Veronica   作:つな*

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Newベアーさん、アッハンアヘ男さんのリクエストです。




Veronicaの父と旅行

「パパ、ここ行こうよ」

 

こんにちわヴェロニカです。

現在16歳、今のうち表の世界で遊べということで18までヴァリアーに入れずぶっちゃけ暇です。

そして友達と遊ぶにも、そこまで親しい友人がいるわけでもなく、ただひたすら本部で修行して時間を潰している毎日でした。

だが、これを見て行かねばという使命感に襲われたので、勇気を出してパパに言ってみました。

 

私の手に持っているのは、『沖縄の美ら海はこんなに綺麗!』と書かれているチラシ。

目の前のパパは物凄く、物凄くだるそうにそれを眺めている。

 

「何で俺にそれを言う」

「パパと行きたい」

「……一人で行け」

「と、言うと思って既に飛行機・ホテル予約しておいたよ…二人分」

「あ"?」

 

パパが若干低い声を出すが、ここで諦めてはいけない。

私は、沖縄に、行きたいのだ!パパと!

最近ようやく私の誕生日にプレゼントを用意してくれるようになったパパに、遠慮なく甘えてみることにした。

うむ、基本的に私の我儘をめんどくさそうな顔をしながら聞き入れてくれるパパを信じよう。

 

「7日後の便だから、仕事入れないでね」

 

気丈に振る舞いながらそれだけ言うと、そそくさと部屋を出る。

 

「絶対だよ!」

 

最後に後押しして、自室に戻る。

チラシを机の上に置いて、スケジュール表をもう一度確認する。

幹部の者には誰にも言っていないし、パパ自ら誰かに言うとは思っていない。

つまり!プライベート旅行!

パパに海は似合わないと分かっているが、私が見たい、切実に。

そして水族館行ってみたい。

2泊3日と短い期間だが、ザンザスが本部を長い間開けることも出来ないので、この期間で妥協した。

内心浮かれるヴェロニカは、一週間後を待ちわびていた。

 

 

 

 

ヴァリアーside

 

 

「ね~プリンチペッサ見なかったかしら?さっきから探してるんだけど見当たらないのよん」

「あ?そういえば朝から見てねーな」

「俺も見ておられないぞ」

 

ルッスーリアの言葉にベルとレヴィが答えた。

するとそこにスクアーロがやってきた。

 

「う"ぉぉおい、ボス見なかったかぁ"?」

「見てないわ~」

「え、ボスもいねーの?」

「『も』って何だぁ"?」

「プリンチペッサもいなのよん」

「「「「………」」」」

 

四人は沈黙の後、マーモンの所へ向かった。

 

「プリンチペッサもボスも見てないよ」

「あらやだ、マーモンも知らないの?」

「書類溜まってるっていうのによお"!」

 

五人は首を傾げて、屋敷中を探し回る。

一時間後、ベルとマーモンがヴェロニカの部屋の中に侵入していた。

バレたらカッ消されるが、要はバレなきゃいいんだよ、バレなきゃ。

すると、ヴェロニカの部屋のベッドのサイドテーブルに一枚の紙があった。

ベルはそれに気づくと、マーモンと共にそれを見た。

 

『美ら海をみるなら沖縄!』

『沖縄の美ら海はこんなに綺麗!』

 

でかでかと綴られる文字にマーモンとベルは顔を見合わせる。

 

「「沖縄?」」

 

ここからヴァリアー幹部の3日間に渡る沖縄ストーカー旅行が始まった。

 

 

 

数時間後

 

「う"ぉぉおい、本当にボスさんはこの島国にいんのかぁ"?」

「さっき個人ジェット機が使用されたの確認しただろう、ボスはこの島国におられる!」

「あたし達に内緒で親子旅行なんて、いくらプリンチペッサでも抜け駆けは許さないわよん!」

「いや抜け駆け以前にお前土俵にすら上がってねーだろ、シシッ」

「僕にだけでも教えてくれればよかったのにね」

 

五人は今、沖縄の空港に佇んでいた。

取り合えずザンザスとヴェロニカの行方を追うことから始め、マーモンが警備の者に幻術をかけて監視カメラを見る。

 

「やっぱりいたよ、何やら北の方に行くみたいだね」

 

マーモンの情報で、五人はザンザスとヴェロニカの乗ったリムジンを追うことにした。

数時間後、着いたのはとても高そうなホテルだった。

 

「ぅ"ぉおおい、まさか宿泊代経費で落としてねえだろうなぁあのボス…」

「ねぇ俺たちはどこに泊まるんだよ」

「そりゃぁ……野宿でいいだろぉ"」

「は?ふざけんな」

「あら、ここ民宿多いじゃない、ちょっと空き部屋あるか探してくるわね」

 

ルッスーリアが宿の確保のため民宿を回り始めると、数件空き部屋があり、ホテルの玄関が見えやすい場所を取ることになった。

 

「つーかこれボスにバレたら俺達殺されね?」

「何を言うか!俺はボスの安全を考慮して「いやこれ普通にストーカーだろ」」

「あ、ボスが出てきたよ」

 

五人は借りた宿の窓からホテルの玄関を覗き込む。

するとヴェロニカとザンザスはリムジンに乗り出したので、五人もその車の後を追うと着いた先は水族館だった。

 

「す、水族館?」

「あのボスが…?」

「おい水族館といえば鮫いるよなぁ"」

「もう遊び目的に変わってる子いるんだけど、これはボスとプリンチペッサを見守るために来てんのよ!」

「つーか何で水族館?」

「どうやらここは世界二位で大きな水族館らしいよ…それに沖縄は海が綺麗と言われているからね」

「へぇ、つかボスもう中入ったけど、俺らも入んの?」

「こんな機会もうないだろぉ"、折角だから入んぞお"」

「明らかに鮫見たさじゃねえか…」

 

五人はザンザスとヴェロニカの後をついて水族館に入る。

中は広い、そして暗くリラックス出来るような空間となっていた。

そして視界の奥の方にザンザスの後ろ姿が見えた。

 

「ボス何かずっとくじら?見てるけど…」

「あれはクジラじゃなくてジンベエザメだよ」

「んだよボスの野郎、鮫が好きなら俺のアーロいつでも見せてやんのによぉ"」

「いやあれはどっちかっていうと…」

 

ベルが言う前に、ザンザスの隣にいたヴェロニカの声で意識が逸れる。

 

「パパ、鮫ばっか見てるけど…好きなの?」

「あ"?」

「これジンベエザメね…さっきから見てたけど」

「鮫見るとカッ消したくなる」

「……スクアーロ思い出すのね」

 

ヴェロニカの声が若干呆れているが、二人はそのまま次の水槽へ移る。

 

「ちょ、スクちゃん!どうどう」

「あのクソボスぅぅぅぅ!」

「シシ、ボスに同感」

 

スクアーロが暴れるのをルッスーリアが宥めている時に、再びヴェロニカがザンザスに声を掛けていた。

ヴェロニカはカクレクマノミを指差し、ザンザスに聞いているようだ。

 

「あれ知ってる、何だっけ…パパ分かる?」

「あ"?」

「ほら、あのイソギンチャクの間に見えるやつ」

「ニモだろ」

 

ここで笑わなかった俺達を褒めて欲しかった。

レヴィ以外の四人は柱に隠れて必死に声を押し殺していた。

 

「ニモ…って……嘘でしょ…んぐっ」

「ほ、ほらボスって魚に興味ないじゃん……ふっ」

「バカの俺でも分かるぞぉ"…あれカクレクマノミだろ…」

「映画でしか見たことないのよきっと……ふふっ…」

 

レヴィはああ!そうですともボス!とか言ってるけど、あいつにとってボスの言葉は全て正解であるようだ。

隣にいるヴェロニカも、流石にニモでないことは分かるようで若干顔が引き攣っている。

水槽の横に説明文を見つけたのか、背中で隠しているヴェロニカに思わず吹き出す。

他の客は圧倒的に怪しい俺たちに怪訝な面持ちをするが、何も言わずまた水槽を眺め始める。

 

「あ、パパ、ウミガメだって」

「カメなんぞ見て何が楽しいんだ」

「あ、こいつなんかレヴィに似てる」

 

その言葉にレヴィが即座に反応し、水槽の方を見る。

そこにはメガネモチノウオがいた。

 

「不細工すぎるだろあれ、シシッ」

「プリンチペッサの目にはレヴィがああ見えてんのかぁ"」

「ちょっとレヴィ、あまり気にしちゃダメよん」

「次の水槽へ行ったよ」

 

マーモンの言葉にそそくさと二人について行くヴァリアー幹部。

 

「あれベル、あれルッスーリア」

 

何故かヴェロニカは誰がどの魚に似ているか探すので夢中になっているようだ。

ベルに至っては、目の場所が見えにくい魚だと全てベルに似ていると言われていた。

本人は若干ショックを受けていた模様。

小一時間経つと、ほとんど見終えたのか外に出始めた。

 

「あれ?もう終わり?」

「違うよ、多分イルカショーでも見に行くんじゃないかい?」

「待って、ボスが水族館にいることさえシュールなのに、イルカショーも行くの?俺の腹筋耐えられないんですけど」

「ちゃんと旅行満喫してて安心したわ~」

「あ、ほらやっぱり」

 

五人の目の前では、ザンザスとヴェロニカがイルカショーの椅子に座っていた。

イタリア最大のボンゴレマフィア独立暗殺部隊ヴァリアーのボスがイルカショーを見るというシュールな光景にベルの腹筋が崩壊した。

水しぶきがかからないぎりぎりの距離に座って、ショーを見ていた。

平日ということもあって人もあまりおらず、ヴェロニカが人混みを嫌うザンザスを配慮していることはすぐ分かった。

というか休日だったら確実にザンザスは来なかっただろう。

イルカショーが始まり、イルカたちが従業員の指示に従って行動し出す。

 

「イルカって知能指数とっても高いから、今度匣兵器でミックス作ってみたいな…」

「…」

 

ヴェロニカの言葉に無言で返すが、何やら考え出すザンザス。

 

「待ってマジでミックス作る気?」

「プリンチペッサは自身の発言力をもう少し理解した方が良さそうだね」

 

無言になるザンザスにヴェロニカは何気なく言った。

 

「あ、でもイルカと鮫のミックスなんて作ったらスクアーロと見分けがつかない…」

「っぶは」

 

「「「「「⁉」」」」」」

 

ただの冗談にまさかザンザスが笑うとは思っていなかったようで、ヴェロニカは目を丸くしている。

そしてそれを聞いていたスクアーロが無言で立ち上がる。

それを抑えるルッスーリア。

 

「ス、スクちゃん!どうどう!」

「離せルッスーリアぁ」

 

ようやくスクアーロが大人しくなり、前でイルカショーを見ている二人を見る。

上機嫌なザンザスにヴェロニカも安堵したのか、その後はただイルカショーを眺めていた。

最後に触れ合い体験があり、イルカの頭を撫でていたヴェロニカ。

思いついたかのようにザンザスにもイルカの触れ合いを催促する。

先ほどから異様に上機嫌なザンザスは流されるままにイルカの前に立ちはだかる。

だが、ザンザスを見た瞬間イルカが物凄い勢いで水の奥底に逃げて行った。

飼育員も慌ててイルカを呼ぶが、出てこない。

この状況に笑い出したのはヴェロニカだった。

 

「ふっ、ふふ…流石パパ…」

「るせぇ」

「イルカ逃げたし、帰ろ」

 

ヴェロニカはザンザスの手を握り、出口の方に歩き出す。

その行動に五人は仰天する。

 

「カ、カメラ!カメラ!」

「ぅ"ぉ"ぃ……ボスがまともな父親に見えるぞぉ"」

「ま、マジか…」

「ふっ、こんなこともあるかと思い最初から全て撮影している!」

「レヴィったらよくやったわね!」

「一応あれで、ボンゴレ最強独立暗殺部隊のボスなんだけどね」

「それな」

 

その日は、既に夕方近くでそのままホテルに戻っていった。

次の日はビーチを貸し切って、そこでプレジャーボートに乗って遠くへ行ってしまった。

海の上だと隠れる場所はなかったので仕方なく2人の帰りを待つことになった。

5時間ほど経った頃、プレンジャーボートが見えてきて、五人は再び双眼鏡を持って帰ってきたボスとプリンチペッサの様子を見ていた。

何故か上機嫌なボスが降りてきて、ボートの運転手は信じられない顔で巨大なクーラーボックスを見ていた。

 

「にしても流石パパ、まさかあんな大きい魚釣るなんて」

「ハッ、他愛無ぇ」

「いやいや、マグロで5mってあんた達これギネス世界記録超えちゃってるよ!」

 

運転手のおじさんの言葉に五人は耳を疑った。

 

「ねぇ、マグロって5mいくものなのかい」

「ていうかあの巨体をどうやって釣り上げんの?無理じゃね?」

「いやボスなら…」

「流石我がボス!」

「俺のアーロと張るじゃねぇかあ"…」

 

ヴェロニカとザンザスはマグロを眺めている。

 

「ていうかパパこれどうするの、パパ魚好きってわけじゃないでしょ」

「ベスターの餌にする」

「ああ、じゃあレッサにもあげるか」

「あんたらこれどこに置くんだ?」

「あ、そこら辺の砂場に置いててくれません?」

「おうおう、にしてもこのでかさの魚を一人で釣り上げるたぁ…あんたすげぇなあ」

「フン」

 

マグロとそれ以外にも釣った魚をクーラーボックスごと砂辺に置いて、運転手はボート置き場の方へ行ってしまった。

一日中ビーチは貸し切りの為、ヴェロニカはピーチパラソルを用意してベスターとレッサを出す。

 

「あれ食べていいよ」

 

ヴェロニカの言葉にベスターとレッサが魚を食べ始め五人はそれを眺める。

 

「なんか非常識な光景だよね」

「あー…普通の親子に見えたが、幻想だったなこりゃあ"」

「にしてもあの大量の魚ってボスが釣ったのかしら?」

「いやプリンチペッサも釣ったでしょ」

「釣りをするボスも中々シュールだよね」

「それな」

 

その日は、釣りをするだけで終わり二人はホテルに戻っていった。

翌日、朝早くホテルを出る二人に五人も慌てて準備して追いかける。

二人が向かったのは那覇市という沖縄の都市である。

国際通りというお土産店が並ぶ大通りを歩いていく二人を、五人も周りを見ながら追っていく。

 

「あ、何かの店に入っていったわよ」

 

ルッスーリアの声に全員がお土産から二人に視線を戻す。

入っていったのは酒の店だった。

セレブであるボスのお眼鏡に敵う酒が見つかったのだろうか。

五人は店の中の様子を遠くから眺めていると、中の声が聞こえてくる。

 

「え、パパそれ買うの?」

「…」

「ハブ酒って……」

 

ザンザスの手に持っていたのは、ハブが入っている酒瓶であった。

 

「は?ハブ?何で瓶に入ってんの?」

「あら、あたし聞いたことあるわよん、ハブのエキスでお酒作る地域あるって…ここだったのね~」

「ゲテモノじゃねぇかあ"」

「ボスが御選びになったんだ、美味いに決まっている」

 

ヴェロニカは若干気持ち悪そうにハブを見るも、ザンザスはそのままレジに持って行った。

その後、色々なお土産を見て回り買っていく二人をただ追いかける五人。

 

「パパ、そろそろ飛行機の時間だから空港行こう」

 

ヴェロニカの言葉に五人は驚く。

 

「え、まだ3日目よ⁉早くない?」

「つーか俺たちどうやって帰るの?」

「君たち、ボスより先に僕ら帰ってないと不審に思われるんじゃないかい?」

 

マーモンの一言でその場が静まり返る。

一瞬の間、すぐさまスクアーロがイタリア行きの飛行機で空いている便を探し出す。

 

「やっべー、これバレたら死ぬじゃん俺ら」

「死ぬのはスクアーロだけだよ、多分」

「う"ぉぉおい!どういうことだああ"!」

 

ボンゴレの権力を使い、なんとか便を取ることが出来た五人。

ザンザスとヴェロニカの乗る飛行機と同じ便に乗り、出来るだけ顔を隠しながら乗り切ること数時間。

空港に着いてから全速力で本部に帰る五人は、ザンザスとヴェロニカよりも早く到着し一息つく。

数十分後、二人が本部へ帰ってきた。

 

「ただいま」

「おかえりプリンチペッサ!全くもうどこに行ってたの⁉探したのよん」

「沖縄行ってきた、はいこれお土産」

「あらあたしに?ありがと~プリンチペッサ!」

「皆にもあるよ」

「じゃあ他の子も呼んできてあげるわね~」

 

ザンザスはそのまま自室に戻り、ヴェロニカは皆がよくいる部屋に来る。

何か大きいクーラーボックスを机の上に置きながら、他のお土産も置いていく。

ベルが見覚えのあるクーラーボックスに顔を引き攣らせヴェロニカに問う。

 

「おい何?このクーラーボックス…」

「あ、それパパから皆にお土産だって」

「「「え」」」

 

スクアーロ達が驚いて、クーラーボックスを開けると、そこには所々食い散らかされているマグロの胴体があった。

これ、明らかにベスターとレッサの喰ってたマグロの残り物じゃん。

ベルとマーモンは呆れながら、まぁボスだもんな、と無理やり納得する。

隣のスクアーロを見ると、拳を振るわせていた。

 

「あんのクソボスぅぅぅう!ベスターとレッサの残りもんじゃねぇかあああああああ!」

「え、何でそれ知ってるの?」

「「「あ」」」

 

この後、ストーカーしていたのがバレて、皆ザンザスにぶっ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 




因みにマグロ世界最高記録は458㎝680㎏らしいです。


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