Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは気づいた。
寂しかったのだと

ヴェロニカは知った。
父の手はこんなにも硬くて大きいものだったのかと


Veronicaの父との別れ

「プリンチペッサ、誕生日おめでとう!」

「おうおう、プリンチペッサ!あんなちっせーガキがこんな大きくなりやがってよおお」

「いつの話してんの?ありがとルッスーリア」

「うおおおい、俺には礼がねぇのかああ」

「はいはいありがとスクアーロ」

「心が籠ってねええええ」

「プリンチペッサ、これ誕生日プレゼントです」

「あらありがとう、レヴィ」

「俺からもあるよ~シシッ」

「僕からもあるからね」

「ベルもマーモンもありがとう」

 

はい、プリンチペッサ、ことヴェロニカです。

今日でなんと14歳になってしまいました。

え?早すぎないかって?いやここ9年ほど語ることもなかったので省いちゃいましたよ、ええ。

やはり10年以上ヴァリアーの面々と一緒にいるせいか、度胸も態度も少し大きくなってしまったヴェロニカです。

これだけ長くいるとヴァリアーの人達が家族のように思えるようになってきたんだが…

だがしかし未だに父ザンザスとはあまり喋ることはない。

ほんともうなんていうか、ザンザスが攻略無理ですわ、いやする気もなかったけれども…

あやつ私に何かを聞いたこともなければ、喋りかけてくれたこともなかった。

あと、何回かボンゴレのパーティーかなんだか知らんけど、連れていかれた式典で沢田綱吉に会いましたよ。

他の原作キャラに会えて、私はなんだか満足です。

雲雀恭弥がめちゃくちゃ怖かったのでずっとスクアーロとベルの後ろに隠れていたのは今でもいじられるネタである。

しかし、私は未だに憤怒の炎が出ることを皆に言っていない。

これからも、言う気はないけどね

そういえばこれ最近知ったんだけど、私ってザンザスが35歳の時に生まれたらしいのよね。

多分、未来編終わった直後だろうか…

まあ今年でザンザスも49!もう人生折り返し地点まで来てるじゃん。

だがこいつほんと四捨五入したら50なのかと疑わしくなるほど、老けないんだよね…未だに30代に見えなくもないし。

学校の友達に、キャーヴェロニカのパパちょーかっこいー!を期待してたわけなんですよ…ザンザスが私の学校に来たことなんてなかったわけで…

別に寂しくないですよ、分かってたし……代わりにベル来てくれたし。

キャーヴェロニカのお兄ちゃんカッコイー!は実現できたし満足です。

それより、現状報告と行きましょう。

 

この9年間ただ惰性に生きていたわけでなく、私だって炎の微調節に勤しんでたわけですが…

なんというか、やりすぎたのかなんなのか…

ずっと手の表面に炎をほんの僅かの量を纏わせているんだが、誰も気づかない。

これまじで、最初え?ってなったから…自分でも纏わせてるの忘れてたくらいだし。

ご飯食べようとしてスプーンを触った瞬間、スプーンが若干溶け出してめちゃくちゃビビった。

誰も気が付いていなかったけど。

今じゃ炎を網状に張り巡らせることも可能になったんだが、これ使う機会絶対ないなと思う。

炎のコントロールなら誰にも負けない自信しかない。

それ以外目ぼしい成果はなかったかな。

さて、長々と喋りすぎたので誕生日パーティーに戻ろうか。

 

「俺これ~シシッ」

「あ、ちょっとベル!そのショートケーキあたしのだったんだけど!」

「早いもん勝ちだよん」

「もう…」

「にしてもプリンチペッサはとっても女の子らしくなって、悪い男ひっかけなきゃいいけどねぇ」

「あら、でもあたしの理想は高いわよ?」

「いうね、どんな男なら君はなびくんだい?」

「とりあえず、最低条件としては年収1億ね」

「んまぁ!悪女みたいなこと言わないでよん!」

 

ルッスーリアが両手で頬を抑えながら叫ぶ。

私は、笑っていた。

ヴァリアーの面子はお世辞も言えないほど極悪人だ。

でも…だけれども私はこの人たちがとても大好きなのだ。

いつも私を見てくれる彼らが…それがザンザスの娘だからといっても……それでもとっても嬉しいのだ。

また明日になって、スクアーロがザンザスからグラスやワイン投げられて朝風呂から始まるんだろうな…

その次にベルが起きだして、私は学校へ行って……

 

それで―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボスが危篤状態だ」

 

「………え?」

 

授業中、いきなり呼び出されて、学校の前には迎えの車があって…乗ったらスクアーロが真剣な顔で……え?

 

「今、なんて…」

「ボスがさっき危篤状態に入った…もう長くない…覚悟しておけ」

「………」

 

はい?あのザンザスが?あれ?今日エイプリル…じゃない……

 

「なんで?」

「病気だ」

「嘘。ねぇ、何で?」

 

敵の攻撃にもろ当たったのか?そんな馬鹿な…

 

「本当だ、元々そういう兆候はあったぁ…」

「は?…分かってたのに黙ってたわけ?」

「ああ」

「何でっ…何で⁉手術でもなんでもする時間はあったでしょ⁉」

「…治療できるものじゃなかったんだあ……」

「それでも!それでも……私に教えるくらいはあったでしょ⁉」

「ボスがそれを拒否しやがったんだよお」

「はあ⁉意味わかんなっ……ばっかじゃないの⁉あの人っ……あ、ああ……」

 

それ以上何も言えずに、私はただ両手で顔を覆うしかできなかった。

少し経ち、車がそろそろ本部につく頃、私は顔を覆っていた手を離した。

 

「スクアーロ…」

「なんだぁ」

「パパの病気って…?」

 

自分でもひどいと思うくらい、声は震えていて、バックミラー越しにスクアーロが顔をしかめているのが見えた。

 

「HIVだ…治療法はない…」

「ああ…あああああ……」

 

どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして

 

どうして教えてくれなかったの?パパ……

 

 

「着いたぞぉ…」

 

スクアーロの声がスッと頭に入ってきて、混乱していた頭が冷水を浴びたように冴えていった。

 

「会いたくない…」

「会って来い…最期だ」

「やだぁ…」

 

私はスクアーロに手を引かれるがまま、歩き出して本部の中まで入っていった。

段々と奥に行くにつれ、人気が無くなり、スクアーロの足が止まったところの廊下はとても暗かった。

 

「俺は外にいるからなぁ」

 

スクアーロはそれだけ言うと、私を部屋の中に押し込めて、自身は外へ出ていった。

部屋の中にはピー、ピー、ピーという機械の音が聞こえていて、私の足は鉛のように重かった。

真っ白いベッドの上には今まで無表情で冷徹で非情な男であったザンザスが眠っていて、私の気配で起きたのか瞼がゆっくりと開く。

 

「……パパ…」

 

上ずった声でザンザスに声を掛ける。

ザンザスの目は私を捉え、僅かに眉を顰める。

 

「あのカス鮫がっ……」

「パパ死ぬの?」

 

声を出すのも辛そうなザンザスに私は無意識にそう呟いていた。

 

「ああ…」

「手立てはないの?」

「…ない」

「どうして黙ってたの?」

「死ぬまで黙ってるつもりだった」

「ねぇ答えて」

「………」

 

ザンザスは黙り込んで、眉間にしわを寄せて目を閉じている。

 

「ねぇパパ……本当はパパが元気だったら2,3発殴ってたけど……それについては許してあげる…」

「……ふん、お前に俺が殴れるわけねーだろうが…」

「減らず口……パパだって私を叱ったことも手を上げたこともないくせに…」

「ふん」

「あーー、なんだろ……沢山言いたいことあるんだけど…」

「めんどくせぇ、一つにしろ」

「そういうとこほんっとパパらしいよね…」

「っけ、早く言え」

 

 

「あたし……手から炎が出るの…」

 

ザンザスが目を大きく見開いた。

 

「いつからだ…」

「子供のころから……多分4歳くらい…」

「何故黙っていた」

「その時は、怒られると思ってたの……でも最近じゃ怖がられると思ってたの…」

「……はぁ…」

 

若干嘘ついたけど、バレないからいいか

ザンザスは何か考えるように、黙り込んで、私もそれをずっと眺めていた。

 

「…それは誰にも言うな…」

「誰にも?スクアーロにも、ルッスーリアにも?」

「そうだ…そしてそれをこれからも誰にも見せるな」

「どうして…?」

「どうしてもだ…」

「……分かった…でも一つだけ私からお願いがあるの…」

「なんだ」

 

「あたまを……なでて…ほしい」

 

今までただ一度も触れてこなかったその手で、一度でいいから撫でられたかった

 

「何故…」

「いいから」

 

ザンザスは不服そうに手を私の頭に持って行った。

無骨な大きい手のひらが、私の頭に乗っかる感触に私は目の奥が熱くなっていった。

少しだけ、ザンザスの指が動き、私の髪を梳くような動きをしていく。

 

 

「ヴェロニカ」

 

 

一瞬誰の名前だろうと思った。

それが、自分の名前だとわかり、私は目を大きく見開いた。

 

 

「ヴェロニカ……お前は俺のようになるな…」

 

 

いつものように無表情で、だがそれとなく柔らかい表情をしていて…

いつものように低い声ではなく、言い聞かせるような声で

 

「わたしの…なまえ――――…」

 

 

私が言い終える前に、ザンザスの手が重力に従って私の頭からずり落ちていった。

 

 

ピーピーピーピー

 

機械の音が部屋中に響いていて、後ろから扉が開く音と、スクアーロの声と……それと…それと―――――…

 

 

 

 

 

 

 

「ん…」

 

目を覚ますと、私の部屋のベッドの上で寝ていた。

いつ寝たのかと、思い返すと父のことを思い出し、あれは夢なのではと思い始める。

起き上がり、おぼつかない足取りで部屋を出る。

リビングに行けば誰かいるだろうか…

そう思い、足を進めた矢先、ベルの部屋から声がした。

 

 

「――――…!…‼」

「――けど、―――」

 

なんだろう、あまり聞こえない…

ヴェロニカは耳を扉の前まで近づける。

 

「あいつらファミリーごと殺そうよ!」

「もう今は同盟ファミリーだ…それにボスと戦ったやつはボスが殺した」

「こっちはボス失くしたんだよ?弔いでもなんでも、相手を殺さなきゃ収まんないね…」

「おいお前らぁ…あれは10年前のときの戦争時にあった出来事で、ボスはそれについて何も言わなかったんだぞぉ」

「くっそ!ボスもボスだよ…何でスクアーロにだけ教えんだよ!くっそ…」

「ほんとよねぇ…にしてもどうして攻撃手段にHIVなんて選んだのよ?あんなの潜伏期間が8~10年もあるじゃない…」

「いや、あれは…奴がボスにビビッて手にしていた薬品やらなんやらを投げつけたんだよぉ…」

「あーーーっ、ほんっとムカつく、あのファミリー…やっぱ殺そうよ…」

「やめろベル、ボンゴレの意見を聞かないことには俺たちだけで独断するなぁ」

「にしても何でボスはHIVの治療受けなかったんだい?受けてたらもう少し生きられただろう?」

「あれは単に、治療受け続けるのが嫌だっただけだろぉ」

「お前はそれでいいわけ?ボス死んじまったじゃんかよ」

「死んだやつに関してどうこう言うより、これからを考えろぉ…プリンチペッサもいんだろーがぁ」

「はぁ?ヴェロニカはこっち側のこと何も知らないじゃん…」

「だから―――――」

 

 

 

扉から手を離し、ヴェロニカは出来るだけ音を立てずその場から離れるように駆け出した。

 

攻撃?10年前…?戦争……?

パパはそれでHIVにかかって死んじゃったわけ?

 

ふざけんな 

 

「…ふざけんなよ……カスが…」

 

最期の最後だけ父親面して死んだザンザスに腹が立って、それと同時にとっても悲しかった。

自身の最期であるにも関わらず、私を最後までマフィアに関わらせようとはしなかった私の父親。

 

「やっぱ殴る……!」

 

私は部屋に駆け込むと、直ぐに財布と携帯、そして服を鞄に詰め込んで部屋をすぐに出る。

本部を抜け出す前に、最後にもう一度ザンザスの顔が見たくて、死体がどこにあるかも分からず、ザンザスのいた病室に駆け出す。

 

「はぁ…はぁ…まだ……あった…」

 

顔に布がかけられてあるが、父のソレだと分かり近寄り、布を取る。

 

「パパ、その余裕めいた顔ぶん殴りに行くからね…」

 

私はそれだけ言うと、病室を出ようとしたが、あるものが目に留まり足を止める。

目の先にあったのは、テーブルの上に置かれていたザンザスの愛用していた二挺拳銃。

私は迷わずそれを取ると、部屋を出て本部から出た。

目指すはボンゴレ本部。

足の裏には薄く憤怒の炎を纏い、一気に地面を蹴ると爆発的に加速し、常人であれば目で捉えられないほどのスピードでただただ走っていた。

 

数十分走っただろうか、本部が見えてきて、ヴェロニカは途中で歩き出して、本部の門の前で立ち止まる。

 

「貴様、何者だ」

 

警備の者が警戒しながら私の近くに寄ってきた。

 

「ヴェロニカ、沢田綱吉に会いたい…名前を伝えれば分かるはずだ」

「……待っていろ」

 

警備の者は暫く通信機器で何を話していたが、数分経つと慌ただしくなり、正面玄関から大きな音を立てて一人の青年が現れた。

 

「ヴェ、ヴェロニカちゃん⁉どうしてこんなところに…ザ、ザンザスは⁉」

 

現れたのは、現ボンゴレ10代目、沢田綱吉である。

 

「沢田綱吉、貴方に話がある」

「え?俺に……?」

「急を要する、今は大丈夫か?」

「え?あ、うん…とりあえず入って」

 

私の表情で何かを悟ったのか、沢田綱吉はすぐに私を本部に招き入れてくれた。

そのまま、沢田綱吉の執務室まで行き、一息ついたところで私は本題に入ろうとしたが、その前に沢田綱吉が口を開いた。

 

「ザンザスのことでかい?」

「どこまで知っている?」

「さぁ…勘でなんとなく…ザンザスになにかあったのかなって……」

「父が死んだ」

「……え…」

 

沢田は目を見開いていた。

 

「病気で、だ。私はそれが許せない……一度だけ父を殴りたい……力を貸してくれないか?」

「えー⁉な、殴るの?え、何でそうなったの⁉」

 

私は今までの経緯を沢田綱吉に話した。

 

「最期に私に父親面して死んだあの人にもう一度会って、殴って、抱きしめたいんだ…」

「ザ、ザンザスを殴るって……いやそれよりも、ザンザスにそんな一面があったなんて……」

「頼む、私を過去に……連れて行ってはくれないだろうか…?」

「……ダメだよ…」

「何故」

「確かに、過去に飛ばせるけれど、君はそこでどうやってザンザスを助けるの?」

「父が攻撃を受ける前に私が殺す」

「それはダメだよ……ザンザスが君を守ってきた意味がないじゃないか」

「ならば今の医療では予防接種があったはずだ!それを彼に打てばいいだろう⁉」

「それなら…ってダメだってば!君を危険な目に合わせたらあの世でザンザスに合わせる顔がないよ!てか殺される‼」

「私は!」

 

ここまできて中々頭を縦に振らない沢田綱吉にしびれを切らし、私は大きく声を上げる。

 

「父に……パパに……頭を撫でてもらったのがあれが初めてで最後だった……」

「ヴェロニカちゃん…」

「名前を呼ばれたのもあれが初めてで最後だった…」

「…」

「いやだ、あれが最後だなんて嫌だ!わた、私は!パパに大好きの一言も言えなかった!」

 

今まで我慢してきた涙がとうとう決壊してしまう。

 

「非情で、冷酷で、暴君で、極悪人だったけど……」

「めちゃくちゃ言われてるねザンザス…」

 

 

「それでも私の…血の繋がった…たった一人の父親なんだ……」

 

 

ヴェロニカ  お前は俺のようになるなよ

 

どうして最後に父親面なんてするんだパパ……

どうせなら最後までツンケンとしてくれていたらここまで苦しい思いなんてしなかったのに。

 

 

「ヴェロニカちゃん…ザンザスの…いや、僕たちの仕事…気づいてるね?」

「…うん……マフィア…」

「そう、とっても危ない世界だ…無暗に突っ込むべきところじゃないんだよ」

「わたしに…」

「ん?」

「私に、死ぬ気の炎があればいいの…?」

「え…」

 

私は右手に纏っていた憤怒の炎を最大火力にして、手のひらに凝縮して見せる。

それをみた沢田綱吉の表情が今までにないほど真剣みを帯びていた。

 

「ヴェロニカちゃん…それは…」

「まだパパにしか言ってない…パパから受け継いだ炎…憤怒の…炎」

「そうか…そこまで知っているのか……」

「私を…過去に…連れてって……」

 

沢田綱吉は、少し黙り込むと、徐に机の引き出しから鍵を取り出す。

 

「本当は、止めるべきなんだろうね…大人としては…」

「…」

「でも、誰かを助けたい気持ちは死ぬほど分かるから…人の死を書き換えるのは禁忌だけれど…ある意味僕らもやっちゃったことあるから強く言えないんだよなー…」

「……」

「女の子を一人で行かすと、ヴァリアーの人達に殺されそうだから、誰か一人護衛つけるよ?それでいいかい?」

「問題ない…ヴァリアーの人には私がここに来ていることすら言ってない…バレる前に過去に行きたい」

「はい⁉言ってないの!?え、俺殺されそう⁉だって彼らとっても君を大切に育ててたから余計怖いー!」

「来る前にすべて終わらせれば万事解決だ」

「んな他人事な!」

 

涙目の沢田綱吉についていき、部屋を出る。

そのままある部屋につき、中へ入ると、武器倉庫のようだった。

 

「ここにあるバズーカはランボが持ってきたものなんだけど、確かこの辺りに過去に飛ぶバズーカがあったはず…あ、あった。これこれ」

 

古びたバズーカが出てきた。

 

「確かここを回して、遡る年数が調整できたはず…少しランボや正一君に聞いてくるから一緒に行こうか」

「分かった」

「あと予防接種の方は本部の医療施設にあったよ…」

「やはりボンゴレの力はすごいな…」

「あはは…そうだね、護衛は誰にしようか…今守護者皆忙しいわけじゃないと思うんだ」

「そうだな…雲雀恭弥以外なら誰でも…あ、いや獄寺隼人は嫌だ」

「デスヨネー、なら山本あたりかな」

「そうだな」

「あ、着いたよ…ここが開発局」

 

沢田綱吉が扉を開けると

 

「あわわわわわわ!綱吉君⁉危ないぃぃぃいいいいい‼」

 

 

入江正一の焦った声が聞こえてきて、目の前が真っ白になった。

私の記憶はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

「―――――!」

「―――!」

 

何か騒がしい声が聞こえる。

 

「うー……」

「ぉ、起きた…―――、女が起きましたよ」

「そうか、君」

 

「……んぅ?」

 

私は寝ぼける頭で声のする方へ視線を寄越す。

 

「君、名前は名乗れるかい?」

「……?ヴェロニカ……」

「ヴェロニカちゃんか、いくつだい?」

「…14」

「そうかそうか、14歳か。最後に覚えてることは?」

「………うん?」

 

私は誰に話しかけられているのだろうか?

思考がクリアになっていき、目の前の人物を確認すると、同時に固まった。

 

 

「きゅ、九代目?」

 

「おや、私のことを知っているのかね?」

 

私が8歳の頃あなたポックリ逝ったじゃないですかやだー

 

 

 

うっそ、ここ過去?

 

 

 




ちょっとご都合入ってますが、シーッ…。
本当は何話かにわけて、ちゃんと行く理由と経緯とか詳しく書きたかったんですが、別にそこまでして完璧に書いて投稿したかったわけでもなかったので、とりあえず急展開ではありますが、本編スタートなのかな?

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