Veronica   作:つな*

15 / 26
ヴェロニカは歓喜した。

自己満足と知りながら

ヴェロニカは分からなかった。

涙が出そうになった理由が


Veronicaの対峙と再会

 

 

 

ヴェロニカです。

並盛で行われる最終決戦の場である森にいます。

そして、今私は桔梗の近くに潜んでいる。

何故かって?

私が潜んでいた場所に、あいつが来たんだよ。

バレずにやり過ごそうと息を潜めていたら、あいつらここでドンパチ始めやがりました。

ふざけんな、私はザクロの所行きたいんだよ!

パパの戦闘シーンが見たいの!

おお、ランボが善戦してる。

泣いてるけど。

消耗はっや!もう終わりか。

ああもう、修羅開匣したよ、桔梗の奴。

暫く私動けないじゃん…。

恐竜とか…もうちょっとデザインあっただろうに…

なんだっけ、恐竜の名前…ヌー…ヌーブラ?ヴェロキラプトルだったっけ?

あ、笹川了平がタイマンで勝負仕掛けてきた。

………ん?何か違和感……ッハ

そういえばこのシーンって骸の幻覚じゃんかよ!

でもこの幻覚解いちゃうと、桔梗に掛かってる幻覚まで解いちゃうことになるじゃん。

うっそん、ここにきてまさかの弊害…。

ヴェロニカは敢えて幻覚に掛かり続ける。

あ、雲雀登場。

でもこれ瞬殺されて……ああ、殺られちゃった。

じゃあそろそろ幻覚がって…ぅぇぇぇぇえええええ

恐竜の顔を雲雀に変えるなんて、なんてえぐい幻覚使いやがるんだ!骸の野郎…

いやぁぁぁぁぁああパパぁぁぁぁあああああ

骸殺す!フラン、てめぇも同罪だ!あんなカッコ悪いパパの幻覚見せやがって!

ヴェロニカは殺気がバレないように、骸に殺意を抱く。

あ、やっと幻術が解けた。

もう皆ここで集まってるし、ゴーストが来るのもここかな…

もういっそのこと白蘭との決戦終わるまでここで大人しく見といた方がいいかもしれない。

 

「あれぇ?師匠今何気に一歩前に出ましたねー?直ぐに真ん中に立とうとするんですからー」

「クッフッフッフ、何を言っているんですか、お前の頭が邪魔だからですよ」

 

やっと他の面々も喋り始めた。

 

「はーい、本番いきまーす」

 

フランって真面目になったことあるのかなー?

でもまぁ、これから本番か。

じゃああと少しでゴーストが出る。

にしても凄い乱闘…

少し後ろに下がろう。

ヴェロニカが下がった瞬間、近くにスピノサウルスの頭が落ちてくる。

ひえっ、きもっ…

内心冷や汗垂らしまくりながら、誰にも気付かれずにゆっくりと後退する。

その時――

 

ジジジジッ

 

空中にいきなり何かが光り出す。

 

きた―――――!

 

一気に光を放ったそこには、発光している半透明な巨人―――GHOSTがいた。

周りの者は攻撃を加えるが、GHOSTに効いたような様子はなく困惑している。

真6弔花も同様に困惑していた。

 

「あれが噂のGHOST?ヤバくない?」

「白蘭様、何故こんなに早くアイツを・・・」

 

めっちゃ混乱してる。

まぁ実質あいつを倒す方法なんて沢田綱吉の死ぬ気の零地点突破 初代(ファースト)エディションしかないし。

レヴィの匣兵器がやられてるし。

あ、パパがめっちゃ攻撃してる。

その勢いだ、今のうちにめっちゃ炎消費してほしい。

あ、リングから炎が吸収されていってる。

もっとやれ。

傍から見れば完璧に敵だが、誰も彼女に気付いていない。

少し経って、ようやく皆がリングを外した。

だが途中でブルーベルやザクロは炎を吸われて干からびてしまった。

桔梗も修羅開匣のせいで炎が吸われ続け、体力が底を尽きかけている。

ヴェロニカはリングがないので一切吸われることはなかった。

獄寺や笹川の方にGHOSTの光線が伸びていくが、二人に当たりそうな時に、山本がそれを助ける。

それに続き、スクアーロとディーノたちが現れた。

 

「おせぇぞ、カス」

「すまねぇなぁ"」

 

パパも素直に心配してたって言えないのかな…いや言ったら言ったで気持ち悪いな。

 

「何してたの、待ってたわよ~」

「おのれぇ、生きておったか!」

「ちょーガッカリ…」

 

本気でガッカリしている人若干2名いるが、無視。

手詰まりで、何もできない状況に誰もが歯を食いしばる。

だがその時、

 

「それはさせない」

 

声がした方へ皆が視線を向けると、そこには沢田綱吉がいた。

沢田綱吉は、死ぬ気の零地点突破・改の構えをして、GHOSTの炎を吸収し出す。

吸収対吸収が始まると、周りにも影響が出始める。

山本などはどんどん剣から吸われ出し、他の者もリング関係なしに吸われ出す。

この調子で、皆のスタミナ全部吸ってくれれば私がやりやすくなるんだけどな…

皆が吸われぬよう必死に対抗している最中、ヴェロニカは先ほどより遠くに後退して、木の上から双眼鏡で眺めていた。

吸収対決の影響がぎりぎり届かない範囲を見切って距離をとっているので、今のところヴェロニカへの被害はゼロである。

吸収対決は沢田綱吉が勝利を収めるが、様子がおかしいことに周りが(いぶか)しげな面持ちで見ている。

そこに白蘭が現れる。

ザンザスや六道骸が白蘭に攻撃するが全く効かず、沢田綱吉が白蘭と対峙するが白蘭の優勢は変わらなかった。

吸収対決が終わったので、双眼鏡を片付けたヴェロニカは沢田綱吉が白蘭に押し負ける様子を静かに覗いていた。

 

今、出ていくことも可能だけど…

まだだ。

この後に、全匣兵器の炎を雨イルカに集めて大空の結界に穴を空ける過程があったハズだ。

そこが全員のスタミナが底を尽きる瞬間だ。

焦るな、焦るな…

ヴェロニカの剣を持つ手に汗が浮かぶ。

震えだしそうな手を必死に握り込む。

大丈夫…恐い……大丈夫、大丈夫…怖い…

 

 

〝ヴェロニカちゃん”

 

 

ふとヴェラさんが私を呼ぶ声を思い出した。

脈拍の速くなっていた心臓がスッと静まっていくのが分かった。

どうしてこんなときまで彼女を思い出したのかは分からない。

だけれど、その声が私の背中を押してくれたような気がした。

 

ヴェロニカが目の前の戦場を見ると、既にユニがおしゃぶりに炎を注いでいた。

ユニの目からは涙が溢れていて、死への恐怖に顔が歪んでいく。

そこに、全匣兵器の炎を蓄積した雨イルカの攻撃が大空の結界に穴を空けた。

全ての炎を出し尽くしたのか、周りの者は皆肩で息をしていた。

ユニの元へ駆けつけたγと共に、ユニとγ(ガンマ)は消えてしまった。

ユニが消えたことに絶望した白蘭と、彼の言動に怒気を表す沢田綱吉が、最後の攻撃に備え構えだす。

だがヴェロニカの目線は、始終ザンザスに向けられていた。

タイミングは白蘭が消えて、皆が一息をついた瞬間。

一番気を抜いたその時に、ザンザスとその他を離す。

ヴェロニカは剣に炎を纏わせ始める。

 

白蘭と沢田綱吉の炎が衝突し、大空の結界に罅が入っていく。

遂に結界が壊れ、白蘭が沢田綱吉に押し負けて沢田綱吉の炎を喰らう。

白蘭の姿が搔き消されていき、その場には沢田綱吉が肩で息をしながら立っていた。

 

「か、勝った」

「や、やったぁぁぁぁあああ」

 

獄寺と山本、そして笹川にバジルが沢田綱吉の元へ駆けつける。

沢田綱吉の額に浮かぶ死ぬ気の炎が消えた刹那――――

 

 

 

巨大な炎がザンザスに向かって放たれた。

 

 

 

XANXUS side

 

 

「⁉」

 

俺の方に襲い来る炎を飛躍し避ける。

炎は衰えを見せず、そのまま俺を囲むように襲ってくる。

 

「ッチ」

 

俺は舌打ちしながら、残り少ない炎で飛びながらそれらを避け続ける。

だが、炎はそのまま俺を囲み、炎が壁のように広がりやがてドーム状になった。

 

隔離されたか……他の奴らから俺を離すような攻撃といい、タイミングといい…最初から俺を狙ってやがったか。

 

俺は少しでも炎の消費を抑えるために、地面に降りた直後、背後から黒い影が迫ってきた。

黒い影の乱入者は、剣を両手に俺に襲い掛かる。

俺もそれに応戦するが、先ほどの戦いで体力を大幅に削られた為押し負け始める。

段々と掠り傷が増えていき、ついに怒りが頂点に達した。

 

「クソがっ……カッ消す!」

 

俺は匣を開き、ベスターを出す。

 

「ベスター!」

 

俺の命令に従い、ベスターは咆哮する。

だが黒い影に効いた様子はなく、ベスターは再び咆哮し出す。

ベスターの攻撃の中、俺も銃で黒い影に向かって攻撃するが相手は避け続ける。

体力が底を尽きかける俺の頬には汗が伝う。

このままではジリ貧であることは明らかだった。

俺はベスターを匣の中に仕舞う。

先ほどから肩で息をし、荒い呼吸をしているせいで喉の奥が乾きだす。

 

「ドカスが……跡形もなくカッ消す」

 

何も喋らない黒い影に向けて、俺は残り少ない炎を全て銃の中に溜め始める。

俺がでかい技を出すのが分かったのか、黒い影は剣を仕舞う。

そして足に差してあるガンホルダーから銃を抜き出す。

その銃を目にした俺は驚いた。

 

「てめぇ、その銃は…」

「…」

 

あれは、俺と同じ、七代目の使っていた拳銃。

何故同じものがあるんだ。

答える気はないのか、無言で黒い影も銃に炎を溜め始める。

拳銃を使うことで火力を底上げするアドバンテージが消えるが、俺には憤怒の炎という高火力の炎がある。

火力比べなんぞ、俺の憤怒の炎の前ではすべてカスだ。

 

「カッ消す」

 

俺はありったけの炎を溜めて、奴にぶっ放した。

そして奴も溜め込んだ炎を撃ち出す。

お互いの炎の塊が衝突すると、周りを囲んでいたドーム状の炎の壁が一気に吹き飛んだ。

周りには爆風が吹き荒れ、炎の壁の外側にいた奴等は踏みとどまれず吹き飛ばされていた。

カス鮫の声が小さく耳に届いたが、暴風の中に一瞬で消えていく。

目の前の均衡する炎の衝突に、俺は歯を食いしばる。

もう絞り出す炎はない。

あとは意地のみで、足に力を入れ衝撃に耐える。

一瞬、体全体に重い衝撃が走り、目の前で均衡していた炎は爆発を起こした。

その際何かが聞こえたような気がした。

爆風に吹き飛ばされ、背中を木に思い切りぶつけ息が一瞬止まるも、直ぐに肺から熱風と共に吐き出す。

既に動けるほど体力はなく、木に凭れるように立つ。

荒い息を繰り返す中爆風が収まり、俺は煙の奥を睨みつける。

瞬間、煙の奥から黒い影が現れ俺にぶつかってきた。

俺は動く気力がなく、そのままそいつと重なって倒れた。

 

「はぁ…はぁ…はっ……」

 

そいつの口から出てくる息遣いと声に、若い女だと分かった。

一瞬、腕に小さな痛みが走る。

だが次の瞬間、俺の上に跨っていたそいつは吹き飛んだ。

 

「ボス!」

 

ルッスーリアがそいつを蹴り飛ばし、俺に駆け寄る。

俺には息を吐くだけしか体力はなく、指一本動かせない俺にルッスーリアが憤慨する。

 

「ボス!あたしが直ぐに殺してあげるわよ!」

「ししっ、俺も参戦~!」

 

ルッスーリアに続きベルもその黒い影と戦闘に入る。

黒い影は先ほどの銃を仕舞ったのか、剣で二人と応戦していた。

数回の衝突の後、ベルがそいつの隙を狙う動作に入った時、俺の視界は白くなった。

 

 

 

 

ヴェロニカside

 

ヴェロニカは思い切り地面を蹴り上げて、ザンザスに向かう。

両手剣に大空の炎と憤怒の炎を編み込み、出来るだけ広範囲に渡るよう全力で放った。

炎はザンザスの周りを囲い、数十mに渡るドーム状の壁を作った。

実はこの壁、一見普通に炎を高圧縮したものに見えるが、憤怒と大空の炎を網上に重ねてある。

なので外からの衝撃におもっくそ強いのだ。

ザンザスが地面に降りてくるのを狙って、ヴェロニカは両手剣を構え走りだす。

狙いは拳銃。

あれがあるのとないのでは結構違う。

あの拳銃は炎の消費量を少なくするので、ハッキリいって邪魔だ。

ただでさえ体力尽きかけてるパパが拳銃無しで戦えば、直ぐにぶっ倒れるだろう。

ヴェロニカは取り合えず拳銃を狙い、ザンザスと対峙する。

数度の打ち合いでぶち切れたザンザスがベスターを出す。

残念!ベスターの炎は攻略済みだ!

ヴェロニカはベスターの咆哮に合わせ調和し出す。

ザンザスの攻撃を避けつつ、ベスターの攻撃を調和していくと、無駄と分かったのかザンザスがベスターを仕舞う。

そして、拳銃に大量の炎を溜め始めた。

最後の炎を溜めて、ここら一帯を消し飛ばすつもりだと分かり、ヴェロニカは剣を腰に差しガンホルダーから拳銃を抜く。

ヴェロニカの拳銃を見たザンザスが目を見開く。

 

「てめぇ、その銃は…」

 

パパの銃です、ハイ。

本当は使いたくないんだけど、最大火力出すにはこれしかなくって。

ヴェロニカは憤怒の炎と大空の炎を出来るだけ圧縮して拳銃に溜め込む。

まだだ、まだ出来る……

拳銃の許容量をガン無視で圧縮して溜める。

そして、全て溜め切ったのかザンザスが引き金を引く。

私も直ぐに引き金を引き、溜まりに溜まった炎が噴出する。

二つの炎の塊が衝突し、二人を中心に暴風が荒れ狂う。

ヴェロニカの被っていたフードは外れ、張った炎の壁が吹き飛び、外にいた人たちも例外なく飛ばされる。

ちょ、待って…パパって体力尽きかけだったじゃん!

何でこんなに強いのさ!

あわばばばば、気を抜くと一瞬で押し負ける!

くっそ、私だって…頑張ったんだからっ

パパの炎がしつこい…めちゃくちゃしつこい…

こっちも死ぬ気で押してるにも関わらず、ずっと均衡してるってどうゆうことよ?

 

「いいかげんっ」

 

ヴェロニカは目を見開き、大声で叫んだ。

 

「ぶっ倒れろ―――――!」

 

全身の細胞が活性化したような感覚に襲われた瞬間、均衡していた炎が爆発した。

元々重くなかった体重の私はいとも容易くふっ飛ばされるが、剣を近くの木にぶっ刺して、爆風を耐える。

爆風が止むと、瞬時にフードを被り直してザンザスの元へ走りだす。

ザンザスの影が見えた時、一瞬だけ足がもつれてしまいそのままザンザスにぶつかり重なるように倒れた。

 

ワクチン!

 

荒い息のままザンザスに跨り、懐からワクチンを一本抜き、直ぐにザンザスの腕に刺し込む。

ちゃんと押し子(ブランジャー)を押すのも忘れずに、全て注入する。

 

やっと、出来た……これでっ――――

 

気を抜いた瞬間、激しい衝撃がヴェロニカの腹部を襲う。

そしてそのまま茂みの中に吹き飛ばされるが、直ぐに起き上がり剣を構えて周りを警戒する。

先ほどの攻撃はルッスーリアだったらしい。

ルッスーリアはヴェロニカに攻撃を繰り出す。

ベルも加わり二対一で対峙していた。

状況を確認し、冷静になると、段々腹部が痛みだしてくる。

これ絶対折れた…。

くっそルッスーリアめ…帰ったら殴る。

二対一の経験がなく、更に相手はヴァリアー…しかも彼らも私も疲労しているときた。

これ私の詰みかな?泣きたい。

彼らの攻撃を流しながら、逃げ道を探る。

ルッスーリアの猛攻に気を取られ過ぎて、ヴェロニカはベルが直ぐ後ろにいることに気付くのが遅れたのだ。

 

「もーらいっ、死にな!」

 

やっばっ……

ベルのナイフがヴェロニカの心臓に刺さる瞬間

 

ベルが吹っ飛んだ。

 

もう一度言おう、吹っ飛んだ。

ヴェロニカは状況が分からず、目を丸くするが、それは相手も一緒だったのかルッスーリアも固まっていた。

そしてルッスーリアが吹っ飛んだ。

はい?え?何で??

二人が吹き飛んだ原因が分からず、辺りを見回す。

すると、先ほどザンザスのいた場所に煙が立っていた。

け、煙?

私は煙の中に人いるのに気づき、剣を構えた。

 

 

 

「おい」

 

 

私はその声を聞いた瞬間直感した。

 

「ここは…過去のハズだ」

 

私は目元が熱くなるのを感じていた。

 

「何故お前がいる……ヴェロニカ…」

 

顔を隠してるのになんで分かるかな……

 

 

 

 

「……パパ…………」

 

 

 

 

 




はい、最終決戦が終わってヴェロニカの独壇場です。
んでもって最後にパパさん登場です。
本当はヴェロニカに勝たせようと思ったんですが、娘に負ける父親ってどうよ…と思ったので引き分けで(笑)
いつもコメント・誤字指摘ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。