Veronica   作:つな*

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その後ろ姿は――――――


番外&リクエスト
Veronicaの日常


「つーかさー、なんか記憶思い出してみて気付いたんだけど……ボスの兄妹事件ってこれヴェロニカじゃね?」

「あ、そういえば…そうなるわねー」

「ああ、あれヴェロニカだったのか」

「うむ、確かに考えればそうだろうな」

 

やぁ、ヴェロニカです。

やっとこさ帰れた未来で、日常を送っているんですが、今何か聞き捨てならぬ言葉が聞こえたような?

 

「何、それ」

「プリンチペッサが過去で入院中のボスを襲ったことがあっただろう?」

「うん、失敗してパパに頭から銃でぶっ飛ばされた」

「ねぇ何で生きてるの?」

 

若干皆が引いている、酷い。

ただ炎の波長が似ていてダメージが少なかっただけだよ!

 

「そのとき君の血液が病室についてて、それをDNA鑑定してボンゴレの方で人物特定しようとしたんだ」

「ああ…」

「そしたら、結果は血縁者だと分かって、ヴァリアーは大混乱だったよ」

「それでフード越しで見た感じだと若かったから妹だろって話になってさ、シシッ」

「ボスもボスで鑑定書ガン見してたから、皆誰もボスに近寄れなかった時期があったんだよ」

「ん?待って私の記憶って消したんじゃないの?」

「だってあれはヴェロニカっていう人物じゃなくて、ただの襲撃者っていう認識だからね」

「そう」

 

そんなことがあったのか…

 

ヴェロニカがそう思っている頃、ヴァリアー本部の固定電話が鳴る。

誰も取ろうとせず、痺れを切らした私が渋々立ち上がって受話器を取る。

 

「はい」

『え⁉ヴェ、ヴェロニカちゃん⁉』

「……沢田綱吉か」

『あああああ、よかった!今すぐボンゴレ本部に来て、う、うわああああ』

「…?」

『ザ、ザンザスが大暴れしてて、待てってザンザス!待って壊さないで!やめてええええ』

「何でそうなってるんだ」

『ええと、いや俺が悪いんだけど!』

 

私が過去に行ってなんやかんやあった元凶の一端に沢田綱吉が関係していたと思い出すと、いきなり銃構えて沢田綱吉に向かって発砲してると…

自業自得では?

パパからしたら、面倒事を起こした元凶の一端だと思われてるなコレ。

一応、沢田綱吉は若干私の被害者でもあるんだが。

 

『ス、スクアーロもザンザスを止めてくれよぉぉおおおお!』

 

どうやらスクアーロは率先してザンザスに銃を抜かせてるらしい。

あ、電話越しにパパの声が聞こえる。

沢田綱吉の守護者がボロボロになっているので、誰かザンザスを止められる人物を連れてきてほしいということになって、私があがったというわけか。

 

「…いいよ」

『あ、ありがとっ』

 

沢田綱吉の通話がいきなり途切れる。

これは私が付く頃にはボロ雑巾になってはいないだろうか?

とにかくボンゴレ本部に向かいますか。

 

「何だったの、電話」

「ちょっとボンゴレ本部行ってくる」

「はぁ?何でだよ」

「ボスのお迎えかしらぁ?」

「……パパが暴れてるって…」

「放っておけばいいじゃないか」

「………行ってくる」

 

誰も行こうとはしないので、ヴェロニカはコートを羽織り部屋を出る。

後ろからルッスーリアがマフラーを首に巻いてくれたが暴れたボスの攻撃を喰らいたくないのか、ついてきてはくれなかった。

ヴェロニカは指に嵌めているリングに炎を灯し、ポケットから出した匣兵器に注入する。

すると、そこにはヒョウ柄の白いチーターが出てくる。

「レッサ、ボンゴレ本部まで行って」

私はそれに跨り、本部まで駆け抜けた。

ん?何でリングと匣兵器あるのかって?

聞いて驚け!パパからの誕生日プレゼントだ!

なんせパパは私が10歳の頃、過去に飛ばされて私が炎を使えることを知っていたので、14歳の誕生日にこれらをくれた。

炎のこともマフィアのことも何も知らないと思われていた私にパパがこれをあげたことは、皆に心底驚かれたらしい。

というより今までパパから誕生日プレゼントを貰ったことがなかったので、二重の意味で絶叫ものだよね。

まぁそれは翌日に彼らに記憶が戻ったので納得していたが。

あ、銃は未来に戻った時に私の手元から無くなっていて、パパの手元に戻っていた。

銃がないことにションボリしていた私を見兼ねたスクアーロがボスに何やら相談して、銃は製作しているらしい。

太っ腹だなぁ、パパ。

一応、スクアーロに剣の手ほどきを受ける予定ではあるが、メインは銃にしたい。

因みに、匣兵器はチーターとホワイト・レオパード(雪ヒョウ)のミックスだ。

ベスターとめちゃくちゃ仲がいいです。

まだ若干幼いものの、足の速さは匣兵器中堂々たるトップである。

流石ミックスといえどチーターだね。

これならボンゴレ本部に数分もしないうちに着くだろう。

ってもう見えた。

 

「レッサ、ここでいいわ」

 

ヴェロニカの匣兵器であるレッサは足を止め、ヴェロニカを降ろす。

ヴェロニカはレッサを匣に戻すと、そのまま本部に入っていった。

中では爆発音やら金属音やらが盛大に聞こえる。

近くで壁が爆発し、ヴェロニカを煙を手で払いながら壁の奥を見た。

 

「あ、パパ」

 

そこにはボロボロの沢田綱吉の襟を掴んでいるザンザスがいた。

ザンザスはヴェロニカの声に振り向き、眉を顰める。

 

「何で来やがった」

「沢田綱吉がパパを止めてくれって頼んできたの」

「あ"?」

「ひぃぃぃぃいいい」

「あなた仮にもマフィアのボスでしょ、そんな情けない声出さないでよ」

「ヴェ、ヴェロニカちゃん⁉え、来るの早くない⁉」

「レッサに跨ってきたからね…それよりパパ、この前オープンしたレストランのステーキが好評なの、行ってみたいわ」

「フン」

 

ザンザスは乱雑に沢田綱吉を離し、本部の玄関に向かって歩き出した。

沢田綱吉は、ザンザスとヴェロニカを交互に見て感嘆する。

 

「す、すげぇ…ザンザスが大人しくなった…」

「あいつ、ザンザスの扱い上手ぇな」

 

沢田綱吉の隣にリボーンが寄ってきた。

 

「お前俺のこと見捨てたろ!」

「自業自得だろ、ダメツナ」

「ダメツナって言うなよ!」

「にしてもザンザスの奴、やっと父親らしくなったじゃねぇか」

「確かに……」

「暴君なところは変わってねーがな」

「……確かに」

 

リボーンの言葉に項垂れる沢田綱吉を横目に、ヴェロニカはザンザスの後を追う。

途中でスクアーロが合流して、黒いリムジンに乗り込む。

 

「本部でよろしいですか?」

 

運転手が畏まった様子で聞いてくるのに対し、スクアーロが口を開く前にヴェロニカがレストランの名前を言う。

 

「う"ぉい、どこ行くつもりだぁ」

「レストラン、もう夕飯の時間だし」

「俺は行かねぇぞお"お」

「元々スクアーロは途中で下ろすつもりだったわよ」

「どういう意味だあ"あああ」

 

スクアーロの突っ込みを無視して、窓の外を見る。

私が正式にヴァリアーに所属するのは18歳の時になってかららしい。

それは皆からの配慮でもあった。

18歳まで思い切り、表の世界で遊んで来いと。

私はあまり友人もいなかったのでそのままヴァリアーに直ぐに入っても良かったのだが、パパが反対した。

弱ぇ奴を入れるつもりはねぇ、と言っていたけれど、精神的に強くなるまで心配だから入れられないとしか聞こえなかった。

ハッキリ言って私は今幹部と結構いい勝負だったし、弱い訳ではないのだ。

因みにレヴィには5勝0敗である。

あいつ何で幹部になれたんだろう…

レストランは本部に行く途中だったので、スクアーロはそこから歩いて帰り、ザンザスとヴェロニカはレストランに入る。

スクアーロは誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。

 

 

「全くよぉ"……後ろ姿が丸っきり親子じゃねぇかあ"…」

 

 

 

積もった雪の上には大きな足跡と一回り小さな足跡が並んでいた。

 

 

 

 




後日談でした。
あと一話だけ残ってます

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