏うと溶けた。

同じ理由で殆どがダメだった。

結局、九代目に相談すると武器を作ってくれるとのこと…

武器が送られてくるまで待機中です。

さて、長々と話していたが私は今沢田家にいる。

何故かって?リボーンが強制しやがったんだよこんちくしょー…

面倒だが、沢田家に訪れてみるとフゥ太がいた。

ランキングフゥ太、あらゆるランキングを出せる少年。

こいつの喧嘩の強いランキングを元に、六道骸が襲撃をしてきた。

フゥ太は皆の要望のランキングを読みすぎて疲れ切っている。

先ほど沢田綱吉とは挨拶をして、私は皆から離れて、フゥ太を見ていた。

私の視線に気づいたのか、フゥ太が私の方を見て目を大きく見開いた。

そして、とことこと私の近くまで来て、口を開く。

 

「お姉さん、すごいね…並盛中喧嘩ランキング1位だよ」

 

…………はい?一位?

雲雀は??うん…?

いやいやまさか…ないないないない

 

「あとは…重大な秘密を抱えているランキングで一位だ…」

 

まぁ、それは分かるが…未来人なんて言えないし。

いやそれより、喧嘩ランキングについて物申したいことがあるんだが。

 

「マフィアに相応しい並盛中学生ランキングでも一位だよ!すごいね」

 

嬉しくない、激しく嬉しくない…

なんだそのランキングは。

いやだからそれより先ほどの喧嘩ランキングについてだな…

 

「えーと…本当は言葉遣いが汚いランキング9位だね!」

 

えええええ?何それマジで?パパ譲りですかぁ?

うっそだろおい…

いやじゃなくて喧嘩ランキングで…

 

「ほら皆ー!夕飯で来たわよー!」

 

沢田綱吉の母の一言で皆が下へ降りていく。

ええええ…私雲雀より強いの?

まだ実践したことない初心者ですよ?

マジかー…これ雲雀にバレたら詰む。

冗談じゃなく詰む。

 

その日は、何故リボーンが私を連れて来たかったのか分からないまま帰った。

 

翌日、満開の花びらで、朝からリボーンに花見に来いと言われたが無視してトレーニングルームに籠っていた。

黒曜編が迫っている今無暗に外に出たくないのだ。

多分、今日雲雀はサクラクラ病になるはずだ。

そして笹川良平が明日くらいに入院する。

私は、未だ幻術対策のことを誰にも言っていない。

最低限、リボーンに教えておくべきだったか…

 

その日は、ひたすらトレーニングをするだけで終わった。

翌日、朝方ボンゴレマークの入った箱が届けられていた。

 

おじいいいいちゃああああん

 

すぐさま箱を開けると、デュランダルのような両手剣だった。

剣…?取り合えず持ってみて憤怒の炎を通してみた。

だが剣から炎の色が若干滲み出ているだけで溶けはしなかった。

 

「おおお…」

 

にしてもこんなん持ってたら職質されるわ。

今日は置いといて、学校終わってから扱う練習すればいいか。

私は学校へ向かった。

すると、リボーンが校門で私に声を掛けた。

 

「ちゃおっす」

「…」

「今朝、笹川了平が何者かに襲撃されて病院送りになった」

「そう…」

「おめーも周りには気を付けるんだぞ」

「分かった」

「何かあったらこの番号にかけろ」

 

リボーンはそういうと、私に携帯番号を渡すと沢田のもとへいったのかいなくなっていた。

 

 

私は授業が終わり、帰り道を歩いていた。

後ろに何人かの気配がするが、無視して次の曲がり角を全力で走る。

最近トレーニングしていたお陰で持久力には自信があるし、今は炎を足の裏に纏っている状態なのでハッキリ言って視界に捉えられるのはマフィア関係の人だけじゃないだろうか。

間違いなく私をつけ狙っているそこらの不良に見えるわけがない。

後ろでなんか声が聞こえるが無視して、マンションに帰る。

部屋の中に入ると直ぐに武器を白い布で覆い、マンションを出る。

マンション内でドンパチやって壊すのは九代目に申し訳ないし…

一番ベストなのは逃げ切ることだ。

幻術対策とかまだ誰にもやったことないから自信ないし。

何も考えずにとにかく走っていると、視界の端に黒曜ランドが見えた。

 

……黒曜ランドはなかった。いいね?

 

おもっくそ地雷源じゃん。

絶対行くものか。

今頃雲雀恭弥がぼろっくそにやられてると思うけど私が知ったことではない。

てか今言ったところで雲雀に鉢合わせして、私がそこそこ戦えること知られる。

そしたら学校とかでTHE☆咬み殺TIMEになる。

嫌だ。絶対に嫌だ。

と、思考が少しズレていたので、戻すと目の前に黒曜ランドがあった。

あるぇ?

………んん?私は確かに黒曜ランドとは逆方向に走っていたハズなんですが?

……神は言っているってやつか?

取り合えず、逆方向へ走り直すこと数分。

また黒曜ランドの前に辿り着いた。

……幻術じゃなですかやだー

ふぅ……幻術を解くのは初めてだけど出来るかな…

 

 

 

ここで私が開発したスキルを見せてあげよう。

私は炎のコントロールを習得して、更に上達するために日々こつこつ練習していたわけだが。

ある日ふと思った。

一つ目は、死ぬ気の炎を全身に纏うことが出来るのか、と。

結果、手足は出来た。

だが、細かな部分、指先へ纏うなどは緻密なコントールを必要とした。

一度指先に覆ってみると、指先に火傷を負った。

まぁ生半可なコントロールでは無理ということだ。

そして二つ目は、私の炎の属性は『大空』つまりは『調和』。

その特性は『全てに染まりつつ、全てを包容する』だ。

これすごく大雑把に言うと、嵐・雨・雲・霧・雷・晴の炎であれば調和することが出来るというのだが。

普通に大空の炎を纏うだけで雲の炎を喰らえばダメージを喰らう。

何故か?それは調和出来ていないからである。

大空が調和できると言っても、実際それをやっていたボンゴレのボスはいない。

炎の質量でぶつかり合っていただけなので、あれは調和とはいえないのだ。

調和というのは矛盾なくまとまっていること。

理論上でいくと、炎で攻撃を喰らっても調和すればダメージは喰らわない。

ダメージを喰らうのは矛盾があるからである。

欠点として、雲雀恭弥のようにトンファーに炎を纏っていると、炎で上がった威力は消してもそのままの相手の素のトンファーの攻撃力は消せないところだ。

なので、これは笹川了平などに対しては不利な技でもある。

実際コントロールが難しすぎて誰も出来ないが。

確かに、毎回同じ相手と勝負するならば習得出来たかもしれない。

が、現実は毎回敵が違って炎の波長も属性も違う。

これをいちいち調和するために時間をかける馬鹿はいない。

しかし、私には時間があった。

約10年の長い時間があった。

私はこの二つが出来るように心がけていた。

その結果が、誰にも気づかれないほど薄い炎の膜をどこにでも張れるようになった。

これは普通に歩いていていきなり銃を撃たれたとしてもダメージを最小限に抑えられるほどの効果を持つ。

実際銃で撃たれたことはないが、屋敷の4階から勢いよく飛び降りて無傷だった。

また炎を糸状にして張り巡らすことが出来るようになった。

これは未だに集中力が必要な作業であるが、私以外誰にも出来ないという自負があるほど精密だ。

もう一つの調和は、よく相手の炎を見て波長を探すだけで、実際に調和をしていたことはなかった。

なので、今六道骸が初めての相手になるのだ。

 

 

まずはえーと…六道骸の炎の波長を探す。

幻術とはいわゆる炎を相手の周りに拡散しないと出来ない技であり、一番掴みやすい炎でもある。

要は、今の私の周りを流れている波長を探して調和すればいいのだ。

んー…あ、これだ。多分。

ええと、これならこうして………

 

出来てる?のか?

あ、町の方が見えてきた。

お?解けてる?おお、黒曜ランドが後ろにある。

成功した!やったぁ!

よし、逃げよ。

 

「クフフ」

 

私が逃げようと、足を動かそうとすれば、後ろから特徴のある笑い声が聞こえてきた。

聞き間違えだと思うことにして、走りだそうとすると

 

「僕の幻術を解くとは……何者です?あなた」

 

ナッポーが声をかけてくる。

これ私にですかねぇ…

ああ、逃げたい…切実に逃げたい。

 

 

ヴェロニカはゆっくりと声の主の方を振り向く。

声の主、六道骸は目の前の少女を注意深く見まわす。

 

「並盛中喧嘩ランキング一位…ヴェロニカ…イタリアからの留学生」

「……」

「大方予想はついていますよ…どこぞのファミリーが寄越したボンゴレへのスパイというところですか」

 

いえ全く。

何言ってんだこいつ…

 

「クフフ、まぁあなたがどこのファミリーかは知りませんけど、ここで殺すことに変わりはありません。精々先ほど倒した雲雀恭弥よりは僕を楽しませてくださいね」

「…」

「フン、その余裕そうな仮面、剥ぎ取ってやりますよ!」

 

六道骸はそういうと、ヴェロニカへ攻撃を仕掛ける。

だがヴェロニカも避ける。

途中で骸は幻術をかけるも、ヴェロニカは先ほどで骸の炎の波長を覚えてしまっているため、直ぐに破られる。

ヴェロニカも持っていた両手剣に憤怒の炎を纏わせて、骸に切りかかる。

そのまま攻防をしていると、いつの間にか黒曜ランドの中で戦闘をしていた。

数分攻防が均衡していると、骸が手を止めヴェロニカをまじまじと見る。

 

「最初は幻術に嵌まっていたにも関わらず、今じゃ数秒で解かれる始末……一体何をしたんです?」

「教えるとでも?」

「それもそうですね…あなた一体どこのファミリーなんでしょうねぇ…」

「…」

「駄弁は銀、沈黙は金ですか……仕方ないあなたの四肢を切断した後に聞くとしましょうか」

「あなたはお喋りね」

「……にしてもあなたのその得物…まだ使い慣れていなさそうですね?」

「それで?」

「ッフ、慣れない得物で僕に勝てると思わないことですね!」

 

骸が先に槍の切っ先を私に向ける。

が、私はそのまま後方に飛ぶ。

それを骸が見越していたように、私に向かってくる。

が、私が待っていたのはこの時なのだ。

 

ジュッ

 

「?」

 

焼けた音とともに骸に左腕に一本の線が出来る。

骸はすぐさまその場を飛びのくが、飛びのいた直後背中に鋭い痛みが走る。

骸はすぐさま、立ち止まり周りを見るも、何も見えない。

 

「何をしたんです?」

 

骸は険しい顔でヴェロニカを睨む。

睨みながら痛む腕と背中を幻術で誤魔化す。

 

骸には教えてやらないが、実は今戦っている部屋、私の炎の糸を張り巡らせていた。

糸は主に足と剣先から伸ばしていたので、結構な広範囲に及ぶ。

薄すぎると威力もなければただの糸のように千切れるも、強度を上げれば先ほどの骸のように腕を焼かれることになる。

これの欠点は細さを保つために張った後でも糸に集中しないといけない点である。

故に、バレないように細工するのに非常に時間がかかるのだ。

 

「ふぅ……これ初めてやるから時間かかっちゃった…」

「なに…?」

「今ここでこの部屋カッ消してもいいけど…取引しない?」

「取引?内容によりますね」

「別に、簡単なこと。今起こった戦闘は他言無用。それと雲雀恭弥は私が回収するけどそれの黙認…あ、あと今後私に関わらない」

「………最後以外は受け入れましょう、だがあなたがマフィアである限り僕はあなたを殺すことを諦めませんよ」

「…何か勘違いしてるようだけど、私マフィアじゃないよ」

「白々しい嘘を!」

「なら私がどこのマフィアか調べ上げてから襲いに来なよ…カッ消してあげる」

「クフフ、どこからくる自信なんでしょうね、いいでしょう…それなら受け入れます。どのみちこのままじゃ僕の負けです」

「交渉成立ね、私がここから離れるまで何もしなかったら、あなたの周りにあるソレとったげる」

「取り除いたと分かるんですか?」

「分かるようにするわ…」

 

それだけ言うと、私は両手剣を下ろし、部屋を急ぎ足ででる。

今ここで骸を負かすと、沢田綱吉が強くならないので敢えて退く。

途中で雲雀恭弥を探して、見つけると丁度気を失っているので担ぐと炎で足と手を強化して黒曜ランドを出て行った。

出ていく途中、骸のいる部屋に巡らした糸を小規模爆発させた。

骸には何かが爆ぜる音しか聞こえないはずだ。

私はそのまま雲雀を病院の前に放りなげると、帰路についた。

 

初の戦闘。

六道骸相手に白星。

今日は何か私の中で成長したような気がした。

………気のせいか…。

 

 

 

 

六道骸side

 

 

最初、フゥ太のランキングを見た時意外だと思った。

喧嘩ランキングの一位にヴェロニカとあった。

そして二位が雲雀恭弥。

並盛の情勢を聞き及んだ時に、雲雀恭弥が一位だと思っていたのだ。

だが実際は一位は女子の名前である。

だが、並盛中にヴェロニカという名前はなかった。

偽名でも名乗っているのだろうか、骸はヴェロニカに少しだけ興味を持った。

 

雲雀恭弥をサクラクラ病で弱らせじわじわと嬲り、虫の息の彼を嘲笑っていた。

雲雀恭弥は未だ意識があり、なんと強靭な精神だろうと感心する。

 

「そういえば、あなたの中学にヴェロニカという外人はいますか?」

 

骸は雲雀の返事など期待せず次を喋る。

 

「並盛中喧嘩ランキングで、二位に雲雀恭弥、一位にヴェロニカ…とあったんですよねぇ」

 

若干雲雀がピクリと動く。

 

「どんな気分です?自分を最強だと思っていたのにまさか自分より強い女性が同じ学校にいたなんて…」

 

クフフフフ、と独特な笑い方をして雲雀恭弥で遊んでいた。

そろそろ雲雀恭弥の目をくり貫こうとしたとき、自分の張っていた幻術に誰かが引っ掛かったのが分かり、そちらへ向かうことにした。

 

「クフフフ、あなたは後で嬲り殺してあげますよ」

 

それだけ言うと、骸は部屋を出て黒曜ランドを窓から見下ろす。

すると、何か白い長物を持っている女子が門のところで幻術にかかっていた。

もしかすると、あれがヴェロニカなのだろうかと思い、骸がそちら足を向ける。

女性が数十mというところで、自分の幻術が解かれたのが分かった。

解かれたと言っても、いつもの感覚とは異なっていた。

相手に破られるようなものではなく、自分で解いたかのような感覚だったのだ。

内心首をかしげるが、目の前の女子に興味が沸き声をかける。

その女子がこちらを向く。

独特な眉、整った顔、西洋の顔立ち、なによりもその佇まいが風格を表すかのようにそこにあった。

骸は直感した。

この女子がヴェロニカだと。

笑いがこぼれ、僕は目の前の女子に声を掛ける。

 

「並盛中喧嘩ランキング一位…ヴェロニカ…イタリアからの留学生」

「……」

「大方予想はついていますよ…どこぞのファミリーが寄越したボンゴレへのスパイというところですか」

 

ヴェロニカが少しだけ眉を顰めた。

 

「クフフ、まぁあなたがどこのファミリーかは知りませんけど、ここで殺すことに変わりはありません。精々先ほど倒した雲雀恭弥よりは僕を楽しませてくださいね」

「…」

「フン、その余裕そうな仮面、剥ぎ取ってやりますよ!」

 

僕はそういうと、ヴェロニカへ攻撃を仕掛ける。

だがヴェロニカも避ける。

途中で幻術をかけるも、ヴェロニカに直ぐに破られる。

ヴェロニカが持っていた両手剣に炎を纏わせて、僕に切りかかる。

そのまま攻防をしていると、いつの間にか黒曜ランドの中で戦闘をしていた。

進展しない攻防に痺れを切らし、僕は立ち止まる。

 

「最初は幻術に嵌まっていたにも関わらず、今じゃ数秒で解かれる始末……一体何をしたんです?」

「教えるとでも?」

「それもそうですね…あなた一体どこのファミリーなんでしょうねぇ…」

「…」

「駄弁は銀、沈黙は金ですか……仕方ないあなたの四肢を切断した後に聞くとしましょうか」

「あなたはお喋りね」

「……にしてもあなたのその得物…まだ使い慣れていなさそうですね?」

「それで?」

「ッフ、慣れない得物で僕に勝てると思わないことですね!」

 

屈辱だった。

この僕に、そんな余裕めいた顔で対峙するなどと。

僕はそのまま槍を突き出す。

だがヴェロニカは後ろへ飛ぶ。

それを見越していた僕は口角を上げながら地面を蹴る。

ヴェロニカまで槍の矛先があと少しという瞬間

 

ジュッ

 

「?」

 

焼けた音とともに鋭い痛みが腕に走る。

すぐさまその場を飛びのくが、飛びのいた直後背中に鋭い痛みが走る。

一旦立ち止まり周りを見るも、何も見えない。

 

「何をしたんです?」

 

ヴェロニカを睨むも彼女は無言である。

痛む腕と背中を幻術で誤魔化す。

何かがこの部屋に張り巡らせているのだろうか…

ワイヤーであれば目に見えるはずなのに、肉眼では何も見えない。

彼女は両手剣を向けたまま息を吐く。

 

「ふぅ……これ初めてやるから時間かかっちゃった…」

「なに…?」

「今ここでこの部屋カッ消してもいいけど…取引しない?」

 

彼女のいきなりの取引に眉を顰める。

 

「取引?内容によりますね」

「別に、簡単なこと。今起こった戦闘は他言無用。それと雲雀恭弥は私が回収するけどそれの黙認…あ、あと今後私に関わらない」

 

戦闘の他言無用?自身の戦闘スタイルを誰にも教えないように…でしょうか?

 

「………最後以外は受け入れましょう、だがあなたがマフィアである限り僕はあなたを殺すことを諦めませんよ」

「…何か勘違いしてるようだけど、私マフィアじゃないよ」

「白々しい嘘を!」

 

その殺気、その経験値、マフィア以外のどこで得るというのか。

心の底からどす黒い感情が沸きあがる。

 

「なら私がどこのマフィアか調べ上げてから襲いに来なよ…カッ消してあげる」

「クフフ、どこからくる自信なんでしょうね、いいでしょう…それなら受け入れます。どのみちこのままじゃ僕の負けです」

 

僕は潔く負けを認め、妥協した彼女の案で取引を受け入れた。

調べ上げて直ぐに寝首を行くと誓う。

 

「交渉成立ね、私がここから離れるまで何もしなかったら、あなたの周りにあるソレとったげる」

「取り除いたと分かるんですか?」

「分かるようにするわ…」

 

それだけ言うと、彼女は出て行った。

僕は今周りに張り巡らされているものがなくなるまでそこで立ち尽くすしかなく、手持ち無沙汰になっていた。

僕が同じ世代…しかも女子に負けるなんて…

ショックは大きいが、首が繋がっているのは儲けものである。

 

少しすると、僕の耳に何かがボンッと爆ぜる音がした。

周りを見ると少量の煙が立っていた。

それらを見ても一体何を仕込んでいたのか分からなかった。

 

 

「クフ、僕は諦めませんよヴェロニカ…」

 

そういって僕は、直ぐに来るであろうボンゴレどもを狩るためその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

その頃ヴェロニカは…

 

「げ、剣の布そのまま置いてきちゃった……雲雀の袖でいいか」ビリッ

 

 




ヴェロニカの黒曜編はここで終わりです。
沢田綱吉達のシーンは全面カットで次行きます(笑
↓ヴェロニカ

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